いやー、展開に悩んだり、新生活で忙しかったりスクフェスのイベントで忙しかったりブレワイやらで忙しかったり(←しまして…
やっぱりゲームにはまりすぎるのはイカンですね、うんうん…(ほとんど反省していない模様)
大体展開も佳境に迫ってきましたので、勢いに乗せて突っ切りたいですね。
長いこと語られてなかったあの妹組についても書きます。
九つの光が、肉片と骨と目玉、兵器で作られた空間を直進する。
攻撃の第一波は突破し、彼女たちはただただ道なりに進んでいた。
「ったくもう、なっがいわねぇ! まだ中心部へ着かないの!?」
にこが前を睨んでイライラした面持ちで呟くと、希が答える。
「すぐに着かれたら困るのはあちらさんやろ?
少しでも時間を稼ごうと必死なんちゃう?」
未だにゴジラの精神世界は混沌とした風景のままで、彼自身の意思は読み取れそうもない。
前回は、あちらから「出迎えて」きたのにも関わらず。
「まぁ、余程自分の奥底に入り込まれたくないんでしょう。
いわば、『心の壁』を作ってるのよ、彼は」
絵里は前々回、前回の精神干渉での出来事に言及した。
果たして彼にどれだけの意思が伝わったのかは不明だが、彼にとってはトラウマを掘り返され、しまいにはどうしようもなかったとはいえ精神を乗っ取られそうになり、ますます彼女たちに対して警戒感を抱いているのだろう。
「…アイツって、なんでここまで『孤独』にこだわるのかしら」
真姫は、哀れんだ表情で空間の奥に覗く暗闇を見つめた。
「私たち生き物は…決して自分だけでは生きていられないのに」
ゴジラは今までの数十年間、誰の味方になろうともしなかった。
ただひたすら、自分の本能のために破壊と殺戮を続けてきた。
しかし、それで彼は「幸せ」なのか。
彼にも昔には「仲間」がいた。
人間のようにとはいかなくとも、彼らは互いに助け合って生きていた。
だが今は、彼は単独で他のすべてを凌駕する「完全生物」となってしまった。
彼は、おそらくはこの結果を望んではなかっただろう。
望んでいたのは、「真っ当に生き、死ぬこと」だったはずだ。
「全てを喪って、自分の居場所を失くして、他者から拒絶される存在になってしまったから…
自分を守るために、自分以外の全てを否定する存在になるしかなかったんじゃないかな」
花陽が下を見ると、未だに「帰れ」と言わんばかりに人型の化け物が彼女たちを訳のわからない言葉で罵っていた。
「もちろん、私たちにそのときの気持ちは全部理解できるとは思わないけど」
当たり前のことだった。
人間という生き物が何十年も1人で生きることができるわけがないし、彼女たちには何よりも大切な『仲間』がいる。
「…ホントは欲しいのかな、仲間が」
穂乃果の耳には咆哮が聞こえる。
時を超えて発せられ続けてきた『咽び』だ。
「…穂乃果は、どうしたいのですか?」
彼女を見つめる海未の表情は、何かひとつの答えを求めているかのようだった。
ことりも、同じような視線を向ける。
「…私は」
「―――――――――――――――――――――――――」
口を開こうとしたとき、けたたましいサイレン音が空間に響き渡った。
すると、壁中にあった肉塊の顔面中央に空いた穴が紫に発光し始め、彼女たちの方向に首を曲げ始める。
全方位から電子音のような音が鳴り始め、無数のレーザーサイトが彼女たちに集中する。
「…!みんな、下方に回避!このままじゃ死ぬわよ!」
絵里が叫び、メンバー全員が急降下すると、直後に頭上で何千本もの光線が交差する。
周囲は薄暗くなり、紫の光と電子音は彼女たちを追うように続いていく。
にこが発破をかけるように叫ぶ。
「これだけ拒絶反応が激しくなってきたっていうことは、確実に奴の精神の中心に近づいてるってこと!
ゴールは直前よ!」
「着いてからが本当の勝負…だけどね!」
それに対する真姫の言葉を引き金とするかのように、μ’sとフェアリーモスラは速度を上げた。
さっきのグロテスクで混沌とした空間は終わりを告げ、初期と同様の暗闇へと変容していく。
その中で彼女たちは、確かにこの空間の主の気配を近くに感じ始めた。
「…もう、相手は目の前みたいだね。
なんか、いまさら不安になってきちゃった」
花陽が誤魔化すように笑顔を作ると、その手を凛が握る。
「大丈夫だよ、かよちん…だって、ここまで何とか粘ってきたんだもの。
きっと、うまくいくよ」
根拠はないだろう。
だが、自分たちを信じなければ何も始まらない。何かを成すことはできない。
「でも、本当に彼に出会ったとき、どうすればいいんだろう…まだ何も考えてないよ」
花陽の言葉にことりが振り返る。
「…私、思うんだけど…
ただ、私たちがこれまで思ってきたことを伝えようとするだけでいいんじゃないかなって思うの。
沢山の大切なモノを奪われて、そして奪った彼の姿を見た時の想いを。
そして、考えてみるの。彼にどんな言葉をかけてあげるのがいいかを、ね」
「…そう言っている間に、もう王の『御前』ですよ、ことり?」
「もう? 早いなぁ」
海未に指摘された彼女が前を見る。
そこに赤黒く燃え盛るは、破壊神の本当の意思。
背ビレは完全な焔として一面に燃え広がって視界のすべてを覆っており、この空間の支配者は誰であるかを如実に表している。
しかし、ここで、その事実に屈するわけにはいかない。
「ゴジラ…会いに来たよ。今度こそ、あなたを止めに」
そう言う穂乃果を先頭に迫る彼女たちを、彼は瞳がない白い眼球を通して見ていた。
――――――――
明け方の時刻にもかかわらず、空は紅く、雲は黒く、「月」は蒼と紫に染まっている。
それだけでも異様な光景だが、それを見るために、何百万人もの人間が一斉に空を見上げている。
人間でさえも不気味な風景の一部となって見えることに、雪穂と亜里沙は何とも言えない感情を抱いていた。
「みんな…逃げないのかな?こんな大変なことになってるのに…」
「それは…雪穂だって同じじゃないの?」
雪穂のぼやきに亜里沙が率直に突っ込むと、彼女は苦笑いした。
「そうだよね…いまさら、どこに逃げたって無駄。
証拠はないけど、この景色を見たら誰だってそう思うに決まってる」
二人のすぐ傍では、μ’sメンバーの家族たちが静かに天空に視線を送っている。
まるで、その視線の先の何かを見守るかのように。
「それに、逃げるに逃げられない状況の人たちもいることだし」
「じゃあ、私たちも逃げちゃダメだね!私たちには私たちの仕事があるんだから!」
「…そうだね。こんな肝心な時にいなかったら、またお姉ちゃんがうるさいし」
そう言って笑うと、雪穂は胸を張って直立した。
亜里沙も同じことをして、二人は一歩、足を踏み出す。
そして、息を肺が空気で一杯に満たされるほどに吸い込んで。
「みゅーず!」
「みゅーず!」
二人の少女がいきなり叫び始めたので、周りの人間は驚いて彼女たちを見る。
あまりにしつこく続けるので、穂乃果と雪穂の母が顔を赤くして止めに入る。
「あんたたち、何やってるの!?人様がこっち見てるでしょ!」
「応援だよ」
「…応援?」
「そう、応援。お姉ちゃんたちがあそこで戦ってるんだもの。
応援しなきゃ、九人だけであの化け物と戦わなきゃならない。
そんなの、私は嫌だから」
「そうです!私も1人のμ’sのファンとして…たとえこの声が届かなくても良い。
今はただ、今もみんなのためにあそこにいる、あの人たちへの思いをここに表したい。
それだけです」
まだ中学生である彼女たちの瞳には、この風景を目の前にしてもなお、μ’sを信じるという意志が宿っていた。
「みゅーず!」
「みゅーず!」
「みゅーず」
いつの間にか、矢澤家の子供たちも声援を送り始めていた。
矢澤家の母は、その様子に若干戸惑った表情でこちらを見てきていた。
「すみません…子供たちが勝手に…」
彼女が頭を下げようとしたとき、ことりの母―音ノ木坂学院の理事長―が声をかけた。
「皆さん…ここは一旦、好きなようにやらせてあげませんか?
応援だけなら迷惑はかけませんし、事情は分かりませんが…あの子たちがあの上空にいるのはおそらく事実でしょうから」
そう言った後、高坂家の母ににこりと笑いかける。
「それに、愛する者を支えたいという気持ちは、抑えることはできないものですよ?」
何かの気配に気づいた彼女が後ろを振り向くと―
「……………………」
そこには、九色のサイリウムを構えた夫の姿があった。
「…あなた、いつの間に…」
彼はチャルメラを何処からか取り出すと、勢いよくそれを吹き鳴らし、さらにまた職人服のどこにしまい込んでいたのか、大きな横断幕を広げた。
そこには達筆でこう書いてあった。
『愛は世界を救う』と。
「…あの人ったら、いつの間に作ったんだか」
堂々と胸を張る彼らに呆れ気味に笑った彼女に、声がかかる。
「高坂さん?」
「…西木野、さん?」
「どうです?一緒に応援しませんか?」
西木野家の母は、彼女にオレンジ色のサイリウムを渡した。
「ここから娘たちの姿は見えないけれど…あの子たちは、今も誰かが応援してくれてるって信じてると思うんです」
「…」
オレンジ。
わが娘、高坂穂乃果のイメージカラーだ。
サイリウムが放つ光に、やんちゃでケガばかりして、向こう見ずで、それでもそんな自分を貫き通して大きくなったわが子を想う。
「…まったく」
ほのかなオレンジ色に光るそれを、しかと手で掴み取る。
「しょうがないわね」
――――――――――――――
「ゴジラの背部に変化確認!結晶体に加え、背ビレも肥大化しています!」
オペレーターの報告に、芹沢博士たちは立ち上がった。
「…ついに動き出したか…!」
ゴジラが外気圏をいよいよ脱し、宇宙空間に突入してから数分後のことであった。
彼がMONARCH本部を消滅させた直後、すでに国連に報告はし、世界中の国々に緊急事態宣言を出すように指示をしてはいたが―
ステンツ司令官は山積みになっている報告書類を横目で見た。
「世界中の各国はいまだに国民の避難に手を焼いている…というより、もはやそれどころではない状況ではなくなっているようです。パニックを恐れ、非常事態宣言自体を出していない国もあるようですが。
どちらにしろ今奴が槍を発射すれば―」
視線を送られたグレアム博士が答える。
「どこかの国はほぼ確実に甚大な被害を被ります。
数国は最新鋭の防衛システムを用いて迎撃態勢を敷いているらしいですが、正直相手を甘く見ているとしか」
「…『最後の砦』はどうなっているんだ?」
「小美人のメッセージによると、今のところゴジラの精神状態に変化はないようです。
…それどころか、この時間になってもこの状態だと、逆に…」
グレアム博士の目線、ゴジラとは別に、モスラに乗って東京上空で待機している小美人の横顔がアップで映るモニターに移された。
二人の表情は、お世辞にも希望を持っているようには見えなかった。
「…クソッ!!」
芹沢博士は頭を抱えた。
その時、オペレーターの一人が画面を前に目を丸くして、再び叫んだ。
「ゴジラ、対外攻撃器官の活動を開始!熱反応が同時に多数背部に見受けられます!」
ゴジラは四方八方に背びれを柱のように伸ばし、もはや第二の太陽のように宇宙に浮かんでいた。
彼は地球に向かって牙を剥いている。
心臓の鼓動を表すが如く全身の血流は点滅を繰り返し、背びれ全体が余すことなく光り、放電すらしていた。
「…!!!………!!!!!」
呻くように鳴き、ゴジラが身を捩じらせると―
『裁き』の槍が、その身から無数に放たれる。
画面を覆いつくすほどの紫の彗星たちは赤黒い尾を引き、その叫びを伝えるかの如く広がっていく。
青く、美しい地球の周囲は、瞬く間に純粋な黒い軌跡に彩られてゆく。
そして、何もかもを塗りつぶす黒という色が、地球を『霧』に包んでいく。
「まさか…この地球から『全ての』光を消すつもりか…!?」
ステンツ司令官の言葉に、ゴジラは沈黙を貫く。
ただ一つ、目的が達成される瞬間を待って。
「終わるのか…?今まで脈絡と続いてきた、何十億年もの生命の歴史が…」
たった一つの、『神』…もしくは『悪魔』によって。
彗星が、地球の向こう側から順に動きを止めていく。
そして彼がすべての槍を放ち終えた時には、地球はすっかり『霧』に囲まれ真っ黒になっていた。
その上で地球を埋め尽くして槍が静止を続けている様は、まるで何かの指示を待っているかのようだった。
グレアム博士はその風景を見て、ただ一つだけ呟いた。
「…本当に、終わるというの?この、光に包まれた世界が」
今地球を見下ろしているゴジラは、眼下に広がる風景をどのように見ているのか。
何ら未練もなく、ただそういうモノとして眺めているのか。
それとも。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――……………………‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
そんな問いも、今の彼の前では虚しいものだった。
「…ゴジラの脳波に異常を感知!!原因不明!!」
報告と同時に、全員が一斉に目を見張る。
「…………………………!!!!…………………!!!!!」
ゴジラが口を開いたまま、枯れた声で呻いていた。
明らかに苦しげだった。
いつでも、この世界を滅ぼす用意はできているというのに。
「…いや」
ステンツ司令官が確信した表情をして呟いた。
「この世界は滅びんよ。『光』の本当の力を信じる者がいる限り」
ゴジラがミサイル発射するときはヘンデルの『ハレルヤ』と『ほふられた子羊こそは』を聴きながら書きました…ノリがおかしいことになってますね、ハイ()