ラブライブ!×ゴジラ 破壊神と九人の女神   作:Misma

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今回は、特に気合を入れて書きました。それはもう、一文字一文字に魂を込めて。
…というのは言い過ぎかもしれませんが、この小説で一番感情を入れて書いた回だと思います。今の自分のラブライブという作品への想い、そしてゴジラという存在、そして特撮への想い。そして、この小説自体への想い。作品を書き始めて二年経ちながら、自分の中では文章力も語彙力も、一歩も進歩しておらず、その他にも様々なことがあって何かと鬱屈した気分になることもしばしばでしたが、ここまで書いたからこそ思います。
「本当に、自分は両方が好きなんだ」と。
この作品は、ひたすら自分のそんな思いを吐き出すため、証明するため、伝えるために書き続けました。
意味が分からなくなってたらすみません。
ではどうぞ。



抱擁

眼下に広がる、黒い霧に包まれた地球。

それを包囲する無数の紫の光点。

その真上で、九つの光が、大きな黒い光の前に並んでいる。

ソレは、『ゴジラ』であり、また『ゴジラ』でもないものだ。

憎悪と怒りに燃える瞳が、目の前に集まる邪魔者たちを捉える。

 

 

 

 

 

「……………!!!!!」

 

 

 

 

 

歯が零れるほどに歯軋りして唸ると、彼は尻尾をしならせ彼女たちに向ける。

すると尻尾は皮を剝くように先っぽから枝分かれし、触手のように伸びた。

 

「あんなことまで…」

 

上方に気を取られていた穂乃果の腕を、何かを感じ取った海未が掴み取る。

途中で言葉が切れ、引き寄せられた穂乃果の直前の空間を、真下からさっきの尻尾が勢いよく打ち上げる。

他のメンバーも危険に気づき、一度彼から距離をとる。

すると、いくつもの尻尾が瞬く間に彼の前方を覆い、バリケードを作ってしまった。

 

「くっ、埒が空かないわ…こんなの、いくら命があっても足りやしない」

 

舌打ちをするにこの隣で、絵里が尻尾の合間からこちらを覗く一つの瞳を見つめる。

 

「今、彼は人間から『ゴジラ』と呼ばれる姿すら捨てようとしてる。

彼にとっては、それすらももはやただの足枷でしかないのよ」

 

「人間がいなくなってしまえば、彼を『ゴジラ』と呼ぶ者はいなくなる…

生命全てを葬ってしまえば、彼は完全に光を抹消し、つらい過去を清算することができる」

 

海未が胸に手を当て、目を伏せる。

 

「…しかし…それは、彼にとって幸せなこと…なのでしょうか」

 

「幸せなわけないよ!」

 

穂乃果が叫び、八人の瞳を一人ずつ見つめる。

 

「たとえこの地球から光が消え去ったとして…ゴジラはただ一匹この地球に残される。

そのあと、ずっと独りぼっちで生きなきゃいけない。

そんなのは悲しすぎるし、彼だって本当は…」

 

脳裏に、彼には既にないかもしれない記憶が鮮明に蘇る。

それは彼にとって、できれば思い出したくない、それでも確かに大切だった記憶。

 

「『光』を求めてるはずだから」

 

その時、九人の後ろから光が差し込む。

ほんのりとした包まれるようなそれに、思わず九人は後ろを振り向く。

その輝きの中からは、どこかで聞き覚えのある声がしてくる。

耳を澄ませてみれば、それは疑いようもなく、今まで自分たちを応援してきてくれた者たちの叫びだ。

 

「みゅーず!」

 

「「みゅーず!」」

 

この世界を嘲笑するように目玉が無数に開き始めた、黒い霧の下から。

今、世界が滅びようとしていることを知っていながら、人々は声援を止めない。

 

――――――――――――

 

「ほ~の~か~!! あんた、そんなところで野垂れ死んだら穂むらの跡継ぎがいなくなるんだから!!

絶対に帰ってくんのよ~!」

 

「…お母さん…」

 

「………………‼‼‼‼」

 

「ちょっと…お父さんも何泣いてんの!?」

 

「μ❜sの皆さん…そして、お姉ちゃん。あなたたちなら、絶対に打ち勝てる。私、亜里沙はそう信じてます」

 

「んみちゃああああああん!!!!大好きだああああああ」

 

「のんたんにのぞみぱわー注入されたい人生だったああああああ」

 

「にこちゃん…宇宙一アイドルのあなたなら地球だって守れるわ!お母さん、ここでサイリウム振りまくるからねー!!」

 

「お母様に負けていられませんわ!!ここあ、こたろう、行きますわよ!あのゴジラに負けない声で!!

…にっこにっこにー‼‼‼‼」

 

「にっこにっこにー‼‼‼‼」

 

「にっこにっこにー」

 

「凛ちゃん!!みんな!! 私、世界が滅んでも応援するからねえええ!!!」

 

「真姫ちゃん可愛い~!?」

 

「「かきくけこぉぉぉぉ」」

 

「だれかたすけてー!!」

 

「「ちょっと待っててー!!」」

 

「…穂乃果さん。μ❜sの皆さん。私たちA-RISEも、ここで応援させてもらうわ。

力になれるかは疑問だけど、あなたたちだけに任せるのは不公平だもの」

 

「そして、確かめさせてもらう。君たちと我々の想いが、本当に奴に届くのかを」

 

「終わったら、また一緒にライブしましょ?その時が来たなら、完っ全にフルハウス確定よね」

 

「かしこいかわいい~!?」

 

「「エリーチカァアアア!!!!」」

 

「ことりちゃん!! 世界救うならこの俺をおやつにしてくれぇぇぇぇ!!!」

 

「…今や、彼女たちだけが頼みの綱だ。…我々は祈るしかない。

それだけで、いいんだろうか」

 

「…芹沢博士。きっと、それでいいんですよ。もしかしたら、奇跡というものが本当に起こって、彼女たちに届いているかもしれないではありませんか」

 

「科学者にしてはロマンチストなんですな。

…まぁ、よいでしょう。私も祈っておきます。

あの九人の『夢』『物語』やらが、人々を救うことを」

 

――――――――――――

 

お互いに見えないながらも自分たちを励ましてくれる声がいくつも重なる。

まったく知らない人たちがそのほとんどだったが、それを聞くだけで体の奥から力が湧き上がってくるようだった。

呆けた顔で、九人は優しさに満ちた輝きを見つめていた。

 

「こんなにも…応援してくれてるんだね。この九人を」

 

凛が、少し照れて頬を紅くする。

 

「私たちが生きてるかどうかも知らないのに、こんなまで…」

 

真姫の言葉が、途中で止まる。

いつの間にか、メンバー全員の目元に涙が浮かんでいた。

 

「やだっ…こんなところで」

 

絵里が声を震わせ涙を拭う。

 

「でも、外からの干渉は難しいって小美人さんが言っていたのに…」

 

「あなたたちが、ここまで来てくれたおかげです」

 

花陽の言葉に答えるかのように、一際大きな声が響く。

 

「その声は…小美人さん!?」

 

ことりの問いに、少しだけ間を開けた後、また声が響いてくる。

 

「…そうです。

あなたたちが極限までゴジラの精神の中枢に接近してくれたために、彼の『心の壁』の強度は弱くなりました」

 

「そのために、私たちはゴジラの精神奥深くまで解析できるようになり、今こうやってメッセージを届けることができているというわけです。

…それにしても驚きました。

人々が、よりによってこんな時に、これほどあなたたちを応援し始めるなんて」

 

希が微笑み、今も続く声援を聴きながらひとり呟く。

 

「みんな…それほど信じてくれたんやな。ウチらがゴジラに立ち向かってることを」

 

その言葉に、他のメンバーも微笑み返して頷く。

 

「モスラはこの機を逃さず、わずかに残った余力で、そのエネルギーを再び収束してくれました」

 

「今なら、再びゴジラに強力な封印を施すことが可能です」

 

「…今こそ、あなたたちがこの憎悪の連鎖に終止符を打つとき。

…あとは、任せます」

 

そう言うと、小美人の声は九人の耳から遠のいていき、やがて消えた。

 

それを確認した後に九人が振り向いた先では、『ゴジラ』はすでに攻撃の準備を始めていた。

きっと、彼女たちの後ろの人間たちをも吹き飛ばそうとしているのだろう。彼の溜め込んだ憎悪の量を表すかのように背中の焔は収束し、喉奥が異常に膨れ始める。

彼に攻撃を許せば、今度こそ確実に彼女たちに命はなく―

今度こそ、この世界は終わる。

 

穂乃果が右手でチョキを作り、前に差し出す。

 

 

「さあ、今こそやり遂げよう」

 

 

それに連なるように、次々に少女たちの手が重なっていき、それらはやがて大きな星を形作る。

 

 

 

 

 

「…きっとできる」

 

 

 

 

 

だって、私たちμ❜sは、この下で待っているみんなは―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ひとつの光』なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暖かく、それでいて胸が押しつぶされるような気持ちが、身体を満たす。

その気持ちが固形化するかのように九人の身体は光り、衣装が作り出される。

それらには、白色を基調として、桃色のリボンやラインの意匠が織り込まれていた。

 

フェアリーモスラがそれを見届けて飛び立つと、九人は何も無い空間に降り立つ。

九つだけだった光が、無限に増えていく。

その光が寄り集まって、ひとつの大きな蓮となり、九人の舞台となる。

 

『ゴジラ』は目の前の様子から何かを感じ取ったのか、口腔内の輝きをより一層強める。

それが放たれれば、地球どころか彼自身も吹き飛んでしまうかもしれない。

そう思わせるだけの憎しみと、怒りと、殺意と、狂気が、彼から滲み出て溢れ出す。

それは空間内を伝播し、彼女たちの精神内に無理やり侵入して―

 

 

 

彼の、光に対する憎悪が。

 

 

 

彼女たちに対する憎悪が。

 

 

 

人間たちに対する憎悪が。

 

 

 

この世界に対する憎悪が。

 

 

 

これまでにないほど、一気に彼女たちの胸の中に押し寄せる。

 

 

 

それでも。

自分たちに内在するこのかけがえのない『光』を、失うわけにはいかない。

 

自分たちを愛してくれる者たちのために。

自分たちを憎む者のために。

 

この世界への『感謝』と『愛』を歌う。

『自分たちは幸せだ』と伝え、彼に思い出させるのだ。

 

『みんな』と生きる幸せを。

 

「辛かったんだね…苦しかったんだね…この世界に見捨てられて…裏切られて…」

 

黒く、紅く、蒼く輝く灼熱と暗闇の柱が、渦巻いて吐き出される。

この世界すべてを否定し、破壊するために、ソレは絶叫して大蛇のようにうねり、九人の女神と呼ばれる少女たちを―

絶望という胃袋の底で骨の髄まで喰い散らかし、粉々にし、この世から消滅せしめんと迫る。

 

「今、心の牢獄で苦しんでいるあなたを…私たちは優しさで包んであげたい」

 

「この世界のために…みんなのために…あなたのために」

 

「完全に、この渦巻く暗い思いを消せるなんて思わないけど」

 

「…でも、それでも伝えたい…思い出させてあげたい」

 

「私たちの、今までみんなと一緒に感じてきたこの気持ち」

 

「何かを『ダイスキ』って言える、この気持ち!」

 

「それが、私たちができる唯一の方法!!だから…」

 

「あなたが、あなたでなくなる前に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌おう。

 

この、最後の歌を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…あ、これが最終回ではないので、勘違いされてたら申し訳ございません。
もう少し続きます。
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