護堂は空島の練習場で使い魔として召喚した雷の精霊と戦っていた。
「なんで当たらないんだよッ俺のほうが速いはずなのに!ダァァ」(バチバチッ
護堂の『雷天双壮』を纏った攻撃がかすりもせず護堂はやけくそになっていた。
「拙者よりもスピードが速くとも攻撃がそんな大振りでは躱すのもたやすい」
護堂の攻撃を躱しながら雷の精霊が言った。
「そういうことか攻撃をコンパクトに,そしてもっと鋭くッ!」(バチッ
先ほどのようにやけくそに拳を振るうのではなく動きに無駄が出ないように体を動かす護堂。
「(たった少しの練習と助言でここまで・・・拙者を召喚しただけはあるということか)攻撃を意識し過ぎで胴が開いてるでござる」
右手で護堂の拳をいなし左手に持っていた雷で出来ている剣を護堂の胴体に刺そうとした。
「『雷化』おいイカヅチ剣使うなよせこいぞッ」
体を精霊(以降はイカヅチ)の持つ剣と同じ属性の雷にし攻撃をよける護堂。
「どうせ当たらないであろう」
どうせ当たることはないと思っていたイカヅチは悪気もなくそういった。
「まぁいいやそろそろやめるとするか」
「主と同等に戦える精霊か・・・つまり私よりも強いということか?」
「俺はまだ本気じゃなかったから同等じゃないと思うけどアテナとは確かに同等位の力は持ってるよ」
「今回は護堂の新しいの権能とやらをどこまで使えるようになったかの練習だから本気を出せば護堂のほうが強いでござる。アテナ殿とはたぶん同等だと思うでござるよ」
「護堂さんは,こちらの精霊をこの島の守護精霊として召喚したんですよね。神と同じ力を持つ守護者・・・オーバースペックすぎではありませんか?」
島を守るために神と同じ力を持つ上位精霊を召喚したのはおかしいのではという裕里。
「この島って結構広いし壊されたりはされないと思うけど侵入してくる人とかいるかもしれないからな例えばほかのカンピオーネとか」
「この島は拙者が命に代えても守るでござるよというか護堂がこの島を依代に召喚してしまったからこの島が壊れたら拙者も消えるから結構必死でござるよ・・・」
「島を依代に召喚される精霊が妾と同等の力を持っているとは自信を失くすな」
「どうもこんにちは草薙さん」
昨日甘粕を送ったときに設置した護堂が術式を書いた紙を持っていると自由に使えるという魔方陣を使い甘粕と沙耶宮が地上から転移してきた。
「おっ甘粕さん達も来たことだから改造が大体終わったところを案内するよ。甘粕さんは昨日途中で帰ったから全部見れてないだろから」
と伝えながら歩き始める護堂達。
「まずここは練習場だじゃあ次行こうか」
5,6分歩いて護堂達は移動して島の地下へと来ていた。
「ここは武器庫ってことにしてある最近献上品としていくつか送られてきたものしかまだないけどな」
護堂が武器庫と説明した場所には,禍々しいほどの呪力が込められた剣や槍,弓などが無造作に置かれていた。
「・・・なぜその献上されたものがここに無造作に転がっているんですか草薙様」
沙耶宮が護堂に真っ当な質問をした。
「俺は武器は自分で作れるから特に必要ないかなーってとりあえず武器庫に放り込んでるだけだよ」
必要ないからの一言でバッサリ切る護堂である。
「こちらの聖なる力を溢れさせている武器なんてかの有名なキリスト教の聖ジョージが持っていたとされるアスカロンではないですか・・・罰が当たりますよ,いや草薙さんはもう神を殺すという偉業を成し遂げてましたね」
そういった甘粕の前にはドラゴンスレイヤーとして有名な槍のようにも見える剣が無残に転がっていた。
「私はもう気にしないことにしてます,甘粕さんこの程度で驚いていたらこの先持ちませんよ・・・」
かなり凄いものを見てきたのだろう裕里は遠くを見つめていた。
「じゃあ次行こうか」
武器庫から2分ほど歩いて護堂達は中心部へ来ていた。
「ここがこの島の中枢だ。真ん中にある珠が,こいつ雷の精霊の依代だ」
簡単にこの島の守りの中枢の本体を晒す護堂である・・・。
「簡単に拙者の本体を喋らないでほしいでござる」
至極当然のことをいうイカヅチであるが相手が護堂だからしょうがない。
「つまりあれが壊れるとこちらの上位精霊様は消えると?」
疑問に思ったことを早めに解決したいのか質問する沙耶宮。
「その通りだあの珠が壊れたらイカヅチは消えるな,でも誰かが壊すようなことがあったら『千の雷』っていう雷魔法最大の魔法が3回発動して島が自壊するようになってるから気を付けてくれよ」
「なんでそんなトラップ仕掛けているんですか・・・」
まだ4箇所のうち2箇所しか説明していないのに膝を床につく甘粕さん・・・。
「自壊した時の地上への被害は気にしないでいいよ,魔法で蒸発するから」
相変わらず恐ろしいことを言う護堂。
「そんなこと心配していませんよ」
「そうか?ならいいんだけどさ。よし次だ」
更に中枢から7分ほど歩いたところに来ていた。
「ここは格納庫だ,非常事態に動く魔導ロボットがしまってある」
格納庫といわれる場所には,イカヅチを模した人型魔導ロボットが100体以上しまわれていた。その様子はラピュ○のあのロボットを思い出す光景である。
「・・・ちなみにここにあるロボットの戦闘能力はどのくらいですか」
もう驚くのはやめ冷静に詳細を護堂に聞く一組織のリーダーの顔となった沙耶宮。
「そうだなオリジナルであるイカヅチの10分の1位かな。一応下位精霊宿してるからその位だ」
聞かれたことを普通に返す護堂である。
「イカヅチ様はどのくらいの強さなんですか?」
「妾と同等と言っておこう」
「それはつまりアテナ様の十分の一の力を持つということですよね・・・何ですかこの過剰戦力草薙様だけでも過剰戦力なのに・・・」
「はいっもう次に行きましょう次・・・」
早くこの空間から出たい甘粕は最後の場所への移動を護堂に急かした。
「じゃあ次で最後だ行こうか」
15分ほど歩いたところに護堂達はやってきたがそこは様々な術式を刻まれていた床が広がっており歪な空間が広がっていた。
「ここが・・・なんて言えばいいかな管理室?様々な術式装置がおかれているところだ。例えばあの白い術式は日本領土全体を覆うことのできる索敵魔法のやつだな。あとあの赤いやつはまだ試作中だけど敵性を持った敵を攻撃するやつだ,まぁ今の状態だと足止めくらいしかできないけどな」
日本を守るためとはいえ相変わらずの過剰戦力である・・・
「完成すれば日本を守るものとしては嬉しいものが出来そうですね」
どこか遠くを見ながら沙耶宮が言った。
ちなみに甘粕はもう床に突っ伏している・・・
「まぁ説明も終わったし練習場に戻ろう・・・大丈夫?甘粕さんと沙耶宮さん」
床に突っ伏している甘粕と沙耶宮を心配する護堂であったが原因は護堂である。
献上されていた武器に関しては後々出していきます。
『千の雷』という魔法はとてつもない広範囲(目標を絞ることはできます)に無数の強力な雷撃を行う対軍勢用魔法です。
魔導ロボットというのは鬼神兵というものを小さくしたようなものです。
術式に関しては色々あります。探知や索敵,攻撃防御などです。