ストルス
性別:男 年齢:16歳 性格:まじめ、謙虚
使用武器:杖 特技:魔法
自分が大陸平和のために少しでも役に立てれば、と思い特攻部隊に志願。
捨て子で両親について全く知らない。魔法の扱いが得意。
「「ただいまより、第二次試験会場へと移動を開始いたします。第二次試験は面接試験となっています。試験官からの質問に答えるだけで結構です。ちなみに、この試験は2つのパーティを合同して行います。抽選の結果、あなたたち7位のパーティは3位のパーティと合同となりました」」
「3位のパーティと一緒に面接ってことか?」
「優秀な人達と一緒に試験を受けるってことは、もしかしたら逆にチャンスかもしれませんね」
ストルスがそうライドに言った。言い終わるのとほぼ同時に、彼らの体は青い光に包まれる。移動魔法だ。ストルスは先ほどから感心していた。この入隊試験には多くの魔法が使われている。魔法が持つ可能性は無限大なのだ、と彼は思った。この時のこの感情が、後にストルス自身を飛躍的に成長させる根源となることに彼自身気付くことはなかった。それと同時に第一次試験を通して、アキラとライドとシスキーの三人の実力を思い知っていた。元々強そうな三人組がいたから声を掛けたのであるが、実力を目の当たりにすると彼らはストルスの想像を超えていた。明らかにただの17歳ではない。数々の修羅場を乗り越えてきているんだ、とストルスは感じていた。
彼らが移動した先は、長方形の形をした部屋。四人が立っている前には、部屋の端から端まで合計八個の椅子が並べられていた。アキラ達が左側の四個の席に腰を下ろすと、やがてもう一つのパーティが移動してきた。おそらくこれが先刻機械音声が言っていた第一次試験を3位でゴールした四人組であろう。
「あれが、俺らより遅かった7位のパーティか」
「やめとけ、ペド」
彼らの内の一人、黒髪で紺色の服を着た、長い棒状の武器である棍を持った青年がアキラ達を指差して言った。青年の名はペド。ペドに注意をした男は、両手に黒く薄い装甲のあるグローブをしており体格が非常に良く、黒髪オールバック。目が細く目つきが悪い。ピチピチと身体に張り付いたような青いボディスーツを着用している。それに対してライドが反応する。
「あ? なんか言ったか?」
「やめろよ、ライドー」
イラつきペドを睨みつけるライドを制するシスキー。意外とシスキーはこういう時は冷静である。舌うちをして前を見るライド。対してムキムキの男に抑えられながらもライドを睨み続けているペドも席に座る。2つのパーティの合計8人が席に座った。彼らが座った目の前には数メートルあいて横に長い机があり、その机に沿って椅子が二つ。さらにその後ろに受験者を撮影するためのビデオカメラが設置されている。そのビデオカメラの後ろには扉があり、ガチャリと音を立てて開いた。出てきたのは二人の男。
「お待たせしてすまないな。これから第二次試験の面接を始めたいと思う」
席につく二人。右側に座った男は緑髪でメガネをした背の低い男。第一次試験開始前にグラナドウに耳打ちしていた男である。マントは着用しておらず、武器もないことから戦闘専門ではない様子。対して左側に座った男は金髪ショートでツンツンと毛先が上を向いており、細く青い目をしている。この男は特攻部隊のマントを着用している。書いてあるアルファベットは『Y』。メガネの男が続ける。
「私はパラオ・キャメロン。総司令官グリウズンさんの側近をやっている。よろしくね」
「俺は特攻部隊Y隊長のキング・スコードマンだ」
パラオに次いで金髪の男、キングが言った。特攻部隊Yの隊長ということはかなりの実力を持つ男。アキラ達を含め志願者8人は緊張してガチガチに固まっていた。パラオがキングを指差して言う。
「すごいんだよ、このキングって男は。特攻部隊Yの隊長だけど、実はもう特攻部隊Zへの昇隊が確定しているんだよ。タイマンとなったらこのキングに勝つのは難し―――」
「―――俺の話はいいでしょ、パラオさん。試験の説明を」
「おっとっと、そうだね。それじゃ説明しよう。私達から見て左側に座っている人から順番に一人ずつ質問をしていくから答えるだけで結構だ。さっそく始めよう」
アキラ達から見れば右側の席に座っている者から面接が始まる。一番右側に座っている男はペドであった。パラオは無言でペドに起立するように促し、彼は黙って立ち上がった。
「名前っていうか本名、年齢、出身地、得意なこと、特攻部隊に志願した理由の五つを順番に答えてくれれば結構だ」
「俺はペド・マーカー。17歳で出身はピンファー村。得意なことは、この棍での連続攻撃かな。理由は早く戦争を終わらせたいからだ」
そう言ってペドは腰を下ろす。ピンファー村は大陸南部のさらに南エリアに位置する村。パラオとキングは何かの書類に書き込んでいる。そしてペドの隣に座っている先程のムキムキの男へ起立するよう合図する。
「俺はファンクルー・シルヴァリン。21歳。出身は奈落峠。近接格闘なら負けない。己の力を高めるため、だ」
「…奈落峠のシルヴァリン一族か。なるほどね。次の人どうぞー」
「私はシルク・スカット。19歳で出身はわからないです。ブーメラン攻撃が得意です。大陸の平和のためです」
「俺はミックス。24歳だ。出身は城下町ミサビーク。剣技なら得意だぜ。理由は特攻部隊ってかっこいいから」
黒髪オールバックで青いボディスーツを着用したファンクルーに続けて、シルクとミックスという男が質問に答えた。ちなみにファンクルーの出身地である奈落峠というのは、大陸西部にある切り立った崖が多い峠である。これで3位のパーティ全員の面接は終わった。続けてアキラ達の番だ。一番右に座っていたのはアキラ。
「名前はアキラ・ロドルフ。17歳で出身はエルド村。スピードには自信があります。大陸の平和のために志願しました」
「―――ロドルフだと? シャインの弟か?」
座ろうとしたアキラをキングの一声が止めた。そのキングの問いにアキラはコクリと頷いた。パラオとキングは数秒顔を見合わせる。パラオはニヤリと嬉しそうに笑った。
「なるほどね。いいよ、座って。次の人どうぞー」
「俺はライド。17歳で出身はわからない。魔法と剣術が得意だ。俺は6歳以前の記憶が無い。記憶の手がかりを少しでも手に入れるために志願した。以上だ」
「俺はシスキー・スネイド! 17歳。蛇族の村出身だ。特技は炎ブレスだな! 志願理由は―――」
「スネイドってことは蛇人族か。これはたまげたよ! …おっと、すまない」
パラオは思わずシスキーの言葉の途中で声を発する。だが気にせず続けようとするシスキーの目の色が少し変わったことに隣のストルスはすぐに気が付いた。
「―――村を滅ぼした奴らへの
「ほう…」
席に座るシスキー。その様子を見てキングは思わず感嘆の声を漏らす。ストルスだけでなく、キングとパラオもシスキーの変化に気づいていた。復讐に込められた信念。執念。並大抵の思いではないだろう。相当悲しい過去があるのだ、と彼らは理解した。キングは思った。
(こいつは大物になるな)
このキングの勘は咄嗟に浮かんだ勘などではなく、確かな経験に基づくものであったことは間違いない。そしてそれはシスキーだけでなくアキラ、ライドにも向けられた勘でもあった。続けてストルスが立ち上がる。
「僕はストルス、16歳です。出身も苗字もわからないです。捨て子なので。魔法だけが誇れる武器です。戦争を終わらせるために役立ちたいと思ったからです」
この時パラオの思考はなぜか一瞬停止したが、その理由は全くわからなかった。だがその後もストルスを見るとなぜか違和感を感じる自分がいたことに気づいていた。全員の面接を終え、しばらく書類に書き込みを続けるパラオとキング。特攻部隊Zへ昇隊が決まったといっていたキングを憧れの目で見つめるアキラ。自分は果たしていつになったらその部隊へ行けるのだろうか。期待、希望と不安が入り混じった感情に浸っていた。ペンを机に置き、パンと手を叩いたパラオ。
「よし! これで二次試験も終了だ。これから最後となる第三次試験の説明をしたいと思うんだけど、よろしい?」
誰も返事をせず、シスキーが大きく頷いたのを見て少し笑い、話を続ける。
「これからこの部屋の奥の扉から外に出てもらう。外っていうのも金奏城地下五階フロアなんだけど、そこに第二次試験までクリアした156名全員を集める。試験が終わるまで全員そのフロアから出られない。地下五階には仮想対戦部屋っていうのが三つあって、その部屋の中で受けた傷は部屋から出れば回復するっていう練習部屋なんだけど。そこを使って第三次試験では一対一の『決闘』をしてもらう。それで、その対戦相手ってのは実はもう決まっちゃてるんだよね。実は第二次試験を一緒に受けたもう一つのパーティの誰かと対戦するようになってるんだ」
「え、ってことはそこのライドってやつと対戦するかもしれねえってことかよ!?」
「だまれ、ペド」
パラオの話を遮ったペドを止めるファンクルー。そのペドを再び睨みつけるライド。ペドが言ってることは正しい。ここにいるアキラ達四人とペド達四人の中でランダムに対戦することになる。同じパーティ内で対戦することはない。パラオが続ける。
「決闘のルールとしては、一定以上のダメージを相手に与えれば勝利。強制的に部屋から二人は追放されて戦闘は終了となる。それで一番大事なことは『負けても必ずしも不合格にはならない』ってこと。決闘の中で自分の長所を存分にアピールすることができれば、それが評価につながるのさ。それじゃ早速君達の対戦カードを発表しちゃうよ!」
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(ルームA第2回戦)ペド・マーカー VS アキラ・ロドルフ
(ルームA第18回戦)ファンクルー・シルヴァリン VS ストルス
(ルームB第9回戦)シルク・スカット VS シスキー・スネイド
(ルームC第25回戦)ミックス VS ライド
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「ルームはAからCの三つで、それぞれのルームごとに26回決闘がある。自分がどこの部屋か、何回戦目かをしっかり覚えておいてね」
それぞれの対戦カードを見て、全員が自分の対戦相手を見た。部屋の奥の扉をキングとパラオが開けると、8人は静かに闘志を燃やしながら部屋を出た。