キング・スコードマン
性別:男 年齢:23歳 性格:冷静
武器:斧 特技:?
特攻部隊Y隊長。ライトレイ王国黄金世代の一人。シャインと同期で仲が良い。
金髪でショートヘア、整髪料でツンツンと髪を立たせている。
「おいおい…お前の弟、やりやがったな」
キングはそう言った。ここは金奏城内南棟地上五階のロビー。巨大な画面がいくつもあり、入隊試験を中継放映している。アキラの試合を映していた画面の前に立つのは、キングともう一人の男。茶髪で少し髪は長め、珍しい緑色の目を持つその男は口を開いた。
「やるじゃねえか、アキラ。これなら特攻部隊E以上はいけるだろうな。だから言ったろ? 心配する必要はねえって。俺の弟だぞ?」
その男の名はシャイン・ロドルフ。アキラの兄である。シャインとキングは23歳。6年前の入隊試験で特攻部隊に入隊した同期である。この12211年の入隊試験に合格した者達の中でも特に優秀なシャイン達は『ライトレイ王国特攻部隊黄金世代』と呼ばれている。キングだけでなく、クロスもその一人だ。シャインはそう言うと、画面に背を向けて歩き出した。するとキングが叫ぶ。
「おいシャイン! どこ行くんだ? まだまだ試合はあるぞ」
「部屋に戻る。アキラの試合も見たしもう満足だ。じゃあな、キング」
そうやってロビーから出て行ったシャインに向けてため息をついた。画面に再び向き合おうとした時、隣に一人の男が歩み寄ってきた。特攻部隊X隊長クロスだ。
「おう、クロス。アキラはお前が勧誘したんだってな」
「まぁそうですね。でも正直、ここまで強いとは思ってもいませんでしたよ」
そう言ったクロスはどこか満足気にみえた。特攻部隊の昇隊というのは、司令官や王の側近などの上層部が決定するものであるが、そこで必要なのが王国への貢献度。それは各隊員が任務達成時などに与えられる『星の数』を参考にしている。星の数が増えれば増える程貢献度が高く、昇隊の可能性も上がるのだ。星は基本的に任務達成時に与えられるが、それ以外にも『入隊試験の勧誘活動』でも与えられる。勧誘に成功した志願者が入隊し活躍すれば、勧誘した者の星の数は増える仕組みとなっている。クロスはこの方法で星の数の増強を見込んでいた。
「お前が勧誘した三人、俺が面接したんだけど全員強そうだったよ。今後に期待だな」
「ですね」
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ルームの外に出たアキラとペド。ペドはアキラの元に駆け寄ってきたが、その眼は以前のものと明らかに違っていたことにアキラも気が付いた。息切れをしながらも、ペドはアキラをじっと見つめていた。ペドの体からは汗が流れ、滴り落ちる。大きく目を見開きながら一言発した。
「お前…すげーよ」
「…え?」
予想もできない言葉に、アキラは思わず返答に困った。さらにペドは続ける。
「俺はお前と戦えてよかったって心から思ってるぜ、今。何を考えてんのかよく自分でもわかんねえけど! 正直、感動してんだと思う! お前の強さに」
ペドはそう言いながら手を差し出した。目は少し潤んでいた。
「これまでの無礼を謝る! すまなかった! 手も足も出ないなんて初めての体験だったぜ。アキラ、ありがとよ」
「お前がアピールできるチャンスも与えなかったのはすまなかったって思ってる。ペド、よろしくな」
二人は固い握手をした。それは戦いを終えてつながった二人だけにわかる領域の話であったが、ここで生まれたものは確かな友情であった。そこに駆け寄ってくるライドとシスキーとストルスの三人。
「おつかれ、アキラ」
「アキラ!
「速過ぎて目を疑いました…。勝利おめでとうございます」
アキラは笑って彼らの方を向いた。ライドはアキラの前にいたペドを見て表情が変わった。ペドも、ライドを見て口を開いた。
「よぉ、ライド。面接の時は悪かったな。それじゃ俺戻るわ」
そう言い残したペドは走り去って行った。ライドはペドの心情を理解できた。戦ったことによってわかるものはある。この間にも各ルームで決闘は行われており、ルームAでは六回戦目、ルームBでは八回戦目、ルームCでは七回戦目が行われていた。シスキーはルームBの第九回戦目に出場する。次の試合であった。急いでルームAから離れ、ルームBの前へ移動する四人。ルームBの入り口にシスキーを残し、アキラ達は観客席へ向かった。既に席はかなり埋まっており、後ろの端の方の席をとる事ができた。座るとアキラがライドとストルスに問う。
「シスキーが蛇になるやつ知ってる?」
「いや、知らねえ。なんだそれ」
ライドが返す。ストルスも知りたそうにアキラを見つめる。
「シスキーはいつでも一メートルくらいの蛇に変身できるんだよ。まぁ、見てればその技使うかもしんないよ」
アキラはそう言うとルームBを見る。ライドとストルスは顔を見合わせ、首を傾げた。するとルームBの第八回戦も終わった様子。シスキーと対戦相手のシルクがルーム内に入った。二人共スタート位置につく。
「「ルームB第九回戦、シスキー・スネイド VS シルク・スカット! 開始」」
その機械音声と共に、先にシルクが腰に装備していたブーメランを投げた。
「いきますよ」
「うおっと!」
難なく交わすものの、ブーメランは弧を描いて持ち主の手に戻る武器であるためシスキーは後ろを警戒し後退した。案の定、ブーメランはシルクの手へと戻る。すると次はもう一本のブーメランも外し、両手にブーメランを持つ。
「さあ、かわせますか?」
シルクは二本のブーメランをシスキーに放った。口を膨らましたシスキーは気付いていた。今回のブーメランには魔力が込められていたことを。シスキーは素早くしゃがんでかわすと、手ぶらのシルクに向かって炎を吐き出す。
「火炎の息!!」
「ッ……!」
炎はシルクの腹部に直撃。だが、試合終了となる一定のダメージ量には達さなかった様子。跪いたシルクは、小さく詠唱をしていた。
「バギ!」
その声と同時にシスキーの後方から戻ってきていた二本のブーメランを小さな竜巻のような風が包み込む。魔力はほんの短時間であれば物質に纏わせる事ができ、魔法の発生場所となれる。これは少し技術が必要なものだ。警戒はしていたものの、竜巻により予測不可能の動きとなったブーメランはシスキーを襲う。チッと舌打ちをしつつ、シスキーは小さな蛇へ変身した。
「え? どういうことだ!」
蛇となったシスキーは、ブーメランをかわし地面を高速で這ってシルクの足元へ移動。首を曲げ力をこめた後、尻尾をバネの様に縮めて解放しシルクの腹部へ跳躍する。
「オラア!」
「!!?」
蛇の頭はものすごいスピードでシルクの腹部に突撃した。頭突きである。口から血を吐き出しながら後方へ飛ばされ倒れたシルク。シスキーが元の姿に戻った瞬間、二人を青い光が包み込み、ルームの外へ追放した。
「「ルームB第九回戦、勝者シスキー・スネイド!」」
「っしゃあー!」
そう叫びながら観客席へ戻ってくるシスキー。アキラ、シスキーと連勝が続いている。順番的に次はストルスの決闘である。
「おめでとうございます、シスキーさん! 蛇になれるなんて初めてみました、すごい」
「ストルス、次は
四人はルームAの観客席へ移動。しばらくルームAでの決闘を見ていると、次がストルスの決闘の番となってきていた。ライドの決闘場であるルームCは現在二十回戦目。あと五戦でライドの番となるので気を付けなければならない。試験を既に終えているアキラとシスキーはもう気楽で、応援に全力をかけている。ストルスが席を立つ。
「僕、全力で行ってきます!」
「ストルス、お前の全てをアピールしてこい」
ライドの激励をもらい、微笑んでからルームA入り口へ向かった。十九回戦目が終わった。ルーム内にストルスとファンクルーが入る。その時、アキラ達の隣に座っていた二人組の志願者達が話し出す。
「あれがファンクルー・シルヴァリンだぞ」
「筋肉ムキムキじゃねーか…、ボディスーツ着てるし強そうだな。有名なのか?」
「知ってるやつは知ってるな。シルヴァリン家は、大陸西部の奈落峠に住んでる格闘一族だ。昔は奈落峠にはもう一つボルドー家っていう対立する一族もいたんだが、シルヴァリン一族が勝ってボルドー一族を滅ぼして、大陸最強の格闘一族になったらしいぞ」
「ひえー恐ろしいな」
それを聞いて少し緊張するアキラ達。実際、二次試験の時にも見ているが明らかに強そうな人物であったのは間違いない。だが、格闘ということは近接攻撃。対するストルスは魔法による遠距離攻撃が得意なので、距離を保つことができればストルスが有利に思える。そして機械音声が流れる。
「「ルームA第十八回戦、ファンクルー・シルヴァリン VS ストルス! 開始」」
開始の合図があっても両者動きはない。ストルスは杖を敵へ向け、黒髪オールバックのファンクルーは静かに口を開いた。
「俺はお前になんのアピールもさせない、と先に宣言しておく。だが―――」
「メラ!」
少年が杖の先から放ったのは火の玉。ファンクルーはすぐさま反応して走り出し魔法をヒラリとかわし、ストルスの目の前へ移動した。アキラほどではないが、かなりの素早さ。ファンクルーはしゃがんでストルスの足元で構える。ストルスも咄嗟に後ろへ退こうと足を動かしたが、
「フン!」
ファンクルーの右脚がストルスの顎を蹴りあげた。両手と左足を地面につけた体勢からの右脚上段の蹴り。思わず宙に浮き、少し後方に背中から着地したストルス。口から血が流れる。
「―――お前はすぐには倒さない。これまで見ていて、どれほどのダメージを与えたら試合終了になるかは理解した。あえて生かして俺のアピールのための踏み台になってくれよ」
「……!!」
そう言うとファンクルーは指でクイクイとストルスを挑発した。