ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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大陸の簡易地図です。
絵心ないですが、少しでも物語の理解の手助けになれば幸いです(笑)

【挿絵表示】



第十五話 「そのうち慣れるさ」

 

 ―――翌日。初めての任務当日。午前8時、金奏城北塔1階の出発広間に特攻部隊G全員が集合していた。隊長ゲンドウの前には、総司令官グリウズンの側近パラオが立っている。

 

「大陸中央にある『コロプス山脈』。その南西エリアの山沿いに獣のような魔物が出た、という通報を受けた。他にも大陸の至る所で魔物が発生しているが、君達特攻部隊Gにはそのコロプス山脈南西エリアに向かってもらい、魔物を殲滅してもらう。では、頑張ってくれ!」

「了解しました」

 

 ゲンドウはそう言うとパラオから小さな通信機を受け取った。これは任務時に隊長が携帯しなければいけないもので、任務中の非常事態時、任務完了などの連絡を司令部にする時に使用する。大きさは10センチ程で、腕時計のように装着することが可能となっている。特攻部隊Gが城を出て、正門を出ると目の前に広がっているのは大草原。だが、少し遠くを見れば砂漠になっているのがわかる。特攻部隊は基本的に任務には徒歩で向かうルールになっているが、あまりにも遠い場合のみ高速移動車を使用することもある。その他にも、金奏城ともう一つの拠点『銅爽城』に事前に移動しそこから出発するというケースもある。銅爽城は、大陸中央のコロプス山脈のやや南東にある護衛部隊の主な拠点だ。アキラ達は、徒歩だとは聞いていたが初めての任務。何もかもがわからない状態であった。

 

「さ、コロプス山脈南西エリアに向かうぞ」

「了解!」

 

 ゲンドウの掛け声に合わせ、アキラ達以外の全員が同時に返答をした。慌ててアキラ達も返答する。そして隊長ゲンドウを先頭にして一列になり真っ直ぐ、大陸中央に向かって走り出した。

 

(…速い!!)

 

 思わずそう思ったのはライドとシスキー。ゲンドウ達の走るスピードはもはや全速力であるかのように感じるほどに速かった。アキラは脚力には自信があり、難なくついていく。なんとかついていくライドのシスキーの元に、リンヴァーが少しスピードを落としてやってきた。

 

「どうだ? 驚いたろ? 俺達はいつもこの速度で任務地まで向かう」

「速過ぎねーすか!? こんなんじゃ着く前にヘトヘトかもしんねー」

 

「これも修業の一環だぜ。そのうち慣れるさ」

 

 いくらビギナー部隊といえど、選ばれし特攻部隊。その厳しさを初めて味わった瞬間であった。こんなところで終われない。その意志がなんとか彼らを突き動かしていた。すると先頭のゲンドウが言う。

 

「やばくなったら遠慮無く言えよ、新人くんたち! 置いていくからな」

「全然大丈夫だッ」

 

 そう返答したライドは、ただひたすらに走っていた。シスキーも集中し無言になっていた。ライドの返答に笑うゲンドウ。アキラも余裕の状況ではなく、体力的に厳しい状態であったがなんとかついていく。

 

 

 

 ―――50分程度が経過し、特攻部隊Gはガンドラ大陸中央に構える巨大な山々の連なりであるコロプス山脈の南西エリア付近に到着した。アキラ達もなんとかついていくことができていた。コロプス山脈南西エリア辺りは『イビイ砂漠』と呼ばれ、ラギ帝国に近い位置。決して油断できないエリアだ。

 

「よくやるな! 初回の任務でついてこれるやつは珍しいぞ」

「ハァ、ハァ…ありがとうございます」

 

 息切れをしながらも返事をするアキラ。ライドとシスキーは倒れて休んでいる。ゲンドウを含め、他の隊員達もほとんど息切れしていない。これが2年という経験の差。日々過酷な環境に置かれた戦士達と、入りたてのルーキーではやはり体力の差は歴然としていた。コロプス山脈は、東西南北それぞれに一カ所ずつ入り口がある。だが今回の任務は外側の南西エリアの探索。彼らはゴロゴロとした岩の間などを探索する。

 

「いねぇな。誤報か?」

 

 その時、クンクンと臭いを嗅ぎ、下を出しチロチロと動かす仕草を見せるシスキー。全員が彼を不思議そうに見つめる。蛇人族が持つ五感は、ただの人間のそれよりも優れている。リンヴァーが言う。

 

「すげーな。感じられるのか」

「いる! 数匹(すーひき)、岩場の後ろに!」

 

 全員が岩場の方を見つめる。隊員達は半信半疑。だが、すぐさまアキラとライドは武器を握りしめ、岩場の方へ走り出していた。それに続いてリンヴァー、ゲンドウも動く。ライドが岩の後ろを見ると、そこにいたのは『かくとうパンサー』五匹。狗のような顔をし、二足歩行、両手には鋭いツメを装備した魔物である。ライドは至って冷静であった。長剣を引き、立ち止まり一匹を見つめる。そのかくとうパンサーが素早くライドに飛びかかった時、

 

「フアッ!!」

 

 長剣で空中の魔獣の胸を斜めに斬りつけた。威力は申し分ない。そのまま地面に落下し倒れるかくとうパンサー。震えながらも動けずにいる。その胸部にトドメの一発を入れたライドは、長剣を鞘に納める。ライドのパワーは比較的強い。そのため、リーチがある長剣は彼と非常に相性が良い武器と言える。その後ろにいたアキラは、数メートル離れた所にいる魔獣に向かって走り出した。

 

「疾風突き!!」

 

 目にも止まらぬスピードでかくとうパンサーの首筋を斬りつけたアキラ。太刀を背中の鞘に装備する。パンサーは血を噴出しながら地面にドサリと倒れた。パワーはないアキラであるが、それを少し重く切れ味の良い太刀を使用することによってカバーしている。太刀をしまったアキラに向かうのは、もう一匹のかくとうパンサー。アキラの前に現れたのは、短剣を両手に持ったリンヴァー・キッカー。彼は身を屈め、向かってきた魔獣の懐に入り込んだ。

 

「ハヤブサ斬り!」

 

 ズバババッと複数回魔物の腹部を斬りつける。パンサーが倒れたのと同時に二本の短剣を腰に納める。その手の動きの素早さは、アキラも目をみはるものがあった。明らかに強い。やはり経験が違うのだ。一方、残りの二匹のかくとうパンサーと向き合うのは隊長ゲンドウとシスキー。

 

「シスキーくん、そっちのやつは頼むよ」

「りょーかいっす! ゲンドーさん」

 

 シスキーはそう言うと、魔獣に向かって走り出した。かくとうパンサーも同じく走り出す。二人が目の前まで接近した時、魔物はツメを素早く横に振り払った。だが、シスキーの姿は無い。ジャンプしていたのである。

 

「!!?」

「激しい炎!!」

 

 パンサーが頭上から浴びたのは吐き出された火炎。うめき声を上げながら地面に倒れる。着地したシスキーは、首をゴキッと鳴らし残った一匹と対峙するゲンドウを見つめた。ゲンドウは剣を抜き、最後の一匹と目を合わせ動きを止める。アキラやライドもゲンドウの戦闘を見守っていた。隊長、それは部隊の中で最も実力があると認められた者のみが司令部に指名されてなれる役職。ゲンドウは魔力を手に持つ剣の刃に纏わせ、走り出す。対するかくとうパンサーは、彼を迎え撃つ構えを見せた。だが―――

 

 

「―――魔獣斬り!!!!」

 

 素早く振り払われた剣は、かくとうパンサーの首を綺麗に真横に切断していた。威力がケタ違いである。驚きの表情を見せたアキラ達の中でも、一番衝撃を受けていたのはライド。魔力とは魔法を唱えるためにあるもの、としか知らないライドにとって先ほどのゲンドウの行動に好奇心しか湧かなかったのは事実である。これで全ての魔物を殲滅した。隊長ゲンドウと共に、隊員達は数十分間辺りを探索した。だが、魔物はもういないことを確認するとゲンドウが通信機のスイッチを押し通話を開始する。

 

「山脈南西に魔獣五匹を発見、無事殲滅完了しました! ……はい、了解です」

 

 ゲンドウは通信機のスイッチを切り、全員の方を向く。

 

「よし、任務完了だ。城へ帰還する! アキラくん達、大活躍だったねえ。動けるかい?」

「いつでも出発できまーす!」

 

 シスキーが間髪入れずに返事をした。アキラとライドも準備万端のようだ。リンヴァー含め隊員達も、アキラ達の実力を完全に認めた様子。ゲンドウが声を上げる。

 

「いくぞ!」

「了解!」

 

 今度はアキラ達三人も同時に返事ができた。それを確認すると、ゲンドウは再びかなりのスピードで走り始める。ここから金奏城まで50分程度走り続けるのだ。アキラ達は無事、初めての任務を大成功という形で終わらせることができた。だがやはりスピードが速く、シスキーはヒーヒー言っていた。

 

(っけど、アキラとライドに負けらんねーぜ!)

 

 シスキーはそう心の中で叫びながら必死に彼らについていった。

 

 

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