ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<魔連合国の簡易勢力表>>
  ▽主な序列関係
魔王(+側近2人) → 魔界五天王 → 殺人十三人衆(精鋭) → 暗黒騎士団(各国直轄)

  ▽魔界に存在する五つの小国と魔界五天王
    リビロ国 : エルバンドウ
   テイガス国 : ゼトリム
アステンダーツ国 : ヴィルヴァンダ
    ビルン国 : ジークグレイ
   ファスタ国 : アイズロー



第十九話 「活躍が楽しみだよ」

 

 

 ―――時刻は21時になった。任務を終え金奏城に帰還した特攻部隊Gは、部屋に戻って来ていた。ゲンドウとリンヴァーの姿は無い。アキラ達が部屋で休んでいると、扉を開けてリンヴァーが入ってくる。

 

「そこらじゅうで、特攻部隊Zが魔界五天王を倒したって話で持ち切りだぜ!」

 

 魔界五天王は魔連合国の中でもかなり中枢に近い戦力である。それを今回削り取ることができたため、城内は歓喜で溢れかえっていた。現在の特攻部隊Zの隊員数は9人。活躍したこの9人が得た名声はかなりのものである。

 

(兄さん…やっぱすごい)

 

 その特攻部隊Zの隊長はアキラの兄であるシャイン。弟としてそのことを誇りに思っていたのと同時に、自分も早く大舞台で活躍したいと思っていた。するとライドが言う。

 

「けどよ、これで長年保ってきた三国の戦力の均衡が崩れちまったんじゃねぇか? 恐らく今回の件で大陸を取り巻く三国の関係は大きく変わってくと思うぞ」

 

「ああ、鋭いなライド。魔連合国も次は反撃を計画してくるはずだ。それに乗じてラギ帝国もどう動くかわからねえし、喜んでばかりもいられねーぜ? 俺の予想だと、荒れるぞ、これから」

 

 リンヴァーはそう言うと自分のベッドに腰を下ろした。シスキーは頭をボリボリ掻きながら二人の会話を聞いていたが、あまり理解はできていない様子であった。ペットボトルに入った水をゴクリと飲み干すと、立ち上がる。

 

「なーアキラ、ライド! 寝る前にいっちょ訓練いこーぜ! 体がウズウズしてんだ」

「おっけ」

 

 シスキーに応じてアキラとライドも立ち上がった。ライドとシスキーも、今回の任務で魔戦士と戦闘を行い勝利している。そこで二人共、敵国の戦士との戦いの難しさを味わっていたところであった。だが今は考えるよりも、鍛えて強くなることが最優先事項。そう考えていたのは三人共同じであった。

 

「お前らストイックだな…訓練もいいけど無理はすんなよ」

 

 リンヴァーのその言葉に三人共頷いた。部屋を出るため扉に向かって歩き出したその時、勢いよく扉が開き部屋の中にゲンドウが走って入ってきた。扉に最も近かったシスキーは驚きのあまり声を上げその場に倒れた。アキラとライドも何事かと思い、体を硬直させていた。シスキーに手を合わせ謝罪の意を示すと、ゲンドウは息切れを抑えながら口を開いた。

 

「特攻部隊G!! …今回の任務を終えて、部隊異動する者が複数人出たからそれを報告したいと思う」

 

 部隊異動。その言葉通り、他の部隊に昇隊したり降隊したりすることである。これは司令部によって判断、決定されるもの。ゲンドウの手には一枚のしっかりとした紙があった。アキラ達も含め、リンヴァーや他の隊員達も息をのみゲンドウを見つめる。

 

「とりあえず任務お疲れ様! 今回の部隊異動で異動することになったのは、8人中6人だ。それじゃこの紙を見て各自確認してくれ!」

 

==============

 特攻部隊G 部隊異動 異動合計6名

 

【隊長】ゲンドウ    特攻部隊G隊長 → 特攻部隊J隊員 ☆55

リンヴァー・キッカー  特攻部隊G隊員 → 特攻部隊I隊員 ☆50

エイ          特攻部隊G隊員 → 特攻部隊G隊長 ☆45

アキラ・ロドルフ    特攻部隊G隊員 → 特攻部隊M隊員 ☆70

シスキー・スネイド   特攻部隊G隊員 → 特攻部隊M隊員 ☆67

ライド         特攻部隊G隊員 → 特攻部隊M隊員 ☆70

==============

 

「…特攻部隊M!? だいぶ上がったよ!」

「まじかよー、俺ら一気に昇隊(しょーたい)しちまったな!」

「Mってことは、下から13番目。上から14番目か。ほぼ真ん中だな」

 

 アキラ、シスキー、ライドの三人は全員特攻部隊Mへ昇隊した。またもや三人共同じ部隊に配属となるが、今更驚きも何も無かった。それより昇隊したという嬉しさが勝っていたのだ。リンヴァーが言う。

 

「ハハハ…星70とか67とか何だよ。あいつらすげえなほんとに」

「リンヴァー、俺らは軽々と抜かされたみたいだね。たぶん期待も込めてあの星数だろうけど、やっぱり入隊試験での評価がそのまま繋がってるね」

 

 ゲンドウが言った。星数は昇隊の目安となる数字であり、司令部が決定するもの。任務がある度に変動を繰り返し、その者の評価値を示す。発表されるのは部隊異動の時のみだが、自分で司令部に行けば現在の星数を教えてもらう事は可能である。実際に部隊異動するのは発表の翌日となる。部隊異動は全部隊が同時に行われるわけではなく、必要な時に必要な部隊のみ異動が行われる。

 

「ゲンドーさん! 俺だけアキラとライドに比べて星が3少ないのはなんでですかー?」

 

「ああ、それはたぶん入隊試験の評価の差だよ。シスキーくんのアピールがちょっと足りなかったってことかな? まぁ大した差じゃないよ」

「くっそー! ふんがー! ぜってー抜かす! 二人に大差つけて突き放してやる!」

 

 シスキーはそう言いながらトイレへ向かった。アキラとライドもそれについていく。ゲンドウとリンヴァーはその三人の背中をじっと見つめていた。会ってからたったの一か月。それだけの期間なのに、アキラ達をまるで自分達の弟子のように思い込んでいたゲンドウとリンヴァーがいた。

 

「俺らもあいつらに負けないくらい、頑張らなきゃっすね。一年ぶりにやる気出てきましたよ」

「そうだね。今年の入隊合格者はみんな優秀らしくてさ、どんどん昇隊してる人もいるらしいんだ。4年ぶりの第二次黄金世代って言われるかもね。これからの活躍が楽しみだよ、ほんとに」

 

「っしゃー! 訓練いくぞー!」

 

 トイレの方からシスキーの叫び声が響き渡っていた。

 

 

 

********

 

 

 ―――翌日。ここは魔界の魔王城最上階の魔王の部屋。玉座に座る魔王モルドバルの横に一人の側近が立つ。二人の前には、魔界五天王のエルバンドウとジークグレイの二名。部屋の扉を開け、一人の男が入ってきたのを確認すると、側近である魔人の青年が口を開く。

 

 【魔連合国魔王第二側近 アレン・スクレイパー】

「魔王様、ケイランセルが来ましたよ」

「お、きたか」

 

 睡眠をとっていた様子の魔王は眼を開け、入ってきた男を見る。黒髪で髪を整髪料で後ろに流しているその男の腰には、黒い刀が一本装備されている。鍛えられた肉体を持つその男を見て、魔王が言う。

 

「昨日、ゼトリムがライトレイ軍に殺されたのは知ってるな?」

「はい」

「お前を今日から殺人十三人衆から魔界テイガス国国王にする! 魔界五天王の一人となるってことだ」

 【魔界テイガス国新国王・魔界五天王『K』 ケイランセル】

「ありがとうございます」

 

 ケイランセルは返事をし、魔王に向かって跪く。忠誠を誓うポーズである。その時、隣で見ていたジークグレイが言う。

 

「お前もついに魔界五天王まできたか。仲良くやろーぜ」

「ジーク、よろしくな。やっと来れたぜ」

 

 返答するケイランセル。ジークグレイのさらに隣にいたエルバンドウは、ケイランセルに向かって言う。

 

「おい、ケイ。お前だいぶ強くなったんだってな? 今度手合わせ願うぜ」

「エルバ…。あんたには殺人十三人衆の時代から世話になってるが、恨みがある。あんたのこと殺しちまうかもしんねえけど、いいか?」

 

 その返答を聞き、ケイランセルを睨みつけるエルバンドウ。彼は無言で背中に装備した黒い大剣の持ち手に手を移した。挑発したケイランセルも、右手を腰の黒刀へと動かす。ジークグレイはその様子を見てため息をつく。魔王も無言でそれを見つめている。すると側近のアレンが口を開いた。

 

「二人共やめろ。ゼトリムが落とされた今、魔連合国は一致団結して反撃をしなければならない。まずはライトレイ軍に報復の一撃を加える。その任務に行きたいやつはいるか?」

 

「チッ…ガキが」

 

 アレンに対してケイランセルがボソッと言った。それも無理はない。アレンは18歳。対するケイランセルは25歳である。アレンの問いかけに、エルバンドウが静かに手を挙げた。

 

「…俺が行こう。調子に乗ったライトレイ軍を締め上げ、ついでにラギ軍にも牽制しよう」

「エルバ、任せたぞ」

 

 魔王の一言に、リビロ国王エルバンドウは地面に膝をつき頷く。エルバンドウは魔界五天王で最強と言われる実力者である。立ち上がると黒いマントを翻し、部屋から出て言った。

 

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