ザン・ペッカーマン
性別:男 年齢:19歳 性格:明るい、大雑把
使用武器:斧 特技:真空斬り
特攻部隊M隊員。2年前に特攻部隊に入隊。
その性格通り、豪快な攻撃を得意とする。ユースとは親友である。
任務を終え、金奏城へと帰還した特攻部隊M。城に在住している治療班による治療を特攻部隊Mの部屋で受けていた。魔法による回復は、傷を塞ぎ止血することしかできない。内部の損傷や骨折などについては回復することはできないのだ。六人の中で最も傷が深かったのはアキラ。次いでユース。治療を受け終えて元気になったシスキーとザンが騒ぐ。
「俺らだけ、ちゃんとした敵を倒せてねーじゃねーか! くっそー!」
「あの迷宮は正直きつかったな、シスキー」
シスキーとザンは終始バーク遺跡内部の迷宮で迷い続け、かなりの数の罠と格闘していた。後々の調査によってわかったことであるが、彼ら二人は遺跡内部のほぼ全ての魔法による罠を解除していた。その二人に対して苦笑いをするカイラス。
「…今回の任務はなかなかハードだったな。全員、ご苦労だった。しっかり休め」
だがここに、シスキー同様に不満げな男が一人。ライドだ。彼は目の前に魔軍の主力である魔界五天王の一人を捉えたにも関わらず、何もすることができなかった事に悔いを覚えていた。それは圧倒的な実力差が原因であることは彼自身わかっていたが、それほどまでに自分にはまだ力が足りていないのか、と痛感していた。
(もっと…強くなりたい。アキラだって、殺人十三人衆ってやつを一人倒してる。俺はまだまだ弱い…強くなりたい)
ライドは無言で部屋を出た。彼が思っている事をなんとなく理解しつつも、隊長カイラスは静かに見守っていた。その横でようやく治療を終えたアキラとユースがベッドで横になっている。役目を終えた治療班は、しばらく安静にするように彼らに伝えると部屋を出て行った。ユースが言う。
「安静に…か。早く修業を始めたいぜ」
アキラは疲労からか、スヤスヤと深い眠りについていた。アキラは今回の任務での戦闘の最中に成長を遂げた。おそらくこれまで対峙した中で最も強敵であった魔戦士ベイカーブ。彼を躊躇なく殺すことができたことも、アキラにとっては大きな成長であったと言える。殺さなければ殺される。それを体感していたのだ。だが、これが本当に良い意味での成長であるのかどうかは誰にもわからない。
*****
―――翌日の朝。城全体にある大きな一つのニュースが駆け巡った。
「おい、ビッグニュースだ!!」
「大変だぞー」
扉を勢いよく開けて部屋に入ってきたのはザンとシスキー。その手には一枚のペラペラした紙があった。部屋の中には、カイラス、アキラ、ライド、ユースの四人。カイラスが小さく呟く。
「…遅い。非常に遅い。お前らを待ってたんだ、さっさと席につけ」
「へ…? すいません」
少し怒った様子のカイラスを見て、陽気な二人は素早く部屋の中央の席に座る。アキラ達も全員座ってカイラスの方を見つめる。隊長の手には、ザンが持っていたのと同じ紙が一枚。全員がこっちを見ている事を確認すると、口を開く。
「…今朝、特攻部隊司令部から一つ発表があった。ここ最近の大陸の治安悪化、戦闘の激化、戦力が安定してきた事から、司令部増加のために『特殊部隊』なるものが新設された」
「特殊部隊…?」
思わず質問しかけたライドだが、言葉を止め、カイラスの話の続きを聞く姿勢をとる。
「…特殊部隊は、特攻部隊のトップである特攻部隊Zよりもさらに上の部隊となる。この特殊部隊はほぼ司令部に所属する戦闘部隊で、戦争時や任務時などに城から指令を送ることとなる。また特攻部隊全隊員の星数の管理などもするようになる、とのことだ」
「その特殊部隊のメンバーって?」
「…それは、この紙を見てくれた方が早い話だ」
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特殊部隊への部隊異動 合計5名
【隊長】シャイン・ロドルフ 特攻部隊Z隊長 → 特殊部隊隊員 ☆11100
キング・スコードマン 特攻部隊Z隊員 → 特殊部隊隊員 ☆10950
【隊長】ディーン・ロム 特攻部隊Y隊長 → 特殊部隊隊員 ☆11000
カイザー・グレトニウス 特攻部隊Y隊員 → 特殊部隊隊員 ☆10950
【隊長】クロス・ヴァイトゥス 特攻部隊X隊長 → 特殊部隊隊員 ☆10950
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「…これが、特殊部隊の初期メンバーとなる五人だ。ちなみに彼らは全隊員の中での星数上位6人中の5人らしい。一人は特殊部隊への異動を拒否したようだがな」
特殊部隊に隊長は存在しない。五人が対等な存在とし、司令官達も含めてこれからライトレイ軍の戦闘作戦を考えていくのだ。つまりは彼らが特攻部隊を率いていくメンバーとなる。ザンが言う。
「これ、よく見るとディーンさん以外6年前に入隊した『ライトレイ王国黄金世代』だな! やっぱあの世代の人達はすげーや」
ディーン・ロムは8年前に入隊しているが、それ以外のシャイン、キング、カイザー、クロスは6年前に入隊している。アキラは兄シャインの名前を見て、羨望の眼差しを向ける。ふとユースが口を開く。
「だがこれで、一流部隊に大きな空席ができたんじゃないか?」
「…まぁそうなるがさっき言ったろ? ライトレイ軍の戦力は安定化してきた。ここ最近は嬉しい事に死傷者はほぼ出てない。二流や一流部隊には多くの強者が溜まってきていたから、それがそのまま上に昇隊するだけだ」
思わず悔しがるユース。だが全く昇隊のチャンスが無いわけでもない。特攻部隊Mは三流部隊であるが、特攻部隊OPQRSTUは二流部隊。さらに上の特攻部隊VWXYZは一流部隊と呼ばれている。現在一流部隊、二流部隊共に隊員数の増加による統率力の低下が指摘されてきていた所であった。特殊部隊という新たな組織を作り、これから近い将来に起こりうる大きな戦争へ対応していこう、というわけである。するとシスキーがアキラとライドに言う。
「なぁ、アキラ、ライド!
「いいな、いこう」
ちょうどアキラとライドも自分達の現在の星数がどのくらいなのか気になっていた所であった。三人は部屋を出て行く。カイラスはその三人の様子を見て、一言呟いた。
「…若いな。成長が楽しみだ」
アキラ達三人は、金奏城中央塔15階へと初めて到着した。16階から20階には司令部があり、許可無しでは立ち入り禁止となっている。そのためこの15階が一般の隊員と司令部とをつなぐ受付となっており、ここで星数の確認もできる。部屋の全ての壁には掲示板のようなものがあり、部隊異動や任務結果などが確認可能な状態である。16階へと続く階段の前に存在する巨大な扉の前にあるカウンター越しに一人の女が立っていた。
【ライトレイ王国国王兼総司令官第二側近 ソスティーヌ】
「何か御用でしょうか? 特攻部隊Mのアキラさん、ライドさん、シスキーさん」
「え…? なんで俺達の名前を?」
その女はグリウズンの側近であるソスティーヌ。魔法の研究を専門としている。黄緑色の髪をした、少し背の低い女性である。ちなみに総司令官の側近はパラオとソスティーヌともう一人の合計三人で構成されている。ソスティーヌはアキラの質問に答える。
「なんでって、ここ最近大活躍じゃないですか! 昇隊に次ぐ昇隊。司令部として顔と名前を覚える事くらい当たり前ですよ」
その言葉に対して思わず照れるシスキー。するとライドが冷静に質問をする。
「俺らの現在の星の数って確認できるか?」
「できますよ。ちょっと待ってくださいね~」
ライドのぶっきらぼうな態度にも気にせず、ソスティーヌは手元にあるパソコンの操作を開始する。上の階へと続く扉の前には護衛部隊の戦士が二人立っており、警備態勢は万全のようだ。しばらく待つと、ソスティーヌが口を開く。
「出ました! それじゃ、口頭で言いますね?」
「はい」
「アキラさんが☆240、ライドさんが☆195、シスキーさんが☆190となってますね! 特にアキラさんは先日の任務での活躍が高く評価されたみたいですね」
拳を握りしめ、小さくガッツポーズしたアキラとは対照的に、ライドとシスキーは悔しそうな様子を見せる。するとソスティーヌが続けて言う。
「星数は任務を終える度にコロコロ変わります。三人共まだまだ大きな目で見れば大差ないですし、とても優秀だと思いますよ~。今年の合格者さん達はみなさん優秀ですよ」
「ライバルは多いってか…頑張るしかねえな」
「っしゃ、
「ソスティーヌさん、ありがとうございました」
アキラ達はそう言いながらエレベーターで下の階へ降りて行った。苦しい任務を終え、その結果に満足する者もいれば不満を覚えた者もいる。彼らはまだ17歳という若き青年、発展途上である。だが任務を終える度、時間が経つにつれ、少しずつ確実に成長していっていた。