グリット
性別:男 年齢:21歳 所属:ライトレイ王国
武器:長剣 特技:剣技
特攻部隊L隊長。3年前に特攻部隊に入隊。カイラスと親交があった。
何事よりも任務達成を優先し、王国への忠誠心が高い。
ライドの気迫に思わず距離をとる無戦士達。立っている敵の数はおよそ10人。その奥にいるガルーバーは全く表情を変えずにライドを見つめ、小さく呟く。
「チッ…あと少し時間を稼がなきゃな」
白装束に黒いマントを装着したガルーバーは、素早く後退すると後ろにある穴から他の部屋へ移動した。それを見たライドは、彼を追おうと思わず走り出す。だが前に立ちはだかるのは10人の無戦士。ライドは瞬時に左手に魔力を集結させる。
「めんどくせぇな! イオナズン!!」
「!!?」
掌を素早く無戦士達の方へ向けると、彼らを大きな爆発が襲う。無詠唱であったため、少し威力は落ちているが取り巻き達を黙らせるには十分な威力であった。ザンとアリッサは驚きのあまり言葉が出なかった。爆音が響き、舞った土煙により辺りが見えなくなる。
「ライドさん、ほんとに強いですね」
「ああ。こりゃ昇隊すんぞ」
ザンとアリッサがそう言ったのと同時に、ライドが部屋の奥の出口へ走っていくのが見えた。だがそのライドを追う無戦士達。それぞれが軽くダメージを負っているものの、何の支障もなく走っている様子に違和感を感じた。
(タフだな…まるで人間じゃねえみたいだ)
そう思いながら足を止め、振り返るライド。向かってくる無戦士達を迎え撃つため長剣を握りしめた時、ライドの前にザンとアリッサが現れる。
「ライド、お前はさっきの奴を追え! ここは任せろ!」
「この人達、おそらくただの人間じゃないですね。ライドさんも気を付けて下さい」
「…助かったぜ! 健闘を祈る!」
ライドはそう言うと、振り返り岩と岩の間にある穴を通り部屋を出ていく。ザンは斧を力強く握り、無戦士達を睨みつける。アリッサは両手に魔力を集め、詠唱を開始する。よく見れば、先程のライドの爆発によって傷を負った無戦士達の皮膚の破れた部分から、鉄製の骨のようなものが見える。ラギ帝国は科学技術が発展した国であり、武器や兵器の改造だけでなく改造の対象は人間までに及んでいたのだ。
「真空斬り!!」
「ベギラマ!」
ザンは斧の強力な一撃を無戦士に放ち、肩から胸へと斬りつける。その後ろからアリッサが灼熱の熱線を敵全体へ放つ。
*****
一方、チームB。グリット、アキラ、ジンの三人である。大きな通路には数人の無戦士達が倒れて動かなくなっていた。グリットの周りを囲む三人の無戦士達。三人が振り下ろした剣を素早くかわし、剣に魔力を纏わせるとそれをジグザグに素早く振り払う。
「さみだれ斬り!!」
三人の腹や首などをまとめて斬りつけるとグリットは剣を得意気にクルクルと回す。その後ろではジンがメタルハンターと戦闘を繰り広げていた。メタルハンターが振り下ろした剣を槍の持ち手部分で受け止めたジン。だが、メタルハンターの左腕のボウガンから放たれた弓矢がジンの腹を打ち抜く。
「ぐっ…!」
槍を振り払い、メタルハンターの体勢を崩すとジャンプしてメタルハンターの頭上を舞うジン。メタルハンターは戦闘兵器としてラギ帝国が作り上げた魔物であり、常に目標と定めた敵を殲滅することしか頭にない。非常に強力な相手と言えるだろう。ジンは槍の先端に魔力を集中させ、空中から素早くメタルハンターの頭部へと槍を突き出す。同時にメタルハンターはジンとの距離を計算し剣を動かす。
「ピピッ―――」
「れっぱ突き!!」
突き出された槍はメタルハンターの頭部を貫通し破壊したのと同時に、小さな爆発を起こした。ジンの槍の速度は機械の計算によって算出された数値を上回っていたのだ。爆発によって四肢をバラバラにもがれ、機能停止したメタルハンターを踏みつけてジンが着地する。その視線の先には、こちらに向かってくる一人の無戦士。思わず槍を握り、迎え撃つ構えを見せたジン。だが、
「疾風斬り!!」
「!?」
無戦士の首を素早く横からやってきたアキラの太刀が斬りつけた。首は半分ほど切断されており、無戦士は無言のまま血を噴出してその場に倒れた。グリットが長剣をしまい、口を開く。
「これで、全員片付いたな」
「はい。けどこんなに無戦士って頑丈だったんですね」
「噂だとラギ帝国では、戦士全員が体の一部を必ず機械によって強化しているらしい。いわゆる
グリットとアキラとジンは武器をしまうと、チームDのいる集合場所へ戻ろうと歩き出した。その時、彼らの前に一人の青髪で長身の男が立ちはだかる。無戦士特有の白装束ではなく、白と赤の混じった服を着用しており、銀色のマントを装備。背中には何やら小さな装置がついている。その腰には一本の太刀があり、右手をその持ち手へ添えている。アキラ達三人はその男を見つめ、身構える。
【ラギ帝国・第三将軍 ティガ・バーン】
「もうすぐで計画は完成するんだ。静かに山脈から立ち去ってくれないか? 君達を殺すようなことはしたくない」
それはラギ帝国四大将軍の一人ティガ。第三英雄兵団を率いている。三人は明らかに彼から放たれているオーラの強大さを認識していた。かなり強い。だがここで大人しく引くわけにはいかない。三人は武器を手に取り、ティガへと少し歩み寄る。アキラは両足に力を込め、解放した。
「ピピピッ」
(対象の速度認識完了。回避確率は100%)
「疾風払い―――!?」
「なかなか速いね」
(飛行エンジン起動開始)
アキラはティガの足を斬りつけようとしたが、ティガは軽くジャンプしてそれをかわす。背中の装置からは下方向へジェットが噴射されており、飛行が可能となっている。アキラの頭上の空中で滞空し右脚を振り上げ、
「けど、僕の計算の範囲内の速度だったよ」
「!?」
素早くアキラの頭部へ踵落としを決めた。その威力は凄まじく、アキラは地面に全身を叩きつけられ倒れる。地面に亀裂が入るほど強力な一撃であった。グリットとジンが同時に走り出す。ティガの背中に装備されたジェットは、燃料をため込むことによって一定時間の飛行を可能とするものである。
(飛行翼を展開)
ティガが頭の中で命令することにより、背中のジェットを操作することが可能。ジェットから右翼と左翼の飛行翼が生えた。これによって細かい飛行が可能となる。太刀を抜き、グリットとジンを見据えるティガ。ジンは左手に集めた魔力を放つ。
「イオナズン!」
大きな爆発が襲うが、ティガはジェットを噴射し素早く横に回避したことによりダメージを最小限に抑えた。その回避した先に待ち構えていたのはグリット。剣に魔力を纏わせ、空中にいるティガに向かって跳躍する。ティガも太刀をグリットに向けて振り下ろす。
「はやぶさ斬―――」
「ギラスラッシュ!!」
ティガの太刀の強力な一撃が、長剣ごとグリットを斬りつけ吹っ飛ばした。太刀を振り払うスピードや力が強力なせいで斬撃は波動の様にグリットを襲う。グリットの長剣は刃の中腹部分で綺麗に真っ二つに折れていた。残ったジンに向かってジェットを噴射し、飛行していくティガ。
「う…うおおおおおおおお!」
恐怖。それがジンの心を支配しようとしていたが、叫ぶことにより強制的に振り払う。槍の先端に魔力を集め、目の前に迫ったティガに向けて放つが、それを空中で体勢を翻したティガは軽々とかわす。空中で両膝を折り曲げ、突き出した体勢のままジェットの噴射を一気に強めた。
「敵わない相手からは逃げるのが得策だって、誰かに教わらなかったのかな?」
「ぐああッ」
ティガの両膝は高速でジンの腹部へと衝突。ジンは口から大量の吐血をしながら後方へ大きく吹っ飛ばされた。ジェット噴射を停止させ、地面に着地したティガは静かに太刀を鞘に納めた。
「さっきの爆発で服が汚れちゃったじゃないか。まぁいいや。ガルーバーとストレンは上手くやってるかな?」
服を手でパンパンと叩いて埃を払い、そのままアキラ達が向かおうとしていたチームDのいる集合場所の方向へと歩き出すティガ。だが、数歩歩いた時にティガは足を止めた。
「……まだやるつもり? 殺さないつもりだったのに」
「行くなら俺を倒してから行くんだな」
振り返ったティガの前に立っていたのは額から大量の血を流したアキラ。彼の手には太刀があった。ティガは観念したように太刀を鞘から抜き、アキラを睨みつける。
「まぁいいや。どっちにしろ時間はまだあるみたいだし、暇つぶしでもしよっか」