ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<登場人物紹介>>
  『爆槍』ジン・リベラスター
性別:男  年齢:18歳  所属:ライトレイ王国
武器:槍  特技:爆発魔法
 特攻部隊L隊員。アキラと同じく1年前に特攻部隊に入隊。
 爆槍の異名を持ち、アキラをライバル視している。



第二十八話 「作戦は完了したみたいだ」

 

 

 特攻部隊M隊員アキラと無軍四大将軍の一人ティガの距離は約5メートル。二人の武器は太刀。太刀というのは重く扱いづらいが、切れ味鋭く威力の高い武器である。互いに睨みあったまま動かない。アキラはいつでもダッシュできるように両足に力をこめていた。すると先に動いたのはティガ。

 

「燃料勿体ないからもう飛行翼は使わないよ」

 

 右手の太刀を大きく引き、アキラに向かって走り出す。それと同時にアキラも走り出した。

 

「疾風突き!」

「ふん!」

 

 アキラの放った素早い一撃を太刀で受け止めたティガ。と同時にティガが右脚を大きく後ろに引いたのを見たアキラは、高くジャンプし蹴りをかわす。空中で体勢を整え、素早く落下しながら太刀を振り下ろす。

 

「ピピピッ」

(対象の速度認識完了。回避確率は27%)

 

「降下疾風!!」

「くっ」

 

 蹴りを放っていたティガは少し反応が遅れ、避けようと身体を動かした末に肩を斬りつけられる。アキラはティガの目の前に着地し、後退しようと足を動かしたが、

 

「回し蹴り!」

「!!?」

 

 軽くジャンプしながらのティガの回り蹴りが腹部に直撃。後方に吹っ飛ばされ、壁に激突し倒れる。だが後退しかけていたことでダメージを軽減できていた。ティガの改造が施された両目は『計算眼』と呼ばれ、対象との距離や速度を計算し、どの方向に避ければ回避ができるか、回避確率を算出できる。敵の細かい動きも全て数値で表現することで、敵の攻撃精度の低下なども判断することができる。

 

「まさかダメージを受けちゃうとはね…まだまだ僕も修業不足だ。この『計算眼』も『飛行翼』も改良の余地があるなぁ。…ん?」

 

 血だらけになりながらも立ち上がるアキラ。太刀を持ち、ティガの方に向ける。

 

「…ハァ……俺はまだやれるぞ…」

「わかった。そんなに殺してほしいなら、望み通り殺してあげるよ」

 

 そう言ったティガは太刀を大きく引き、アキラに向かって走り出した。深呼吸をし、落ち着いたアキラは右手で太刀を強く握りしめ、向かってくる男を睨む。両足に力をこめ、いつでも走れるようにしながらアキラは左手に魔力を集め、慣れない様子で詠唱を開始する。

 

(練習ではまだ一回しか成功したことないけど…やるしかない)

 

 二人の距離はだんだんと縮まっていく。ティガは計算眼でアキラを凝視し、彼の微細な動きさえ数値で捉えていた。力の込められた両足、太刀を強く握りしめる右手、こちらに掌を向ける左手。この計算眼には一つ弱点があった。ティガが目の前2メートル程に接近した時にアキラは詠唱を完了していた。

 

「…デイン!!」

「なっ?!」

 

 彼の左手から放たれたのは眩い小さな光の塊。それはティガの顔面に直撃し、バチバチと電撃と小さな爆発を起こす。ダメージは微量なものだが、ティガの計算眼では魔力の動きを捉えることができなかったのだ。それは魔法が盛んではないラギ帝国の国柄も影響していることといえる。さらに眩い光を突然浴びたことによりティガの視界は混乱しており、思わず手から太刀が滑り落ちる。ティガの頭上8メートル程の空中までアキラは跳躍していた。

 

(魔力を太刀に留めるイメージで…!)

 

 右手で持った太刀に魔力を送り込み、纏わせる事に成功した。そしてさらにその魔力を変化させていく。元々魔力量が少なく、魔法を苦手としていたアキラであったが、この数か月で魔力の扱いをしっかりと練習していた。アキラが得意とする魔法の属性は光魔法。だがその修得と詠唱、さらに極める事はかなり困難とされる属性である。光魔法を纏った太刀を大きく振り上げながら、素早くティガに向かって降下していく。

 

「ホーリーエッジ!!」

「!?」

(対象の速度認識完了。回避確率は1%)

 

 光を纏った素早い一撃はティガの首から胸へと斜めに斬りつけた。機械によって強化された身体から血が流れ、ティガは跪く。光を間近で見たことにより正常な判断ができなくなっていたティガは回避することなどできなかった。着地したアキラは、ふらふらとしながらも後退し距離をとる。

 

「が…はっ…!」

 

 血を吐くティガ。だがまだ倒れはしない。アキラの全力の攻撃をもってしても、倒すことはできなかったのだ。少し離れたところで倒れながら見ていたグリットとジンは立ち上がり、アキラの元に駆け寄る。

 

「アキラ、お前よくやったよ」

 

 ジンのその言葉にアキラは頷くことしかできなかった。長剣を折られたグリットは足元に倒れていた無戦士の剣を掴み取り、身構える。ティガはゆっくりと立ち上がると笑いながら口を開く。

 

「ククッ…改良すべき点がいくつも見つかった、感謝してるよ」

 

 傷を負いながらも平然と話すティガ。思わず武器を構えるアキラ達三人。その時、ゴゴゴゴと大きな地響きが鳴り響く。まるで地震のように揺れる地面。明らかにコロプス山脈内で何か異常が起きている様子だ。するとティガが言う。

 

「…おっと。続きをしたかった所だけど、もう僕達の作戦は完了したみたいだ」

 

 背中の飛行翼を起動し、空中に滞空するティガ。グリットが大きく叫ぶ。

 

「待ちやがれ!! 何をしやがったんだ!」

「ちょっと火山を刺激しただけだよ? じゃあ、またいつか会おうね」

 

 ティガはそう言うとジェット噴射を強め、アキラ達の集合場所の方へと飛行していった。それを追おうとする三人であったが、負ったダメージと疲労が想像以上に大きかったためすぐに動ける状況ではなかった。足の力が抜け倒れるアキラに呼応するように、グリットとジンもその場に寝ころんだ。ジンが言う。

 

「何だあいつ…強すぎるだろ」

「恐らくあれはラギ帝国四大将軍の一人だ」

「ざけんなよ…あんな化け物みたいのがあと他に三人もいんのか!」

「しかも今のやつ、全力ではなかったようだしな」

 

 グリットはそう言うと折れた自分の長剣を見つめる。ティガが手加減をしなければ間違いなく三人共死んでいただろう、そう考えるだけで寒気がしてくる。するとその時二回目の地震のような揺れが襲う。

 

「一体、今のやつらの狙いは何なんだ? 火山を刺激って、やばい臭いしかしないんすけど」

 

 アキラがそう言うと、グリットとジンはポカンと口を開けたまま見つめ合った。三人を冷や汗が襲う。

 

 

*****

 

 一方、チームA。カイラス、シスキー、インザグールの三人だ。特攻部隊L隊員のインザグールに向かって走っているのは無軍の第三英雄兵団副団長ストレン。その男の武器は鉄製の扇。扇の先端は鋭利になっており、打撃も斬撃も可能だ。双剣を構えるインザグールであったが、ストレンの改造された左手の指先から弾丸が発射される。

 

「オラオラオラオラァ!」

「ぐおっ」

 

 ストレンの左手の指は拳銃の様になっており、自由に発砲が可能となっている。肩や胸に弾丸をくらい、双剣が両手から落下。そんなインザグールの前にストレンが扇を振り回し、まるで踊るかのようにインザグールを連続で斬りつける。

 

「波紋演舞!!」

 

 武器を持たないインザグールに抵抗する術はなく、全身から血を流しその場に倒れた。そのすぐ傍でカイラスはメタルハンター2体を同時に相手にしていた。計算されつくした攻撃を避けることもできず、ダメージを負っていくカイラス。

 

「ハハハ、やっちまえメタルハンター! あと一人のブレス野郎はどこいった?」

 

 この部屋に立っているのはストレンとカイラス、そして二体のメタルハンターのみ。シスキーの姿がない。きょろきょろと辺りを見渡しながら、部屋の奥にある出口とカイラス達が入ってきた入り口付近も探すがシスキーは見当たらない。部屋の中には倒されたメタルハンター数体と無戦士数人の姿がある。

 

「どうでもいっか」

 

 探すのを諦めたストレンは扇についた血を布で拭き取り、倒れた無戦士をクッションにして座り、カイラスの戦闘を見守る。

 

 カイラスは全身に傷を負っているものの、必死にメタルハンターへ攻撃を繰り出していく。二体のメタルハンターにもかなりダメージが蓄積されており、あと少しといったところであろうか。その時片方のメタルハンターの足元を一匹の小さな蛇がササッと通る。カイラスはそれを見ると、もう片方のメタルハンターの方を向き、ツメに魔力を纏わせる。

 

「裂鋼拳!!」

 

 それは機械系に非常に有効な属性を纏った一撃であり、メタルハンターの胸部分を貫き破壊した。ストレンはおお、と感嘆の声を上げる。そしてもう片方のメタルハンターの四本の足の中心に一匹の蛇がおり、尻尾をバネのようにして思いっきりメタルハンターに向けて頭突きを決める。

 

「オラアッ!」

 

 それはシスキーであった。股部分に強い衝撃を受けたことで四本の足が破壊、さらには内部の機械も破壊された。蛇の姿から人間の姿に戻るシスキー。二人は座っているストレンを睨みつける。カイラスがシスキーに聞く。

 

「…で、どうだった?」

「まだ誰も戻って来てないらしくて、あと火山が噴火したかもしんねーっすね」

「…成程。了解した」

 

 実はカイラスはシスキーに、チームDの所に行って状況を確認するように頼んでいたのだ。シスキーは小さな蛇に変化し、ユースとタイガーの所に行き状況を把握した後にここに戻ってきたというわけである。シスキーも無戦士達との戦闘でかなりの傷を負っている。何かに気づいたストレンは扇を振り回し、立ち上がる。

 

「そう。実は俺の仲間が爆弾を火口付近に仕掛けてさ、それを爆発させて火山に刺激を与えてみたのさ。ほら…」

「!!?」

 

 ストレンがそう言ったのとほぼ同時に、カイラス達がこの部屋に入ってきた入り口付近から真っ赤な溶岩が、まるで津波のように流れ込んできた。無軍はコロプス山脈を噴火させることが目的だったのだ。

 

「作戦は完了したんだ、俺はさっさとトンズラすんぜ!」

 

「待ちやがれてめー! 俺らも逃げるっきゃないっすよ」

「…そうだな。これは非常に深刻な状況だな」

 

 部屋の奥の出口から出て行くストレンを追い、カイラスと共にシスキーがインザグールを背負い走り出した。流出したマグマは人間が走るのと同じくらいのスピードで彼らの後を追っていく。触れれば確実に死ぬ。焦るシスキーと冷静なカイラスは、かなりのスピードでストレンを追いかけていく。

 

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