タイガー・ラキジーク
性別:男 年齢:18歳 所属:ライトレイ王国
武器:銃 特技:銃技
特攻部隊L隊員。アキラと同じく1年前に特攻部隊に入隊。
父パンサーの神隠しの謎を解き明かすためにアキラと情報を共有し始める。
―――二日後。光軍決闘大会当日となった。
大会の会場となるのは金奏城地下五階の仮想対戦部屋。アキラ達が1年前に入隊試験の三次試験で使用したフロアである。三つの仮想対戦部屋があるが、使用するのはルームAのみ。ここでは以前と同様に、どちらかが一定以上のダメージを負った瞬間に両者が強制的に部屋から追放される仕組みとなっている。ただし入隊試験の時よりも、ダメージ設定が低く設定されているため前よりも多くのダメージを相手に与えなければ試合終了とはならない。ちなみにこのフロアには自由に行き来できるが、その映像と実況を各部隊の部屋のテレビで視聴可能であるためほとんどの隊員が部屋で観戦する。
「か~…
シスキーはそう叫びながら特攻部隊Mの部屋内を走り回る。アキラとライドは落ち着いた様子でテレビを観ている。カイラスとユースとザンも着席して観戦する気満々である。
「それにしても、始まる寸前まで対戦相手がわからねえってのも嫌らしい話だな」
「たしかにな」
特攻部隊Mで決闘大会に参戦したのはアキラ、ライド、シスキーの三人のみ。それぞれが対戦相手を指名してエントリーしたが、後に発表されたのは各々が何回戦目に出場するかという情報のみ。肝心の対戦相手がだれかは全くわからない。
「なー、おめーら何回戦だっけ?」
「俺は第四回戦だ。アキラは?」
「えーっと、七回戦だね」
「げ、俺
ライドは四回戦に出場。アキラは七回戦。ちなみにシスキーは九回戦である。彼らはお互いが誰を指名したのか知らない。それぞれが三人の中でも最も昇隊したい、と考えているのであろうか。すると黙って座っていたカイラスが口を開く。
「…五月蠅い。非常に五月蠅いぞシスキー。お前が一番後なんだから、もっと落ち着いていてくれ」
「ご、ごめんなさい…」
するとテレビで光軍決闘大会の放送が始まった。実況と解説を務めるのは光軍特攻司令官グラナドウと総司令官側近のパラオの二人。まずグラナドウが喋る。
『12218年度光軍決闘大会!! 開幕!! 解説を任されたのは俺、特攻司令官グラナドウ・ゴウメクバード!! えっと、参加者は…何人だっけ?』
『…20人です』
パラオは小さな声で教えたのがテレビを通して聞こえる。入隊試験開始時にも見た光景であったため、アキラ達はクスクスと笑いをこらえる。
『そう、20人!! だから全部で十回戦まで存在する!! 細けえことはなしだ!! 己の実力を司令部に披露する良い機会だと思って全力で戦え!! 俺からは以上だ!!』
『実況を務めるのは総司令官側近のパラオ・キャメロン。よろしくね。さて、じゃあ早速第一回戦から始めていこうかな。次の試合に出場する人はもう地下五階まで来ててちょうだいね』
そして映像は仮想対戦部屋を映す。すると立ち上がったアキラ達三人。それぞれが武器を持っている。ザンが問う。
「おい、お前らどこ行くんだ? 試合、見ないのか?」
「じっとしててもしょうがないんで、体動かしてくるだけです!」
アキラがそう答えると、三人は部屋を出る。向かうのは練習部屋。昇隊の大きなチャンスとなるこの機会を前に三人共緊張していた。ちなみに実況と解説は金奏城内ならどこでも聞く事が可能だ。自分達の試合を逃すことはない。するとライドが足を止める。
「俺、もう先に地下五階行くわ」
「ライド頑張れよ!」
シスキーの激励に、落ち着いた会釈で返したライドはスタスタと歩いて行った。アキラとシスキーは無言で練習部屋へと向かう。練習部屋にはテレビもあるため、そこでライドの試合を観戦できるのだ。部屋に着くと、もう既に数人の隊員達がそこで観戦中であった。だが、その後ろで静かに太刀を抜いたアキラ。
(今は、自分のことだけを考えるんだ。今の俺ができる全てを出し尽くすつもりで行く!)
そう思いながら太刀を素早く振り払う。集中力を高めていく。アキラから少し離れた所でシスキーは目を瞑り、大きく息を吸い、そして吐く。彼の攻撃スタイルにとって呼吸というものはかなり重要となるため、コンディションを整えておくのだ。
(
全身に魔力を均等に纏わせる。これを難なくこなすシスキー。彼はこの一年間で魔力操作技術をかなり修得できていた。これにより攻撃力、防御力の底上げが可能。アキラとシスキー、そしてライドもそれぞれ強い意志を持って今回の決闘大会に臨んでいた。
*****
そして第四回戦が終了した。次はライドの出番である。彼はもう既に金奏城地下五階におり、通路を通ってルームAの片方の入り口に向かおうとしていた。これまでの四試合、パラオとグラナドウの実況も相まってかなりの盛り上がりを見せていた。全特攻部隊隊員がこの試合を観戦していると言っても過言ではないだろう。最後の通路を入ろうとした時、そこで声をかけられた。
「あの…ライドさん!」
「ん、アリッサ」
声の主は特攻部隊L隊員アリッサ。彼女とは前回の任務で行動を共にしていた。アリッサは顔を少し赤らめて言う。
「なんていうか…その、頑張ってください! アタシ応援してます!」
「ああ、ありがと」
冷静に礼を言ったライドはスタスタと歩き出す。その後ろ姿をじっと見つめながらアリッサは呆然としていた。彼女の心を満たす感情は、ライドへの―――。だがライドはアリッサの一声でリラックスすることができていた。緊張していては全力を出すことはできない。適度なリラックスこそが最高のパフォーマンスを引き出すのである。
(俺が指名したのは、特攻部隊Q隊長ブラク。よくわからねぇが強いって噂だったからな。ブラクを倒して昇隊してやる!)
ライドはルームAの片方の入り口の前に立った。対戦相手の様子は全く見えないような作りになっているが、誰かがそこに立っている気配は感じ取れていた。それと同時に観客の歓声が静まり返る。どうやら試合が始まるようだ。実況のパラオの声が響く。
『さ、盛り上がってきた所で続きまして光軍決闘大会第五回戦! まずはこちらに登場していただこう!』
するとライドの前の移動装置が起動し、青い光に包まれる。対戦部屋の中へと転送されたライド。まだ相手の姿は無い。それと同時に大きな歓声が沸く。
『1年前の入隊試験に合格し、特攻部隊Gへ入隊。そして特攻部隊Mへ昇隊と勢い溢れる話題の18歳ルーキー! 特攻部隊M隊員ライド!!!!』
「派手な演出だな…」
失笑するライドをよそに、パラオが続ける。
『その対戦相手となるのは、同じく1年前の入隊試験に合格したルーキー!』
「…? ルーキー? 俺が指名した特攻部隊Q隊長じゃねぇのか」
『特攻部隊Fに入隊後、特攻部隊Kへ昇隊、さらに隊長へと就任。異質な体を持つ彼がライドを指名したようだよ! 特攻部隊K隊長ゼロ・スザイク!!!!』
舌打ちをしたライドの前に現れたのは、特攻部隊Kゼロ。ライドと同じく18歳の青年である。彼の左腕はグルグルと黒い布で覆われている。ゼロがライドを指名したために、ライドの意志は関係無くこの二人で試合が組まれたというわけだ。
「…おいおい、特攻部隊K隊長? 俺はそんな雑魚と試合するために来たんじゃねえぞ?」
「称号で人の実力を判断、か。そのような浅はかな考えをする者に強者はいないと決まっている。俺も指名する相手を間違えたか?」
『おーーっと、お互い啖呵を切っているよ! それでは、試合開始!!』
ライドはスラリと長剣を抜いて構える。対するゼロは右手に魔力を集め始めた。それを見たライドはすぐに走り出す。長剣に魔力を宿し、詠唱を開始する。だが先に詠唱を終えたゼロの右手がライドの方を向いた。
「ボミエ!!」
「!?」
ゼロの右手から放たれた紫色の光がライドを包み込んだ。何が起きたのかライドは理解できていなかったが、外傷はない。
「ドルクマ!!」
「ぐあっ」
ライドは剣先から闇の雷を放ち、それが向かってくるゼロの左肩へ直撃した。左腕を覆っていた布が破れ、剥がれ落ちる。そこに現れたのはまるで無戦士のような機械でできた巨大な腕。驚きのあまりライドの動きが一瞬止まる。
『出た!! ゼロのバズーカ砲!!』
「なんだありゃ、お前もまた
グラナドウの解説も、ライドの問いも無視して向かってくるゼロ。先程の闇魔法もあまり効いていない様子だ。ゼロの左腕はバズーカ砲となっており、一定時間のチャージを終えると一発の超威力の砲撃が可能。砲口をライドに向けながら近づいてくるが、ライドは異常を感じ取っていた。逃げようにも身体が思うようなスピードで動かないのだ。
(身体が、重い?)
「ハイパーキャノン!!!」
ゼロの左腕から放たれた砲弾はライドへと直撃。大きな爆発を起こした。それと同時に地面も揺れる。相当の威力である。リロードを開始するバズーカ砲。
「俺はゼロ・スザイク。
『決まったー! ゼロの代名詞バズーカがライドに直撃。さぁライドは無事か!?』
だが試合は終了ではないようだ。煙の中でなんとか立ち上がるライド。口からは血が出る。長剣を掴み取ると、ゼロを睨みつける。
「なるほど、ナメてたぜ。面白くなりそうだ…」
「まだ生きてるか、驚いた。楽しませてくれよ」
ライドとゼロがそう言うと、大きな歓声が上がった。