ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<登場人物紹介>>
  ゼロ・スザイク
性別:男  年齢:18歳  所属:ライトレイ王国
武器:大剣  特技:剣技・補助魔法
 特攻部隊K隊長。アキラやライドと同じく1年前に特攻部隊に入隊。
 改造された左腕はバズーカ砲。口が悪く、好戦的。破壊衝動が強い。



第三十四話 「ライドVSゼロ」

 

 

(ようやく身体がちゃんと動くようになってきた…)

 

 そう感じながらゼロと距離を保つライド。彼は先程の身体の異常な重さはゼロの魔法によるものだと理解していた。膨大な潜在魔力量を持つライドであったが、まだまだ彼は魔法についての知識には疎い。するとゼロが背中に装備していた大剣を右腕で引き抜き、先端をライドに向けて言う。

 

「俺は、お前に勝って上に行く」

 

 ゼロの眼は強い意志を持っていた。それにライドが一瞬気後れしそうになったのも無理はない。だが、ライドも負けるつもりなど毛頭ない。長剣を握ると左手に魔力を集めて走り出す。対してゼロは大剣に魔力を纏わせ、大きく後ろに引く。

 

「イオナズン!!」

「くっ」

 

 ライドの完全詠唱による爆発魔法がゼロを襲った。大きな爆音と共に視界を遮る程の土煙が上がる。しかし改造人間であるゼロの身体にはあまりダメージなどなく、表面が少し傷ついた程度。前が見えない状態で大剣を力強く振り払い、煙を払ったゼロであったがライドの姿を視認できずにいた。反射的に振り返ろうとしたが、既に背後にいたライドは長剣を振り下ろしていた。

 

「―――ダークマッシャー!」

 

 闇属性を纏ったライドの長剣がゼロを横から襲う。だが、

 

「…ぐぐぐっ」

「?!」

 

 ゼロは左腕のバズーカ砲の本体で長剣を受け止めた。頑丈にできているのか、バズーカ砲には傷一つついていない。睨みあう両者であったが、ゼロが大剣を持つ右腕を動かしたのと同時にライドも長剣を素早く引いた。それによって左腕に力を込めていたゼロは大きく体勢を崩す。

 

「疾風斬り!!」

 

 再び振り下ろされた長剣はゼロを斜めに素早く斬りつけた。血が飛び散り、よろめいたゼロにさらに追撃を加えるライド。

 

「れっぱ斬り!」

「ぐおおっ」

 

 斬りつけたのと同時に小さな爆発が起き、ゼロは後方へ数メートル吹っ飛ばされる。再び土煙が辺りを覆い隠す。ライドの連撃に観客席も多いに湧き上がる。解説のグラナドウが言う。

 

『今の素早い剣技、魔力を瞬時に操作する技術も実に素晴らしい!!』

『これでお互いにダメージを負った状態になりましたね』

 

 腹部に直に受けた爆発の衝撃は大きく、ゼロはなんとか立ち上がりながら血を吐き出す。肩から胸に受けた斬撃の傷を抑えて息を整えていく。対するライドは左手に多くの魔力を集結させながら口を開く。

 

改造人間(サイボーグ)には魔法じゃなくて物理攻撃の方が有効なんだってな? 何でお前が改造人間(サイボーグ)か興味はねえけどよ、魔法も効くんだってことを俺が証明してやるよ」

 

 そう言ったライドは同時に右手の長剣にも魔力を纏わせる。煙のせいで姿は見えないが、薄っすらとゼロの影のようなものが見えている。するとそこから異常な程に落ち着いた声が響く。

 

「…悪いが、本気で行くぞ」

「メラゾーマ!!!!」

 

 ゼロの声をかき消すかのようにライドが左手から放ったのは炎球。避けることなどできないスピードで真っ直ぐにゼロの方へと向かう。だが、

 

(この勝負もらったな)

「マホカンタ」

「!?」

 

 煙の中で爆発する音がせず、不思議に思ったライドに正面から放ったはずの炎球が直撃。炎の爆発を引き起こす。数メートル後方へ転がりながら吹っ飛ばされたライド。まだ事態が把握できていない様子だ。ゼロは防御魔法マホカンタを唱えており、目の前に魔法を反射する壁を作り出していた。それによってライドが放った炎魔法を、威力をそのままに跳ね返したというわけである。

 

「ぐ…がはっ…」

(何が起きた…? やべえな)

 

 不意打ちであったことの驚きもあり意識が朦朧とした状態でなんとか立ち上がったライドの前には、魔力を纏った大剣を大きく引いたゼロが立っていた。

 

「ボミエアタック!!」

「ぐああっ!」

 

 大剣の一撃を長剣で受け止めようとしたライドであったが、圧倒的な威力の差に負け腹部を斬りつけられる。この攻撃には補助魔法ボミエの属性が加えられており、受けた者の動きを一定時間遅くすることがある。パラオの実況が響く。

 

『おっと、再びボミエの効果によってライドの動きが鈍くなったようだよ~』

「……また、か?」

 

 強力な一撃を受けてもなお立ったままのライドはそう呟いた。その様子を見てゼロは不敵な笑みを浮かべ、リロードを終えたバズーカ砲をゆっくりとライドへ向ける。砲口を向けられてもゆっくりとしか動けないライドは、通常の半分程の速度で後退していた。しかし彼は後退しつつ、後ろに隠した左手に大量の魔力を集結させていた。

 

「さらばだ、ライド。ハイパーキャノン!!!!」

 

 狙い定められたバズーカの砲撃は大きく光を放ち、ライドが立っていた地面もろとも爆発を起こした。再び地面が大きく揺れる。煙が辺りを覆い尽くす。小さくため息を漏らしたゼロは安心した様子であった。左腕のバズーカからはプシューと煙が出て、リロードを再び開始する。即座に実況が入る。

 

『決まったー! 再び直撃ー! これで試合は…ん?』

 

 パラオはそこで言葉を詰まらせた。観客達もどよめきを隠せない。その時、ゼロの背後から声がする。

 

「バイキルト……!」

「なっ?!」

「続けてダークフォース!」

 

 後ろにいたのはライド。明らかに先程のバズーカ砲のダメージはない様子。彼の右腕は強化魔法によって、一時的に通常の二倍程度の筋力を持っていた。習得が難しいとされた強化魔法さえもライドは習得していたのだ。さらにライドは全身を闇属性で覆う。驚きを隠せないゼロはなぜか動けなかった。ライドは大きく振り上げた長剣に魔力を纏わせ、

 

 

「ダークマッシャー!!!!」

 

 ゼロの胸部を上から叩き斬った。その一撃の威力は鋼鉄で強化された皮膚を容易に貫通し、ゼロの体内まで深く斬りつけていた。口と胸からドバドバと血を流し、倒れるゼロ。それと同時に大きな歓声が響き渡る。長剣を引き抜いたライドがゼロに問う。

 

「…さっきの俺の鈍くなった演技、上手かったろ?」

「ゲホッ…あの状況で、よくやるぜ…! だからバズーカを避けれたのか」

「ああ」

 

 ライドはそう返答するとうつ伏せに倒れたままのゼロの背中を右脚で踏みつける。先程は攻撃を食らった瞬間にこれがボミエ属性を纏った攻撃だ、と瞬時に判断したライドは身体の動きが普段と変わらない事を隠して演技をしていた。

 

「そして、バズーカを放った後は恐らくお前は数秒間身動きが取れない。そうだろ?」

「…よくわかったな…だから砲撃はここぞって場面じゃなきゃ撃てねえんだ。撃った後の隙が大き過ぎるからな…」

 

 ゼロのこの弱点を、ライドは一回目の砲撃の時から気付いていたのである。まだ終わらない試合にトドメをさすために長剣を振り上げるライド。ゼロが小さく言う。

 

「参ったぜ…完敗だ」

「終わりだ!」

 

 ズバッと言う斬撃音と共に二人は青い光に包み込まれた。試合終了である。実況のパラオの大声が響き渡る。

 

『光軍決闘大会第五回戦、ライドVSゼロ、この手に汗握る激闘を制した勝者は特攻部隊M隊員のライドォォォ!!』

『二人共、魔力を武器に纏わせる動作が滑らかだった!! 多彩な魔法と攻撃方法で観てて興奮する試合だったな!!』

 

 ルームの外へ転送されたライドとゼロ。しかし勝ったはずのライドは不服の表情をしていた。フロアから出るためにスタスタと歩きエレベーターに向かう。するとそこには同じく悔しそうな表情をしたゼロが立っていた。二人は目が合ったが、数秒間沈黙が流れる。するとライドが先に口を開いた。

 

「…いつか証明するから待ってろ。魔法が改造人間に通用するってことをよ」

「フフッ。いつでも相手になるぜ。また会おう、ライド」

「おう」

 

 ライドVSゼロ。勝者はライドであったが、両者共に悔しい思いを残した戦いとなった。そして戦った者同士の不思議な絆が生まれていたのであった。

 

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