ソスティーヌ
性別:女 年齢:26歳 所属:ライトレイ王国
武器:なし 特技:なし
総司令官グリウズンの第二側近。金奏城の司令部受付カウンターにいる事が多い。
全隊員の情報が頭に入っている。魔法の研究を専門としており、多くの著書がある。
―――シャインとクロスが帰ってから数時間が経過。光軍決闘大会も終わり時刻は夜21時頃となった。毎日の日課である修行から帰ってきたアキラ達三人はシャワーを浴び終え、部屋の自分のベッドに腰かける。今夜中に部隊異動の決定が下される。三人共落ち着かない様子でソワソワしている。ライドが言う。
「特攻部隊に入隊して1年以上過ぎてんだよな。そう考えると感慨深いな」
「あっという間だったよね。俺らもいつの間にか18歳だし…」
「ぎ、ぎこちねー会話してんじゃねーぞアキラライド! もうすぐ部隊
シスキーはそう言うと意味もなく立ち上がり屈伸をして傍に置いていたペットボトルを掴み取り、口に加える。しかしその中身は無い。
「空っぽかよ! どんだけ飲んでんだよ俺! はぁ…」
「お前の方がぎこちねぇよ」
そう言ったライドはため息をつくとベッドに寝転がる。特攻部隊M隊長カイラスはつい先程司令部に呼び出され部屋を出て行った。部屋にいるのは他にザンとユース。するとユースが言う。
「まぁこんだけ引っ張っといて昇隊無しって可能性もあるからな。あんま期待し過ぎも良くないぞ」
「おいユース、お前もこいつら三人の昇隊楽しみにしてるくせによく言うぜ!」
「バレてたか…一応言っておこうと思ってな。俺は全然結果残してないから昇隊なんか無いだろうがよ」
ユースはそう言いながら机に突っ伏す。その様子を見て延々と笑うザン。夜も更けてきて眠くなってきたアキラが欠伸をしようとした時、扉が開いた。
「…非常に待たせたな。来たぞ部隊異動だ」
「!!」
そこにいたのはまだ車椅子を使用しているカイラス。その手には一枚の紙があった。部隊異動の詳細が書かれた紙である。これは定期的に行われる司令部と各部隊の隊長が出席する定例会議で配布される。部隊異動は基本的に異動に関する部隊のみ行われるが、その時隊長にこの紙が渡されるのだ。カイラスはその紙をテーブルに置くと言う。
「…ご苦労だった。今回の部隊異動で特攻部隊M6人中5人の異動命令が下された。確認してくれ」
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特攻部隊M 部隊異動 異動合計5名
【隊長】カイラス・アルフ 特攻部隊M隊長 → 特攻部隊P隊員 ☆740
ザン・ペッカーマン 特攻部隊M隊員 → 特攻部隊M隊長 ☆500
アキラ・ロドルフ 特攻部隊M隊員 → 特攻部隊R隊員 ☆780
シスキー・スネイド 特攻部隊M隊員 → 特攻部隊S隊員 ☆815
ライド 特攻部隊M隊員 → 特攻部隊R隊員 ☆770
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「R。だいぶ星上がってる」
「
「特攻部隊Rか。またまた5個くらい上がったな」
「え、俺が隊長になんの!? まじ? やべえやべえ」
カイラス以外の対象者が喜びの声を上げる。その後ろで床に倒れたユース。
「ほら…やっぱ昇隊なんか無かったんだ…」
「ユース…なんつーか、どんまい」
「!?」
ザンのその言葉を聞き、まるで床にのめり込みそうな程落ち込むユース。それを見て笑うシスキーとザン。するとアキラが言う。
「シスキー…特攻部隊Sじゃんか」
「だよな!? これSって書いてあるよな? 俺ついに
「くっそ、うぜえ…」
苦笑いするライドであったが、少し寂しそうな表情をしていたのはアキラも同じであった。1年と少し前に都市カボルで会ってから、入隊試験、そしてここまでずっと一緒に過ごしてきた仲間。間違いなく親友と言えるほどの仲まで深まっており、絆も強い。そんなシスキーとは今日でお別れなのである。嬉しい気持ちの半面、悲しいのはシスキーも同様であった。
「そんなしんみりすんじゃねーよ、
「シスキー」
そう呟いたアキラ。さらにシスキーが続ける。
「先に上で待ってるぜ。アキラ、ライド。必ず会おう! 特攻部隊Zで!」
「んなことわかってら。その前に俺が抜かしてやるから覚悟しとけよ?」
シスキーにそう言ったライドの表情は元に戻っていた。三人は固い握手を交わす。これは永遠の別れなどではない。必ず特攻部隊の頂点、特攻部隊Zで再会することを約束したアキラ、ライド、シスキーの三人。するとカイラスが言う。
「…気の早い奴らだ。この1年間お前らの面倒を見てきて思ったが、お前らはまるで原石。それぞれ得意分野がハッキリしてるがまだ発展途上。自分を磨き続けることで必ずさらなる飛躍を遂げるはずだ。アキラは素早さ、ライドは魔法、シスキーは体力が非常に優れている。だが二流部隊に行けば必ず自分の非力さを思い知る事になるだろう。二流部隊以上はこれまでのような難易度の任務など存在しない。特攻部隊で挫折が最も多いのが二流部隊(OPQRSTU)であるという。俺も一度挫折した身。だが再び二流部隊に挑戦しに行こうと覚悟は決めた。挫折しないためにも、日々の鍛練を絶対に怠るな。そして長所を伸ばすだけでなく、短所を無くすような鍛え方をしろ。ちなみに俺は納豆ご飯が好きだ。卵を入れるとなお良い。質問は―――」
「質問はねぇよ」
カイラスの長い話をギリギリで打ち切ったライド。それをできた彼に羨望の眼差しを向ける他四人。カイラスが言う。
「…無礼だ。相変わらず。だが、許そう。正式に部隊異動を開始するのは明日の朝8時。それまではこの部屋で過ごしてくれ。以上だ」
「了解!」
最後となる掛け声を終えた特攻部隊M。このメンバーで約1年間過ごしていたためそれぞれが様々な思いを持っていたが、口に出すことはなかった。アキラとライドとシスキーは無言の握手を再び交わすとそれぞれのベッドに戻る。
*****
同刻。ここは魔界の魔王城のとある部屋。研究室のような部屋で至る所に資料が山積みになっている。部屋に入ってきたのは魔界五天王の一人ケイランセル。長い黒刀を装備したこの男は部屋の奥にいる背の高い男に話しかける。
【魔界テイガス国国王・魔界五天王『K』 ケイランセル】
「ドスネイゴスさん。何の御用でしょうか?」
話しかけられた長身の男ドスネイゴスは振り返ると口を開く。
【魔連合国・第一側近 ドスネイゴス】
「来たかケイ。お前に一つ頼みたい事があってな」
「あなたには『悪魔』の恩があります。できる限りの事はやりましょう」
ケイランセルはそう言うと左胸にある黒い魔法陣のような模様を見せる。それを見てコクリと頷いたドスネイゴスは、ケイランセルに一枚の紙を渡す。
「クルゲート兄弟はもう死んだ。悪魔所持者は貴重だ、感謝しろよ? …光軍によるコロプス山脈の調査データが紙に書いてある位置にまとめてある、という情報が潜入スパイから入った。このデータをどんな手を使ってでも手に入れろ。魔王…いや魔王様には話を通しておく」
「はっ…かしこまりました」
そう言うとケイランセルは静かに部屋を出て行く。ドスネイゴスは不敵な笑みを浮かべながら小さく呟く。
「…少しずつ計画は進んでいく。俺の予感だと計画の完成はそう遠くない未来のはずだ。フフッ」
*****
一方、ここは魔界の魔王城のまた別の広間。この広間には魔界五天王に仕える殺人十三人衆という集団が集会を開いていた。彼ら13人は同じ髑髏のマーク入りの赤いマントを装着しており、どこの小国にも属さない自由行動を許された実力を認められし魔戦士である。さらにそれぞれが1つずつ暗黒騎士団を率いている。主に魔界五天王に指名されたものが任務に派遣されるという仕組みであり、指名されない限りはどこで何をしていようが自由だ。そのためまとまりがない集団となっている。
【魔軍・殺人十三人衆 シルギス】
「おいツイン! これ以上命令に従えないなら、魔界五天王に報告すんぞ」
【魔軍・殺人十三人衆 ツイン】
「っせーな。大体お前に命令する権利なんかねえはずだぜ? ノルマはこなしてるし、何より今の殺人十三人衆のトップは俺ツインと、ジェイドの二人だろ?」
【魔軍・殺人十三人衆 ジェイド】
「まあそれは自他共に認める事実だ。…シルギスよ、ツインに何を言っても言う事聞くわけがなかろう。諦めるんだな」
シルギスは小さく舌打ちをした。このツインとジェイドという二人が最も実力のある殺人十三人衆であることには反論できない様子。するとツインが言う。
「とにかくこの新人はお前らよりも強えよ。それは俺もジェイドも認めてる。よろしくな、スピすけ」
【魔軍・新殺人十三人衆 スピンスケイル】
「よろしく。先に言っておくが俺は将来的に魔界五天王を目指してるからな」
新しく殺人十三人衆に加入したのはスピンスケイルであった。以前アキラに敗北(第18話参照)した時からそのことを根に持っており、リベンジを誓っている。スピすけのその発言に眉間にしわを寄せるツイン。だがスピすけのその真っ直ぐな目は確かな意志を持っていた。
(アキラ…あいつを倒すまで俺は敗けらんねえんだ)
*****
さらに同刻。ここはラギ帝国の天空城のとある部屋。玉座のような椅子に座る一人の青年。そしてその前に三人の男達が立つ。三人の内の一人である四大将軍の一人ティガが口を開く。
【ラギ帝国・第三将軍 ティガ・バーン】
「それにしても光軍にも面白い人材がいたよ。まさか僕が任務の邪魔をされるとはね」
【ラギ帝国・第二将軍 ライジン・アブソリューク】
「いいなぁ俺もそろそろ強い奴と戦いてえぜ! 新しく改造もしたしよ!」
ティガに応答したのは四大将軍の一人ライジン。彼は両目を改造している。四大将軍は全員銀色のマントを着用している。ライジンが隣にいるもう一人の男に言う。
「お前もそう思うだろ? アラガーサ」
【ラギ帝国・第四将軍 アラガーサ・スネイド】
「ん…? ああ、そうだな。俺も戦いたい相手ができたし」
(シスキー、お前はあれからどれだけ強くなっただろうか? 次会えるのが楽しみだ)
アラガーサはシスキーと同じく蛇人族の生き残り(第30・31話参照)である。部下ストレンの電話口でシスキーの声と存在のみを認識していた彼は、11年間会ってないシスキーとの再会を望んでいた。だが今となっては敵同士。会えば戦闘は避けられないだろう。すると玉座に座っていた青年が眠りから覚める。声を掛けるティガ。
「…気分は良い? 次期皇帝さん」
青年はあくびをしながら首をゴキゴキ鳴らす。そして手元にあったペンを掴み取ると指で回し始める。その左胸には黒い魔法陣の模様。年齢はアキラと同じ18歳。現皇帝デアディン・デリーグの弟子である。
【ラギ帝国・皇帝側近 ヤーバル・ルギイ】
「その呼び方やめろティガ。まだその時は遠い。だが、大きな戦争が起こるのはそう遠くない。少しずつ、運命が加速して迫ってきているのがわかる。楽しみだ」
ヤーバルはそう言うと手に持っていたペンを握ると、軽く力を込めて握りつぶす。パラパラと音を立てて床に粉々に散るペン。それは改造人間ならではの圧倒的な握力であった。
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その時に向けて、運命は定められたレールの上を加速して進んでいく。
―――第二章【始動】 終
第二章、完結です。
第二章ではどんどんと新たな登場人物が出てきて混乱する場面もあったかもしれませんね。。
次の章ではさらに強い敵達とのバトルが待っています!
登場人物が多かったり、伏線が散らばっていたりしてわかりにくいかもしれないですが、参照すべき話数を明記したり年代もカッコ書きで示したりとできる限り読んでくれる方が読みやすいように配慮していくつもりです。
多少ストーリーを忘れてしまっていても、うざったくならない程度に説明を加えていきます。
これからもよろしくお願いしますm(__)m