ライド
性別:男 年齢:17歳 性格:生意気、好戦的
使用武器:長剣 特技:魔法
7歳までの記憶が無い。7歳の時、アキラ達と出会いそれからエルド村で暮らしていた。
記憶を取り戻すための手がかりを少しでも増やすため特攻部隊に志願する。
基本的に敬語が使えない。潜在的な総魔力量が多い。腰に謎の紋章がある。
アキラは1分程走り回って大通りに出た。商店街のような通りで、店がいくつも立ち並んでいる。この通りは、都市カボルの北エリアを東から西へ横断する大通り。シスキーという男を探す手がかりは名前と職業しかない。近くで壁に寄りかかり新聞を読んでいるヒゲを生やした男に質問する。
「あの、シスキーっていう便利屋をやってる人を知りませんか?」
「ん? 『なんでもシスキー』のシスキーのことか?」
一瞬なんのことか理解できなかったが、おそらく探し求めている人物のことだとわかった。
「…はい、そうです! 彼はどこにいます?」
「どこにいるって…。あいつならいっつも街中を走り回って何かしてるぜ。ハッハッハ、たぶんどっかで待ってりゃそのうち向こうから現れるよ」
アキラはその男にお礼をしてもう一度大通りを見渡す。地面に倒れている人もいれば、女を口説く男もいる。食べ終えたゴミを地面に投げる人もいれば、黙って新聞を読んで壁に寄りかかる男もいる。治安が悪いのもそうだが、自由な街という印象をアキラは受けた。そしてそれはシスキーに対してもそのようなイメージを植え付けてしまうこととなるのだが、これが結果的に正しい推測であるとはアキラも思わなかっただろう。
「あ、おい、ここに電話すりゃ一発だよ」
先ほど情報をくれたヒゲ男がアキラにそういいながら一枚のヨレヨレのチラシを渡した。そこには『なんでもシスキー』の文字と、電話番号とメールアドレスと住所が地図で記されていた。地図の場所で考えると、この便利屋は都市カボルの中心部の北東よりの場所にあることがわかる。
「ありがとうございました」
「おうよ、ちょっと待てや」
「…!!」
礼をしてその場所に向かおうとしたアキラを呼び止めるヒゲ男。振り返ってその男を見ると、その手には小型拳銃があった。銃口はアキラの頭部を向いている。周りの人々は、まるでそれが日常茶飯事であるかのようにまったく気にしていない。その男を止めようとする人さえいない。ヒゲ男はニヤリと笑いながら言う。
「情報はやった…。坊主、この世はギブアンドテイクだぜ? 金を出せや。出せないなら命をもらおう」
(どこにでもいるんだな、こんなやつ)
アキラはそう思いながら右手を太刀の持ち手へ持っていく。もちろん金など払うつもりは毛頭ない。アキラが太刀を鞘から抜こうとする様子をみて、銃の引き金に指を入れヒゲ男が叫ぶ。
「まだガキのくせしてそんな武器持ちやがって! 生意気な―――」
「―――疾風突き!」
太刀は鞘から抜かれ、瞬時に眼前のヒゲ男の腹部と銃を持つ腕を斬りつけた。
「おアアアッ!!」
悲鳴と共に拳銃が地面に落下し、ヒゲ男は手首から血を噴出しながら倒れた。この太刀の切れ味は悪魔的と表現するのが最も相応しく、軽く斬るだけで深い傷を与えてしまう。これは無法地帯の盗賊の盗品をアキラが回収したものである。倒れながらも呻くヒゲ男を見下ろし、太刀を鞘に納めながら言う。
「本当に情報ありがとうございました、っと」
アキラが恐怖を感じたのは、ヒゲ男が倒れても誰一人こっちに関心を持って視線を送るものがいないことであった。この街は異常だ。エルド村しか知らないアキラにとってこの体験は恐怖でしかなかった。アキラは正義感が強い。悪を絶対的に許さない性格である。殺しはしないが、問答無用で悪人には攻撃を仕掛ける。普段は明るく礼儀正しい青年であるが、戦闘となるとまるで別人のようになってしまうことに本人も気付いており、そこを直したいと思っている。
「さてと」
チラシを見ながら大通りを東に歩き出す。その時、誰もアキラのことを見ていなかったはずなのにどこからか視線を感じた。無法地帯の盗賊との戦いで磨かれた野生の勘が反応したのだ。それは、頭上から。
「おい、おれから仕事とるなよー! いま
「…? だれ、ですか?」
アキラの隣の建物の5階辺りから一人の青年が飛び降りてきて言った。赤と金が混じった髪をしており、皮膚の色が日焼けしたように茶色い。青のジャケットを上裸に着用しており、短パンを穿いている。緑色の瞳をしている。なぜか『アキラはこの男にはじめてあった感じがしなかった』。アキラの質問に、青年が答える。
「え。おれのことしらねーの? なんでもシスキーってこの街じゃ結構
「し、シスキー!?」
********
都市カボルの中心広場。この広場は、中央の地面に直径10メートル程の円が描かれている。その円の中に向かいあう二人の男。そしてその円の周りには大勢の観客が歓声をあげている。向かい合う二人のうちの一人が地面に倒れこんだ。傷だらけだ。すると円の傍で椅子に座ってマイクを持つ男が叫ぶ。
「きまったアーーー!! 勝者はリゼル選手! これで8連勝目だアーーー!! 誰もこの男の連勝を止まられないのか!?」
この広場は闘技場広場。常に誰かと誰かがここで戦闘を繰り広げている。どちらが勝つかの勝敗にベットを観客にさせることによって利益を出している。リゼルという男は、足に特殊な装甲をはめている。黒髪で長髪、後ろで髪を束ねている。まだ若いだろうか、歳はアキラ達と同じくらいのようだ。リゼルの前の敗れた男がどけられ、次の挑戦者が円の中に入った。
(今の俺がどこまで通用するのか…ここで試す!)
「次なる挑戦者!! 名を、ライド! さァ、リゼル対ライドのベットを開始します!!!!」
リゼルの前に立ちはだかるのはなんとライドであった。ライドは長剣を鞘から抜く。
「あんた、これまでの雑魚どもとは一味違いそうだ。楽しませてくれよ!」
そう言うリゼルを無視して、ライドは武器を構えて睨みつける。実況者が叫ぶ。
「ベット終了!! はじめええ!」
その声と共に走り出したのはリゼル。ジャンプして右足を大きく引く。蹴りが来る。そう確信したライドは、リゼルに向かって右方向にしゃがむ準備をしつつ長剣を引いた。
「鉄蹴!!」
まるでボールを蹴るように空中からライドの左肩を勢いよく蹴りつけたリゼル。しゃがみきれなかったライドは、左肩を大きく後ろにふっとばされる反動をとっさに使い、右腕の長剣で力強く空中のリゼルを斬りつける。
「ぐああっ!」
そのまま地面に倒れこむリゼルにライドは左手を向ける。リゼルは傷を抑え、ライドに睨みつけるが、度重なる戦闘の疲労で身動きがとれない。ブツブツと数秒呟いたライドの左手には魔力が集う。
「……メラゾーマ!!!!」
そう叫んだのと同時に炎の塊がリゼルに直撃し爆音が響いた。炎に包まれながらリゼルは仰向けに倒れこんだ。観客たちはザワザワと騒いでいる。
「あの青年、ほぼ無詠唱であれだけの威力の魔法を…」
全ての魔法には詠唱が存在する。詠唱時間はそれぞれの魔法によって異なるものの、完全に詠唱を終えて放つ魔法の威力が本来の魔法の威力である。それに対し、詠唱を途中で終える、もしくは無詠唱で魔法を放つと完全詠唱の時の威力の半分以下にまで威力が落ちてしまう。今ライドは、詠唱をほぼしない状態で魔法を放った。倒れたリゼルの服が燃え、少し腰部分が見えたときライドは見た。
(…477?)
リゼルの腰には数字で477と刻まれていた。それが何を意味するのかはわからないが、ライドは違和感を感じ取っていた。実況者が何かを叫んでいる最中、観客席から二人の男が現れ、リゼルの元に駆け寄る。
「おい、リゼルトード。しっかりしろ!」
「リゼルトード、ファルマ、帰るぞ」
「はっ、クリス様」
二人はリゼルを抱え込んだと思ったら、一瞬で目の前から消えた。ワープ魔法であろうか。消える寸前、銀髪のクリスという少年がライドをじっと見ていたことにライドも気が付いた。
自分の力を試せた達成感からか、実況の声など無視して広場から出るライド。左肩に受けた一撃がかなり痛む。内出血をして真っ赤になっている。その時、ふと建物の看板に目をやった。
【なんでもシスキー】
そう書かれていた。シスキー。本来の目的を思い出したライドは、その建物の中へと入る。中は汚く、書類や段ボール箱が乱雑にあちらこちらに置かれている。その部屋にはアキラと赤と金の色の髪をした青年、そしてクロスの姿があった。
「あ、ライド! こいつがシスキー」
「どーも! ライド! よろしくな! クロスさんとアキラから話は聞いてる! 特攻
ケガをしてテンションが落ちてるライドは、そのシスキーのテンションについていくことができないでいた。