ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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第三章【覚醒】
第三十九話 「死の二流部隊へ」


 

 

「それじゃ、元気でなお前ら(おめーら)! 1年間楽しかったぜ!」

「俺もだシスキー。必ずまた会おう」

「抜かしてやるから待っとけ」

 

 翌日午前8時。特攻部隊Mを抜けたアキラ、ライド、シスキーの三人。隊長であったカイラスも特攻部隊Pへと昇隊が決まった。ザンは特攻部隊Mの隊長へ、ユースはそのまま変化無しとなる。カイラス達にも挨拶を終えるとシスキーは一番早く部屋を出て行った。ライドがアキラに言う。

 

「あいつがいなくなると静かになるな」

「泣きそうになってんの? ライド」

「馬鹿言うんじゃねえよ。こんなの屁でもねえぜ」

 

 ライドはそう言いながらも、村を出てから初めてできた友達であるシスキーの存在を惜しんでいた。その様子を見ながら微笑むアキラ。するとザンが言う。

 

「ほらお前ら二人も早く出てけ~! ここは俺が隊長を務める特攻部隊Mの部屋になんだぞ!」

「そうだ、出てけ出てけ…」

「…行くとするか」

 

 ザンとユースの言葉に反応したカイラスが車椅子で部屋から出て行く。そしてアキラ達もザン達に挨拶を終えると部屋を出る。これでもう彼らは特攻部隊Mに戻ることはない。今日から彼らの新たな特攻部隊の生活が始まるのだ。アキラとライドが配属されるのは二流部隊の中堅クラス特攻部隊R。ちなみにシスキーは1個上の特攻部隊Sへ昇隊を決めた。

 

 

 二人は特攻部隊Rの部屋に直接来るように連絡を受けていたため、金奏城内を歩いていく。特攻部隊Rの部屋は東塔8階に存在している。光軍決闘大会を終えた後ということもあって、多くの部隊の隊員達が部隊異動のために城内を走り回っている。ちなみに二流部隊に上がったため、アキラ達は金奏城の地下5階から地上10階までの全フロアへの立ち入りが許可される。二人はエレベーターを使い東塔8階へ到着した。すると目の前に大きく『R』と書かれた扉が現れた。前回の特攻部隊Mの時のようにこの東塔8階は全てこの部隊のエリアとなるのだ。この扉を開ければ、新たな生活が始まる。深呼吸をしたアキラをよそにライドがノックをして扉を開ける。

 

「どうも、です」

 

 まず目に飛び込んできたのは一人一人のスペースが部屋で仕切られている様子。さらには部屋の至る所の設備が三流部隊時より豪華になっていた。部屋にいたのは三人の隊員達。そのうち一人は『R』と書かれたマントを羽織っている。その男が口を開く。

 

 【光軍・特攻部隊R隊長『鉄の雨』 レイン・リック(12213年入隊)】

「来たか瞬足と魔法戦士! よろしくな。俺は特攻部隊Rの隊長をしてるレイン・リックだ」

 【光軍・特攻部隊R《新》隊員『瞬足』 アキラ・ロドルフ(12217年入隊)】

「俺はアキラ・ロドルフです。お願いします」

 【光軍・特攻部隊R《新》隊員『魔法戦士』 ライド(12217年入隊)】

「魔法戦士って異名普通すぎねえか? 俺はライド。よろしく」

 

 隊長レインは5年前(12213年)に特攻部隊に入隊。腰には二本の鞭が装備されており、細身ながらも筋肉質の身体をしている。するともう一人の男がアキラ達の前にやって来て口を開く。

 

 【光軍・特攻部隊R隊員『暴騎士』 ハルト(12213年入隊)】

「私はハルト。君達二人の活躍は聞いてるよ。よろしくね。それとそこのベッドで落ち込んでるのが―――」

 

 槍を装備し、淵の細いメガネをかけたハルトが指差した先には、ベッドの上で体育座りをして落ち込んだ様子の男。しかしアキラとライドはこの男に見覚えがあった。そして特攻部隊Rということもありすぐに納得する。落ち込んだ様子の金髪で大柄の男は、アキラ達の存在に気付くとすぐに立ち上がる。

 

 【光軍・特攻部隊R隊員『臆病者のバケモノ』 パルシッド・リック(12213年入隊)】

「俺は…パルシッド・リック。よろしく…」

 

 するとすぐにレインが言う。

 

「パルシッドは俺の弟でよ。魔法は強いのに、あまりに気が弱すぎるから昨日の試合で負けて自信を無くしちまってるんだ。しばらくそっとしておいてくれ」

「…なるほど」

 

 苦笑いをするアキラとライド。やがてパルシッドは再び体育座りを始める。昨日の光軍決闘大会第九回戦でシスキーに負けてからずっと落ち込んでいるのだ。これでアキラ達も含めて隊員は5人。しかし特攻部隊Rにはもう一人隊員が存在する。パルシッドをじっと見つめていたアキラとライドの背中を突然何者かが強く叩いた。

 

「!!」

「よう!」

 

 咄嗟に振り返った二人の前にいたのは黒髪で紺色の服を着た青年。喜びに満ちたその表情を見て、アキラとライドは同時に叫ぶ。

 

「ペド!!!!」

 【光軍・特攻部隊R隊員『氷撃』 ペド・マーカー(12217年入隊)】

「まさかお前ら二人がうちに来るなんて思ってもいなかたったぜ! ひっさしぶりだな、元気してたか~?」

「お前が元気過ぎんだろ」

 

 入隊試験以来に再会したペドは1年前よりも少し大人びた印象を受けた。さらにあの時よりもかなり成長したようにも見える。それはアキラとライドも同様であるが。ライドが言う。

 

「ペド、お前俺らよりも上の部隊にいたのか」

「まぁ俺もこの特攻部隊Rに来たのは二ヶ月前くらいだぜ。いやぁ嬉しいな! 久しぶりの再会だ! どうだアキラ、いっちょ勝負すっか!? 二流部隊なら地下五階の練習部屋も使い放題だぜ?」

 

 再会にテンションの上がるペド。その元気さに笑ったままのアキラとライド。するとレインが言う。

 

「なんだお前ら知り合いだったのか。勝負はこの二人に説明を終えた後にしてくれ」

「え、俺ペドと試合したくねえよ~」

「嫌なのかアキラ…ガーン」

 

 アキラの一言にパルシッド同様落ち込んで体育座りをするペド。ライドがレインに合図をする。

 

「…じゃ静かになったし説明始めんぞ。まずは二流部隊昇隊おめでとう! これからは金奏城の地下5階~地上10階まで自由に行き来可能だ。次に特攻部隊Rの役割は『特攻』って言って戦争時は真っ先に敵地に突撃し戦地を荒らす、戦況を大きく左右するものだ。ちなみにこれは特攻部隊Zと同じ役割でもあるんだけど、この役割で何が重要かっつーと『チームワーク』と『判断力』そして『実力』だ。この3つを高めていく事こそがうちの部隊の役割を果たすポイントになる! それとこれを…」

 

 レインはそう言うとアキラとライドに『R』と書かれた特攻部隊R隊員である証となる腕章を渡す。まだ『M』の腕章を外してなかったアキラ達は急いで外し、もらった腕章に付け替えた。これをつけることで自分達が二流部隊に上がったという自覚も沸いてくる。そしてレインが続ける。

 

「二流部隊(OPQRSTU)に上がるのに必要だった☆数は500だったが、一流部隊(VWXY)に昇隊するには☆7000が必要となる。超一流部隊(Z)に昇隊するには☆以外に様々な条件が必要なんだがそれは各自調べてくれ。それと、二流部隊以上になると格段に任務難易度が上がる。死傷者が最も出やすいと言われるが、実際のところはそんなことはない。けどこの二流部隊の異名としては『死の二流部隊』っていうくらいには危険が多いことを覚悟しておいてくれ」

 

「覚悟なら特攻部隊に入った時からできてるよ」

「ああ」

 

 アキラとライドがそう言うとレインは少し微笑む。横で話を聞いていたハルト、並んで体育座りをしていたペドとパルシッドが同時にアキラ達の方を見る。そう言ったアキラとライドの表情には確かな覚悟が宿っていたのだ。

 

「頼もしい限りだ。話は以上だ、これからよろしくな!」

「はい!」

 

 レインはアキラ達を握手を交わす。その時にアキラは確信していた。レインは強い。そして周りにいるハルト、パルシッド、ペドもかなり強い。ここで自分達がやっていけるのか、少し不安な思いもあったがそれをすぐに自分で打ち消す。

 

(上等だ。行ってやるよ、死の二流部隊へ!)

 

 ライドも高鳴る自分の鼓動を感じていた。もう彼は自分の失った記憶を取り戻すことではなく、アキラと同じ様に大陸の平和のために自分の力を尽くすことを目的として動いていた。

 

(アキラ、お前に俺は一生ついていく)

 

 するとパルシッドの隣で体育座りしていたペドが言う。

 

「なぁパルシッド、アキラの代わりに俺と勝負してくんね?」

「え…もうしばらく勝負はしたくないよ…ごめんペド」

「ガーン! 二回も振られた…俺はもう終わりだ」

 

 そう言って再び体育座りを再開するペドとパルシッド。その様子を見て笑う他の全員。しかし、やがてこの部隊は壮絶な戦闘を迎えることになるとは誰も思ってもいなかった―――。

 

 

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