ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<登場人物紹介>>
  『臆病者のバケモノ』パルシッド・リック
性別:男  年齢:23歳  所属:ライトレイ王国
武器:クロスボウ 特技:魔法全般
 特攻部隊R隊員。5年前(12213年)に特攻部隊に入隊。レインの双子の弟。
 臆病でネガティブでドジな性格だが、魔力操作技術は光軍トップクラスである。
 12218年の光軍決闘大会においてシスキーに敗北した。


第四十話 「『鉄の雨』レイン・リック」

 

 ―――アキラとライドが特攻部隊Rへ昇隊してから3日後の朝。特攻部隊Rの部屋に隊長レインの声が轟く。

 

「来たぞ!」

 

==========

 任務依頼  対象:特攻部隊R(計6人)

概要:街を占拠する盗賊団を殲滅せよ。

場所:ライトレイ王国領リバーウォーク

難易度:BBB級

==========

 

 早速舞い込んできたものは任務依頼。全隊員がレインが机に置いた紙に目を通す。この任務場所となるリバーウォーク(挿絵参照)はライトレイ王国西部に位置する、王国領内で最も大規模な都市である。ラギ帝国領との国境に近いこともあり、護衛部隊の重要監視下に置かれている。なので常識的に考えれば治安は良いはずではあるが―――

 

「―――そんなリバーウォークに突然現れた無法地帯出身『ブルー盗賊団』が護衛部隊を追い出し、街を占拠したと。んで俺達がその駆除にあたれ、ってことよ」

 

 そう言い放ったレインにライドが問う。

 

「それはわかったけどよ、そんな盗賊団を俺ら6人だけで壊滅できんのか?」

「だから難易度BBB級なんだぜライド。これは何が何でも俺らだけでこの依頼はクリアしろって司令部からの指令! 元々無法地帯にいたやつらはライトレイ王国の国民なわけだし、国内の問題にそんな戦力を割いてる余裕はないんだろ」

 

 ライドの問いに答えたのはペドであった。すると横にいたアキラが口を開く。

 

「確かに今朝、中央塔15階司令部入口の掲示板にいくつも魔軍・無軍に関する任務が貼られてた。他の部隊も忙しそうだったよ」

「…一つ私には気がかりなことがあるんだが、無法地帯からリバーウォークまで大陸を横断する程に相当な距離があるはずだ。まぁ考えても仕方ないか」

 

 ハルトはそう言うと自分の武器である槍を背中に装備する。それを見るとアキラ達も武器を持ち、出発する準備を終える。まだ落ち込んでいるパルシッドも渋々立ち上がりクロスボウの残弾数を確認し装填した。アキラとライドにとっては初めてとなる二流部隊の任務。彼らが経験したことのないBBB級難易度の任務となるが、そんなことはアキラは気にしていなかった。『R』と書かれたマントをばさりと翻したレインの顔つきが変わる。

 

「行くぞ」

 

 

▽▽▽▽▽

 

 ―――午前11時。金奏城を出発してから3時間以上が経過。大陸西部イビイ砂漠で右方にワルファ遺跡を見据えつつ、特攻部隊Rは光軍領リバーウォーク近くの城壁へと到着した。通常では考えられない程の速度で走ってきた彼らであったが、誰一人疲労のあまり倒れるといったことはなかった。脚力に自信のあるアキラはもちろんであるが、ライドも自分にかなりスタミナがついてきていることを実感していた。目の前にあるライトレイ王国の城壁の高さは30メートル以上はあるだろうが、城壁の一カ所に4メートル平方程度の門がある。これは魔法によって頑丈に補強された門であり、特殊な鍵を持っていなければ開閉は不可能。レインが腰につけた鍵を門に差す。

 

「この門の向こうはリバーウォーク。今どんな状況になっているかはわからないが、住民たちは避難済みだ。つまり街に存在してるのは盗賊、敵として認識しろ。ブルー盗賊団の規模は未知数だが恐らく50人もいないだろう」

「了解!」

 

 返事を確認すると鍵を回転させるレイン。ガチャリと音がしたと同時に門を強く押して開く。彼らの目の前に広がっていたのは人気の無いゴーストタウンのような巨大な都市。まるで都市カボルのように20メートル以上の建物が乱立しているが、街全体の大きさは都市カボル以上。そして昼間なのに全く物音がしないことが逆に不気味であった。

 

「…恐らく街の中心部に盗賊団のアジトがあるはず。任務目的は敵の殲滅、盗賊団の壊滅だ。つまり敵は見つけ次第全員捕縛するか再起不能にするんだ」

 

 小さな声でそう言ったレインに次いでアキラ達も門をくぐって無音のリバーウォークへ侵入した。門の施錠を終えた隊長レインを先頭にして6人は固まった態勢で街をゆっくりと進んでいく。左右には人のいないビルが立ち並び、幅10メートル程の彼らが歩く道は真っ直ぐ150メートル程続いている。突き当たりには何やら巨大な建物が見える。

 

「ほんとにこの街に誰かいるのかな? 全く人の気配しないけど」

 

 パルシッドはそう言いながら横の建物の内部を覗き見る。住民が避難してから数日経過しているようで、既に一部の建物には荒らされた形跡がある。臆病なため、道を歩きながら左右の建物の上層階の窓などを全て人がいないか確認しているパルシッドの様子を見てハルトが言う。

 

「ほんと君は臆病だね。もう試合のショックからは立ち直った?」

「いや…正直まだ…」

 

 その返答を聞いて苦笑いするアキラ。対して横で爆笑するペド。

 

「プハハッ! パルシッド引きずりすぎだろ! お前の体育座りで笑い過ぎて腹筋痛いわ~」

「ペドうるさいぞ」

「…へい隊長」

 

 レインの一声で黙る。そんな中ライドは少し違和感を感じ始めていた。どこからか視線を感じる。前方?後方?それとも左右の建物の中から?そんな疑問をレインも同様に感じていた。しかし確証はない。ただ、視線を感じる気がするだけにすぎない。

 

 かれこれリバーウォークへ足を踏み入れてから100メートルは進んだだろうか。あと50メートル程で巨大な建物に突き当たりT字路へ出るだろう。ペドが小さな声でパルシッドを馬鹿にして笑う声が、先頭にいるレインとアキラにまで聞こえていた。ライドはその後ろ、ペドとパルシッドがライドの後ろ、ハルトが最後尾という順で並んで歩く。しかしその時、

 

「ピピッ」

「!?」

 

 微かな機械音が全員の耳に届く。動きを止めた6人は同時に辺りを見渡しつつ、武器に手を添える。周囲に異常は無い。顔面蒼白になるほど怯えるパルシッド。機械音が聞こえてから10秒経過しても何も起こらない。

 

(気のせい、か…? いや全員が聞こえたんだ。何が起きた?)

 

「進むしかないですね」

「…ああ」

 

 アキラの言葉にそう返答したレインが歩き出すと、他5人も動き始める。T字路まであと20メートル。辺りをビクビクしながら見渡して警戒するパルシッド。心なしか先程よりも全員の歩の動きは遅くなっていた。するとパルシッドが口を開く。

 

「あ!」

 

 その一文字で全員の動きが再び止まり、視線が彼に集まる。パルシッドの左手の人差し指は、彼らの左の建物の上の方を指していた。瞬時にその指差す方を全員が向くと、建物6階の窓からこちらを覗いていたのは機械仕掛けの魔物メタルハンター1体。6人の視線が集まったのと同時に再び、

 

「ピピッ―――」

 

 響く機械音。音の源を確認した6人に向けてメタルハンターは左腕のボウガンの矢先を向けた。

 

「メラゾーマ!!」

 

 魔物が矢を放つ前に、ライドの手から放たれた炎球が建物6階の窓を超えメタルハンターの顔面に直撃し爆発を起こす。魔法を唱えようとしていたパルシッドは思わず先を越されたライドをジロリと睨む。レインは舌打ちすると言う。

 

「また派手にやりやがって…」

「あの兵器ってラギ帝国軍が使ってたやつじゃ?」

 

 アキラがそう言った時、20メートル先のT字路に4人の盗賊が現れた。今のライドの魔法の爆音によって盗賊に気付かれたのである。

 

「おい今の音、侵入者だ!」

「あれは…ライトレイ王国の特攻部隊!」

 

「ほら派手にやるから気付かれる…反省しろよライド」

 

 レインはそう言うと腰に装着していた二本の鞭を両手に持ち走り出す。すぐに太刀を抜いたアキラと長剣を握ったライドも走り出そうとしたが、その前に立ちはだかるペド。不思議そうな顔をした二人に言う。

 

「あんくらいの雑魚なら隊長に任せて大丈夫だぜ」

 

 アキラ程ではないものの、あり得ないスピードで迫ってくる特攻部隊R隊長レイン・リックの気迫に完全に押された盗賊4人であったが武器を持って構える。レインが持つ二本の鞭の根元は突き出された時にだけ長さが異常に伸びる特殊なゴムでできており、さらに鞭の先端は鋼鉄でできている。盗賊達との距離が10メートルを切った時にレインは鞭を持った両腕を大きく後ろに引き、素早く前に振り払う。

 

「螺旋打ち!!!!」

「なっ?!」

 

 波打つ鞭は目に負えない速度で盗賊達を激しく打ち付け吹っ飛ばす。吹っ飛ばされた盗賊達は後方の巨大な建物の外壁に激突し地面に落下し倒れた。その威力は絶大。鞭というよりもまるで巨人が腕を振り払ったかのような衝撃を与えていた。すぐに駆けつけるアキラ達。辺りに他に盗賊はいない。レインは鞭を腰に装着すると言う。

 

「けど恐らくこれで俺達の存在が盗賊団にバレちまった可能性は高い。いずれにしろバレるからいいけどよ…」

 

「これが特攻部隊R隊長、通称『鉄の雨』レイン・リックさんだぜ!」

「ペド、お前はまたうるさいぞ」

「…へい隊長!!」

 

 距離の離れた敵を一撃で一掃したレイン。アキラとライドはその強さを間近で見た事で気持ちが高まってきていた。

 

「さ、もう一思いにさっさと盗賊の駆除終わらせんぞ」

「了解!」

 

 

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