ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

45 / 57
<<登場人物紹介>>
  『暴騎士』ハルト
性別:男  年齢:24歳  所属:ライトレイ王国
武器:槍  特技:槍技
 特攻部隊R隊員。5年前(12213年)に特攻部隊に入隊。
 普段は温厚で真面目な性格だが、メガネを外すと狂暴な性格となる二重人格者。
 高い戦闘能力を持つものの、狂暴性から☆数は低め。


第四十四話 「王国最悪の犯罪者」

 

 

「元特攻部隊Z隊長…?」

 

 現在無法地帯に存在する犯罪の温床、巨大無法都市フリージムのトップに立つ男マーダイン・ブルーは3年前(12215年)まで特攻部隊Z隊長を務めていた男であった。彼が率いる盗賊団であるブルー盗賊団、その副団長であるゴイルが言う。

 

「その通り。団長は光軍のやり方が気に入らなくて辞めたらしい」

「それでマーダインは無法地帯で無法グループを作って何をしようとしてるんだ?」

「我ら無法グループ『ブルー』は光国にも無国にも、もちろん魔国にも属さない新たな『第四の勢力』として誕生したのさ。だが、何も三国と対等にやろうとは思ってねえ! 団長がやろうとしてる事はこの三つ巴の戦乱の今、勝ちそうな国に加わること。俺達はその同盟を結ぶ国を模索している所だ」

 

 それを聞いたレインが納得した表情を見せる。相変わらずアキラとペドの二人はポカンと口を開けたままだ。双剣を持ったままのゴイルを睨み、レインが口を開く。

 

「…要はその無法グループの一つの組織であるお前らブルー盗賊団が、今回ライトレイ王国とラギ帝国の国境付近にあるこの都市リバーウォークを占拠して両国と交渉でもしようとしてたってことか」

「あんた物分かりいいな。仲間に入るか?」

「……」

 

 ゴイルの提案を無言で返答したレインは、武器に一度も手を触れることなく倉庫の入り口の方へと戻っていく。それを追いかけようとしたゴイルの前に立ちはだかるのは青年二人。二人だけの力でやってみろ。その命令を守るアキラとペドは、武器を持って構える。ペドとアキラが言う。

 

「隊長との話は終わったみてえだし、次は俺らと遊ぼうぜ?」

「悪いけど、あんたは何もできないで終わるよ」

 

 眉間にしわを寄せたゴイル。

 

「ガキがっ…部下の敵は取らせてもらうぞ!」

 

 そう言って走り出したゴイル。両手に持った双剣を後ろに引いた状態でアキラへと迫る。二人の間が2メートル程に縮まった時、アキラが強く地面を蹴って真上へ跳躍。思わずそれを目で追い、自分もジャンプしようと足に力を入れた時、

 

「足払い!」

「ぐおっ」

 

 ペドの棍がゴイルの両足を薙ぎ払う。あまりダメージはないものの、地面にドサリと倒れる。それと同時に地面に転がり落ちた双剣を拾おうと手を伸ばすが、

 

「降下神聖!」

「?!」

 

 頭上からものすごい勢いで落下してきた光魔法を纏ったアキラの一太刀を腹部にまともにくらう。噴出する血。悲鳴を上げる暇もない。咄嗟にクルリと地面を転がりアキラと距離をとって立ち上がったゴイル。そこにペドの声が轟く。

 

「アキラ、どけー!」

 

 背後から聞こえたその声に従い、素早く横に避けたアキラ。血だらけで立つゴイルに向かって棍を振り回しながら走るペドは棍の両端の鋼鉄の部分に魔力を纏わせる。回避をしようと身体を動かすゴイルであったが、

 

「氷結乱撃!!!!」

「ッ!!?」

 

 ペドの氷魔法を纏った素早い連続攻撃が顔面、腹部、胸部に直撃していく。棍が直撃した部分は微かに凍り付き固まっている。棍の怒涛の連続攻撃になす術もなく後方へ吹っ飛ばされたゴイルにはもう既に意識は無かった。壁に激突。ドサリと地面に落下して動かない。

 

「っしゃ!」

 

 ペドとハイタッチを交わすアキラ。と言っても一番良い所はペドに持っていかれたので不服の表情である。喜びの感情に浸る二人の所に、ガチャンと音を立てて鋼鉄の手錠が放り投げられた。投げた主はレイン。

 

「…勝利の喜びに浸るのはいいが、そいつに手錠してくれ。城に連行する」

「えー…へい隊長」

 

 渋々アキラとペドは気絶中のゴイルの両手に手錠をはめ、引きずって倉庫の入り口まで戻る。光軍が使うこの手錠は魔力の使用を一切封じる特殊な鉱石を使用して作られており、はめられた時点でどんな人間であろうと力を出す事ができなくなる。というのも魔力は全ての人間が持っているもので、これを封じられると力を入れる事が不可能となるからだ。

 

「おいアキラ。こいつ運ぶの10分交代な?」

「30分でいいだろ?」

「ざけんな、意外と重いぞ? 筋トレになるくらいだぜ」

「じゃあ間とって20分」

「んー…おっけ。隊長時計で計っててください」

 

「わかったよ、仲良いなお前らは。んでパルシッド達は何してんだ」

 

 レインはそう言いながらも腕時計のタイマー機能で20分に設定していた。ゴイルを背負うペドに対して、手ぶらで楽そうに歩くアキラがレインに問う。

 

「…マーダインって人について詳しく教えてもらっていいですか? 元特攻部隊Zの隊長ってことは相当強い人だったんですよね?」

「ああ。マーダイン・ブルーは『処刑人』の異名を持つ程多くの敵を殺めた実力者。9年前(12209年)に特攻部隊に入隊し、3年前(12215年)に特攻部隊Z隊長へ就任した。今特殊部隊にいるディーンさんの同期になる。実力はあったが『できる限り敵を殺さない』という王国の掲げる目標を守れず、敵対する全ての敵の命を落としていたため司令部から違反行為の警告を受けていたと聞いている。隊長へ就任したその年、任務中に特攻部隊Zの隊員ワーグ・ライバーを殺害し、逃走。そして現在は、無法都市フリージムで無法グループを立ち上げてるって感じか」

「それは王国最悪の犯罪者になりますね…」

 

 黙って頷くレイン。詳しい話は城に連行し、ゴイルを尋問して聞き出すだろう。何はともあれ光国が探し求めていた人物の手がかりを得る事ができたため、今回の特攻部隊Rの手柄は大したものである。

 

 そうこう話ながら歩く事15分程度。レイン達三人は、パルシッド達チームBと別れた分岐点の道へ到着した。ゴイルを背負ったままのペドだけ疲労困憊の顔をしていたが、誰も気にしない。するとそこにはパルシッドとハルトの2人の姿があった。

 

「あ! 兄さん!」

「やっと合流できたな」

 

 しかしそこで疑問を抱いたレインが二人に問う。

 

「ん? ライドはどうした? ってかお前ら何してた?」

「えっと、ライドはまだ無戦士と戦ってて、俺とハルトはもう片付けたんだけど、その…」

「無戦士ってお前、ラギ帝国軍がいたのか!?」

 

 再び問うレイン。答えようとするパルシッドであったが焦って何から伝えるべきか整理がついていないようなので、横にいたハルトがメガネの位置を指で直すと口を開く。

 

「ええ。確認ですが、隊長達は盗賊を殲滅できたんですよね?」

「ああ」

「私達3人はあれから、ラギ軍に遭遇して戦闘をしていました。無軍はこの街に来たばかりのようで、どうやら盗賊達を使って戦闘の実験でもするつもりだったようです。とりあえずライドが戦っている者と、もう1人上司ライジン以外の無戦士は全て倒しておきました」

 

 それを聞いて納得するアキラ。この都市に入ってから見たあのメタルハンターは、やはり無軍の所有物であったのである。レインもハルトの分かりやすい説明で全ての状況を把握した様子だ。つまり残るのは、ライドの帰りのみとなる。さらに見つけ次第、ハルトが戦闘したクロムの上司であるライジンを排除する。

 

「ってちょっと待て、ライジンって無軍四大将軍の一人じゃねえか?」

 

 レインがそう言った時、すぐ後ろの建物の屋上から何かの衝撃音が響く。全員咄嗟に音のした方を見上げると、建物の屋上から1人の人間が落下してきたのが見えた。それが血だらけのライドであることにいち早く気付いたアキラは、無意識のうちに大ジャンプして空中でライドを両手で掴み、地面に着地する。

 

「ライド! 大丈夫か!?」

「がはっ…あいつ…許さねえ」

 

 吐血しながらもまだ動こうとするライドを抑え、レインが屋上をじっと見つめる。するとその上空で足から出すジェットによって空中に滞空する無戦士がいた。先程までライドと戦闘を続けていたハルルドである。どうやら彼がライドを屋上から蹴り落したようだ。思わず鞭を二本とも持ち、口を開こうとしたレインであったが、その前にハルルドが言う。

 

「あなたとの勝負、楽しかったですがお預けにしましょう! ライジン様から『玩具が無くなったから帰るぞ』との連絡がありましたので、私はこれにて失礼します。また会う日まで」

「くそ…待ちやがれ!」

 

 そう叫びながら立ち上がったライドであったが、ハルルドは無視してジェットを噴射し都市の北の方へと飛行していった。レインは鞭を腰に装着する。アキラ達も武器をしまい、一息つく。するとペドがレインに聞く。

 

「無軍の四大将軍ってのは一体…?」

「ラギ帝国の皇帝デアディン、その下につく実力者四人のことだ。どいつもこいつも身体にえげつない改造施して、人間離れした能力を駆使してくる強者だと聞いてる。今の奴の上司のライジンもその一人」

 

 アキラに傷の応急処置を行ってもらいながらの状態でライドが言う。

 

「…あいつら人間じゃできない動きで平然と攻撃してくる。手強いな」

「ライド、お前負けたのかよ! ダッサ」

「ペド、てめえ後で殺す。まだ決着ついてなかったんだよ」

「ひぃ怖い怖い」

 

 ペドを睨み続けるライド。全員、かなりの数の敵を相手にしていたので疲れている様子であった。ハルトもパルシッドもペドも座り込んで休んでいた。レインも座ろうとした時、突然辺りに機械音が鳴り響く。

 

「ピピピピッ! ピピピピッ!」

「!? なんだ敵か!?」

 

 休んでいたパルシッドがビビりながら立ち上がった。ハルトも戦闘態勢に入る。しかしその音はレインの腕時計のタイマーから鳴っていた。20分経ったのである。ゴイルをアキラの方へ持ってきたペドが言う。

 

「さ、アキラ交代の時間だぜ~! プハハッ、ってか今のパルシッドのリアクションくそ面白かったな!」

「ペドうるさいぞ」

「へい隊長」

 

 静かにタイマーをオフにしたレインは、これから一生ペドのためにタイマー機能を使わない事を誓ったのであった。無事任務を完了した特攻部隊Rは、城に帰還するために立ち上がる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。