ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<登場人物紹介>> 
  『処刑人』マーダイン・ブルー
性別:男  年齢:30歳  所属:無法グループ「ブルー」
武器:?  特技:?
 無法グループ「ブルー」総帥。
 3年前(12215年)特攻部隊Z隊長時、隊員を殺害し除隊処分を受け、無法都市フリージムを築く。
 第四の勢力を作り、大陸を巡る三国の均衡を崩す事を目的とする王国最悪の犯罪者。


第四十五話 「人数揃ったもんで」

 

 

 金奏城へ帰還した特攻部隊R。城の中央塔15階にて連行したブルー盗賊団副団長ゴイルを司令部に引き渡す。この中央塔の16階から20階の5フロアは司令部以外許可なく立ち入ることは禁止されている。上階へ続く階段の前の巨大な扉の前のカウンターで受付をしているのは総司令官の第二側近ソスティーヌ。

 

「隊長のレインさん率いる特攻部隊Rの皆さんですね。任務お疲れ様です。何か御用でしょうか?」

 

 ペドが背負ったゴイルの指差してレインが言う。

 

「ソスティーヌさん、こいつを牢獄にぶち込んでほしいんだが…」

「…なるほど。ちょっと待ってて下さいね」

 

 ソスティーヌはそう言うと司令部へと電話をかけ始める。ゴイルは既に意識を取り戻しているが静かに黙ったままだ。かなり弱っているのであろうか。目は虚ろの状態だ。もはや暴れる元気もない様子。ペドがアキラを睨んで言う。

 

「アキラ…おめえほとんど俺に持たせやがって…許さん!」

「良い筋トレになっただろ?」

「ふざけんな」

 

 ハルトもライドも任務を終えて疲れている様子だ。ペドとアキラの会話を見ていて話に入る気も起きない。電話を終えたソスティーヌ。すると16階へと続く階段への巨大な扉が開き、一人の男が出てきた。

 

 【ライトレイ王国国王兼総司令官第三側近 オルフ・リゲイ】

「お待たせさん。そしてお疲れさん。特攻部隊Rの皆さん。そして俺はグリウズンさんの第三側近のオルフ、33歳よろしく」

 

(なかなかの韻踏んでやがる…)

 

 ライドにはツッコミをする気力もない。オルフはゴイルを一目みてレインに言う。

 

「この度はどうも、任務対象のボスを捕縛してくれてありがたい。これであの犯罪者マーダインの情報を得る事ができる、感謝してるよ」

「いえいえ。礼には及びません。それでは」

 

 レインがそう挨拶すると、オルフはゴイルの顔面を一発殴る。

 

「がふっ!?」

「お前にはこれから聞かなきゃいけない事が山ほどある。行くぞ」

 

(オルフ…こえー)

 

 ペドがそう思ったのも無理はない。現在33歳で現役を退いた身であるオルフだが、元々は特攻部隊Zの隊員まで務めた事のある実力者。ちなみにソスティーヌは元々護衛部隊Vの隊員である。オルフはゴイルの胸倉を掴みながら、扉の奥にある階段の横のエレベーターに乗せる。このエレベーターは地下10階の牢獄フロアへ通じており、ゴイルもそこに収監されることとなる。ソスティーヌが口を開く。

 

「牢獄フロアでは、我が光軍が誇る尋問係の特殊部隊隊員クロスさんによる尋問が行わるでしょうね。あの人の前で嘘はつけません」

「クロスさん…なんで?」

 

 ペドが問う。それに答えるのはアキラ。

 

「クロスさんは『読心』って特殊体質持ってて、それで相手の感情の流れを読み取ることができるらしい。まぁ魔感の延長線上の能力らしいけど」

「へえー」

 

「それでは、帰るぞ」

 

 レインの掛け声で特攻部隊Rは中央塔15階を後にする。全員疲れ切っていたが、内心喜びの感情で溢れていた。というのも今回の任務は大成功であったため、得られる☆数も多いはず。この特攻部隊Rから超一流部隊である特攻部隊Zまで8部隊分昇隊しなければならない。アキラとライドもかなり上の部隊まで来ているが、ここからさらに努力しなければ上に行くのは難しくなっていくだろう。そのためには毎回与えられる任務で確実に結果を残し、さらに自分自身も成長していく必要がある。

 

 金奏城東塔地上8階の特攻部隊Rの部屋へ到着し、各自休憩をとる。現在午後18時。夕焼けが彼らの部屋の窓をオレンジに染める。任務を終えた後には各自それぞれが城内にある治療室で応急処置、回復魔法による傷口の手当などを行ってもらわなければならない。回復魔法は傷を完全に治すものではなく、傷口を塞ぐ身体の自然治癒力を高めるものに過ぎない。そのため処置を行った後もしばらく安静にしていなければならないのだ。

 

「ん、呼び出しだ。また隊長会議かよ、めんどくせーな」

 

 各部隊の部屋には1つずつ司令部からの呼び出し画面が用意されており、そこで任務依頼や隊長会議のための隊長の呼び出しを行っている。レインは立ち上がると部屋を出て行く。一週間に一回必ず行われる『隊長会議』には特攻部隊全26部隊の隊長と特殊部隊隊員の出席が求められ、そこで軍の今後の方針や各部隊の活躍などを発表し議論する。ちなみにこの隊長会議で部隊異動指令も下されることとなる。

 

「おいアキラ。ちょっと頼みたいことあるんだけどよ!」

「なんだよ、ペド」

 

 どこかに出かけていたペドがウキウキした顔でアキラに話しかける。部屋には現在、この二人とハルトとパルシッドしかいない。ハルトとパルシッドは疲れて寝てしまっている。ライドは部屋に戻って来てからすぐにどこかに行ってしまった。ペドが人差し指を一本立てて言う。

 

「これ、まだ何の事かは言えないけどよ! あと一人必要なんだ。お前の知り合いで、俺らよりも下の部隊の同年代の男とか知らねーか? いたら俺に教えてほしいんだけどよ!」

「は? 何の事だよ…そんなやつ―――」

 

 アキラの頭に咄嗟に浮かんだ人物はタイガーであった。なぜなら彼とはよく神隠しの情報をやり取りしており、すぐに連絡が取れるからだ。

 

「いるけど、特攻部隊Lのタイガーってやつ。それがどうした?」

「あ~…タイガーな。顔だけわかるわ、サンキュな! 楽しみにしとけよ~」

「?」

 

 ペドはニコニコしながらまだ部屋から出て行く。それを不思議そうに見つめていたアキラであったが、気分転換に自分も城内を散歩することにした。基本的に一度任務があった日から数日間は確実に任務は回ってこない。つまりこれから数日間は休みなのである。あまり傷も負っていないアキラは、せっかくなので城内を歩き回る事にした。

 

 

*****

 

 一方、ここは金奏城北塔10階。二流部隊から立ち入りが許可されるエリアである。このフロアはカフェとなっており、北側が全面ガラス張りとなっている。そのガラスに沿ってカウンター席が30席以上並んでいる。その端の方の席に、ブラックコーヒーを啜る特攻部隊R隊員ライドの姿があった。

 

「…ふぅ」

 

 大きく息を吐く。ガラス越しにガンドラ大陸を一望できるこの席に初めて座ったライドであったが差し込む夕日と広がる大地、中央に君臨するコロプス山脈、左手奥にはラギ帝国の天空城、右手奥には魔界の門へと繋がるベガキ樹海が広がるこの絶景に驚いていた。

 

(これが大陸…なんて美しい)

 

 彼は今回の任務で無戦士ハルルドに軽傷程度しか与える事はできず、決着はついていないにしても敗北したといっても過言ではない。二流部隊へ昇隊して早速味わった敗北に、彼は覚悟を決めていた。間違いなく言える事は、敗けた者こそ強くなる可能性を得られるということ。ライドはこれまで特攻部隊隊員として1年以上過ごしてきているが、自分の失った記憶の手がかりを全く手に入れることはできずにいた。しかし、

 

(俺は7歳の時つまり11年前(12207年)無法地帯で放浪していた。それが最初の記憶。持っていた服に刻まれていた『ライド・12200年生まれ』という情報。それしか俺は知らなかった。だが今回の任務で、無法地帯に無法都市フリージムという都市が生まれた事を知れた。もし俺の記憶の手がかりがあるとすれば、その都市もしくはそこにいる無法者達に7年前何かなかったか、聞くしかない)

 

 今回初めて自分の記憶を取り戻す糸口のようなものを見つけていた。無法地帯から始まった記憶は、無法地帯に何か手がかりがあるのではないか。よくよく考えてみれば自然な成り行きであるが、その考えが生まれた事でライドは前向きになっていた。コーヒーをもう一口流し込む。

 

(今回の敗北を糧に俺は成長する…いや、成長しなきゃいけない。まだ力が足りない。俺の記憶の手がかりは、間違いなく無法地帯にあるはずだ。それを突き止めるためにも今は強くなるしかない)

 

 カチャンと音を立ててソーサラーにカップを置いたライド。これまで自分を救ってくれた初めての親友アキラの『大陸平和』という目標を共に目指してきた彼は、今初めてしっかりと自分の『記憶を取り戻す』という目標と向かい合っていた。無論アキラと共に大陸の平和を目指す事は変わらない。新しく目標ができたということだ。席を立とうとした時、何者かに声をかけられる。

 

「あ、ライドさん!」

 

 そこにいたのはアリッサ。静かなカフェの場で少し大きい声を出してしまったことで顔を赤らめる。ライドは冷静に彼女に言う。

 

「アリッサ。ここは二流部隊しか入っちゃダメだぞ? お前特攻部隊Lじゃ―――」

「しっ!」

 

 ライドの口に人差し指を当てたアリッサが装着していた腕章は『O』。これさえ着けていればこのフロアに入る事はできるが、アリッサは昇隊したわけではない。

 

「これ特攻部隊Oの先輩に借りたの。内緒ですよ?」

「なるほどな。別に言わねえけどよ、お前俺より年上なのに敬語使うのやめろよ」

「え…たしかに。じゃあやめる。ってそれより二流部隊への昇隊おめでと!」

「ありがと。お前まだ特攻部隊Lなのか?」

「そうだけど何? 悪いですか?」

「ハハ…いや悪かねえよ。それだとここ来る度に腕章借りなきゃいけなくて大変だなって」

「じゃあ次からライドさん…いやライドが貸してよね!」

 

 呼び捨てで呼んだ事で少し恥ずかしがるアリッサ。そんな彼女に冷静に接するライドには、心なしか以前よりも笑顔が増えたように見える。その二人の会話の様子を、カフェの入り口付近で物陰からこっそりと見ていたアキラ。たまたま彼もこのフロアに散歩しに来たのだが、ちょうどライドのスキャンダルを発見してしまったのだ。額から滴り落ちる汗を拭う事もなくライドとアリッサの様子を観察している。

 

(ライド…お前まさかアリッサと付き合ってんのか…?)

 

 高鳴る鼓動。7歳の時からずっと一緒にいたアキラとライドは、これまで11年間お互いにそういう事とは無縁であった。そんなライドが女性と話して笑っているのを見て、先を越されたような気分になってしまったアキラ。すると後ろから声を掛けられる。

 

「いたいた、アキラ! お前探したぞ!」

「しっ」

 

 駆け寄ってきたペドに人差し指を立てるアキラ。その様子を察したペドは、アキラと一緒にライドとアリッサが話している所を観察し始める。ライド達はまだカフェから出る様子もなく、二人でカウンター席に座っていた。アキラが言う。

 

「…ペドお前どう思う? あれ付き合ってると思うか?」

「プハハッ、どうだかな~いい感じだとは思うけどよ」

「だよな…」

 

 その返答に落ち込んだ様子を見せるアキラを見て再び笑うペド。そして言う。

 

「そりゃライドはイケメンだしよ、女も寄ってくるだろ。んで俺はアキラに話があって探してたんだぞ! タイガーにも確認とってOKもらったし、人数揃ったもんで」

「ああ、それ何のことだよ? 教えてくれよ」

 

 そう問うアキラに向かってにんまりと不敵な笑みを浮かべたペドは、アキラの肩に手を回す。ますます疑問が深まるアキラに、ペドが告げる。

 

「なぁアキラ、今度4対4の合コンするぞ。ちなみに開始は明日の夜な」

「は!? 合コン!?」

 

 

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