オルフ・リゲイ
性別:男 年齢:33歳 所属:ライトレイ王国
武器:? 特技:?
総司令官グリウズンの第三側近。金奏城地下10階牢獄フロアの管理を任されている。
現役時代は特攻部隊Z隊員まで務めた事のある実力者。敵には容赦ない。韻を踏みがち。
―――翌日19時前。金奏城地上8階の特攻部隊Rの部屋。部屋には隊長レイン以外の5人の隊員達が部屋でくつろいでいる。ソファに腰かけているライドは、長剣を研いでは光に照らし、研いでは照らしという作業を繰り返す。剣は意外に錆びやすく、日々の研磨を怠るとすぐに使い物にならなくなる。常に鋭い切れ味をキープするためにライドはこの研磨の作業を大事にしていた。
「…準備はいいか、アキラ?」
「俺はとっくに出来てるわ。ペドお前緊張しすぎだろ」
部屋の隅でコソコソ話すアキラとペド。その様子に気付いたライドが二人に声を掛ける。
「おいアキラ、ペド。この後一緒に―――」
「ラ、ラ、ライドお前抜け駆けしやがって! お前なんか知るかハゲ!」
「……(笑)」
ライドの言葉を遮ってペドはそう叫ぶと、苦笑いするアキラを連れて部屋から出て行った。全く意味のわからないライドは首を傾げながら長剣を光に照らす。今のペドの声で自分達の部屋から出てきたハルトとパルシッド。
「なんだ、騒がしいね」
「昨日の夜あたりからあの二人ずっとコソコソ話してたなー」
二人はライドが座るソファの隣にあるテーブルを囲む椅子に腰かける。研磨された長剣の輝きを見て静かに頷いたライドは長剣を鞘に納めると、立ち上がってハルト達が座るテーブルの前に立つ。パッとライドを見上げたハルトとパルシッドに向かって、口を開く。
「ハルト、パルシッド。俺に稽古つけてくれないか? この前の任務で俺は自分の力の物足りなさに気付かされた。お前達は俺より4年も多く経験を積み重ねてる。何か強くなるためのヒントを得たいんだ…」
それは彼の覚悟の表れであった。記憶を取り戻すという目的のため、今の自分に必要なのはさらなる強さだと悟ったライド。他国の強者と渡り合うためにはまだまだ実力が足りないと自覚した彼は、黙って二人を見つめる。何か言おうとしたハルトを遮り、パルシッドが言う。
「君達は特攻部隊2年目としてはとても優秀だと思う。けど正直、まだまだ魔力操作技術であったり攻撃方法の多彩さ・決め技の有無だったりまだまだ未熟な部分が多いとも思ってた所なんだ。特にライドは強力な魔法と剣技っていう万能型でしょ? いまいち決定力に欠けてると思うし、そんなに魔力持ってるならもっと上手く魔力を使えるようになった方がいいと思うよ」
「…稽古つけてあげるよ」
長々と語るパルシッドの代わりにハルトが言った。その言葉を聞いた時ライドの表情はパッと変わる。まるで希望の光が差し込んだかのような顔であった。パルシッドが言ったライドの欠点。それを深く受け入れたライドは言う。
「…感謝する」
*****
ここは金奏城南塔6階の食堂。主に三流部隊の隊員達が使用するこの食堂はビギナー部隊の食堂よりもお洒落な雰囲気が漂う、落ち着いた場所となっている。食堂の隅の8人掛けのテーブルに座るアキラとペド。隣には特攻部隊L隊員タイガーが既に座っている。
「アキラ、ペド、俺様こういう合コンとか初めてだからよくわかんねえけど今日はよろしくな」
「お、おう」
タイガーの言葉に反応したアキラ。アキラも少し緊張している様子だが、その隣に座るペドは先程から終始無言である。この合コンを開いた幹事であるにも関わらず、緊張で汗をダラダラと流している。アキラが問う。
「なぁペド。男と女4対4の合コンなんだろ? あと一人の男って誰呼んだんだ?」
「…大丈夫、そろそろ来るはずだぜ。んで、お、お、女の子達ももうすぐ来るはずだ」
「お前大丈夫か?」
「だいじょば…大丈夫に見えるか?」
「いや」
アキラがそう言った時、体格が良い一人の男が3人の前に現れた。パッとその男を見たアキラであったが、彼はこの男を知っていた。するとペドが叫ぶ。
「お、来たかファンクルー! ひっさしぶりだな~」
【光軍・特攻部隊V隊員『雷闘士』 ファンクルー・シルヴァリン 22歳(12217年入隊)】
「何だ、ペド。話って?」
「まぁ座って待っててくれ」
その男はファンクルー。1年前(12217年)の入隊試験時にペドと同じパーティに所属し初配属で二流部隊である特攻部隊Hへ入隊した強者である。アキラと同じパーティにいた青年ストルスとの決闘で圧倒的勝利(第11・12話参照)を決めた男。現在は特攻部隊Vに所属し、アキラ達12217年入隊組のトップをひた走っている。ともかくこれで男4人が揃った。すると着席した4人の男の前に、4人の女性が現れる。ペドが合図をすると全員が着席する。ファンクルーが来た事で緊張がほぐれたのか、ペドが流暢に話し始める。
【光軍・特攻部隊R隊員『氷撃』 ペド・マーカー 18歳(12217年入隊)】
「それじゃ、まずは男性陣から自己紹介を。俺はペド」
【光軍・特攻部隊R隊員『瞬足』 アキラ・ロドルフ 18歳(12217年入隊)】
「俺は特攻部隊Rの隊員、アキラです。よろしく」
【光軍・特攻部隊L隊員 タイガー・ラキジーク 18歳(12217年入隊)】
「俺様はタイガー! 銃使うぜ」
「…俺はファンクルー…ってなんだこれは? ペド、大事な話があったんじゃないのか?」
四人目のファンクルーがそう言うと一気に場が静まり返る。彼は立ち上がり、ペドを睨みつける。それに焦ってペドが口を開く。
「ちょ、いやあれは冗談で、ほんとはこの合コンに来てほしくてよ…」
「合コン? 何だそれは。俺は無駄な時間は過ごしたくない。悪いが話がないなら帰らせてもらう。久しぶりに会えてよかった。それじゃあな」
「え…ちょっと待っ」
ペドの言葉を無視してファンクルーは食堂から歩いて出て行った。滞在時間はほんの2分程度。重い空気が流れる中、女性陣のファンクルーの前に座っていた女が突然立ち上がる。驚いて全員がその女を見つめる中、女が言う。
【光軍・特攻部隊H隊員 マロン 23歳(12215年入隊)】
「人数が合わない合コンなんて合コンじゃないわ! 私は帰ります」
「え…ちょっと待っ」
またもやペドの言葉を無視してマロンは食堂から出て行く。彼女の場合滞在時間はわずか1分程度であった。再び重くなる場の空気。これで3対3になってしまった。静かに座りなおしたペドは、ゴホンと咳をする。そして隣に座っているアキラに小さく耳打ちする。
「…アキラ、計画通りだ」
「!?」
その言葉を聞きアキラははっとした。先程いたマロンという女、他の3人の女性に比べると少し年上であり、お世辞にも綺麗と言えない容姿であった。恐らくペドは元々女性陣4人の事を知らされており、1人だけあまりにも場違いな女がいたため如何にして彼女を追い出すか考えていたのであろう。
(そこで絶対に合コンを断るであろうファンクルーを敢えて呼び、彼の前に座らせたマロンの目の前で帰らせることでマロンも一緒に帰らせようと計画してたってのか!? しかもそれが上手くいくとは…ペド、お前は合コンの策士だよ…)
アキラは感心していた。テーブルの下でアキラに見えるように親指を立てたペド。気まずい雰囲気になった場であったが、すぐにペドが口を開く。
「騒がしくなってごめんね! でもこれで3対3になったし、今度は3人の自己紹介いいかな?」
この自然な流れ。鈍感なタイガーは気付く余地などなく、女性陣を見つめている。今この場を支配しているのは完全にペド。するとペドの前に座っている女性から自己紹介を始める。
【光軍・特攻部隊H隊員 シータ・ガール 18歳(12217年入隊)】
「こっちこそマロンが騒がしちゃってごめん! シータです。よろしく!」
【光軍・特攻部隊I隊員 レン・カーダー 18歳(12217年入隊)】
「―――『消滅の刹那、総てを創造した神は自らを属性を司る九なる意志へ変え、先ず生み出された九なる人間へ宿す。願わくば神の暴走を止める力となれ。』これ『勇者伝説』の末尾部分です。私はレン、よろしくお願いします」
【光軍・特攻部隊I隊員 クロエ 20歳(12215年入隊)】
「レンはいわゆる歴女なの。あれ私だけ年上かな? クロエです」
これで6人全員の自己紹介が終了した。ギラつく視線を動かすペド。緊張しつつ落ち着いているアキラ。常に少し興奮気味のタイガー。ド天然茶髪娘シータ。超美人だがインドア派の黒髪ロングのレン。漂う大人の色気を持つクロエ。
「じゃあ、とりあえず乾杯!」
「乾杯!」
ペドの一声でグラスを合わせる。この6人が繰り広げる合コンはまだ始まったばかりである。。