シータ・ガール
性別:女 年齢:18歳 所属:ライトレイ王国
武器:ショットガン 特技:銃技
特攻部隊H隊員。1年前(12217年)に特攻部隊に入隊。
超がつくほどの天然娘。誰とでも仲良くなれる性格をしている。
6人はお互いの情報を交換し合いながら食事を進め、開始から1時間が経った時には目の前の相手と会話を始めていた。ペドとシータ、アキラとレン、タイガーとクロエというペアが自然と出来上がって来ていたのだ。シータがペドに言う。
「それで、ホントにあたしはこの天然な性格を直したいの! どうすればいいと思う?」
「ん~…確かに任務に出発して武器を忘れてた、とかは致命的だと思うぜ…」
「けど特攻部隊としてこれからもやっていくためにはしっかりしなきゃいけないよね?」
「ああ。任務中は切り替えて冷静に対処してく能力が必要だしな」
ペドはシータの天然な性格について相談を受けていた。根本的な解決が難しい問題であったため、ペドは当たり障りのない無難な回答を続けていたがそれでシータは満足している様子。ペドはシータの事が気になっているようだが、シータに恋愛感情は恐らく存在していないだろう。彼女にとって今ペドはただの聞き手に過ぎないのだ。
一方、アキラと歴女レン。ガンドラ大陸に古代から伝わる『勇者伝説』。それにアキラも興味を示していた。
「さっきのさ、勇者伝説について詳しく知りたいんだけど…あ、俺の事はアキラって呼んで」
「わかりました。アキラさんも興味があるんですね?」
「うん。ってか敬語じゃなくていいよ! 同い年なんだし」
「あ、同い年だったんだ。ごめんね、私人見知りで」
敬語を無くしたレンの言葉に少しドキッとしたアキラ。容姿端麗なレンは、これまで恋愛経験のないアキラにとってはさらに美しく映っていたことだろう。アキラの視線は彼女に釘付けであった。レンが続ける。
「勇者伝説。それはこの世の起源について書かれたとされている文章で、大陸西部イビイ砂漠のワルファ遺跡で発見された石碑に刻まれていたもの。誰が作ったものか、その真意が何なのもかわかっていない…謎に包まれた伝説よ」
「それ、要約するとどういう意味なんだ?」
「長くなるけどいい?」
「うん。気になる」
「まずこの世界、そして私達人間を生み出したのが『創造神』。創造神は『聖なる神』と『魔なる神』と多くの神々を生み出したとされるの。しかし暴走した魔なる神が創造神を殺してしまう。創造神は死ぬ寸前に自らを『属性を司る九なる意志』へ変えて『先ず生み出された九なる人間』に宿した。この九なる意志を宿した人間を『勇者』とし、神々の暴走を止める力を持つとされてるのよ。ちなみに魔なる神はその後、聖なる神らによって封印されたと書かれてる。要約するとこんな感じね」
頑張って理解を試みたアキラであったが、意味のわからない単語が多く完全に理解はできていない様子だ。それを察したレンはクスクスと笑う。アキラが口を開く。
「…つまり、まぁ勇者伝説によると創造神って奴の意志を宿した九人の人間…勇者が存在してるってことか。けどそれ人間が誕生した時の話だろ? 今はいないの?」
「今はいないと思う。私は歴史を探求するのが好きだからこの伝説を否定も肯定もしないけど、根拠も真意もわからない謎に包まれた文章。それがすごい魅力的だと思うの。これが本当がどうかっていうのも知りたいけど、それ以上にロマン溢れるこの伝説に惹かれるんだよね」
「俺も人間が誕生した話とか、大陸が誕生した話とか知りたいなって思うよ。レンに色々教えてもらいたいわ」
「私が知ってる範囲だったらいつでも! 任せて」
自慢気にそう言うレン。それに大きく頷いたアキラ。彼は、幼い頃からしっかりとした教育を受けてきていない。エルド村の村人達に文字の読み書きなど基本的な学習は受けたが、歴史などについては全く知らない。元々好奇心旺盛な性格であるアキラが、勇者伝説を始めとした多くの歴史について興味を示すのはごく自然な流れである。今の時代、あまり歴史に興味を持つ人は多くない。そんな中歴史に興味津々なアキラに出会い、久しぶりに歴史について熱く語れてレンは新鮮な気分を味わっていた。
一方、タイガーとクロエ。この2人の間に漂うのは、
「……」
「……」
沈黙。合コンが始まる前は緊張しながらもやる気に満ちていたタイガーであったが、いざ一対一の時間になり、年上のクロエを相手に緊張しまくって言葉が出てこない。対するクロエはタイガーには微塵も魅力を感じていない様子で、先程からずっと窓の外の景色を眺めている。
(やべえ! 俺様の方を向こうともしてねえよ…何か喋らなきゃ…)
焦るタイガーだが何も思いつかない。そうこうしている内に時間だけが刻々と過ぎていく。隣のアキラ、ペドは上手く女子と話している。しかもかなり良い感じの雰囲気。今この場で相手を楽しませていないのはタイガーしかいないのだ。思考を巡らせ、タイガーが口を開く。
「ぶ…武器は何使ってるんですか?」
(こっから話を広げてみせる)
その質問でようやくクロエがタイガーの方を向いた。身構えるタイガー。
「私、武闘家だから武器使わないんだ。ごめん」
「そ…そうなんですね…へ、へえ~」
(もう無理だ)
諦めたタイガー。こういう場には慣れが必要である、そう学習することができた。再び始まる沈黙。時間が過ぎるのがとてつもなく長く感じる。しかし、ついにその時は来た。
「じゃ、時間なのでこれでお開きで!」
「ん。話聞いてくれてありがとね」
ペドのその一声で、合コンの終わりは告げられた。相談を終えてすっきりした様子のシータはペドに礼を言って、レンとクロエに別れを告げて部屋に戻っていく。ペドはまだまだ話足りない様子であるが、ここに意識の違いが存在していた。もう一度言うがシータに恋愛感情は無い。ペドの片思いなのである。ちなみにシータはこの後、部屋までの戻る道を忘れ、部屋に戻るまで1時間程かかっていた。
「レン、今日はありがとね」
「こちらこそありがと。また今度話そうね、アキラ」
「うん」
それに対してアキラとレンは良い雰囲気である。今日だけで二人は意気投合した様子だ。二人の様子を横目で羨ましそうに見つめるペドとタイガー。帰る支度をしたレンは、横にいるクロエを待つ。クロエがタイガーに言う。
「…それじゃ」
「は、はい」
一言で挨拶を済ますと、クロエはレンを連れて部屋へと戻っていった。食堂に残ったのはアキラ達男三人のみ。食器の片付けなどをし終えるとタイガーがアキラに言う。
「おいアキラ。さっきの別れの挨拶に次回の約束を加える高等技術いつ身につけたんだよ? ったく今日は散々だぜ、帰るわ」
「おつかれタイガー(笑)」
クロエと全く話せなかったタイガーは不機嫌なまま特攻部隊Lの部屋へと戻る。ペドとアキラも食堂を出て特攻部隊Rの部屋へと向かって歩き出す。口を開くペド。
「ま、今回収穫あったのは俺とアキラだけかな~」
「だね」
ペドはそう思っていたが相手のシータにその気は毛頭無い。それにアキラも気付いていたがそれを伝えるわけにもいかないため、とりあえず同調する。アキラは初めて恋愛目的で女性と話したのだが、成功して満足していた。何よりレンの容姿がアキラのタイプであったからだ。特攻部隊Rの部屋の扉の前につくと小さい声でペドが言う。
「実際特攻部隊内で付き合ってるカップルって多いらしいぜ? …っと今回の合コンの件についてはライドにも内緒でな」
「わかってるよ」
ガチャと扉を開けた二人であったが、部屋は真っ暗。まだ時刻は夜21時。いつもなら全員起きて部屋でくつろいでいる時間のはずである。レインの部屋だけ扉が閉まっているが、その扉の奥からはいびきが聞こえる。つまり部屋にいないのはライドとパルシッド、ハルトの三人。アキラとペドは不思議に感じながらも、電気をつけてソファに座る。
「ふわ~…何でライドとかいないんだろ」
あくびをしながらアキラはそう呟いた。隣でペドもあくびをする。二人共今回の合コンでかなり疲れた様子だ。ペドがアキラに言う。
「…またアリッサちゃんと密会してんじゃねえの?」