クロス・ヴァイトゥス
性別:男 年齢:22歳 性格:真面目、優しい
使用武器:長剣×2 特技:なし
特攻部隊X隊長。年齢の割に高い地位におり、ライトレイ王国特攻部隊黄金世代の一人と言われ
ている。アキラ達の噂を聞きつけ、特攻部隊へと勧誘する。自称、欲張りのクロス。
都市カボルの中心部北東エリアにある便利屋【なんでもシスキー】。ここはその名の通り、如何なる依頼であっても断ることなく引き受ける何でも屋である。ただし要求する報酬は少し高めだ。従業員として青年シスキーと、40歳程の婦人が一人、10歳過ぎの少年が一人の合計三人がいる。便利屋自体は狭く、小さな建物の二階がオフィスとなっている。従業員の三人とアキラ達三人の計六人が現在そこにいるのだが、もういっぱいいっぱいとなってしまうほどの狭さだ。
「ライドくん、遅かったね。…って僕もついさっき着いたばかりなんだけどね」
クロスが頭を掻きながら言った。クロスは東口から都市に入った後、犯罪者を見つける度に殺さない程度に攻撃しつつ、聞き込みをしてここまで辿り着いた。ライドがそれに対して返答をしようとした時、クロスがライドの左肩の負傷に気が付いた。
「……肩! 大丈夫かい? ひどく腫れてるようだよ。何があったんだい!?」
「まぁ、いろいろあって…」
「すぐに冷やした方がいい!」
ライドの返事など無視してクロスは近くの机に向かって座っていた40歳程の婦人に氷を持ってくるように指示した。婦人は直ぐに氷を袋に入れて持ってきた。ライドは手渡された氷を左肩に押し当てる。するとシスキーが喋りだす。
「これで
「ああ、そうだな」
「ライドのためにもっかい自己
赤髪と金髪で、青いジャケットを日に焼けた素肌に着ている青年シスキー。その大きな声を、同じオフィスにいる少年と婦人が少し眉間にしわを寄せて聞いていた。その様子にクロスだけが気付いていた。
「っていうことで、アキラくん、ライドくん。シスキーくんも一緒に連れて城へ向かうんだけど、いいかな?」
「はい」
「おっしゃあ! よろしくな、二人ともー!」
シスキーはアキラとライドと握手をする。その時、二人は違和感を感じ取った。シスキーの皮膚は少し硬かった。ゴツゴツとしていながらも、滑らかさはあり、それは二人にとって初めての感触であったといえる。人間の皮膚とは思えないほどであった。その時、オフィスの婦人が口を開いた。
「ちょっと待ちな、シスキー! あんたまだ二件、依頼が残ってるの忘れてんじゃないだろうね!? 『新聞読みヒゲジジイをこらしめて』と『俺らと決闘しろ』って依頼を片付けるまで旅立たせはしないわよ!」
「あ、新聞読みヒゲジジーってのはアキラがやってくれたから…あと一個残ってたのかー、忘れてたよドールおばさん」
婦人ドールの顔は険しかった。それはまるでシスキーを連れて行こうとするクロス達に向けての怒りのようにも感じられた。ドールはソッポ向いて椅子に座り、パソコンで作業を再開する。するとトコトコとシスキーの足傍に寄ってきた少年が言う。
「ねぇ、シスキー。あと一個依頼やったらほんとにいなくなっちゃうの…?」
その少年ルークの真っ直ぐな、涙ぐんだ瞳を前にチャラチャラしているシスキーでさえ身を固めてしまった。いつもは言葉なんて考えるより先に出るのに。少し沈黙が流れ、瞬きをしてシスキーが口を開く。
「…そーするつもりだ。わりーな、ルーク。前から言ってたろ? 俺が必ず
そう言うとドールが座っている机の上にある手紙を手に取る。これが最後の依頼だ。【俺らと決闘しろ】。内容としては、依頼者である二人組と決闘すれば依頼完了となる。場所は都市の北口付近と指定されている。
「よし、じゃちょっと待っててくださいよクロスさん達! さっと終わらせ―――」
「―――俺も行くよ!」
ドアの方へ歩き出したシスキーを、アキラの一声が止めた。クロスとライドが驚きの目で見ている。ドールとルークもアキラをじっと見つめる。
「ついてくるだけならいいぞー」
「よし、いこう!」
ライドも行こうか迷ったが、左肩の負傷があるため安静にした方が良いと思いその場にとどまった。シスキーとアキラはドアから外へ出て行った。どうやら二人はこの短時間で少し仲良くなった様子。
シスキーが外に出て行ったのを確認し、ルークを奥の部屋に連れていったドールは、残ったクロスとライドの前に座った。クロスとライドは顔を見合わせ、ドールの方を見る。
「あの子を、どうしても連れていきますか…?」
少し涙目になりながらドールがクロスに語り掛けた。さっきまでの怒っていた表情とは打って変わって悲しみにくれた表情をしていたため、クロスは返答に困り言葉が出てこなかった。すると返事よりも先にドールが喋る。
「あの子は、、シスキーは今から10年程前に街の北口で傷だらけの状態で泣きじゃくりながら一人で座っているところを私が保護したんです。親も友達も誰もいないみたいで、孤独で、最初は一言も口を聞いてくれませんでした。でも次第に心を開いてくれて、人の役に立ちたいって言ってこの便利屋を始めたんです。ちなみにルークも孤児で、シスキーが放っておけないってあまりにも言うので一緒に暮らすことにしました。それから10年間、私はシスキーをわが子のように育ててきました。そのシスキーがいきなり出ていくってなって私は今、どうすればいいか…って…」
クロスはしっかりとドールを見つめて言う。
「ドールさん、今魔王が復活してからちょうど10年が経ちました。それまで平和がある程度保たれていたこの大陸も、だんだんと秩序が乱れてきています。近いうちに大きな戦争が起こる可能性は非常に高いです。そのためライトレイ王国としても、今年は質の多い人材をより多く採用したいと考えているんです。シスキーくんは、非常に優秀だときいています。シスキーくんがこの街で検挙した犯罪者の数は累計150人以上らしいですね。シスキーくんならば間違いなく特攻部隊で活躍するはずです。…質問に答えますね。僕はシスキーくんを連れて行きます。王国を代表して彼を連れていきますよ」
ドールは涙を拭いて、頷いた。
「ですよね…。そうですよね。私にも本当はあの子の旅立ちを祝福したい気持ちがあるんです。けど、まるで我が子がいなくなってしまうようで…悲しくて…。あの子の過去の事、聞いていますか?」
「過去のこと…?」
********
都市カボルの北口。狭い、行き止まりの路地が依頼の待ち合わせ場所となっている。アキラとシスキーはクネクネと曲がりくねった路地を進んでいく。あと少しで待ち合わせ場所に到着する。待ち合わせ時刻ちょうどにつく。これは偶然であるが。
「それにしてもさっきのヒゲジジー倒した時のアキラの動きはすごかったぜ! シュバババッって! 太刀筋まったく見えなかったぜ」
「そんな事ないよ」
アキラがそう答えたのが、最後の曲がり角を曲がり終えた瞬間であった。その角から20メートル程の奥行きがある行き止まりの奥に、二人の人影が見えた。周りの建物の高さは30メートルはあるだろうか。太陽の光もあまり入ってこないため薄暗い。シスキーとアキラは足を止める。すると向こうのうちの一人が言う。
「来たか、シスキー! 待ちくたびれぜ。俺らの仲間たちを何人も牢屋送りにしやがったお前を許さねぇぜ。さぁ、こっちに来いよ! 決闘を始めようぜ」
これが依頼主であるデリング。そして隣にいるのがギリング。都市カボルを本拠地とする犯罪集団のリーダー格である兄弟だ。二人とも、巨大なノコギリを武器としている。この犯罪集団は、シスキーの便利屋の依頼によって数十人検挙されている。シスキーがアキラに言う。
「アキラはここで待っててくれよー!」
「えっ、手伝いにきたのに!」
「
そう言ってアキラを路地の角に放置したシスキーは武器を持っていない。対して相手は二人、武器も持っている。明らかに不利にみえる。弟ギリングが叫びながら武器を振り回しシスキーに向かって走り出す。
「おらららららああ!」
振り下ろされたノコギリをシスキーは華麗にジャンプしてかわした。そして空中でギリングを睨みつけ、大きく口を膨らました。ギリングのノコギリは地面に突き刺さり、簡単には抜けなくなってしまっていた。攻撃のチャンス。だがその時、
「シスキー、危ない!」
「…ッ!!」
アキラの叫び声と共に、兄デリングによって投げられたノコギリがシスキーを襲った。ノコギリの複雑な刃がシスキーの腹部を深く斬り、ブーメランのようにデリングの手に戻る。ニヤリと笑う兄デリング。腹部から血を流し地面に落下したシスキーを目の前にして、弟ギリングがノコギリを地面から抜き、空へ掲げる。それを見たアキラは太刀を抜き、走り出した。
「アキラ! 来るな!」
「なんで?! 殺されるぞ」
「依頼は俺宛てに届いたんだ…。
それを聞いてアキラは足を止めたが、武器はしまわない。
「ははは! これで終わりだあああ!」
大声で笑いながらノコギリを振り下ろすギリング。その刹那、シスキーの身体は『まるで蛇のように小さく、細く変化した』。アキラも、デリング、ギリングも全員が目を疑ったと同時に思考が停止した。眼前の状況を脳が処理しきれず、全ての動きが一瞬停止したのだ。その小さな蛇は振り下ろされたノコギリをスルリとかわし、尻尾を地面に力強く打ち付け高く跳んだ。ギリングの頭上を越えたあたりで、また『元のシスキーの姿へと戻った』。シスキーの口は膨らんでおり、ギリングはそれを見上げる。シスキーが口を大きく開いた。
「激しい炎!!!!」
「なっ」
口から放射された炎はギリングの顔面に直撃し、体を包み込んだ。そして落下する最中、右膝でギリングの顎を打ち上げた。舌を噛み倒れたギリング。全てを見ていたデリングは焦りながらもシスキーに向けてノコギリを投げる。だが、投げられたノコギリをかわし、壁に直撃させる。武器をなくしたデリングに向け、もう一度ブレスを放つ。
「激しい炎!!!!」
避けることもできず直撃。燃えながらその場に倒れた。アキラは、先ほどのシスキーの変身について驚きを隠せなかった。
「シスキー、お前…いったい何者だよ…?」
「あー、言ってなかったっけ? 俺『蛇人族』の生き残りでよー、半分蛇なんだよ」
「…え?」
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「あの子は、大陸北部の無法地帯に10年前まであった蛇人族の村の生き残りなんです。魔連合国によって親も友達も殺され、村は壊滅したそうです。なので、あの子が特攻部隊を目指す理由として…魔連合国への『復讐』が大きな理由でもあるんです」
ドールはそう言ってまた涙を流した。