ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

51 / 57
●物語の時系列②
年代別に整理していきます。

▽アキラと物語の主な出来事の年表
12200年 アキラ誕生、ザムザとバイスと出会う
12207年 ライドと出会う、魔王復活、父ジオレクが行方不明、兄シャインが旅立つ
12211年 兄シャインが特攻部隊入隊
12217年 【物語開始】旅立つ、シスキーと出会う、特攻部隊G入隊、特攻部隊Mに昇隊
12218年 特攻部隊Rに昇隊、ペドと再会、ライドがアリッサと交際開始、レンと交際開始
12219年 【現在】


第五十話 「皆殺しにすんぞ」

 

 

 一方その頃、金奏城中央塔18階。光軍司令部特殊部隊のためのフロアである。このフロアで日々特殊部隊隊員が全特攻部隊隊員の☆数の管理や任務依頼の発令などを行っている。特殊部隊が発足してから約2年が経過しておりその役目もしっかりとしたものになってきていた。ちなみに特殊部隊に隊長は存在せず、その隊長の立場には特攻司令官グラナドウが位置していると考えていい。フロアの中央にある横長のテーブルの端に腰かけたのは、アキラの兄シャイン・ロドルフ。

 

 【光軍・特殊部隊隊員『反撃の騎士』 シャイン・ロドルフ(12211年入隊)】

「よく帰って来てくれたな、カイザー」

 

 シャインは元特攻部隊Z隊長。その体格には似合わず桁外れの体力を持ち、打たれ強い。珍しい『召喚魔法』を得意とし、さらにチート級の『特殊能力』を持つと言われている。シャインの横でキングが資料を片手に口を開いた。

 

 【光軍・特殊部隊隊員『滅波王』 キング・スコードマン(12211年入隊)】

「特殊部隊発足以来だから…2年振りくらいか?」

 

 キングは特攻部隊Z隊員から特殊部隊へ昇進。アキラの入隊試験の二次試験の面接官を担当した。彼はダイヤモンドでできた銀斧を武器とし、使用は困難とされる『波動』を自由自在に操る強者。さらに彼は動体視力を一時的に飛躍的に上昇させる特殊能力『鈍視』を持っている。

 

 【光軍・特殊部隊隊員『光法天』 ディーン・ロム(12209年入隊)】

「色々聞きたい情報があるな。まあ一旦2年間の潜入任務おつかれさん」

 

 キングの横に座っていたのはディーン。ライトレイ軍で最強と言われる魔法使いである彼は、2年前に特攻部隊Y隊長から特殊部隊隊員へと抜擢された。魔人にも勝る圧倒的な魔力量を持ち、数多の魔法を唱える事ができる。特殊部隊隊員の中では最も高齢となる32歳。ちなみに総司令官第二側近ソスティーヌの師匠でもあった。

 

 【光軍・特殊部隊隊員『双撃』 クロス・ヴァイトゥス(12211年入隊)】

「カイザーさん、お久しぶりです」

 

 ディーンの隣でクロスが言った。クロスは特殊部隊隊員の中で最も若い24歳。16歳の時に特攻部隊に入隊している。二本の長剣を用いる剣術の評価は非常に高い。さらに魔感のエキスパートで、相手の主な心情を察する事ができる『読心』という特殊能力を持っている。言うまでもなく、アキラとライドを特攻部隊に勧誘した張本人である。彼がいなければ入隊試験当日に二人が間に合うことはなかったであろう。

 

 そんな特殊部隊隊員4人の前に立っている男こそがカイザー。その腰には二本一組の漆黒の双剣が装備されており、首から下全てを紺色の布で覆っている。彼は元々特攻部隊Yの隊員であったが、光軍で彼のみが使用可能な特殊魔法『モシャス』という変身魔法が評価され、諜報つまりスパイ役として特殊部隊へと抜擢が決定した。

 

 【光軍・特殊部隊隊員『変身韋駄天』 カイザー・グレトニウス(12211年入隊)】

「いやいや~、みんなひっさしぶりッス~! ほんとスパイ疲れますよマジ♪」

 

 ヘラヘラした態度ではあるが彼の戦闘能力は極めて高い。とてつもなく足が速く、そこから繰り出される双剣の連撃に対応するのは困難である。これが光軍が誇る特殊部隊の隊員全5名である。ディーン以外の4人は8年前(12211年)入隊組であり、光軍特攻部隊黄金世代と呼ばれた代である。シャインがカイザーに言う。

 

「これまでの潜入任務の報告はもうしてあるのか?」

「シャインお前またカッコよくなった?」

「……」

「…わり。ああ、報告は済んでるぜ。とっくだぜ、とっくのとんま♪」

「お前2年前よりウザくなってんぞ?」

 

 そう言われたカイザーは少ししょんぼりする。特殊部隊隊員になってからカイザーは、スパイとして魔連合国に潜入していた。定期的に情報をまとめたメールを光軍司令部に転送していたため、多くの情報は共有できている。とはいえスパイ活動が一度でもバレてしまえば危険な状態に陥るのは明白。2年間もその活動を継続してきたカイザーには諜報のセンスがあったのは間違いない。

 

「っつっても俺、今回の入隊試験の事務的な作業が片付いたらまたしばらく魔軍にスパイで入るんだろ~?」

「しばらく…じゃないだろうな」

「え?」

 

 カイザーはディーンの言葉に息を飲む。ディーンは続ける。

 

「カイザー、お前は次魔軍への潜入任務を開始したら『魔王討伐任務』を終えるまで帰還命令は出ないだろう。これはグリウズンさんもグラナドウさんも言っていた決定事項だ」

「え、まじ?」

「ああ。それだけお前は信頼されてるってことだ。そして恐らく最も大きい戦争となるであろう魔王討伐任務…その任務で重要な役割を担う事となる。心しておけ」

「おいおい、ディーンさん♪」

 

 カイザーは年上のディーンに人差し指を横に振って見せる。

 

「俺、スパイ任務疲れますけど嫌いじゃないッスよ。任せて下さい♪ ってもう魔連合国落とすとこまで考えてんの!?」

「ある程度のシナリオは描いてるつもりだ。まぁ魔連合国を落とすのは『まずラギ帝国を落としてから』になるだろうな…」

 

 そのディーンの言葉に、他の特殊部隊隊員達はゴクリを息を飲んだ。

 

 

*****

 

 ―――午前9時。金奏城北塔一階のロビーに集まった特攻部隊R計6人。準備体操をするアキラとライドとペド。彼らもなんとなくわかってきていた。昇隊は近い。それはレインも予想している。入隊試験を行い新たな隊員を大量に入れるはず、そうなると自然と既存の隊員達の昇隊する確率は上がるだろうという単純な理由だ。総司令官第三側近オルフが隊長レインに通信機を渡す。

 

「…それと注意事項だが今回の任務地であるベガキ樹海西部はかなり遠い。コロプス山脈に沿って大陸を北上することを勧める。それと銅爽城から『最近ベガキ樹海は度々霧が深くなる』との報告を受けている。十分注意するように」

「了解!」

 

 

 金奏城から北へ出た特攻部隊R。まずはかなりの速度で走って進んで行く。前に広がる小さな草原を抜ければそこからは砂漠が延々と続いている。空からの日差しが熱い。砂場を走ることで体力を無駄に消耗してしまう。今回の目的地であるベガキ樹海西部は、ほぼ大陸の反対側。この速度で走っても5時間はかかるだろうと思われる。少しの体力も惜しい。走っている最中、彼らは誰一人会話をすることはなかった。

 

 今回予め小さな水筒などを各自持参しており、途中で水分補給などをしながら休憩をはさんで目的地へ向かう。だがこの水は行きの分程度しかない。帰りの分は、帰路で銅爽城へ寄ってシャワーを浴び、傷を負った場合は治療を受け、食事も済ますつもりなのだ。とても効率的である。ちなみに今回の任務の難易度がA級であったのは、ラギ帝国と魔連合国との国境付近が任務地であるためである。しかし彼らが最優先するのは、大量発生した魔物の駆除という任務。他のことに気を取られている場合ではない。

 

 

 

「っひ~やっと着いた、、か?」

 

 ペドが額の汗を拭いながらそう言ったのは、出発から6時間経過した午後15時。特攻部隊Rは休憩を挟みながら無理のないスピードでベガキ樹海の西部の砂漠との境目に到着した。聞いていた話とは違って、霧は立ち込めていない。その時ビクビクしながら辺りを見回すパルシッドが、前方の樹海の方に何かが動いた影を見た。

 

「うわ! なんかいた!」

「プハハッ…もうパルシッドビビり過ぎだろ~」

 

 それをいつも通り笑うペド。しかしレイン達は注意深く前方を確認しながら少しずつ樹海に足を踏み入れていく。そして、

 

「ギィー!!」

「!?」

 

 樹海の中へ入った彼らの頭上の木々の枝を飛び回っている数えきれない程の魔物の姿を捉えた。その魔物は白い毛で身体を覆い、顔と伸びた耳、背から生えた二本の翼のみが青色をした飛行可能の魔物シルバーデビルであった。シルバーデビルの両手両足のツメは非常に鋭利で危険である。何はともあれ最も厄介なのは、その数えきれない程の数。数十体はいるであろう。

 

「シルバーデビルの巣…皆殺しにすんぞ!」

「おお!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。