ドラゴンクエスト ―AKIRA―   作:軍艦ryn

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<<登場人物紹介>>
  シャイン・ロドルフ
性別:男  年齢:23歳  性格:?
使用武器:?  特技:?
 アキラの兄。特攻部隊Z隊員。史上最速で特攻部隊Zまで昇格した。
 ライトレイ王国特攻部隊黄金世代の一人。


第六話 「開始」

 

 

 ―――時は経ち、ライトレイ王国特攻部隊入隊試験まであと1日となった。午後1時。アキラ達を乗せた馬車はガンドラ大陸南部中央南部に位置する金奏城より南にある城下町ミサビークへ到着した。ここは王国領内で最も治安が良いとされる町で、白い壁や屋根で統一された綺麗な町となっている。クロスが雇っていた馬車はここから彼が乗ってきたものであり、馬車の老人に軽く挨拶をし馬車を降りて別れた。アキラ、ライド、シスキーは無論金奏城にこれほどまでに近づいたのは初めてだ。なぜだか三人は空気が澄んでいるように感じていた。

 

「この町は金奏城があるおかげで最も治安が良いといわれてるんだ。入隊試験開始は明日午前0時。そのちょっと前に城に入っておくとして、あと10時間くらい暇になるね…そうだな、カフェにでも行こうか」

 

 四人は町の中央通りにあった小さなカフェに入った。オルゴールのBGMがかかっている。客は少なく、店も小さい。クロス達は店の奥にある席に座った。すると客がチラチラとこっちを見てくる。店員が近づいてきて言う。

 

「あの…特攻部隊Xの隊長のクロスさんですよね?」

「はい、そうですよ」

「本物だ! 代金はけっこうです。好きなだけ注文して下さいね!」

 

「すげー。やっぱ特攻(とっこー)部隊の人は有名人(ゆーめーじん)なんだな」

 

 店員とクロスのやり取りをみていたシスキーがストローでサイダーを啜りながら言った。

 

「じゃあお言葉に甘えて、コーヒー4つとサンドウィッチ4つ、それと食後にデザートもつけてください」

「欲張りすぎだろ…」

 

 ライドの失笑も気にせずクロスはコーヒーを飲む。店員は急いでカウンターへと戻っていった。皆口数は少ない。入隊試験があと数時間後に迫っているため当然である。入隊試験は二年に一度しかないため、今年落ちてしまえば特攻部隊に次入れるチャンスが来るのは再来年となってしまう。するとクロスが口を開いた。

 

「君達、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。合格率は低いといっても君達の実力なら必ず受かる! 何か聞きたいこととかあるかな?」

 

 それにアキラが答える。

 

「あの…シャインってわかりますか? 今何してるか、とか」

「シャインってシャインさんのことかな。知ってるもなにもあの人は超有名人だよ。今現在特攻部隊Zに所属してる凄い人だよ。アキラ君はなんでシャインさんの事知ってるのかな?」

「シャインは俺の兄なんです。シャイン・ロドルフ。すごい、特攻部隊Zにいるんだ」

 

 アキラのその返答にクロスは固まった。シャイン・ロドルフ。それはクロスと同じくライトレイ王国特攻部隊黄金世代の一人とされる男。クロスと同時に特攻部隊へ入隊し、史上最速で特攻部隊Zまで登りつめた男だ。アキラがその弟だという事実にクロスは驚きを隠せなかった。

 

「は! アキラの(にー)ちゃん特攻(とっこー)部隊Zなのかよ! すげーな、おい!」

「俺もアキラの兄さんには数回しか会ったことないけど、そんな強いのか」

 

 シスキーとライドも驚きを隠せない様子。アキラはそれを聞いてウズウズしていた。アキラが7歳になるころに13歳で村を旅立ったシャイン。もう10年間も会っていないが、早く会いたいという気持ちがアキラを満たしていた。クロスはその時はっとした。動揺しながらアキラに問いかける。

 

「…ということは、アキラ君が言っていた約束をしたお父さんってジオレク・ロドルフって人だよね…?」

「はい! 父さんも有名人なんですか? 今何してるかわかりますか?」

 

 クロスはその純粋なアキラの質問に答えるのを躊躇していた。だが答えないわけにもいかない。これは紛れもない事実なのだから。口を開く。

 

「ジオレクさんはちょうど10年前まで特攻司令官だった。けど任務中に失踪、行方不明になってしまって結局今まで見つかっていない。何の手がかりも出てこないんだ」

「え…?」

 

「君達、『神隠し』って聞いたことあるかな? かなり昔からこの大陸に伝わる噂でね。任務中などにいきなり連絡が取れなくなってそのまま行方不明になってしまうことがこれまで数十件起きてるんだ。一人も見つかった人はいないんだ。アキラ君のお父さんもまさにこれの被害者と言ってもいい」

 

 特攻司令官というは、国王兼総司令官グリウズンの右腕となる存在で特攻部隊を取り仕切る役職だ。対して護衛部隊を取り仕切る護衛司令官も存在する。神隠しは任務中によく起こるとされているが、最近は少なくなったという。アキラはその事実を聞かされてもまだ理解できずにいた。幼い頃にした父ジオレクとの約束。その父が現在行方不明になっているなどそう簡単に信じることができるはずもない。

 

「アキラ君、今やっとつながったよ。多分10年前シャインさんはジオレクさんが行方不明になったから探すために旅に出たんだ。よくシャインさんも言ってた、特攻部隊が神隠しにあうんだったら特攻部隊になれば原因がわかるってね。今もシャインさんは父ジオレクさんを血眼で探してる。手がかりを見つけようと頑張ってるんだ」

 

 アキラの目の色はそれを聞いて少し変わったかのようにみえた。

 

「―――今、目的が増えました。俺も父さんを探す! 神隠しの正体を絶対に暴いてやる」

 

 決意。それは人を動かす意志。目標があればあるほどやる気が出るのが人間である。アキラがここまで決意したのは、シャインが特攻部隊Zにいるということを聞いたからでもあった。負けず嫌いなアキラは、さらに特攻部隊Zになろうとする意志が強くなっていたのだ。アキラ、ライド、シスキーはそれぞれ目的は違えど特攻部隊に志願する明確な理由があり、それこそが強みだとクロスは確信していた。

 

 

 

 

 

 午後11時。城下町ミサビーク北にある、巨大な金奏城へつながる門の前。そこにクロス達はいた。11時になったのと同時に門が少し開いた。門の横には、数人の護衛部隊隊員が厳重に警備をしている。誰でも城に入ることのできるチャンス、厳戒態勢になるのも無理はない。これまで一度もテロは起きたことはないが、起きてからでは遅い。門の前で待機していた多くの入隊志願者達が、厳重なボディチェックを受けて門をくぐり中へ入っていく。待機していた志願者の数は、数百人にも及ぶ。

 

「それじゃ、僕はここまでだ。先に城に入ってるよ。三人共、頑張ってね! 応援してる!」

 

 クロスはそう言い残すと、門の横にある小さな入り口から金奏城内へと入っていった。まだ聞きたいことがあった気もするが、三人は顔を見合わせてクロスを見送った。どう見ても志願者の数が尋常じゃなく多い。クロスは例年志願者は150人から200人の間といっていたが、アキラ達がパッと数えただけで500人以上いる。それもまだ全員ではないだろう。アキラ達三人も列に並んでボディチェックを受け、門をくぐった。

 

「なんだこりゃー!」

 

 思わずシスキーが叫んだのも無理はない。門をくぐった中は巨大な正方形の城壁に囲まれたさらに巨大な金色に輝く城。至る所に砲台があり、敵の侵入を頑なに阻む設計となっている。城全体を見ることもなく、城の横にある地面から下に下る階段へ誘導される。金奏城は地上70メートルの高さを誇り、さらに地下50メートルもの深さもある巨大要塞。城は上から見ると正方形の城壁で囲まれており、その一辺は200メートル以上。長い階段を降りていくと、広がっていたのは巨大な地下室。ここは地下3階。アキラ達はかなり奥に詰められて待機させられた。このフロアに入隊志願者全員を待機させるつもりのようだ。

 

 数十分待たされた後、降りてきた階段と地上との連絡口が閉鎖された。ざわざわと騒がしいフロア全体。アキラとライドは静かにしていたが、シスキーが興奮して騒がしく、二人が何度も黙らせる。おそらくもうすぐ午前0時になるかと思われた時、地下3階の奥の方の台の上に一人の巨体の男が乗り上がった。

 

「静粛に!!」

 

 男の一声でフロアは沈黙へ帰る。それと共に全員に緊張感が走り、フロア全体にピリピリとした空気が張り詰めた。全員がその男を見つめる。男の後ろには数人のマントを着用した特攻部隊隊員と思われる人達が立っている。

 

「俺は特攻司令官グラナドウ・ゴウメクバード!! 午前0時になったため志願者受付を締め切った!! 今年は、志願者が合計で…えーっと何人だっけ…?」

「…615人です」

 

 グラナドウのすぐ後ろにいた緑髪のメガネをした背の低い男が耳打ちした。

 

「そう!! 615人!! 今年はいつもの3倍以上だな!! 細かいことはめんどくせえ!! これからお前達には入隊試験として合計3つの試験を受けてもらう!! まず1つ目は『チーム・ダンジョンクリア』だ!! 概要としては4人チームを組んでもらって、俺の後ろにある転送装置で仮想空間のダンジョンへ飛んでもらい、見事制限時間内にゴールまで辿り着ければ合格だ!! ちなみに俺が開始の合図をしてから1時間が制限時間で、それをオーバーすれば即不合格で帰ってもらう!! それと必ず4人チームでなければならない!! 以上!!」

 

 それを聞いて再びフロアがざわめき始める。アキラ達は顔を見合わせたものの、彼らは誰か一人を仲間に加えてダンジョンへ向かわねばならない。総志願者数は615、4では割り切ることができない数字。つまり既に3人の不合格者が出ることは確定している。ダンジョンクリアが目的な以上、弱い人間を仲間に迎え入れると不合格の可能性も高まる。アキラは辺りを見渡し思考を巡らす。三人を含め、志願者全員が焦る中グラナドウが叫ぶ。

 

(よく考えられてるゲームだ、強いやつを見分ける能力の有無とその判断力の早さ、ダンジョンクリアできるかの実力、色々試されてるんだ)

 

「開始!!!!」

 

 その合図と共に、全員が動き出した。

 

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