ジオレク・ロドルフ
性別:男 年齢:44歳 性格:?
使用武器:? 特技:?
アキラの父。元特攻司令官。10年前の任務中に行方不明となる。神隠しにあった一人。
コロプス山脈の50%を攻略し地図化した功績を残す。
「開始!!!!」
その合図と共に、全員が動き出した。アキラ達三人はフロア前方、グラナドウがいるダンジョン転送装置に近い位置にいたが、人の流れに押し戻されフロア後方の地下へ降りてきた階段の方まで移動してしまった。志願者達は我先にと人ごみを掻き分けてフロア前方へと進んでいく。完全に流れに乗り遅れてしまった。制限時間は1時間。ダンジョン自体がどれほど時間がかかるものかはわからないが、もたもたしている暇などないことは三人はわかっていた。
「くっそー! こいつら他人を押しのけやがって…自分のことしか考えてねーのか!?」
「当然と言えば当然かもな。選ばれた人間しか特攻部隊にはなれない。ダンジョンで何が待ってるのかわからない以上、必死になって当たり前だ」
取り乱しイラつきを見せるシスキーに対して、冷静に状況を判断するライド。
「とりあえず俺らは誰か一人仲間に加えなきゃいけない!」
「なるべく強そーな奴を入れよーぜ」
もちろんここで三人が同じパーティではなく、それぞれ別のパーティに入るという選択肢もあったがそんな事を考えている余裕がないほど切羽詰まっていたのだ。アキラ達は必死に辺りを見渡して一人でいる志願者を探す。志願者達も動き回っていて景色はよくなく、全くといっていいほど目ぼしい志願者は見つからない。そこでシスキーはアキラの肩に乗り、フロア前方の様子をうかがった。
「え、おい! やべーぞ! もうかなりの数のパーティがダンジョンに
フロア前方にあるダンジョン転送装置の前にはグラナドウが待ち構えており、パーティメンバーが四人で構成されていることを確認した後、転送装置で仮想空間ダンジョンへ転送している。転送される先は、全く同じ構成のダンジョンではあるが、各パーティ専用の空間となっている。つまり全志願者数615人のために153個もの仮想空間が用意されているのだ。シスキーの言った通り、事実615人中204人が既にパーティを組んでダンジョンへ転送されていた。開始の合図からわずか5分程度の出来事である。もたもたしている暇はない。焦るライドは近くにいた男に声をかけた。
「おいお前、よかったら俺らのパーティに入らないか?」
「ああすまない。俺はこいつらと一緒に行くんだ、悪いな」
その男の後ろには三人の志願者の姿。もう既にパーティを組んでいたのだ。さらにアキラも近くの男に声をかけるが、その男は二人組。アキラ達が必要な、単独の志願者自体そう簡単に見つかりそうもない。みるみる内にフロア後方の人は少なくなり、フロア前方へ人が集まっている状況となっていた。既に615人中340人が出発している。
(ほんの少し…ほんの少し判断が遅れただけでこんなにやばくなるなんて)
アキラは焦っていた。おそらくグラナドウが説明をしている間に四人組を組んでる者たちが大勢いたのだろう。開始の合図からパーティが決まるまでがあまりにも早すぎた。もう出発した志願者は半分をとっくに超えている。最悪の場合パーティが組めずに不合格になる三人に自分たちがなってしまうのではないか、という確かな不安がアキラ達の脳裏によぎった時―――
「あの…見たところ三人のようなので…良かったら僕をパーティに入れてくれませんか?」
「え?」
―――救世主は現れた。か細いその声は、ライドの背後から聞こえた。振り返ると少し身長の低い、痩せ気味で紫色の髪と目を持つ少年が立っていた。深緑色のダボダボとした服を着用しており、木の杖を持ったその姿をみてアキラ達は同じ事を思った。
(こいつ、弱そう)
三人全員がその少年に返事をするのを躊躇っていた。少年は健気な表情でこちらを見つめている。開始の合図から10分が経過し、ダンジョンへ転送された人数は480人を超えた。残り人数はアキラ達を含めて135人。その少年が欲しいのか、アキラ達の横には三人組の志願者達が集まってきていた。アキラが口を開いた。
「よし、よろしく! 俺の名前はアキラ。とりあえずダンジョンへ向かおう!」
「よろしくお願いします! 僕の名前はストルスといいます」
少年ストルスを仲間に加え、四人組のパーティが組めたアキラ達はフロア前方へ向かう。
「俺の名前はライド、よろしくな」
「俺はシスキー・スネイド! ストルス、よろしくー」
「はい、よろしくお願いします。アキラさん、ライドさん、シスキーさん」
ストルスは16歳。アキラ達より1歳年下である。ちなみに今回の入隊試験における最年少の入隊志願者となる。フロア前方の人だかりもかなり少なくなり、スムーズにグラナドウの元まで辿り着くことができた。グラナドウの後ろには直径二メートル程の魔法陣がありこれが転送装置となる。整列する四人。
「四人揃ってるな、うん!! 魔法陣に全員入ってくれ!!」
言われた通り魔法陣へ入る。すると魔法陣が青く光り出した。魔法陣の脇には魔導士が数人構えており、何やら詠唱をしている。おそらく転送の準備だ。グラナドウが叫ぶ。
「はい、転送!! いってこいや!!」
その声と共にアキラ達の身体は青い光に包まれ、目の前が真っ白になった。
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目を開けると、そこは大きな正方形の部屋。四人それぞれが部屋の隅に立っていた。それぞれの目の前の地面には小さな魔法陣が描かれている。部屋には出口などなく、壁で囲まれているだけ。
「なんだこりゃ、どうやって出りゃいいんだ?」
ライドはそう言いながら辺りを見渡した。天井は見えないほど高く、上は見えない。部屋全体は白くなっている。その時、頭上から機械の音声のようなものが流れ始めた。
「「ただいまよりガンドラ暦12217年度、特攻部隊入隊試験第一次試験を開始致します」」
四人の目の前にある魔法陣が黒く光り出す。黒い煙のようなものが溢れ出てくる。思わず部屋の隅へ後ずさる四人。その煙が晴れると、そこには猪の顔をした獣人が赤く長い槍を持って立っていた。魔物、オークである。
「おいおい、魔物との
「「今召喚されたオーク四匹を全て倒すことができれば、脱出の道が開けます。ちなみに制限時間は残り43分50秒となっています」」
その機械音声が終わったのと同時に四匹のオークは、目の前の四人にそれぞれ襲い掛かった。おそらくパーティの内誰かが殺されてもいけないはず、と考えたアキラは咄嗟にストルスの方を見た。ストルスはオークに怯えて全く動けていない。
「ストルス! 倒せそうにないなら、俺かライドかシスキーの後ろに行くんだ!」
「りょ…了解です!」
そう応じたストルスは、向かってくるオークなど無視してアキラの方へ向かって走り出した。ライドとシスキーは、それぞれのオークに集中して応戦している。ストルスがこっちに向かってきているとわかった以上、アキラも苦戦などしていられない。太刀を抜き、オークを睨む。対するオークも槍を振り回しアキラを睨みつける。
「ふぅ…」
そう大きく息を吐いたアキラは、少し屈んで両足に力を込めた。その様子をみてオークは槍を大きく引く。アキラの視線は相対する魔物の首元に集中していた。
「疾風突き!」
「グオオッ」
瞬発的にジャンプし、アキラの太刀は素早くオークの喉に突き刺さった。跳躍する瞬間からオークはアキラの動きに反応などできるはずもなかった。その時、
「いてっ」
こっちに向かってきていたストルスがちょうどアキラとストルスが最初に出現した場所の中間地点で転んでいた。倒れたオークから太刀を抜き、鞘に納めたアキラ。息絶えたオークは再び黒い煙と化して消滅した。ライドとシスキーはまだ戦闘中の様子。
「ストルス、どうした?」
「いや、なんかここに『透明の壁』みたいなのがあって…」
「!?」
アキラも急いでストルスの方へ駆け寄った。立ち上がったストルスのすぐ隣まできたアキラであったが、ストルスに触れることができない。二人の間には透明の壁が存在した。おそらく魔法で作られたもの。つまりこの部屋は『□』ではなく『田』の形をしていたのだ。四人それぞれのエリアが透明な壁によって区切られていた。アキラと向き合うストルスの後ろから少しずつオークが歩み寄ってきていることに両人は気付く。
「ストルス…そいつを倒してくれ! 頼んだ」
無言のまま振り返りオークと向き合う16歳の少年ストルス。ダンジョンに入った四人それぞれが一体のオークを倒さなければ出ることができないダンジョン。やはりパーティメンバーの強さは必要だった。ちょうどその時オークを倒したライドとシスキーも、ストルスのエリアを見守る。この三人には、ストルスが勝つように祈ることしかできない。ストルスと向かい合い、オークは歩を止めた。
「あまり戦いは得意じゃないんですけど…がんばります! 僕が勝たなきゃ四人共不合格ですもんね…」
そう言ってストルスは杖を振り回し、先端をオークに向けた。