人として死に、修羅として生きる   作:トクサン

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修羅の生誕

 神は存在した。

 

 

 だがその神は、私達が想像していたモノよりもずっと単純(シンプル)で。

 

 博愛とか慈愛とか、そういう人間主観の『情け』も持ち合わせておらず。

 

 まるで世界を管理するだけのシステムの様なモノだった。

 

 

 

『己の存在価値を証明せよ』

 

  宇藤浩太朗(うどう こうたろう)には夢がある。

決して諦められぬ夢がある。

夢半ば、老いにて寿命を全うした自分は、しかしそれで満足出来なかった。

 

 まだ足りぬ。

 

 まだ高みを目指せる。

 

 まだ頂には届いておらぬ。

 

 その一心で私は神に祈った。

生まれて、両手を合わせ祈ると言う事をしなかった男が、初めてその膝を屈した。

どうか高みを目指せる時間を下さいと。

私に命を授けてくれと。

一心不乱に祈り、それが届いたのか、自分は此処にいる。

 

 神は存在した。

 

 だが、神は我々の想像した『神』では無かった。

 

『魂よ、己が世に存在する価値があると証明せよ、さすれば然るべき地へと生み落そう』

 

 神は間違えない。

 

 手違いで人を殺す事もなければ、情けや温情で新たなる地へと生み落す事もしない。

 

 神は全能でなければならない。

 

 そうでなければ、それは『神』では無い。

 

 神が神たる所以、それは全能性であり、決して超えられぬ存在である事。

 

 神を人間の範疇で考えてはならぬ。

 

 そう言った見知らぬ同郷の彼は。自分の目の前で無と還った。

 

 己が価値を証明出来なかったのだ。

 

『価値を、証明せよ』

 

 神が問う。

 

 主の価値は何ぞやと。

 

 目の前に居た人間は、悉く返答に窮し無へと還った。

人種は様々、年齢も性別も関係ない、己が人生で見つけた、身に着けた、知った全て。

それを証明し、自分には生きた価値がある事を証明する。

それが出来なければ、輪廻転生は叶わぬと。

その順番が、自分に来た。

 

 自分の価値とは何か。

 

 神を目の前にして、九十年の時を経た自分の肉体を見下ろす。

骨と皮の肉体、最早衰えていくばかりの肉体、その体で歩んできた人生。

蓄積された技はあれど、それを体現するには既に自分は老いすぎた。

病に苛まれ、満足に拳を振るうどころか動けもしない。

 

 だがしかし、己の価値は何ぞやと問われて、答えられるモノを、自分はたった一つしか持ち合わせて居ない。

 

 ゆっくりと両手を持ち上げ、構える。

拳は作らず、軽く握手をする様な緩い握り。

 

 己が証明できる価値など、『武』以外に存在しない。

 

 命を与えられ九十年、愚直なまでに突き進み辿り着いたこの境地。

最強の二文字には辿り着けなかったとしても、頂きを見上げる場所には来た。

全てを闘争に費やしたこの人生。

現すならばたった一つで事足りる。

 

 

 ただ一つ、拳を突き出す。

 

 

 腰から突き出す、真っ直ぐな拳。

それを以て、私の回答とした。

言葉は不要、得たものはこれ一つ。

九十年の歳月はこの拳に宿っている。

これ以外は何も無い。

 

 これだけが、私の価値だ。

 

 

 

 神からの返答は無く、私もまた口を開かなかった。

そして時は来る。

現世から息を引き取った時の様に、世界が暗転し泥の中に沈む。

死と言う概念に浸かる瞬間、あぁ、駄目だったのかと思った。

 

 一度生を全うした己が人生、二度目は無いと言う事か。

 

 人生は一度のみ。

そう考え生きてきたが、やはり惜しい事は惜しい。

願わくば、誰もが見上げる頂きを目指したかった。

だがそれも叶わない。

 

 価値を示せぬ人間には無を。

 

 無条件で生を受けるなど、烏滸がましい。

 

 つくづく、世界は残酷に出来ている。

 

 そんな思考を最後に、ぷっつりと意識が途切れる。

最後に感じたのは、頂きを目指せぬ後悔の念だけだった。

 

 

 

 

 

『武を全うする生』

 

『己の生き様、其れ即ち修羅道』

 

『気高き武人、されど狂気を持った狂人(くるいびと)よ』

 

『武を求め、強きを求め、魂を鍛え上げたその意思』

 

『人の身でありながら良くぞ此処まで』

 

『器を鍛え、魂を練り上げた己は人の中では稀有』

 

『己の価値は強き魂』

 

『不屈と忍耐、人の究極』

 

『己の新たな地は決まった』

 

『生を全うした己の価値に見合う地よ』

 

『己の本質は修羅』

 

『ならばこそ、己の本懐を果たすべし』

 

 

 

 

 ただ己が望む様に、果てて死すべし。

 

 




色々な小説を見て居て、転生(笑)に腹が立って書いた後悔している。
神様の手違いで転生とか言うけど、ミスしたらソレ神様じゃないと思うんですよ。
だって神様ですよ?
俺達の想像も及ばない様な完璧な存在ですよ?
そもそも世界作ったりしている存在が人間如きに頭下げますか、転生させますか。
させないと思います(小並感)

なんか色々ごめんなさい。
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