side一夏
この世界に転生して既に十年近い年月が経った。
赤ん坊からのリスタートだったから、何となく長く感じられた。
その間にISが世界に向け発信されたり、白騎士事件があったり、
モンド・グロッソが開催されたりと、色々あった。
まぁそれはどうでもいいとして、
織斑兄弟として転生した俺達は、特にやることと言えば、
新しく姉になった千冬に連れてかれた、篠ノ之道場で身体を鍛えるか、
近くの山に入って、ISを稼働させる位だ。
しかし、ここである異変に気付いてしまった、
どうも新しく幼馴染みになった篠ノ之 箒の様子がおかしい。
なんか原作とは違い、部屋で本を読んでる方が多く、
性格も割りと社交的だが、一人で居ることを好む、深窓の令嬢みたいになってた。
原作のコミュ障からは全く想像も出来ない姿だったが、
その方が付き合いやすくて良かった。
箒の性格が良い方向に変わったのはありがたいが、
その一方で、駄目な方向に変わってしまった人もいた。
それは俺達の姉、織斑千冬だ・・・。
あの人、元から家事が全然駄目だったけど、それに拍車がかかったみたいで、
何か物を動かすと必ず何かしらの物が壊れるというレベルになってしまい、
俺と秋良はあの人に家事をさせない様にしている。
それだけならまだ良かった、けど、嫌な事は重ねられるそうで、
原作を遥かに超越するブラコンになってしまっていた。
なんか、俺達が素っ気ない態度を取ると床に突っ伏して、
『弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた。』
と、延々と呻くので、正直言ってかなりウザい。
つーかなんだよあれは、外に出れば無敵の戦乙女<ヴァルキリー>、
家の中ではただの駄姉って、洒落にならねぇんだ。
育ててもらってんのは確かにありがたいが、大人として、
いやその前に人間としてどうなのかと疑いたくなる。
だから俺は千冬の事を駄姉と呼んでいる。
さてと、そんなつまんねぇ説明やめて、
秋良と鍛練しましょうかね?
sideout
side秋良
兄さんに引っ張られ、裏山までやって来た俺は、
ルージュを起動させて兄さんのストライクと対艦刀で切りあう。
原作開始までの時間が長いから、充分訓練出来る時間はある、
今のうちにやっとけば、同年代には確実に負け無いからね。
繰り出される刃を紙一重で避け、蹴りを叩き込むけど、
どれもまた紙一重で回避される。
この肝を冷やすような戦いこそが、一度死んだ俺達に生の喜びを与えているのかもしれない。
正直、自分でも狂ってるとは思うけど、今はこれ以上の楽しみを見付けられない、
だから今はこれで良いと思ってる。
何せ、原作開始まで後五年はある、それまでは互いの肉体を苛め抜く事だけを考えていれば良いさ。
・・・・・・・・・、あれ?
なんでだろう一瞬スゴい寒気がした・・・。
殺気とか、怒気じゃなくて、なんかこう・・・、
『その絡み貰い!!デュフフッ!!』
みたいな、いや~な寒気だったな・・・。
「多分その元凶は箒だと思うぞ?」
「兄さん、思考読むのやめてよ?」
だけど、兄さんの言うことはごもっともだと思う。
何せこの世界の箒は、俺、もしくは兄さんへの恋心が無くなっている代わりに、
BでLな趣味に目覚めてしまっている。
剣の腕前が少し落ちている代わりに、その慢心と独善が無くなり、
おまけに絵の才能が身に付いていた。
余りにも変わりすぎていたので、何度も兄さんと互いを殴りあった事は記憶に新しい。
因みにその場面も、ネタにされかけたのは言わずもがな。
お陰で精神的に疲れたことが何度もある。
まあ暴力よりはかなりマシだから、俺も兄さんも何も言わない。
他人の趣味に口出しする気は一切無いからね。
・・・、でも、欲を言うならもう少し自重してほしい、色んな意味で。
「無理だろうな。」
「そんな遠い目をして言わないでよ。」
なんか溜め息が出てくるよ・・・、ハァ・・・。
sideout
side一夏
あれから更に二年と3ヶ月の年月が流れ、俺達の周りは変わった。
先ず、箒の姉、篠ノ之 束がコア千個を残し失踪、
その後要人保護プログラムにより篠ノ之一家は離散、
箒も何処かへ転校して行った。
そして、箒と入れ違いに、凰 鈴音が転校してきた。
因みに、第二回モンド・グロッソ時の拉致事件だが、
敢えて原作通りに拉致られる事にしておいた。
そうでもしないと、ラウライベントが発生しないからな。
イレギュラーとは言えど、自ら原作をねじ曲げるような真似はしない。
ここまでは原作開始までの回想通りなんだが、
やはり改変の波は鈴にも襲い掛かっていたようだ。
「あ・・・、その・・・、えっと・・・、ごめんなさい!」
「一々謝るなよ鈴、お前何も悪いことしてねぇだろうが。」
「いや・・・、でも・・・。」
そう、何故か原作の簪以上にネガティブになってしまい、
俺と秋良は彼女のお目付け役として、フォローに回る事が多くなった。
一年前に比べると、大分マシになったとは言え、
今だかなりのネガティブっぷりに俺達は頭を抱えている。
「もうヤダ・・・、布団の中に帰りたい・・・。」
「いや、今夏だからせめて部屋にしろって、熱中症になる。」
「いや兄さん、それに鈴も、その前に今帰ってるよね?」
なんか漫才のような事をしながら、俺達は帰宅の途に就く。
鈴のような気弱な女子を一人で帰す訳にも行かないので、
俺と秋良は毎日の様に鈴を家まで送っている。
「えっと・・・、また会えたら・・・。」
「また明日で良いだろうが、めんどくさい。」
「兄さん、それ鈴が泣くからやめたげてよ。」
「ううっ・・・、グスッ・・・。」
「ああほら泣いちゃったよ、鈴、大丈夫だから、兄さん怒って無いからね。」
はっきり言おう、ウチの姉より遥かにマシだが、
正直ウザい、怒りはしないけどイライラ来る。
けどまあ、何となくだが、小動物みたいで可愛いっちゃあ可愛いんだがな。
「そう言えば、弾はどうした?」
「えっと・・・、弾なら家の手伝いがあるって・・・。」
「そうなんだ、ありがとね鈴。」
俺の質問に答えた鈴を、秋良は軽く撫でていた。
因みに、キャラ改変の波は弾にも直撃していた。
なんと言うか、すごく懐が深く、面倒見が良い兄貴肌になっており、
お蔭で蘭がブラコンと化している。
「じゃあ、アタシはこれで・・・。」
「「おう、また明日。」」
鈴と別れ、俺達は家に帰らずに山へ入る。
今日は何をしますかね?
「今日は生身でスパーリングでもやろうよ、
技を磨いてないと楯無イベントとかがかなり厳しくなるからね。」
「そうだな、あの訳のわからん女を負かすのも、なかなか面白そうだしな。」
どうやら、俺達の性格はドSらしい。
まあ、元から分かってた事なんだがな。
「まぁ良いさ、俺達は成るように成れば良いんだからよ。」
「そうだね、じゃあ、行くよ兄さん?」
「上等!」
こうしてスパーリングが開始され、
俺と秋良は互いを打倒すべく拳を、蹴りを繰り出す。
原作開始まで、残り三年を切った、夏の話だった。
sideout
side秋良
そして、更に二年と半年が流れ、
俺と兄さんは藍越学園の入試を受けるべく、
会場となる市民会館を訪れていた。
それと、一年半前に鈴が転校していった・・・、
彼女は俺と兄さんにすがり付き、わんわん泣いて、
もう会えないかもって、すごく怖がっていた。
でも、兄さんが必ずまた会えると言ったお陰か、
最後は泣き止んで、再会を約束しながら中国へ渡った。
っと、回想はこれぐらいにしとこうかな?
今は感傷に浸っている場合じゃないしね。
原作開始は、今日ここからなんだからさ。
原作では一夏は誤って道に迷ってたけど
(多分本当に迷子になったんだと、俺と兄さんは予測している。)、
俺達はわざと道に迷い、打鉄が置かれている部屋まで辿り着いた。
「覚悟はいいか?」
「勿論だよ、兄さん。」
そんな事、聞かれるまでも無い、
でないと、兄さんと一緒にこの世界になんて来ないしね。
扉を開け、中に入ると、二機の打鉄が目に入った。
どうやら更に改編が起きたらしい、本当は一機しか置かれてない筈なのに、
「まあどうでも良いかな?」
「だろうな、恐らく、束さんが置いたんだろう、俺らが双子だからな。」
「そうだね、それじゃあ・・・。」
「ああ、やるぞ。」
俺と兄さんは顔を見合わせた直後、打鉄に触れた。
そして・・・、
キィィィィィン!!
駆動音を響かせながら、二機の打鉄が起動した。
「よし!」
「成功だね!」
喜びの声をあげた直後、試験官らしき女性の声が響く。
「嘘っ!?男がISを起動させてる!?」
その女性は俺達にここに居るよう言った後、
他の人を呼びに行った。
だから、気付けなかったのだろう、
俺と兄さんが薄い笑みを浮かべていたことを・・・。
sideout
はいどーもです!
次回から原作開始です!
戦闘はもう少し先になると思いますが、もうしばらくお待ちください。
それでは次回予告
予定通りISを動かした一夏と秋良はIS学園に入学し、
そこで懐かしい顔と再会する。
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
入学、そして再会
お楽しみに!