side一夏
学年別トーナメントの翌日、
シャルは自らの性別を明かしてシャルロットとして再入学してきた。
俺とセシリア、ついでに秋良はシャルが女だと知っていたが、
知らなかった他の連中の驚き具合と落ち込み具合は半端無かった。
まあ・・・、落ち込んだ方々の大半が腐の方々なんだろうがな。
そんな事はどうでも良いとして・・・。
それから何事も・・・、いや、夜な夜な、
セシリアとシャルが俺のベッドに潜り込む様になった事以外特に何事もなく、
季節は夏に移り変わって行った・・・。
で、俺は寝苦しさと日の光を浴びて目を覚ました。
朝に強い訳ではないが、すんなりと目は覚める方だ。
だが、最近そうではなくなってきた、
それには訳がある。
俺の両サイドで穏やかに寝息をたてている金髪美少女二人組だ。
右腕にはセシリアが、左腕にはシャルが抱き着き、
しかも今日はラウラが俺の上に乗っかってるから余計に寝苦しい。
まったく・・・、自分の欲求に素直なのは構わんが、
朝になったんだからとっとと起きやがれ。
「おら起きろ、セシリア、シャル、ラウラ。」
彼女達を叩き起こす様に、俺は無理矢理身体を起こし、
腕を大きめに揺らす。
「あ・・・ん・・・?」
「う・・・ん・・・?」
「む・・・ぅ・・・?」
三人揃って寝惚けてんな、似たような声が漏れてんぞ。
「あ・・・、おはようございます一夏様・・・。」
「おはよう一夏ぁ・・・。」
「おはようございます兄貴・・・。」
「おうおはよう、目が覚めたらとっとと着替えろ、
こんな所誰かに見られでもしたら面倒だ。」
と言うより、なんで三人とも裸なんだ、
眼福とは思いたいが、如何せん童貞には刺激が強すぎる。
悪いか!?転生前も転生後もそう言った関係の女はいないんだよ!!
中身三十代だが、身体は十代半ばなんだよ!
ってそんな事はどうでもいい、
もしこの状況で誰かが入って来たら・・・。
「おーい、起きてるかい兄さん?」
いぃっ!?
一番めんどくさい奴が来やがった!?
アイツに見られたらある意味一貫の終わりだ!!
「待て!開けるな!!」
俺の叫びも空しく、扉が開かれる。
「なんだよ、鍵かかってないじゃん、
不用心にも程があるよ兄さ・・・ん?」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」
秋良が部屋に入って来た瞬間、
部屋の空気が死んだ・・・。
秋良の目線は俺と、それぞれの下着を履いたり、
着けたりしようとしていたセシリア達の間をさまよう。
「お邪魔しました~、ごゆっくり~♪」
「待てぇぇぇぇぇ!!」
ニヤニヤしながら部屋を出ていこうとする秋良を必死に呼び止めるが、
それも空しく扉が閉じられる。
あぁぁぁぁぁ・・・!
絶対に勘違いされた・・・!
いや、ネタにされた・・・!
廊下から笑い声が聞こえてくるから確信できる、
恐らく秋良が腹抱えて笑ってやがるんだろう・・・!
ぜってぇ後で絞めてやる・・・!
sideout
side秋良
いやぁ、久し振りに兄さんの慌てる顔を見れて気分が良いや。
にしても兄さんはスゴいね、三人も女の子を囲うなんてさ。
でもなぁ・・・、鈴も簪も夜這いかけて来ないから、
夜を共になんて今までに無いからなぁ・・・。
でも羨ましいなんて思ってないよ、思ってないったら思ってない!
で、俺は今、鈴と簪と一緒に朝食を摂っている。
俺の朝食はカレー、しかも辛さ指数5の激辛カレーだ。
これぐらい辛くないと俺はカレーと認めないよ。
「一夏っ、早く行こうよ♪」
「そうですわ、そろそろ急がなければ遅刻してしまいますわよ?」
「むぅ、それは嫌だ、何せSHRは教官が担当だからな。」
そんな事を思ってると、薄金、濃金、銀の髪色をした美少女三人を回りに侍らせた色男、
織斑一夏がやって来た。
うわぁ、見ててなんだかイラって来る。
え?人の事言えないって・・・?
まあ確かにね・・・。
「おーい、兄さん、こっちだ。」
取り敢えず兄さん達をこっちに呼び寄せるつもりで手を振る。
「テメェ秋良この野郎・・・!」
「まあまあ落ち着きなよ、さっきのは俺が悪かったって、
それより早く朝飯食べた方がいいよ?」
「本当にムカつく野郎だな・・・。」
とか言いつつ、兄さんは両サイドにセシリアとシャルロットを侍らせ、
朝食を食べ始める。
にしても、兄さんの朝飯・・・、
フレンチトーストにフルーツサンドにココア、
どう考えても糖尿病になるようなメニューだ・・・。
「兄さん・・・、太るよ・・・?」
「この程度で太るかよ、と言うより、テメェもなんで朝からカレー喰うんだよ?」
「身体に良いんだよ?兄さんもやれば?」
つってもやらないだろうけどね。
「生憎だが、俺は辛い食い物が苦手なんだよ、
それに、塩分の採りすぎは身体に毒だ。」
「糖分も同じだと思うんだけど?」
まあ・・・、どっちも生活習慣病の原因の最たる物だから張り合っても無駄か・・・。
「あ・・・、ヤベ、俺もう行くわ。」
兄さんが急に焦った様な表情を見せ、席を立つ。
「あ、待ってよ一夏ぁ!!」
「お待ちください一夏様ぁ!」
「兄貴~!」
兄さんを追いかけてセシリア達は席を立つ。
なんでだ・・・?
訳が分からず壁に掛けられた時計を見ると、
SHRの四分前だった・・・、ってぇ!?
「ちょっ!!なんで言ってくれないんだあのバカ兄貴!!」
不味いぞ、あの出席簿アタックは死ぬ程痛いんだよな・・・、
まあ兄さんのグーパンチよりはマシなんだけどね。
ってそんな事言ってる場合じゃない!!
「鈴!簪!早く行こう・・・、っていない!?」
慌てて周りを見渡すと、もう既に出入口から出ていこうとする後ろ姿が見えた。
ヤバイ・・・。
道連れがいない・・・、いや、道連れはいない方が良いんだけどね。
ええい!こうなりゃ自棄だ!!
食器とトレーを返却し、大慌てで寮の外に出る。
朝からあんまりやりたくないけど、背に腹は代えられない!!
「そりゃ!!」
跳躍し、校舎の近くに植えられていた二階の窓ぐらいの高さの木の枝に掴まる。
そこから懸垂の要領で跳ね上がり、枝の上に立つ。
そこから更に飛び上がり、教室がある三階の窓縁に掴まる。
よし、後は窓を開けて入るだけ・・・、
って・・・、鍵がかかってる・・・。
ツイてないなぁ・・・。
流石に三階から落ちたらタダじゃ済まないよなぁ・・・、
いや、そもそも窓から進入しようとする方が間違いなんだけどね・・・。
そんな事はどうでも良いとして・・・、
これかなりキツいんだよな・・・。
兄さ~ん・・・、助けて~・・・。
俺の祈りが通じたのか、窓の鍵が解除され、
窓が開いた・・・。
窓から顔を覗かせたのは、やはりと言うべきか兄さんだった・・・。
「お前よぉ・・・、走って来いよ・・・。」
「ゴメンよ・・・、流石に間に合わないと思ってさ・・・。」
「まあ良いがな・・・、ホレ、掴まれや。」
有り難い・・・。
差し出された兄さんの手を掴んだ。
やれやれ、なんとか間に合った・・・。
因みに廊下にいたセシリア達に驚愕の目で見られたのはご愛嬌・・・。
sideout
sideシャルロット
放課後、
僕と一夏とセシリアは訓練をするために、
アリーナに向かっていた。
勿論、僕とセシリアは一夏の両腕にしがみついてる。
左が僕で、右がセシリアの立ち位置だ、
急に変わったりしたら物凄く収まりが悪い。
それは一夏も分かってるみたいで、
もう僕達がしがみついても何も言わなくなった。
だから僕達も何も言わずに彼の腕にしがみついてるんだ♪
「あ、そう言えばなんだが、お前ら次の土曜日暇か?」
一夏が立ち止まり、僕達に尋ねてくる。
「え?僕は大丈夫だけど?」
「私も特に用事はありませんわ、それがどうしまして?」
「いや、来週の水曜から臨海学校だろ?自由時間に使う水着を持ってなくてな、
だから買い物がてらお前達とデートモドキでもしようかと思ってな。」
あー、そう言えばそうだったね、
僕も水着持ってないから買いに行きたかったんだよね。
「僕は行きたいな♪セシリアは?」
「私は既に水着を持っていますが、
折角の御誘いですし、御一緒させていただきますわ。」
「決まりだな。」
一夏は満足気に頷き、先にアリーナに入っていった。
僕とセシリアもその後を追い、アリーナに入った。
sideout
side簪
金曜日の夜、
私は秋良の部屋を尋ねた。
実は昨日、シャルロットとセシリアが明日、
一夏とデートに行くって嬉しそうに話していたから、
羨ましかったから、私は秋良と一緒に買い物に行こうと誘いに来たの。
「秋良、いる?」
「居るよ~、鍵掛かってないから入ってきて良いよ~。」
「お邪魔します。」
扉を開け、部屋の中に入る。
その途端、軽快な津軽三味線の音色が耳に飛び込んで来る、
いつも思うんだけど、どうして秋良ってあんなに三味線が上手いんだろ?
聞いてみたいけど、私音感無いから正直言って音楽が出来ないんだよね。
「いらっしゃい簪、鈴とラウラはさっき来て今そこで寝てるよ。」
彼の視線の先を見ると、ベッドの上で穏やかな寝息をたてている鈴とラウラが居た。
鈴はともかく、どうしてラウラが秋良の部屋で眠ってるんだろ?
「兄さんがラウラと話を着けろって言ったらしくて、
部屋に来たのは良いんだけど、何かやってたのか、疲れて眠っちゃったんだ。」
一夏が・・・?
何のために?
「まあそんな事はどうでも良いとして、俺に何かご用かな?」
そうだったわ、思いっきり忘れる所だったわ・・・。
「秋良、明日か明後日のどっちか暇?
良かったら臨海学校の時に使う水着を買いに行きたいんだけど・・・。」
「明後日なら良いよ、兄さん達と鉢合わせにならないからね。」
「!」
一夏達と会わない様に考えてくれるなんて・・・、
秋良って結構色々考えてくれてるんだ・・・。
「ま、二人っきりって訳にはいかないよ?
鈴とラウラも連れてくけど、それでも良いなら。」
「鈴はともかく、なんでラウラも?」
「ラウラが明日用事があって兄さん達と一緒に行けないから、
俺が連れていってやれって言われてさ、それに兄さんよりも俺達の方がセンス有るからね。」
なるほど・・・、と言うより、
一夏って結構人に面倒事を押し付けるのね・・・、
二人っきりなんて望んでないよ、
むしろ鈴もいなきゃ楽しくないしね。
それにしても、楽しみだなぁ~。
sideout
はいどーもです!
えー・・・、一話で海まで行けるかと思ったら、
バランス的に分解した方が良いと判断して、
四部構成になります。
さて次回予告
海だ水着だ!一夏編
お楽しみに!!