noside
臨海学校前の最後の土曜日、
この日は雲ひとつ無い青空が広がり、
気温も25度と、夏の訪れを感じさせる。
そんな絶好の行楽日よりに、
IS学園発のモノレールに乗り込む三人の男女が居た。
黒髪の青年、織斑一夏と薄金髪の少女、セシリア・オルコット、
濃金髪の少女、シャルロット・デュノアの三人だ。
「ところで一夏様、どの様な水着を買われるおつもりでして?」
「ん?まあ無難な物にしようかと思うんだが、あんまり海に縁が無かった物でな、
正直言って、水着の良し悪しには疎いんだ。」
「そうなの?」
セシリアの質問に肩を竦めながら笑う一夏を見て、
シャルロットは少し驚いた様に尋ねる。
「ああ、一応は泳げるんだが、この世界に来てから海に行った事が無いんでな。」
一夏が海に近寄らなかったのには訳がある。
それは彼の弟、秋良の前世での死因が溺死であった為、
一夏もそれを汲み取り、なるべく海に近寄らなかったのである。
「「この世界・・・?」」
「あっ・・・、いや、何でもない、気にしないでくれ。」
一夏が無意識に発した言葉に反応した二人が聞き返すが、
彼は曖昧に笑って受け流した。
(以前から思っていましたが、一夏様は時々不自然な言葉を呟かれますわね・・・。)
(それに、どう考えてもこれから先の事を知ってる様な気がするし。)
(今の言葉、<この世界>と言っておられましたわね、と言うことは・・・。)
(一夏は僕達に言えない何かを黙ってる・・・?)
だが、彼の態度に何処か不自然な物を感じたセシリアとシャルロットは、
一夏との付き合いで徐々に研ぎ澄まされてきた勘で推理をする。
(ですが、例えそうでも一夏様は機会が来ればきっと話してくださいますわね。)
(だからその時まで、僕達は待っていれば良いよね?)
一夏に自身の有り様を変えられ、彼を心より信頼している二人は詮索を止めた。
「さてと、着いたみたいだな、行くとするか?」
「はい♪」
「うん♪」
差し出された一夏の手を掴み、
セシリアとシャルロットは彼の隣に並んだ。
sideout
side一夏
危ない危ない・・・。
無意識の内に言葉が出ていた・・・。
ドジって正体を明かす所だった・・・。
流石に今のは無かった・・・、自分で自分をぶん殴りたくなった。
まぁ、セシリアとシャルには、俺の正体を明かしても良いと思ってる。
だが、今はまだ時期尚早だ。それに俺の踏ん切りがつかないのもあるがな。
情けないこった、何時まで躊躇ってる・・・?
・・・、いや、今はそんな事はどうでも良いか。
今は目の前に集中していればいい。
そんな事を思いながらも、俺は二人と並んで歩く。
・・・、にしても視線が凄いな・・・。
そりゃそうか、金髪美少女を二人も侍らせてれば誰でも注目するわな。
そんな事を考えつつ、俺達は水着売場までやって来た。
やはりと言うべきか、前世でも現世でも、
このシーズンの水着の販売量には気圧されるな。
どの世界でも、人間考える事は同じなんだな。
「うわぁ!凄い品揃えだね!」
「まあそうだな、この辺りでは一番の品揃えだろうな。」
物珍しそうに目を輝かせるシャルの言葉を聞きつつ、
俺はシャルに似合いそうな水着を探してみる。
やっぱ無難に原作と同じヤツにしとくか?
いや、それだとあんまり面白くないか・・・?
かと言ってあまりにも大胆過ぎるのは勘弁だな。
こう言う時は水着を欲しがってるシャルの意見と、
同性のセシリアの意見を基にしよう。
「で?シャルはどんな水着が欲しいんだ?」
「えっ?一夏が選んでくれるんじゃないの?」
そう言う事になってたのか?
まあそう言うことならちょいと頑張ってみるか。
「分かった、俺好みなのはこれだな。」
結局俺が渡したのは原作と同じ水着だった。
だってあれが一番似合ってるんだもの・・・。
「わあっ、可愛いね!どう?似合ってるかな?」
俺の手から水着を受け取ったシャルは、
自分の身体に水着を当て似合うかどうかを尋ねてくる。
「ええ、似合っておりますわよシャルさん♪」
「似合ってるぞ、それで良いか?」
「うん!じゃあお金払って来るね♪」」
俺とセシリアの褒めに嬉しそうな顔をし、
彼女は早速レジに会計に行った。
さてと、俺達も着いて行くか。
売場から去ろうと思い、歩き出そうと思った時・・・。
「ちょっとそこの貴方、これ片付けときなさい。」
「あぁ?」
呼ばれたので振り向いてみれば、いかにも女が偉いと思い込んでる様な二十代の女だった。
うわ・・・、嫌な臭いの香水使ってやがんな、鼻が曲がりそうだ・・・。
「断る、見ず知らずのアンタに尽くす義理は無い。」
まったく、コイツ俺が誰だか分かってないな?
なら、自分が誰に喧嘩を吹っ掛けたのか判らせてやるか。
「ふぅん?歯向かうんだ?なら・・・。」
俺の言葉を受け、女は警備員を呼ぼうとする。
その隙に俺は学生証を取り出しておく。
この俺の名を知らない人間など、恐らくいないだろうしな・・・。
だが、セシリアが俺より先に動き、女の腕を掴んでいた。
「な、なによ!?」
「まったく・・・、貴女はどなたに因縁をつけているのかお分かりなのですか?」
「そこの男に決まってるじゃない!!なによ!?アンタは男の肩を持つわけ!?」
「当然ですわ、このお方は・・・。」
喚く女を睨み付けるセシリアの目は、
卑屈な奴を侮蔑するような目だった。
「失礼しますお客様、どうされましたか?」
騒ぎを聞きつけた男性警備員がこちらに寄ってきた、
正しい判断だ、だが、今回ばかりは間違いなんだけどな。
さてと、あんまりやりたくは無いんだが、
痛い目にあっていただこう。
「失礼した、俺はこう言う者です。」
「はぁ・・・、ッ!?あ、IS学園の学生証!?
と言うことは・・・!?」
俺の学生証を見た警備員の顔がどんどん青ざめていく、
なんだろう、物凄くデジャヴを感じるんだが・・・。
「俺は織斑一夏です。この女が俺にいちゃもんをつけて来たんですよ、なあセシリア?」
「ええ、イギリス代表候補生として嘘は吐きませんわ。」
「・・・!」
俺の名前が判り、さらにイギリス代表候補生のセシリアが加わると、
女は嫌な汗を滝の様に流していた。
「さて、俺を顎で使おうとしたんだ、それなりの代償は覚悟していただこうか、
明後日の朝には職場の椅子が無くなってるだろうな。」
そう言いつつ、俺は携帯を取りだして電話をかけるフリをする
その瞬間、女は踵を返し逃げようとする。
だが、それを逃がす俺達じゃないんだよ。
俺とセシリアが両肩を掴み、逃げられない様にする。
「因縁吹っ掛けるのは大いに結構だがな、相手を選べよ。
それにテメェは勘違いしているようだがな、
女が偉いんじゃねぇんだ、ISを使える奴が偉いんだよ、
ISに乗った事もないテメェなんざ何の価値もねぇんだよ、それを理解しておけ。
今回だけは見逃してやるがな、次に同じことをしてみろ、
テメェを八つ裂きにしてこの道に晒してやる、良いな?」
「・・・!!」
女は顔面蒼白で頷き、俺とセシリアが手を離した瞬間に脱兎の如く走り去って行った。
ふん、自分が偉いと思うならちったぁ歯向かってみろよ?
俺を楽しませる事ができる位まで歯向かってくれれば、
俺は喜んで従ってやるのによ。
まあそれはさておき、
虎の威を借る狐が増えてるのは確かだろうな。
女だから、ISを使えるから、そんな理由で威張る輩が出てきている。
かつて漢達は自らの理想を実現すべく、争い、
血を流し、その果てに傷付き倒れて逝った。
だが、今の女はどうだ?
理想を持たず、ただ力を振りかざすだけだ、
自分達の手を汚そうともしない。
だから世界に歪みができている。
それを見過ごせない質なんだよな俺は。
「いっその事・・・、俺が壊してやろうか・・・?」
「?どうされましたか一夏様?」
俺の独白に聞き耳を立てたセシリアが尋ねてくる、
コイツの耳も侮れんな・・・。
いや、俺の声がデカイだけか・・・?
「何でもない、行くぞ、シャルが待ってる。」
「はい♪」
俺の差し出した手を取り、嬉しそうに微笑むセシリアを見て、
俺は一瞬頭を過った考えを思考の隅の隅に追いやった。
今はただ、彼女達を喜ばせたいからな・・・。
sideout
sideセシリア
一夏様とシャルさんの水着を買い終えた後、
私達は近くの喫茶店に入りました。
喫茶店の名前は@クルーズと言うらしく、
メイドや執事の服装をした店員が働いておりましたわ。
一夏様は早速季節のパフェ(葡萄のパフェ)とチョコレートパフェの二つを注文しておりました。
因みにシャルさんは紅茶とチョコレートケーキを、
私はロイヤルミルクティーとレアチーズケーキを注文しました。
何時も思う事なのですが、
どうして一夏様はいくら甘い物を食べても太らないのでしょうか?
女の身としては羨ましい限りなのですが、
個人的に御体の健康の方は大丈夫なのかとも思います。
まあ私がどうこう考えなくとも、
一夏様はわかっておられますわね。
「お待たせしました、こちらが季節のパフェとチョコレートパフェ、
レアチーズケーキとチョコレートケーキでごさいます、お飲み物は後程お持ちします、
ごゆっくりどうぞ♪」
メイド服を着た店員が私達が注文しました品を、
テーブルの上に置いて厨房へ戻って行かれました。
「さてと、いただくとしようか。」
一夏さんはそう言いつつスプーンを持ち、
生クリームやフルーツ、そしてアイスクリームを次々と口に入れて行きました。
その食べっぷりは、見慣れている私達でさえ舌を巻く物でした。
「はぁ・・・、やっぱり凄いね一夏は・・・、
僕達には考えられない食べっぷりだもん。」
「ですわね、さ、私達も食べましょう?」
「そうだね。」
そんな会話をしながら私達もケーキを口にしました。
ふむ・・・、一夏様が作ってくださったケーキよりは劣りますけど、
中々の味ですわね・・・。
「ねぇ一夏、そのパフェどんな味なの?」
シャルさんが一夏様の食べている季節のパフェを指差し、
味を尋ねられておりました。
少し食べてみたいとは思いますが、
少し言い出し辛いですわね。
「まあまあだな、なんなら、お前達も食べてみるか?」
「えっ!?良いの!?」
「宜しいんですの!?」
シャルさんと揃って身を乗り出してしまいましたわ。
あまりにも声が大きかったのか、店内にいた人達の視線が集まってしまいました。
「落ち着け、取りあえずホレ。」
そう言いつつ、一夏様はスプーンをシャルさんの目の前に差し出しました。
所謂ハイアーン♪ですわ。
「あーん♪ふわぁ、美味しいねぇ♪」
「そうか、次はセシリアだ。」
そう言って一夏様は私の前にアイスクリームと生クリームが乗ったスプーンを差し出してくださいました。
さ、流石に人目がある中では少し恥ずかしいですわね・・・。
ですが、折角の御厚意を無下にはできませんわ!
「あ、あーん・・・。」
意を決して一口食べました・・・。
正直に言いまして、味なんて分かる訳がありません・・・。
sideout
sideシャルロット
一夏とセシリアとお茶会を終えて、
僕達はIS学園に帰ってきた。
「ふぁ~!歩きすぎて足がクタクタだよ~。」
「本当ですわね、疲れましたわ。」
「そうだな、疲れたな、それは良いんだよ、だがな・・・。」
一夏がベッドに腰掛ける僕達を見て、
なんだか呆れたような顔をしていた。
「なんで俺の部屋にいるんだよ?」
そう、僕とセシリアは今、
一夏のお部屋にお邪魔してるんだ♪
「なんでって、彼氏の部屋にいちゃいけないの?」
「そうですわ、私とシャルさんは一夏様の女、
つまり貴方様の彼女と言う事ですわ。」
セシリアの言う通り、僕達は一夏を愛してる。
だからここに居て、手を出して欲しいとも思ってる。
「お前らなぁ・・・、年頃の女が男の前でそんな言葉を使うんじゃねえよ、
俺だってよぉ、性欲って物は有るんだぜ?」
一夏がその端整な顔に薄い笑みを浮かべ、
僕達が腰掛けてるベッドに近寄り、自分も腰を降ろす。
「良いよ、僕は一夏に抱いて欲しいよ?」
「私も、貴方様に抱いて頂きたいですわ、それが私達の望みですわ。」
僕とセシリアは一夏の左右に座り、
彼の肩にもたれ掛かり、自分達から誘う様な仕草をしてみる。
「・・・、本当に俺で良いんだな?
俺はお前達を愛してる、だから・・・。」
一夏はセシリアを抱き寄せ、彼女の唇に自分の唇を重ねる。
むぅ~・・・、羨ましいなぁ・・・。
暫くセシリアと口付けを交わした後、
唇を離し、今度は僕の方に唇を重ねる。
乱暴な、それでも彼の優しさが伝わって来るような口付けだった。
「セシリア、シャル、お前達の気持ち、しかと受け止めた。
俺も初めてだから、加減は出来ないぞ?」
「大丈夫ですわ。」
「だから、僕と。」
「私を。」
「「抱いてください。」」
この日、僕とセシリアは、彼の手で女にされました・・・。
sideout
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
海だ水着だ!秋良編
お楽しみに!!