side秋良
「海!見えたぁ!!」
そう叫んだのは誰なのだろうか・・・?
そう思いながらも窓の外に目を向けて見ると、
そこは既に煌めく海と砂浜が映っていた。
「へぇ、中々凄い所だね、あ゛、ブダった・・・。」
「そうだな、ドイツにいた頃は中々見ることが出来なかったが、
来てみれば良いものだな、むぅ・・・、2のスリーカードか・・・。」
俺達は現在、一番後ろの座席に座り、ポーカーをしながらそれぞれ話す。
「ラウラさんは軍属でしたものね、仕方ありませんわ、
10のスリーカードですわ。」
「でも、これから楽しめば良いよ、僕も海なんて久しぶりだし、
7と8のフルハウスだね。」
「ま、俺達はそれぞれ特殊な立ち位置にいるから仕方ねぇッちゃあ仕方ねぇわな、
良し、ロイヤルストレートフラッシュだ!」
「ぐぁ~!!また俺ビリかよ!!」
これで何回目になるだろうか、
運が無いのか、それとも実力がないのか、
ポーカーを始めて既に13戦目になるんだけど、
俺は今だ五位と四位にしかなれていない。
つーか何だよ!?兄さんのあの勝負運!?
ほぼ全てで1位とってるし!?
しかもロイヤルストレートフラッシュって、フォーカードより出すの難しいだろ!?
「さてと、まだやるのか秋良?お前いまのところ勝ち星無だぞ?」
「ぐっ・・・!」
因みに最多勝は兄さんで、次点でセシリア、シャルロット、ラウラが一勝ずつで続いてる。
鈴と簪はクラスが違うからここにはいない。
だからセシリアとシャルロットを両隣に侍らせてる兄さんが凄まじくウザい。
・・・、やめよう、そろそろ愚痴を通り越して僻みになってくるしね。
そう思い、トランプを回収して、シャッフルしようとした時だった・・・。
「静かに!もう少しで旅館に着く!」
姉さんが座席から立ち上がり、バスの中に響く様な声で注意する。
もう着くのか、早い物だね。
ついさっき学園を出た気がしてならないよ。
そんな事を思ってる間にバスは立派な旅館のすぐ近くにある駐車場に停まった。
へぇ、中々良いところじゃないか、
三味線持ってきた甲斐があったよ。
「こちらが今回お世話になる旅館の女将さんだ!
従業員の方の仕事を増やさぬよう、注意しながら行動しろ!いいな!」
『よろしくお願いします!』
姉さんの言葉の後、一組全員で挨拶をする。
「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。」
いやぁ、年齢は三十程だろうけど、仕事柄の笑顔のせいか、
より若く見えてくる。
女将さんがバスを降りた後、俺達は荷物を手に持ちバスを降りた。
「ね、ね、アッキー、アッキー達の部屋って何処なの~?」
旅館に行こうとした俺に、のほほんさんが部屋割りを尋ねてくる。
そう言えば知らないなぁ、何処になるんだろうか?
「ゴメンよ、俺もよく分からないんだ。」
「俺達の部屋は教諭室の真隣だ、下手に来ると不味いぞ?」
俺がのほほんさんに説明していると、
何処からともなく兄さんが現れた。
やっぱりそうなるよね。
羽目を外した女子って怖いもん。
「そうだね~、でもでも~、消灯時間前に遊びに行っても良いよね~?」
「良いよ、男二人っきりも嫌だしね。」
「どうせなら簪や鈴も連れてきてやれ、こいつが喜ぶからな。」
兄さんめ、なんてこと言ってくれやがんだ・・・、
まあ否定できない俺も悲しい・・・。
「さてと、俺達は荷物を置いてくる。」
「それじゃあまた後でね。」
のほほんさんに告げ、
俺と兄さんは旅館の部屋へと歩いて行く。
うん、流石にいい旅館だね、
最新設備と木造建築が見事に合わさってる。
そんな事を考えている内に、俺達は部屋へとたどり着いていた。
兄さんが部屋の鍵を開け、中に入って行く。
俺もそれに続いて部屋の中に入る。
そこは海を一望できる広々とした部屋だった。
シャワーやトイレも完備していて、悪くない。
むしろかなり贅沢だね。
う~ん、こんな眺めの良い部屋に来たんだ、
折角だし、ここいらで一曲するのも一興だね。
「さてと、荷物も置いた事だし、さっさと海に行くぞ。」
「あ、いや、俺は良いよ、やっぱり海はまだ怖いしね。」
実際、俺は前世で子供を助ける為に溺れ死んだ。
別にその事はもうどうでもよくなってる、
でも実際、まだ海への恐怖心は捨てられてない。
なんか、小さい事で悩んでる事には変わりはないよね。
「そうかい、ま、自分の女を喜ばせる事ぐらいやってみろよ?
泳がなくても、できる事はあるだろう?」
兄さんはそう言いつつ着替えを始める、
男の着替えを見る趣味は無いが、我が兄ながら鍛え抜かれた身体だと思う。
俺は格闘戦のみに特化した身体つきになってるけど、
兄さんは全ての領域において最適な戦いができる様な身体つきだ。
「まあ良いさ、俺は先に行くぞ。
俺はお前と違って自分を殺せるからな。」
どう意味だろうか、兄さんは意味深な言葉を呟きつつ、
先に部屋を出ていった。
ま、恋人サービス位はちゃんとしてあげないとね、
男が廃るってもんだ。
そんな事を考えながら、俺も着替えを始めた。
sideout
side一夏
やれやれ、我が弟ながら、めんどくせぇ限りだ、
恐怖に打ち勝ってこそ、輝く物が掴めるんだ。
なのに、恐れてばかりで、逃げる事しか出来ねぇようでは、
この俺を越える事なんて、もう一度転生シテも無理だな。
まあ良いさ、俺は俺、アイツはアイツだ。
何を考え、何をするかはアイツ次第だ。
そんな事を考えている内に、俺は中庭に面した場所にやって来ていた。
それは良い、だが、どう考えてもその場に似合わない物が刺さっていた。
ウサ耳が、地面に生えてる・・・。
何を言ってるのか分からねぇとは思うが、
俺も何が何だか分からねぇ。
いや、冷静になって考えてみれば分かるか・・・、
こんな阿呆な事をするのはこの世でただ一人だ。
篠ノ之 束以外にいないわな。
さてと、どうするか・・・、
駄姉に報告しても良いんだが、時間を取られるのも嫌だし、
見て見ぬ振りをしておこう。
俺は取り敢えずその場を去り、海へと出た。
ん~、15年ぶりだな・・・。
「うわ・・・、一夏君の身体すっごい・・・。」
「逞しい、でも、しなやか・・・。」
「どうやったらあそこまで鍛えられるんだろ?」
そうかそうか、逞しいか。
十年かけて徐々に鍛えた甲斐があったというものだ。
この身体は、その気になれば空中で跳躍したり出来るからな、
結構便利で気に入ってるんだ。
そんな事を思いつつ、ビーチマットを敷き、準備体操を行う。
こんなところで溺れ死んだらかっこつかねぇしな。
「あっ、一夏~!」
「一夏様~!」
呼ばれた声に振り向くと、
そこには青いビキニに腰元にパレオを巻いたセシリアと、
オレンジのセパレートの水着を着たシャルが立っていた。
「おぉ、似合ってるぜ二人とも、流石だ。」
「ふふっ、ありがとう♪」
「ありがとうございますわ♪」
嬉しそうに微笑む二人は、海辺で水着という組み合わせという事もあり、
何時もより美しく見えた。
「お前達、日焼け止めは塗ったか?」
「うん、セシリアに塗ってもらったよ。」
「私もシャルさんに塗って頂きましたわ。」
「そうか、なら良いさ。」
俺は取り敢えずパラソルの下に寝転がり、
海へと視線を向ける。
ふっ、隣には最高の金髪美少女が二人もいるなんてな、
良いねぇ、バカンスとしては悪くない、それどころか最高だな。
「風が気持ちいね、それにすごく晴れてるし。」
「そうだな、絶好の海水浴日和だな。」
あー、泳ぎたくなってきた。
でもコイツら日焼け止め塗ってるし、海に入るのは躊躇われるだろうがな。
「よっと、取り敢えず泳いでくる。」
起き上がり、砂を叩いてから海に向かう。
「い、一夏~!」
「うん?」
呼ばれた声にまた振り向くと、
そこにはワンピースタイプの水着を着た簪と、
彼女の後ろに隠れている鈴と、
バスタオルオバケがいた・・・。
「おう、秋良を探してるんだろ?
アイツならそろそろ来るぞ?と言うより、出てこいラウラ。」
「うわぁっ!?」
タオルの結び目を思いっきり引っ張る。
その余波なのか、ラウラはすっとんきょうな声をあげ、
独楽の様にくるくると回った。
バスタオルが全て取れた時、
原作と同じ水着を着ているラウラが現れた。
やはり似合うな、良い感じだ。
「うぅ~、兄貴~・・・。」
「ぐっ!?」
な、涙目になってるラウラ、
凄いキュンキュン来るんだが・・・!?
・・・、いや、秋良じゃああるまいし、
そんな事は無いな・・・。
「おう、似合ってるぞラウラ、
だが、何故バスタオルに隠れていたんだ?」
「いや・・・、その・・・、恥ずかしいですし・・・。」
くっ・・・、やべぇな、
こう言う小動物系がタイプじゃない俺でもクラッと来るんだ。
ラウラ・・・、恐ろしい子・・・!
「さてと、俺は泳ぎたいからな、後は秋良に相手してもらいな、」
「あ、兄貴~!」
ラウラの声を聞きながら、俺は海へと飛び込んだ。
sideout
side簪
海に飛び込んだ一夏を見送り、
私達はセシリアとシャルロットがいるパラソルの下にやって来た。
二人とも寝転んでいて、その豊かな胸が強調されていた。
・・・、何で同い年なのにこんなにも違うんだろう・・・?
ちょっと・・・、いや、かなり悔しい。
私の周りにいた女の人って、全員巨乳なのよね。
だから、何時も謎の敗北感を味あわされてる。
隣を見ると、鈴も、そしてラウラも、
二人の胸元を見て悔しそうな表情をしていた。
分かるよ、分かるよその気持ち・・・!!
「お、ここにいたんだ。」
柔らかい声が聞こえ、振り向いて見ると、
そこには黒い水着を履き、白いシャツを羽織った秋良がいた。
はだけたシャツの間から見える、
見事に鍛えられた肉体美に、私達の目は釘付けになってしまった。
「おっ、三人共水着似合ってるね、可愛いよ。」
「あ、ありがとう・・・。」
「ふふっ、ありがとう♪」
「うむ、当然だ。」
秋良の誉めに、私達三人は照れつつお礼を言う。
だって好きな人の前では素直でいたいしね。
「兄さんはどうしたんだい?」
「一夏様なら海に行かれましたわ、
暫くは帰って来ないかと思います。」
「そっかなら良いんだ。」
秋良はそう言うと、自分は砂浜に腰を下ろす。
私達も彼の隣に座り、海を眺める。
私も泳ぐより、海辺でゆっくりとしてる方が好きだからこれで良い。
「秋良くーん!ビーチバレーやろうよ~!」
「あれ~!?一夏君は何処よ~!?」
相川さんや谷本さんがこっちに来てビーチバレーに誘ってきた、
と言うより、一夏や秋良と遊びたいんだろうなぁ・・・。
「兄さんなら今海に潜ってると思うよ、
あの人、息継ぎ無しで五分以上潜れるからねり」
『えェ!?』
えェ!?普通無理だよね!?一夏って何者なの!?
「流石ですわ一夏様・・・。」
「カッコいいね・・・。」
いや、セシリア?シャルロット?
そこは惚れ惚れする所じゃないと思うよ?
?ちょっと待って、一夏がそれぐらい出来るって事は・・・。
「ま、まさか秋良も・・・?」
「いやぁ、俺は息を止める事は出来ても、潜るのが苦手でね。」
それってつまり、潜る事さえ出来たら自分も出来るって事?
『・・・。』
私は、セシリア、シャルロット、ラウラ、そして鈴の順番で顔を見合せ、
深々と溜め息をついた。
なんで私達は人外に惚れてしまったんだろう・・・?
いや、嫌って訳じゃないよ?
寧ろ、秋良が私の手の届かない高みまで行ってしまいそうで、
寂しいと言うのかな?
それは置いといて・・・。
ビーチバレーかぁ・・・、私もやろうかなぁ・・・?
「まあ兄さんは放っておいて、俺達だけでやってようよ。」
「「!!」」
秋良はやるんだ!だったら私も参加しようかな!!
sideout
sideセシリア
簪さん達が秋良さんに着いて、
即席のビーチバレーコートに歩いて行かれました。
その様子は何やら兄に付き従う妹達に見え、
微笑ましくもありました。
簪さん達が秋良さんの事を慕っていらっしゃるのは承知しておりますが、
秋良さんはどう見ても友人か、それとも妹としてしか彼女達を見ていらっしゃらない気がしますわ。
少し気の毒と言えば気の毒ですわね・・・。
「そうでもないさ、秋良はチキン野郎でな、
女に手を出すのを躊躇ってるだけだ。」
はぁ・・・、そうなんですの・・・、って!?
「一夏様!?いつからそこに!?」
驚いて身体を起こしてみますと、目線の先に、
海水で全身を濡らしている一夏様がいらっしゃいました。
と言うより、水に濡れてる一夏様も色っぽいですわ・・・。
「ついさっきだな、五分位潜ってたから丁度良いと思ってな。」
本当に五分も潜れるんですね・・・、
心を読まれた事よりそちらに驚きますわ・・・。
「ま、アイツなら、ラウラも含めて受け止める器量は有るだろうし、
俺達がどうこう口出す様な事はねぇさ。」
「そう、ですか?」
「ああ。」
確かに、一夏様の言う通り、
他人の恋路に口を挟むのは御法度ですわね。
彼女達は秋良さんに惹かれている、
なら、秋良さんが解決しますわね。
「ところで、秋良達はどこ行ったんだ?」
「秋良達なら、相川さん達に誘われてビーチバレーをしに行ったよ?」
そう言えばそうでしたわね。
一夏様はどうされるんでしょうか?
「なら、俺も行くとするか、お前達はどうする?」
「僕は行くよ?」
「私も参りますわ。」
差し出された一夏様のお手を取り、
私とシャルさんは立ち上がりました。
sideout
side秋良
相川さん達の誘いで、誰が描いたのか分からないビーチバレーコートにやって来た。
「それね~、私が描いたの~。」
・・・、だからか、かなり遅くなったのは・・・。
「まあ良いや、四対四形式で良いかい?」
「良いよー!」
軽いなぁ、これが女子校特有のノリか・・・。
もう慣れたけどね・・・。
で、チーム分けの結果、
俺のチームには簪、鈴、ラウラが入る事になった・・・。
始めようとした、丁度その時・・・。
「ほう、大層ご立派なのが出来上がったな。」
「やあ兄さん、案外早かったね?」
「まあな、潜ってるだけっつうのもつまらないしな。」
そう言いつつ、兄さんは一人足りなかった相手チームに入る。
こりゃあ、少し本気を出さなきゃね。
「ほう、ビーチバレーか・・・、面白そうだな。」
あ、やっぱり来るよな、我が姉は・・・。
声のした方に向き直ると、山田先生を引き連れた姉さんがいた。
やはりと言うべきか、原作と同じ水着を着ていた。
「楽しそうですね。」
「あ、先生方もビーチバレーされますか?」
「折角のお誘いなんで、参加しますか?織斑先生?」
「うむ。」
あー、姉さんと山田先生が敵か・・・。
かなりめんどうだな・・・。
俺が頭をかきむしろうとした時・・・、
兄さんが此方にやって来た。
「秋良、あの駄姉は駄目人間とはいえ、
戦闘能力だけは一流を越えてる、俺達二人が力を併せきらなけりゃ負ける。」
「そうだね、悪いけど、鈴、ちょいと抜けてくれるかな?」
鈴を下がらせ、兄さんに入ってもらう。
「さて、姉弟対決と洒落こむか?」
兄さんの身体に闘気がまとわりつく。
ヤバくなりそうだ・・・。
sideout
side箒
「むっ?この気配は・・・!?」
他の奴等が騒いでる喧騒から少し離れた場所にいた私は、
何やら特別な気配を感じ、脚をその気配の方へと向けた。
間違いない、この気配は・・・!!
その気配に近付くに連れ、より鮮明に対象が見えてくる。
『キャアッ!千冬様~!!頑張ってくださーい!!』
『ヤマヤガンバレー!!』
『オリムーガンバレー!!』
なるほど、千冬さんと織斑兄弟がビーチバレーでもやってるのだろう。
浜辺にいる生徒の目が全てそちらに向いてる事から推察出来る。
「おーい、シャルロットー。」
「あ、箒!」
「今どうなってる?」
「今ねー・・・。」
――バシィィィン!!――
――ドシャァァッ!!――
「・・・、一夏達が十点連続で得点した所。」
「まさか?千冬さんが得点出来てないのか?」
まあ納得と言えば納得なんだがな。
一夏と秋良の超人的能力を省みれば納得だな。
「しかし・・・、この写真は売れそうだな!!」
私は薫子先輩から渡された一眼レフで写真を撮りまくる。
汗をかきながらも、二人揃って笑いあうその場面!!
最高だ!!我々には最高のご褒美だ!!
「グフフ!これは売れるぞぉぉ!!」
薔薇の園の同志達よ!!
私はこの写真を持って帰る!!待っていてくれ!!
結局、織斑先生と山田先生は一夏と秋良から一点しか取れずに負けた。
sideout
はいどうもでーす!!
さて、言うことも無いので次回予告
臨海学校二日目、
遂に天災が姿を現す。
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
箒、怒る
お楽しみに!!