インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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目覚めの前兆 一夏組編

side一夏

昼食を手早く済ませた後、

俺はセシリアとシャルとでアリーナに入った。

 

俺の傍を片時も離れず、

時に俺のサポートを、時には俺に追い付く為に俺と戦う。

 

本当にいい女だとつくづく思うぜ。

 

「セシリア、シャル、準備は良いか?」

 

「勿論ですわ。」

「いつでもいけるよ。」

 

フォルテストラにバズーカストライカーを装備したブルー・ティアーズを展開したセシリアと、

バスターストライカーを調整して装備したリヴァイヴを展開したシャルが準備万端といった様に戦意をたぎらせる。

 

「良いのか?お前達の装備は機動力を上げる物じゃないぞ?

確かに火力は普段より遥かに上がるが・・・。」

 

フォルテストラは元々ジンやシグーといったザフトの初期モビルスーツの火力増大を目的に造られた装備、アサルトシュラウドの発展型だ。

 

火力と推力は確かに増大するが重量も増大し、

機体の運動性能が著しく低下する。

 

因みにセシリアが装着しているフォルテストラは、

アクタイオンオリジナルで、脚部の装甲にビームサーベルが左右一本ずつ追加されている。

 

しかもブルー・ティアーズ最大の強みであるビットの射出、収納に支障がでない様にセッティングされている。

もしかして、社長の奴、俺が選ぶ女を読んでいたのか?

 

だとしたら末恐ろしい。

 

まあいいさ、セシリアとシャルのタッグは強い。

俺も正直言って手加減をすればそろそろ負けるだろう。

 

彼女達の成長速度は原作一夏すら霞む程に速い。

 

だから、俺も全身全霊を以て戦うとしよう。

 

「それじゃあ、俺もやるとするか。」

 

スペキュラムストライカーを装備し、

デュエルのビームライフルと、ストライクのシールドを保持する。

 

「さて、本気で行くぜ?」

 

言うが早いか、俺はスペキュラムストライカーのスラスターを吹かし、

一気にシャルに迫る。

 

「シャルさん!」

「うん!」

 

セシリアが左肩に装備されていたミサイルポッドから、

十発程のミサイルを撃ってくる。

 

「フッ。」

 

バレルロールの要領でミサイルを全て回避する。

その隙に彼女達は飛び上がり、上空から俺を狙い撃ってくる。

 

それらをスペキュラムストライカーの推力と機動力を以て、

ジグザグに動いて回避する。

 

避けてるばかりでは埒が開かないので、

かなり無茶をしてみる事にした。

 

PICの力場を一瞬だけ最強にし、地面と同じ様に踏みしめる。

 

「~ァッ!!」

 

声にならない声をあげ、

空間にヒビが入るような錯覚を覚えるまで体重をかけ、

人間と同じ様に飛び上がる。

 

それをほんの一瞬で行った為、

俺がなんの拍子もなく跳ね上がった様に見えたのだろうか、

二人の動揺が伝わって来る。

 

だが、そこで止まる程セシリアとシャルは甘くない、

俺の動きの先を読んだ攻撃を仕掛けてくる。

 

「はあっ!」

 

セシリアが右脚部からビームサーベルを抜き放ち、

ビームライフルを撃ちながら俺に迫ってくる。

 

「フッ!」

 

ビームの光条をシールドで防ぎつつ、

ビームライフルを量子格納し、空いた右手でビームサーベルを引き抜き、

セシリアと切り結ぶ。

 

元から高かった射撃の腕に加え、

俺とシャルから学んだ格闘テクニックも向上している。

 

「ほぉ?かなりいい斬撃だな、良いぜ!」

ビームサーベルを弾き、がら空きになったセシリアのボディにシールドで打撃を加える。

 

「くうっ!?」

 

セシリアは吹っ飛ばされ、

なかなか体勢を立て直せずにいる。

 

追撃をかけようかと考えたが、

シャルがバスターストライカーの対装甲散弾砲を撃ってきたので、

回避に専念する。

 

あれは超高インパルス長射程ライフル程の威力は無いが、

広範囲に中威力の散弾をばらまくから厄介だ。

 

シールドを掲げ散弾を防ぐ。

 

「ちっ、まずはシャルからだな。」

 

スペキュラムストライカーからアナザートライアルランチャーに換装し、

アグニをシャルに向けて放つ。

 

それを察知したシャルは超高インパルス長射程ライフルに組み換え、

アグニのビームを相殺する。

 

(今のは偶然か?いや、それにしてはなんの躊躇いもなかったな・・・。)

 

面白い、これからの戦闘で俺を支えてくれそうだ。

 

「はっ!」

 

シャルは分離させたガンランチャーとビームライフルで弾幕を張る。

正直、バスター系の装備は近付かれさえされなければ無類の強さを誇る。

 

つまりは接近してしまえば怖くもなんともないという事だ。

 

シュベルト・ゲベールを呼び出し、

一気にシャルに迫る。

 

シャルへの接近を察知したのか、

セシリアが俺の後方からリニアガンとミサイル、

そして、スカート部に仕込んでいたクナイの様な物を投擲してくる。

 

「くっ!」

 

なんとか被弾を避ける為、

機体をジグザグに動かしセシリアに向き直る。

 

「はあっ!」

 

「くうっ!?」

 

シュベルト・ゲベールを振り抜こうとするのに反応し、

セシリアは両手にビームサーベルを持ち、

シュベルト・ゲベールの一閃を受け止める。

 

「スゲェ良いぜセシリア!初めて会った時よりいい女になったな!」

 

笑いつつ、腕に力を籠め、どんどん押し込んでいく。

 

あの時の彼女はエリート意識に凝り固まっていたただの愚物だったが、

今は己の未熟を知り、上昇意識を持ち続ける清廉な女になったのだ。

 

「至極恐悦ですわ!」

 

俺に押されつつも、彼女は満開の桜の様に笑ってみせた、

そして、リニアガンを俺に向けて撃つ。

 

「はっ!」

 

瞬時に身体を捻り直撃だけは避けるが、

リニアガンの砲弾が肩を掠めていった。

 

今のはヒヤッとしたぜ、

一度距離を開けるか。

 

シュベルト・ゲベールを押し込み、

セシリアの体勢を崩し、彼女達と距離を開ける。

 

(ちっ、なかなか手強くなったな!)

 

柄にもなく冷たい汗が背中をつたい落ちる。

 

だが、たぎる・・・!

この身体がもっと熱を欲している!!

 

「セシリア、シャル!この俺をもっとたぎらせろ!!」

 

sideout

 

sideセシリア

一夏様の声を聞き、

私とシャルさんはいよいよ一夏様の真の力をこの肌で感じる事が出来ると、

本能的に察知し、背筋がゾクリとする様な錯覚を覚えました。

 

まるで一夏様に初めて抱かれた時と同じ様な感触でした。

 

「セシリア、僕達の力を一夏に見せよう!」

 

「はい!」

 

シャルさんの言葉を聞き、私はビームサーベルを抜き放ち、

同時にビットを二機射出、一夏様を囲い込むように展開します。

 

「行きなさいビット!!」

 

ビットからレーザーを撃ち、

屈折させて一夏様を狙いますが、

一夏様はすぐさまエールストライカーに換装し、レーザーを回避されます。

 

「一夏っ!」

 

シャルさんはガンランチャーの散弾をばらまき、

一夏様の行く手を阻もうとされますが、

一夏様はシールドでそれらを全て防御されました。

 

「はぁっ!」

 

スターライトMk-Ⅲを呼び出し、フレキシブルショットを一夏様目掛け放ちます。

 

しかし、一夏様はサークルロンドを行うと同時に、

ビームサーベルを用いてレーザーを全て切り落としてしまわれました。

 

流石にこれには驚きました。

 

対艦刀で逸らすという対処はかつて見たことがありますが、

あの対艦刀より面積も狭いビームサーベルを用いるとは・・・!

 

やはりあの御方は計り知れませんわね・・・!

 

「ならばっ!」

 

レーザーを連射しつつ、左手にビームサーベルを保持し、

一気に一夏様に接近します。

 

一夏様もビームサーベルを引き抜き、こちらに向かって来ます。

 

(今っ!!)

 

互いに接近し、間合いに入る直前、

私はフォルテストラを強制排除しました。

 

カタログスペックに依りますとフォルテストラは強制排除の際の隙を狙い撃ちされない為に、

排除と同時に閃光弾を炸裂させるという仕掛けが施されています。

 

如何に静かなる猛獣と言われる一夏様でも、

至近距離での閃光弾の炸裂は辛いはず!

 

強制排除しました瞬間、カタログスペック通り閃光弾の光が一夏様を襲います。

 

無論、私にも、そして一夏様にも相手の姿は見えません。

ですが、この距離で攻撃を外す事はありませんわ!!

 

私はスターライトMk-Ⅲを捨て、右手にもビームサーベルを保持して挟み込むように切りつけました。

 

確実に直撃コースでしたが、ビームサーベルは空を切りました。

 

「いい攻撃だったが、惜しかったな。」

 

頭を捕まれる感覚と共に、背後から一夏様の声が聞こえて来ました。

 

「なっ・・・!?」

 

そんな!?

目眩ましに怯まないとでも言うのですか!?

 

「ああ、さっきのはな、排除寸前にモニター類を全部ブラックアウトさせ、

尚且つ自分で目を閉じて瞬間加速<イグニッション・ブースト>で上に逃げ、

そのままお前の背後を取ったというわけだ。」

 

「・・・。」

 

あまりにも非常識な対処方法に、

私は何も言う事が出来ませんでした。

 

「その装備は元々俺がストライクの時に使おうとした事もある装備だ、

性能も欠点も、そして攻撃法も熟知している。」

 

言うが早いか、一夏様はバズーカストライカーを破壊して、

私を地面へと叩き落としました。

 

まだ・・・、届きませんか・・・。

 

sideout

 

sideシャルロット

 

「セシリアっ!?」

 

嘘でしょ!?

なんで閃光弾を目の前で炸裂させられて平気なの!?

 

「シャル、次はお前の力を見せてみろ!」

 

セシリアから意識を外した一夏が、

キャリバーンストライカーに換装してこっちに向かってくる。

 

(くっ・・・!一夏のあの動きに弾幕は効かない・・・、

ビームサーベルの類いは積んで無いしなぁ・・・。)

 

でも、嘆いてばかりはいられないか・・・!

 

無い物ねだりをする気はないけど、

流石にミサイル系の装備はほしいな。

 

後で一夏に相談してみようっと。

 

 

そんな事を考えてる間にも、一夏はキャリバーンストライカーからシュベルト・ゲベール改と、

カラドボルグを抜き放ち一気に接近してくる。

 

ビームライフルで牽制し、回避する先にガンランチャーの散弾をばらまくけど、

彼は全て捌ききってしまう。

 

こう言うのって本当に参っちゃうよ、

僕は射撃寄りのオールラウンダーだから、

一夏みたいな近接格闘寄りのオールラウンダーとは相性が悪い。

 

でもそんなことは関係ない、

僕は僕の戦いを彼に刻みつけるだけだから!!

 

「はあぁっ!!」

 

「おおっ!!」

 

ブレッドスライサーを投擲しつつ、

対装甲散弾砲を構える。

 

これが僕だよ一夏!!

 

彼が自分の間合いに入る直前、

僕はトリガーを引いた。

 

sideout

 

side一夏

シャルがトリガーを引く直前に、

俺はカラドボルグを突きだし、対装甲散弾砲を貫く。

 

その勢いのまま、シュベルト・ゲベール改を両手で保持し、

一気に振り抜く。

 

ビーム刃と実体剣の威力をもった斬撃は、

一瞬にしてリヴァイヴのエネルギーを奪い去った。

 

落下しそうになるシャルの腕を掴み、

ゆっくりと地上に降ろす。

 

「まだ・・・、届かないんだね・・・。」

 

「だが、お前達の力、たっぷり見せてもらったぜ。」

 

悔しそうな表情をするシャルに話しかけながらも、

俺はストライクEを解除する。

 

「大丈夫かセシリア?」

 

「はい、なんとか・・・。」

 

まだ倒れていたセシリアを起こし、

ピットに戻る。

 

「今回の模擬戦の収穫はなかなかだった、

お前達の連携は目を見張る物がある。」

 

冷やしておいたスポーツドリンクを二人に差し出しつつ、

俺は今回の模擬戦の講評を行う。

 

「セシリアのあの特攻はなかなか良かったが、

スターライトを捨てるのは駄目だな、至近距離でのレーザー射撃程、避けられ難い物は無い、

シャルは装備の問題だけだったな、ミサイル系の装備を積んでいれば、俺に一撃与えられていた。」

 

そうは言うが流石に今回はギリギリだったぜ、

何時もなら攻撃に意識を裂くが、今回は回避に意識を裂いていた。

 

つまり、彼女達の実力は遂に俺を捉えつつあるという事だ。

 

いやはや、今回は熱くなりすぎた。

静かなる猛獣と言われる俺が冷静さを欠くなど、

本来はあってはならない。

 

「そうですか・・・、私もまだまだですわね・・・。」

 

「僕もだよ・・・。」

 

二人は少し落ち込んでいるのか、

肩を落としていた。

 

「そう落ち込むな、これから先は長い、

お前達の事は誰よりも信頼している、ゆっくり、じっくり強くなればいいさ、

さて、あいつらの模擬戦の様子も見てみるか。」

 

モニターを操作し、

訓練場内部を映し出す。

 

内部では、秋良達の試合が始まる所だった。

 

さて秋良、お前はどんな強さを見つけるかな?

 

俺は知らず知らずの内に、

薄い笑みを浮かべていた。

 

sideout




はいどーもです!

またしても話が別れてしまいました・・・。

それでは次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
目覚めの前兆 秋良編

お楽しみに!
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