インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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第三の転生者

side一夏

アクタイオン社の廊下を全速力で走る。

 

何事かと思いながらも道を開けてくれる社員の方々に感謝しつつも、

速度を落とさずに走る。

 

あのハイテンションな社長が焦ってたんだ、

絶対何かある。

 

それもかなり重要な何かかがな。

 

「失礼するぞ!」

 

ノックも何もなしに扉を開け、社長室に入る。

 

中に入った瞬間、執務机に突っ伏し呻いている社長と、

苦笑を浮かべた茶髪の男がいた。

 

って・・・!?

 

「お前は何者だ!?」

 

ストライクEに装備されているショーティーではなく、

普段から護身用として携帯しているハンドガンを抜き、男に突きつける。

 

俺が会った事もなければ、見たこともない男だ。

無論、社員でも無いだろう。

 

「あー、待ってくれ、取り敢えずその拳銃を下ろしてくれ。」

 

彼は敵意が無いことを示す様に両手を挙げる。

 

敵では無いのか?

 

そう思い、社長の方を見ると・・・。

 

「彼は侵入者でも敵でもないよぅ・・・、どちらかと言えば新入社員だよぅ・・・。」

 

「なに・・・?」

 

新入社員だと・・・?

この会社は異世界の人間、もしくはこの世界で行き倒れた人間だけを採用している。

一般公募は一切行っていない。

 

だが、恐らく後者は無いだろう。

身なりが良い上、そんなに窶れている様には見えない。

 

だとすれば、異世界の人間だ・・・。

 

「まさか、転生者、なのか?」

 

「御名答だな織斑一夏、俺の名は加賀美雅人、

ついさっきこの世界にやって来たんだ、よろしくな。」

 

雅人と名乗った男は柔らかく笑い、

俺に右手を差し出してきた。

 

なるほど、敵意は無いようだ。

俺はハンドガンを服の内側に仕込んであるホルスターへと戻す。

 

「そうか、さっきは悪かったな、織斑一夏だ、よろしくな、

俺もお前と同じ、転生者だ。」

 

「お前がそうだったのか、よろしくな一夏。」

 

差し出された手を握り、ひとまず場を収める。

 

まだこいつの事を完全に信用している訳では無いからな。

 

「で?やっぱりお前もあのピンク髪のアホみたいにテンションの高い女神と自称する奴に連れて来られたのか?」

 

「よく分かったな、その通りだ。」

 

なんせ俺も連れて来られたクチだしな、

あん時は面倒だったぜ。

 

「いやな、こんな感じだったぜ。」

 

彼は自分の転生の際の事を語り出した。

 

sideout

 

side雅人

 

「んっ・・・?」

 

何もない真っ白な空間に、俺は佇んでいた。

 

何でだ?と言うよりここ何処だ?

 

確か俺は・・・、

 

「自殺しようもした少年を助ける為に、説得に行ったけど、

誤って転落したんだよね。」

 

そうそうその通り・・・、って!?

 

「何故それを知っている!?」

 

声が聞こえてきた方向に向き直ると、

そこにはこの世の者とは思えないほどの美女が佇んでいた。

 

人間・・・、なわけ無いか、俺死んでるんだし。

 

つまりこの場所は、あの世、もしくはそれに近い所だという事になるだろう。

 

「そうだよ~!」

 

「心を読むんじゃねぇよ、てか、あんた誰だ?」

 

「私?私はね~、女神だよ~!」

 

・・・、怪しい、凄く怪しい。

こんな軽薄な奴が神なんて思いたくも無い。

 

と言うより変態はNGだ。

 

「ひどっ!?なんか前にも同じ様な罵倒をされた事があるけど!!」

 

「なんだ?前にも俺と同じ様に変態女神様(笑)に連れて来られた奴がいるのか?」

 

「変態じゃないよ!!それとなにさその(笑)って!!?」

 

ははは、面白ぇわこの人。

 

「ううっ・・・、なんでこんな人間ばっかり手違いで殺しちゃうんだろ・・・。」

 

ありきたりだな・・・、神の手違いで死ぬって。

って事は、あの少年は運命通り死んだのか?

 

「ううん、彼は自殺を思いとどまって、今は頑張って生きてるよ。」

 

「そうかい、それならいい、俺の死がムダでないならな。」

 

そうじゃないと俺が浮かばれないってもんだ。

 

「なんか私が引っ掻ける子って、みんなさばさばしてるね、

ちょっと前に転生していった二人もそんな感じだったよ。」

 

「そうなのか?なんとなくだが、気が合いそうな気がして来たぜ。」

 

その二人に会うためには、そいつらと同じ世界に飛ばしてもらうのが一番手っ取り早いな。

よし、そうして貰うか。

 

「良いよ~、一応転生特典は彼らと大体同じにしておくね、

ISの世界だから、好きな機体を専用機にして良いよ~。」

 

IS・・・、って事はインフィニット・ストラトスの世界か。

悪くないな、寧ろ上々な世界じゃねぇか。

 

それに、好きな機体を専用機にしていいだと?

随分太っ腹な事をしてくれるな。

 

だが、先に行った奴等の機体が気になるな。

 

「あ、先に行った二人の今の機体は、

ストライクEにゲイルストライクだよ。」

 

なんと!ストライク系か。

悪くないチョイスだな。

 

だが、俺も同じ感じだったらつまらんな。

 

SEED外伝系で何か良い機体は・・・。

あるな。

 

「よし、俺の機体はドレッドノートだ、

勿論、Xアストレイにもイータにもなれるようにしてくれ!」

 

「良いよ~♪他には無いかな?

容姿は今のままでいいかな?」

 

「別に構わねぇ、そんなに悪くはないと思ってるしな。」

 

「それじゃあ、いってらっしゃーい!!」

 

sideout

 

noside

 

「・・・、という感じで転生させられたんだ。」

 

「そうか・・・、俺もお前も大変だな・・・。」

 

雅人の話を聞いた一夏は、しみじみと呟いた。

 

なんで俺らはアイツに引っ掛かってしまったんだろうか・・・、

とでも考えているのだろう、一夏の表情にはそんな色が見て取れた。

 

「一応女神様がこの世界の情報を弄って、

彼の戸籍を作ってるよ。」

 

「なるほどな、転入の手続きは俺が学園側に掛け合ってなんとかしよう、

どうせ、ISを動かせたら間違いなく入学させられるからな。」

 

服の内側から手帳を取り出し、

ボールペンで何かを書き始める。

 

「?なんでお前がやるんだ?普通は生徒会長の更識楯無だろ?」

 

一夏の台詞に疑問を感じた雅人は、

その疑問を一夏に尋ねる。

 

「いや、生徒会長はこの俺だ、あの役立たずなんていてもいなくても関係ない。」

 

「・・・、はぁっ?」

 

一夏が話した事を理解出来なかったのか、

雅人は思わず間抜けな声を洩らしてしまった。

 

「何を驚いている?」

 

彼が何故驚いているのか分からない一夏は、

キョトンとした表情を見せる。

 

「いや、待て、取り敢えず情報をくれ、

なんでお前が生徒会長なんだ?」

 

「ん、まあひとつめの情報だ、この世界は俺達が知っているインフィニット・ストラトスの世界ではない、キャラの性格変革が凄まじくてな。」

 

一夏は手帳を仕舞い、社長室にあったホワイトボードに何かを書き込んでいく。

それはこの世界の情報であった。

 

コアの個数、篠ノ之 束、亡國企業、そして身近な人物の性格改編の事を書き込む。

 

「コアが千個だと?」

 

「ああ、俺達の物を含めれば千三個だがな。」

 

そう言った後、一夏はひとつ咳払いをし、

身近な人物の性格改編の事を語り出す。

 

「箒は腐女子、セシリアとシャルは俺の女でマゾ、鈴はネガティブで簪は辛辣、ラウラは・・・、あんまり変わらんな。」

 

「ほう、金髪コンビを手籠めにしたのか、やるな。」

 

「ほっとけ、で、問題は更識楯無と織斑千冬だ。」

 

雅人の軽口を聞き流した後、

一夏は今世紀最大の苦い表情を浮かべる。

 

「楯無は簪のストーカーに、千冬はブラコンダメ人間になっちまった。」

 

「うわっ・・・、なんだよそれ・・・、最悪じゃねぇか・・・。」

 

「それだけなら良かったんだ、その二人が仕事しないせいで、

俺が生徒会長をやらされるはめになったんだぜ?」

 

一夏は右手でこめかみを押さえつつ、

左手で雅人に一冊のノートを渡す。

 

「なんだコレ?」

 

「まあ読んでみろ。」

 

一夏に促され、雅人は何事かと思いながらもノートを開いた。

その瞬間、雅人の端整な顔が一気に蒼くなった。

 

何を隠そう、一夏が渡したノートとは、

更識楯無直筆の『簪ちゃん観察日記!!』であり、

内容は・・・。

 

『7月20日、今日は簪ちゃんのお風呂を鏡の裏からじっくりたっぷり見てるわ!!

デュフフフ!!簪ちゃん可愛いわぁぁぁぁぁ!!』

と言う、凄惨な物であった。

 

「な・・・、なんだこれは・・・!?」

 

「安心しろ、原本じゃない・・・、一応コピーしておいたんだ・・・。」

 

雅人は汚物を扱うかの如く、ノートを一夏に投げ返す。

 

一夏もしっかりと受け止めるのが嫌なのか、

右手の親指と人差し指で受け止める。

 

「勘弁してくれよ・・・、俺転生前は楯無が一番好きだったんだぞ・・・。」

 

「俺に言うな、俺には関係なくもないが、関係ない。」

 

雅人は頭を抱え、一夏は胃でも痛むのか腹部を抑えていた。

 

流石にここまで楯無が酷くなっているとは思いもよらなかった雅人は、

来る世界間違えたか・・・、とも思っていた。

 

「だが安心しろ、俺はコイツには基本的に関わらない事にしている、

俺の周りにいれば奴に会うことは無い。」

 

「それはそれでなんか釈然としないな・・・。」

 

一夏の言葉に何やら釈然としない物を感じながらも、

雅人は取り敢えずその言葉を鵜呑みにしておく事にした。

 

「まあいいや、俺が直接会ってみればいい話だ。」

 

「フッ、嫌いじゃないな、そういうスタンスは。」

 

早速意気投合したのか、

一夏と雅人は拳を軽くぶつけ合っていた。

 

転生者同士、何か通ずるものがあるのかどうかは本人達にしか分からない。

 

それはおいといて。

 

「にしても、一夏の機体、ストライクEなんだってな!

いいチョイスするじゃねぇか!」

 

「まあな!元々はストライクだったんだがセカンドシフトしてな、

それにしてもドレッドノートを選ぶとはな、お主もやるのぅ。」

 

「いえいえ、お代官様程では。」

 

「「はーっはっはっはっはっ!!」」

 

時代劇定番のやり取りの様な事をしつつ、

彼等は互いのセンスを誉めあっていた。

 

イケメン二人がゲス顔をする絵は、中々にシュールであった。

 

「オーイ!!私の事忘れてないかな!?」

 

「「あ?いたんだ?」」

 

「ひどいっ!?」

 

完璧に忘れられていたミーアが、自分の存在を二人に知らせるために声をあげるが、

二人は揃って忘れていたそうで、ひどく淡白な答えしか帰って来なかった。

 

「ううっ・・・、やけ酒してやるぅ・・・。」

 

「そう言えば、雅人は転生前はいったい幾つだ?」

 

「俺か?一応二十になったばかりだったな、

そう言う一夏も二十だったんだろ?」

 

「まあな、今度飲み会でもやるか。」

 

「面白そうだな!俺は賛成だ!」

 

「だから私を忘れないでぇぇぇ!!」

 

和気藹々と会話を続ける一夏と雅人の態度に、

ミーアは叫び声をあげるが、二人は我関せずどいった風に聞き流していた。

 

社長に対してこの扱いは無礼だとは思われるが、

この二人にとってはどうでもいい事なのだろう。

 

「おっと、そう言やぁ、箒が訓練場で紅椿を動かしている所だと思うし、

これから行ってみるか?」

 

「おお、そうだな、動かした事ねぇし、ちょうどいいかも知れねぇしな。」

 

「よし、行くぞ!」

 

一夏と雅人はそう言いつつ社長室を飛び出して行った。

今の彼等の頭の中にあるのは、ただ機体を動かす事だけであろう。

 

「・・・、私を忘れないでよぉ・・・、クスン・・・。」

 

sideout

 

side箒

一夏達の激闘の後、私は一人、

紅椿を駆り、訓練場の内部を飛び回っていた。

 

まだまだ経験が浅い私にとって、彼等の様にとはいかない物だな。

 

だが、それは私がまだまだ上達できると言う証明に他ならない。

ならば、地道に、だが確実に彼等に追い付いて行きたいと思う。

 

『箒、聞こえているか?』

 

そう決意を固めた時、一夏から通信が入った。

 

「聞こえているぞ、いったいどうした?」

 

『今からとある奴と模擬戦をしてほしい、

勿論、本気を出して戦え。』

 

何?戦ってほしい相手がいるのか?

しかし誰だ?

 

セシリア達は先程一夏達と戦った後な訳だ、

こんなにすぐ戦える筈はない。

 

では、アクタイオン社のテストパイロットか?

だとすれば手強いのだろうな。

 

よしっ、修行だと思って、全身全霊で戦ってやる!

 

「わかった!よろしく頼む!」

 

『OK、それでは始めるぞ。』

 

通信が切れると同時にカタパルトが開き、

発進シークエンスが開始される。

 

いったいどんな強者が飛び出して来るのだろうか?

確実に一夏達に近しい実力がある筈だ、

そんな強者が相手になってくれるならば、胸を借りるつもりで戦ってやる!

 

その瞬間、カタパルトから一機の白い機体が飛び出して来た。

 

あれは・・・、ストライク?

いや、違う!ストライクに近いが何処か違う。

 

では、アイツはなんなんだ?

 

「初めましてだな、篠ノ之箒。」

 

「!?男の声!?」

 

誰だ!?一夏と秋良ではない。

今の所、男でISを使えるのは二人だけの筈!

 

って、そんなことよりイケボではないか!!

デュフフフ!!ネタが出来たぞ!

 

「俺の名は加賀美雅人、一夏達同様、別の世界の住人だった人間だ。」

 

「何?」

 

「一夏から聞いたぜ、アイツはお前達に秘密を明かした様だしな。」

 

そうなのか、一夏達と同じ存在か・・・。

コイツも私達の事を信頼していてくれているのだろうか?

 

「ま、俺はついさっき転生してきた所だし、

準備運動に付き合ってくれよ。」

 

「うむ、私で良いならいくらでも相手になろう。」

 

奴がライフルを構えるのを見て、

私は空裂を構える。

 

ピリピリと緊張した空気が私の肌を襲う。

 

そんな時間が続き、にらみ合いにも疲れた所だった。

 

「篠ノ之箒、紅椿、参る!!」

 

「加賀美雅人、ドレッドノートガンダム、翔る!!」

 

私達は互いに向け、突進した。

 

sideout




はいどーもです!

次なる機体はドレッドノートガンダムでした!

その内、キャラの説明と一緒に機体解説も載せますのでお待ちください。

それでは次回予告
戦闘に突入した雅人と箒は、
ドレッドノートの戦いを見る。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ

勇敢なる者

お楽しみに!
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