インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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二学期始動

noside

夏休みが終わり、

IS学園にも二学期がやって来た。

 

普通ならば、ただ授業が再び始まる位で特に代わり映えしない筈だが、

今回の二学期開始は、新たな仲間との出会いでもあった。

 

一年一組の教室では・・・。

 

「加賀美雅人だ!三人目の男性IS操縦者と言われている男だ、

男だからと言って人見知りせずに話し掛けてくれると嬉しい、

よろしくな!」

 

『キャアアアァァァッ!!』

 

一夏や秋良の時と同様、教室のガラスが震える様な悲鳴が聞こえる。

 

そのあまりにも凄まじい歓声に、

雅人は思わず身をすくめる。

 

「イケメン!それも一夏君と同じワイルド系の!!」

 

「格好いい~!!」

 

「グフッ!グフフッ!ネタがまた増えたわぁ!!」

 

一部、腐った方がいたようだが、

各々口々に興奮の言葉を叫んでいた。

 

 

「あー、うるさいぞ、取り敢えず、

もう一人紹介する人がいる。」

 

千冬が全員を黙らせると、

教室の扉が開き、金髪の美女が入ってきた。

 

モデルと見紛う様な美しい姿勢で教壇に歩いて行き、

そして、盛大に転んだ。

 

折角の美人が台無しである。

 

『・・・。』

 

まさかの展開に、

一組にいた全ての人間が唖然としていた。

 

「あたた・・・、な、ナターシャ・ファイルスです・・・、

よろしくお願いしますぅ・・・。」

 

涙目で挨拶をする金髪の美女は、

なにやら凄まじく残念な薫りがした・・・。

 

「あー、ファイルス先生は山田先生と同じく、

ウチのクラスの副担任を任される事になった。」

 

千冬も、何処か困惑した様な表情を見せる。

 

一夏とセシリア、そしてシャルロットは、

それぞれ頭と胃を押さえていた。

 

こんな朝のSHRが、二学期のスタートとなったのであった。

 

sideout

 

side一夏

SHRが終わり、全校生徒が体育館に集まっていた。

 

俺は生徒会長として、

壇上に立たなければいけなくなっている。

 

やれやれ、忙しい事だな・・・。

 

ま、仕方ねぇわな、それを承知の上で了解したんだ、

やるだけやってみるさ。

 

「それでは、生徒会長より挨拶をして頂きます。」

 

やっと出番か、表の理事長の話は長過ぎだ。

さてと、派手に挨拶をかましますか。

 

司会進行の虚さんが下がった後、

俺は壇上に向けて歩き出す。

 

その途端、ざわめきがより一層大きくなる。

困惑、敵意、様々な感情がこの俺に向けられている。

 

心地いい、

この敵意すら所詮は小物が発する物、つまりは取るに足らない感情だ。

 

だが、そのちっぽけな感情にすがっている奴の心をへし折る事はこの上無い快感だ、

圧倒的な強さを前にした時の恐怖、墜ちる時の悲鳴、絶望に歪む顔、

どれをとっても素晴らしい。

 

さて、反応とやらを見てやるか・・・。

 

「初めましてと言わせてもらう、夏休みより生徒会長の任を任される事になった、

一年の織斑一夏だ、諸君らの上に立つ人間として、精一杯やらせて貰う。」

 

薄い笑みを浮かべ、宣言する様に語る。

だが、どうやら俺の事を快く思っていない奴がいるようだ。

 

聴こえてんだぜ?

何故楯無ではない?とか、男風情が・・・!

とかな。

 

「俺が生徒会長を務める事に不満がある奴は、

この俺に挑んでこい、生身だろうと、ISだろうと受けて立つ。」

 

IS学園生徒会規則第一条、

生徒会長は最強でなければならない。

 

上手いこと作られたもんだぜ、

なんせ、弱肉強食をそのまま体現した様な物だしな。

 

「ただし、俺に挑むには一つ条件がある。」

 

だが、それだけではつまらない、

強い弱いが分かれるのは仕方ねぇ。

 

だが、コイツらは死と向き合うことをしない、

それではこの俺には到底及ばない。

 

「俺に挑んでくる以上、骨の一本や二本、折られる事を覚悟して掛かってこい、

そんな覚悟も無い奴は不平不満を一切口にするな、以上だ。」

 

挑発の様な言葉を残し、

俺は壇上から降りた。

 

さて、一体何人の命知らずが釣られるだろうか?

 

楽しみだ。

 

sideout

 

side雅人

一夏が行った宣戦布告は清々しい物だったが、

取り敢えず今はこっちを何とかしよう。

 

現在、俺達のクラスでは文化祭で行う出し物を決める為のHRが行われていた。

 

普通ならば、屋台とか演劇が定番だろうが、

どう考えてもこれはおかしいだろう・・・。

 

『織斑一夏とポッキーゲーム』

 

『織斑秋良とツイスターゲーム』

 

『加賀美雅人と王様ゲーム』

 

「「「却下!」」」

 

あまりにも馬鹿げているとしか思えない案に、

俺達三人の言葉は見事にユニゾンしていた。

 

『えぇぇぇぇ~~っ!!!?』

 

提案してきた女子たちも見事なユニゾンで非難の声をあげた。

 

やっぱり女子の連携は怖ぇわ。

 

「なんでよ~!?」

 

「アホかお前らは、なんで俺達がそんな面倒を被らなければならんのだ。」

 

一人の女子の非難を、一夏はめんどくさそうに返していた。

アイツもアイツで、めんどくさがりだがらな。

 

「織斑兄弟と加賀美雅人はクラスの共有財産である!!」

 

「お願い!部活の先輩がうるさくて!!」

 

「助けると思って!!」

 

「メシア気取りで!!」

 

原作と殆ど変わらないお願いの仕方だなオイ、

まあ、お願いされてもやりたく無いものはやらないんだけどな。

 

どうしようかと悩んでいると、

何故か凄まじい殺気が叩き付けられた。

 

ってかなんだよこの殺気は・・・!?

人を殺した事がある奴でも此処までキツいのは出せんぞ!?

 

殺気の元を辿ると、そこにいたのは・・・。

 

(一夏・・・!?何故・・・!?)

 

「お前達が何をしようと知ったことではないが、

俺達にまで迷惑が及ぶ様な事を軽々しく口にするな。」

 

俺が困惑している間も、

一夏は凄まじいプレッシャーを発しつつ、

提案者達を睨み付ける。

 

睨み付けられた奴等は震え上がり、

無言で首を縦に振っていた。

 

それもそうだ、一夏の眼は有無を言わせない圧力をもっていたからだ。

 

「あ、兄貴!メイド&執事喫茶なんていかがでしょうか!?

実質コスプレをするだけですし、出す物も簡単な物で済みますよ!」

 

現役軍人であるラウラすら震えながら、

一夏に提案をしていた。

 

「ふむ、メイドと執事か・・・、悪くないな、

それなら俺達だけが面倒を被らなくて済む。」

 

ラウラの提案に、彼は発していたプレッシャーを収め、

何かを思案する様な表情を作る。

 

あまりの変わり身の早さに驚くが、

そんな俺を置き去りに彼は次々に案を出していく。

 

「セシリア、実家に掛け合ってメイド服を人数分集められないか?

デザインは任せる。」

 

「かしこまりましたわ。」

 

「シャルはセシリアのサポートとカスタマイズを請け負ってくれ。」

 

「分かったよ一夏。」

 

「後は料理だな、何か案はあるのか?」

 

「今の所は無いが、取り敢えず手頃、定番の品を置いて置けば何も言われんだろう。」

 

セシリア、シャルロット、そして箒と矢継ぎ早に話を進めていく手腕は流石だとは思うが、

俺には先程の殺気がどうしても理解が出来なかった。

 

一夏、お前はなんなんだ・・・?

 

sideout

 

side一夏

意見を纏め終わった俺は、

職員室で待っているとふざけた事を言いやがった駄姉の所に行き、

意見書を叩き付けておいた。

 

半べそかいていたが、

特に気にしないで職員室から去った。

 

「やぁ。」

 

そんな俺を待っていたのは、

残姉さん組合No.2の更識楯無が待っていた。

 

「よくもまぁぬけぬけと俺の前に顔を出せたな?前生徒会長更識楯無殿?」

 

威圧を出す気すら出ねぇ顔を睨み付ける。

 

仕事を他人に押し付けといて、

なおかつ自分の言いたい事、やりたいことはやるとか、

マジでウゼェ。

 

同族嫌悪?なんの事やら?

 

「そんな顔してたら女の子に嫌われちゃうわよ?」

 

「そんな事を言う為に俺の前に顔を出したのか?

対暗部用暗部組織の当主も堕ちた物だな。」

 

くだらん用事に付き合う気はさらさら無い、

元学園最強も口だけだったとはな。

 

これ以上ここにいても無意味だな。

 

そう思い、楯無から顔を背け歩き出そうとしたが・・・。

 

「・・・、何のつもりだ?」

 

制服の裾を捕まれたので、

イヤイヤながらも振り向くと、

先程のおちゃらけた表情とはうって変わり、楯無は真面目な表情をしていた。

 

「質問に答えて欲しいの、なんであんな事を言ったの?」

 

「残姉さんの割には真面目な事を聞くな、

良いだろう、答えてやる。」

 

さてと、どう言えばコイツは気を損ねるかね?

 

「よく言えば挑発、悪く言えばバカにしてんだよ、

己の力量を見誤り、矮小なくくりの中でしか生きてない阿呆どもにな。」

 

「どういう意味?」

 

「言葉をそのまま受け取って貰って結構だ、

アンタも気付いてるんだろ?俺達を敵視、もしくは差別する目をな。」

 

「それは・・・。」

 

俺の問いに反論しようとするが、

言葉が浮かんでこないのか黙りこんでしまった。

 

「ソイツらに対して、俺は宣戦布告をした訳だ、

恐らく、そろそろ何人か網に掛かってくれる筈だぜ。」

 

俺の言葉が途切れた瞬間、廊下の向こう側から木刀やら薙刀やらを構えたメス豚共が俺に向かってくる。

 

「噂をすればなんとやらだな。」

 

『織斑一夏!!覚悟ぉぉ!!』

 

人気者は辛いねぇ・・・。

ま、楽しませてくれるなら大歓迎だがな!!

 

「キェエェェェッ!!」

 

その内の一人、

恐らく剣道部の部員だろうか、

木刀を振り上げ、俺の脳天を狙ってくる。

 

「下がってろ。」

 

楯無を突き飛ばし、

そのままの勢いで木刀を回避し、手刀で右腕の肘を狙う。

 

直撃した時、ゴキリと骨が折れる音がしたのは言うまでも無い。

 

「ぎぃあぁぁぁぁあっ!!」

 

「おいおい、この程度の痛みで叫んでてどうすんだよ?」

 

倒れこみ、うずくまる女を見下ろしながらもため息を吐いた。

 

追撃はしない、この程度の相手を痛め付けたら弱い者苛めになるしな。

 

「で?お前らは掛かってこないのか?」

 

仲間がヤられた事に怖じ気付いたのか、

俺に向かって来ようとしていた阿呆共はジリジリと後退し始めていた。

 

くだらんな、この程度で止まるとは・・・。

 

「もらったぁぁぁッ!!」

 

あ、そう言えばロッカーの中にも刺客がいたな・・・。

どうでも良いから忘れていた。

 

繰り出される右ストレートを振り向かずに避け、

左手で裏拳を顔面に叩き込んだ。

 

「グベッ!?」

 

ボクシング部の部員だったのだろうか、

俺に殴り掛かってきた女はビデオテープを巻き戻ししたかの様に、

ロッカーの中へ逆戻りしていった。

 

その際、綺麗に扉までもがしまったのは何かの奇跡だと思いたい。

 

まあそんな事はどうでもいい、

まだ戦える奴は幾らでもいるのだからな・・・。

 

「さて・・・。」

 

掛かってこようとしていたメス豚共の方へ顔を向けると、

そこにはもう誰も立ってはいなかった。

 

「逃げたか、人間失格だな。」

 

傷付いた仲間を助けずに逃げ出すとは・・・、

なんとも愚かな事だ・・・。

 

「さて、名誉の負傷をした奴等はしっかりと助けてやらねぇとな、

おい楯無、手伝え。」

 

「えっ・・・?」

 

突き飛ばされた拍子で尻餅をついていた楯無は、

俺のやろうとしている事に気付かず呆けていた。

 

「何呆けてんだ?」

 

「えっ?でもなんで・・・?」

 

「俺は戦士としてコイツらを撃退した、

コイツらに恨みは無い、ならば負傷した奴を助けるのは人として当然だ。」

 

武士道とはそう言う物だ、

俺はそれを信じている。

 

「よっこいせっと・・・、ロッカーの中で伸びてる奴はお前に任せる。」

 

「わ、分かったわ・・・。」

 

sideout

 

side楯無

保健室に負傷した二人を預け、

私は一夏君と休憩室に座っていた。

 

彼はイチゴミルクを飲み、私はコーヒー牛乳を飲みながら向かい合っていた。

因みに、彼の隣にはイギリス代表候補生セシリア・オルコットと、

フランス代表候補生シャルロット・デュノアが座っている。

 

なんでだろ?

イギリスとフランスって、長年かなり深いわだかまりがある筈なのに、

彼の隣にいる二人にはそんな雰囲気は全く無かった。

 

寧ろ、心の底まで分かりあってる様な雰囲気すら漂っているから不思議ね。

 

まあそんな事はどうでもいいのよ。

取り敢えず今は彼に聞きたい事がある。

 

「で?この俺に何の用だ?」

 

「幾つか質問したいの、

貴方は何をしようとしてるの?」

 

「この学園、いや、ひいては世界の安寧の為さ。」

 

織斑一夏は、何処か仄暗い目をしつつ語った。

 

「世界の・・・、安寧・・・?」

 

「あぁ、お前に質問させて貰うが、

お前はこの世界が正しいと思うか?」

 

また哲学的な質問ね・・・、

この世界が正しいかって・・・?

 

正しいって何・・・?

 

どういう意味での正誤・・・?

 

「俺はこの世界が腐っていると思ってる、

特にさっきみたいな粋がった女のせいでな。」

 

「っ・・・!?」

 

何・・・!?この嫌な感触は・・・!?

この心臓を直接捕まれる様な感じ・・・!

 

こんなプレッシャーは感じた事が無いわ・・・!

 

「俺はその中でも楽しみたい、

だから俺は俺の心に従っているに過ぎないさ。」

 

「心・・・。」

 

分からない・・・、

何故彼がここまでのプレッシャーを放てるのか、

そして、何故あの二人がこのプレッシャーを受けて平然としていられるのかが分からない。

 

「そう言う事だ、俺の心を理解出来ん限り、

俺の考えは読めんさ。」

 

彼はそう言って去って行った・・・。

 

だけど、私は暫く動けなかった。

 

「織斑一夏・・・、貴方は一体・・・何なの・・・?」

 

sideout

 




はいどーもです!

次回予告
文化祭一週間前、
一夏達は着々と準備を進めていた。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
文化祭前日談

お楽しみに!
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