インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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文化祭開幕

side秋良

開会式が終わった後、

俺達一組のメンバー全員は走って教室に戻った。

 

9時に開会式が終わって、

9時10分から営業開始だから凄い忙しい。

 

教室に着いた時には既に順番待ちの長蛇の列が出来上がっていた。

 

恐らく百人ぐらいはいるだろうか、

凄まじい数だ。

 

勘弁して欲しいよ・・・、

どうせ俺達目当てだろうしさ。

 

ま、接客ぐらいはちゃんとやってあげようかな。

 

因みに生徒会メンバーである兄さん達は戻って来ていない。

恐らくは何か用事でも有るのかも知れない。

 

「皆、用意は出来てるかい?」

 

『勿論!!』

 

クラスの皆がやる気に満ちた目で、

俺の問い掛けに大声で答えてくれた。

 

「本当なら兄さんが言うことだけど、

俺が代わりに言わせて貰うよ、

全員で力を合わせて絶対に成功させよう!!」

 

兄さんが言いそうな言葉を借り受け、

拳を突き上げながら言うと、皆も同じ様に拳を突き上げてくれた。

 

この一体感が俺はやっぱり好きだね。

 

「それじゃあ、一年一組主催、メイド&執事喫茶、営業開始!!」

 

こうして、俺達の波乱に満ちた一日がスタートした。

 

sideout

 

noside

 

「お帰りなさいませ、お嬢様。」

 

オープン最初に入ってきた女子生徒に対し、

秋良は人懐っこい笑みを浮かべ恭しく頭を下げた。

 

お辞儀の角度までも様になっていた。

 

「ど、どうも・・・!」

 

ただでさえ織斑兄弟及び、雅人との接点があまり無かった一般生徒は、

あまりのイケメンスマイルにドギマギしてまい、マトモに話す事が出来なかった。

 

「それではこちらのお席へどうぞ。」

 

その事を看破したのか、

秋良の隣に控えていた雅人が薄く微笑みつつ、彼女の手を取り席までエスコートした。

 

「こちらがメニューでございます、

私がお持ち致しますので、ごゆっくりお選びくださいませ。」

 

箒が雅人と変わり、

メニューを手に持ち、女子生徒に見せる。

 

その間にも、次々とお嬢様(お客)が入店し、

瞬く間に席は一杯になった。

 

「そ、それじゃあ、パンケーキセットを・・・!」

 

「かしこまりました、パンケーキセットをお一つでよろしいでしょうか?」

 

「は、はい!」

 

「かしこまりました、少々お待ちくださいませ。」

 

大和撫子の象徴である箒が扮するメイドは、

何やら新鮮なイメージを持つ。

 

「流石に兄さんがいてくれなかったらチョイとキツいね。」

 

「確かにな、アイツが一番人気あるしな・・・。」

 

「男ども、サボるなよ。」

 

案内が一段落した秋良と雅人が駄弁るのを、

箒が盆で叩き、止めさせる。

 

「「うぇ~い・・・。」」

 

二人は揃って情けない声をあげつつも、

注文の品をテーブルに運んで行く。

 

「最初からそうしていろ。」

 

箒はやれやれと呟きつつも、

何処か楽しそうにしていた。

 

なんとか回り始め、

注文も一段落してきた頃・・・。

 

「待たせたな。」

 

「遅れましたわ。」

 

一夏、セシリアが揃ってやって来た。

 

大本命の執事の登場に、

教室内は一気に騒がしくなる。

 

「遅れてすまない、今日の主役を連れて来た。」

 

一夏がそう言うと、

彼とセシリアの後ろからシャルロットが誰かを引き摺りながら教室に入ってきた。

 

「お待たせ~!この二人が迷子になっちゃってて!!」

 

「「ぴゃうっ!?」」

 

シャルロットが突き飛ばす様に前に出したのは、

メイド服を着た真耶とナターシャであった。

 

実は、一夏達は開会式が終わった後、直ぐにでもこの二人を参加させようと思っていたが、

真耶とナターシャが大真面目に迷子にしまったため、人海戦術を用いて二人を捜索、連行してきたのだ。

 

『うぉおぉぉぉっ!!!』

 

「「ひいっ!?」」

 

ドジッ娘メイドの登場に、

クラスにいた変態が一斉に歓声をあげる。

 

その様子は何処か空恐ろしい物がある。

 

「さてと、どのお嬢様からお相手致しましょうか?」

 

一夏はニヒルな笑みを浮かべ、

手袋を嵌めていた。

 

「(秋良、簪達を見に行ってやれ。)」

 

「(ありがと。)」

 

一夏は秋良と交代し、接客をし始める。

 

「お嬢様、砂糖とミルクはいかがなさいますか?」

 

「たっ、たっぷり入れて下さい!!」

 

「かしこまりました。」

 

紅茶を頼んでいた女子生徒は一夏のイケメン執事っぷりに呑まれてしまい、

しどろもどろに答える事しか出来なかった。

 

因みに彼女は砂糖もミルクも入れない派の人間だったらしい。

そんな事はどうでも良いとして・・・。

 

その最中、秋良は一組の教室を出て、まず隣の二組に入っていった。

 

sideout

 

side秋良

兄さんの計らいで俺は二組の教室にやって来た。

 

ウチのクラスのせいなのか、あまり客も入っていなかった。

なので肩を落とす鈴や他の子達が目立って仕方ない。

 

まあ、俺が入ったら集客効果も少しはあるかな?

 

そんな打算的な事を考えつつ、俺は二組に足を踏み入れた。

 

「あっ!秋良~!」

 

早速俺を見付けたのか、

チャイナ服を着た鈴がタックルと見紛う様な勢いで俺に抱き付いてきた。

 

鈴ぐらいの軽さだったら、

体当たりされてもよろけるだけで特になんとも無いから気にしてないんだけどね。

 

それより、やっぱりよく似合ってるね、チャイナ服。

 

「おー、鈴、よしよし、繁盛・・・してないよね。」

 

「ううっ・・・、なんで皆来てくれないのぉ・・・?」

 

あーもう可愛いなぁ。

ネガティブって甘えたがりの訳だっけ?

 

まあ気にしなくても良いか・・・。

 

「おーよしよし、桃饅頭一つと烏龍茶をくれないかな?」

 

「うん!」

 

俺が注文すると、

鈴は顔をパッと輝かせて厨房に入っていった。

 

うんうん、可愛いねぇ~。

 

『鈴ちゃん可愛い~!』

 

『抱き締めてあげたい!!』

 

『涙目萌え~!』

 

うん、どのクラスにも変態っているもんだね。

もう慣れたけど・・・。

 

そんだこんだしている内に、

桃饅頭と烏龍茶が運ばれてきた。

 

「ありがとね鈴、いただくよ。」

 

甘い物はあまり食べないんだけど、

たまに食べたくなるんだよね。

 

兄さんは毎日の様に違う甘い物を食べてるけどね。

 

「うん、なかなか美味しいよ。」

 

「えへへ~♪」

 

頭を撫でてあげると、

鈴は顔を綻ばせていた。

 

うん、可愛いねぇ~。

 

あ、そうだ、簪の所も見に行ってあげないとね。

 

「鈴、簪の所に行かないかい?」

 

「行く!」

 

「分かった、と言うことで鈴を借りてくよ。」

 

二組の人達の返事を聞くより先に、

俺は鈴を連れて四組の教室に足を向けた。

 

「簪~、いるかい?」

 

四組の教室に足を踏み入れた瞬間、

床が30㎝程高くなり、畳が敷かれていた。

 

ってことは、和カフェかな?

 

「あっ、秋良、それに鈴も、いらっしゃい!」

 

水色の和服に身を包んだ簪が、

教室の奥の方から出てきた。

 

「やあ簪、凄く似合ってるよ。」

 

「ふふっ♪ありがと♪」

 

簪に促され、俺達は靴を脱いで畳の上に上がった。

 

正座には慣れてるから別に苦では無い。

 

「何がオススメかな?

簪のイチオシ二つくれないかな?」

 

「分かった、抹茶ケーキ二つ。」

 

うん、様になってるなぁ、

シスコン会長がストーキングしたくなるのも少しは分かるかな?

 

でも、見付けたら殴って海に沈めるけどね。

 

そんだこんだしている内に、

ケーキと抹茶が運ばれてきた。

 

うん、美味しそうだね。

 

「ありがと簪、いただくよ。」

 

フォークでケーキを切り、口に運ぶ。

 

ほどよい苦味とクリームの甘さがいい感じにマッチしてるね。

 

いい感じだね~。

 

そう言えば、ウチのクラスの店はどうなのかな?

 

sideout

 

side一夏

 

「シャル!十一番テーブルにパンケーキセット、ミルクコーヒーを二つ!」

 

「うん!」

 

「セシリア!八番テーブルにチーズケーキセット、紅茶を一つだ!」

 

「はい!」

 

秋良が簪達の所に行った後から、

次々とデザートが出来上がり、俺達はてんやわんやに走り回っていた。

 

「一夏!五番テーブルにミックスジュースを3つだ!」

 

「あいよ!!」

 

箒に指示され、

俺は相川さんから渡されたトレーを持ち、

五番テーブルに急ぐ。

 

「お待たせ致しましたお嬢様、

ご注文のミックスジュースでございます。」

 

「「「どっ、どうも!!」」」

 

「ごゆるりとおくつろぎくださいませ、お綺麗なお嬢様方。」

 

「「「はうぅっ!!?」」」

 

イケメンスマイルが効いたのか、

客の女子生徒三人組は鼻血を噴いていた。

 

普通に可愛いの基準の上を行く女子が鼻血を噴出する絵は、

中々にシュールな物があった。

 

そんな事はどうでも良いとして・・・。

 

客足は良好、

このまま行けば間違いなく模擬店売り上げNo.1になれるだろう。

 

さてさて、

後は何事もなく進んでくれる事を祈りたいな。

 

「あっ!一夏さん!」

 

接客を続けていると後ろから声をかけられた。

 

この声は間違いなく蘭だな。

 

そう思い、振り向いてみると、

想像通り、長い赤髪を後頭部辺りで結んだ女の子がいた。

 

彼女の名は五反田蘭、

今回バンドの手伝いをしてくれる弾の妹だ。

 

「これは蘭お嬢様、お久しゅうございます。」

 

「やめてくださいよ~!むず痒いです!」

 

「執務中ですのでお許しくださいませ。」

 

年下に恭しい態度を取らねばならんのは些か面倒だが、

仕事だからな、仕方ねぇ。

 

「そう言えば、お兄は何処にいますか?」

 

「楽屋で休むと言っておりましたが、

今は何処にいるかまでは分かりません。」

 

「そうですか・・・、よし!探しに行ってきます!!

私の直感なら直ぐに見つかります!!」

 

やっぱりブラコンって恐いわ・・・、

 

まあ、俺に被害が無いなら別にどうでも良いが。

 

「では一夏さん!ライブ観に行きますから!!」

 

「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」

 

俺が頭を下げるより速く、

蘭は俺の視界から消えていた・・・。

 

いやいや、なんで転生者でもない普通の人間が、

俺にも出来ねぇ事を出来るんだよ?

 

似たような事は出来るが原理が違うしな・・・。

 

まあ・・・、いいか、気にしないでおこう・・・。

 

「一夏!お前が動いてくれねぇと商売上がったりだ!!」

 

「悪い!今動く!」

 

雅人に急かされ、

俺は急いで厨房の方へと足を向けた。

 

sideout

 

side弾

 

「ほぇ~、流石は女子校だなぁ~。」

 

ライブまでの待ち時間の間、

俺は一人でIS学園の校舎内を歩いていた。

 

最初は数馬も一緒だったんだが、

気が付いたら近くにいなかったので現在は俺一人だ。

 

と言うより、先程から視線がスゲェ・・・。

一夏が大分前に話していた『人を珍獣扱いで見ている。』ってのも、

強ち間違いじゃ無い気がしてきたぜ。

 

さて・・・、

そろそろメイクとかもしなきゃいけねぇし、

戻るとするか?

 

そう思い、角を曲がろうとした時・・・。

 

「キャッ!?」

 

「うおっ!?」

 

反対側から出てきた女性とぶつかってしまった。

 

俺は大丈夫なんだが、向こうは流石によろけていたので、

手を伸ばして腕を引っ張り、体制を立て直させる。

 

「すみません、大丈夫でしたか?」

 

「は、はい、ありがとうございます・・・。」

 

うおっ!?スゲェ美人!!

三つ編み茶髪の眼鏡って・・・!

 

こりゃ役得だね・・・。

 

って、そんな事考えてる場合じゃねぇ!

 

って、これから出番だよな!?

 

「すみません!俺はこれで!!」

 

「あっ・・・!」

 

俺は彼女から身を離し、

先を急いだ。

 

sideout

 




はいどーもです!

次回は皆様お待ちかね(?)残姉さん登場です!

一夏の胃に穴が空くのは何時になることやら・・・。

それでは次回予告
順調に進行する文化祭、
しかし、そこにとある魔の手が迫っていた。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
残姉さん襲来

お楽しみに!
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