side秋良
自分の席に戻っていく箒の背中を、俺は複雑な気持ちで見ていた。
やっぱり箒は原作以上に束さんを嫌ってる、
その原因は何なのかは分からないけど、良いことじゃないのは確かだね。
おっと、そんな事より次の授業の準備しねぇと・・・。
「ちょっとよろしくて?」
「「よろしくない。」」
来たよ~、セシリアイベント、
ここは原作の中でも五本の指に入る位めんどくさいんだよな。
読んで見てるのと、実際に体験するのじゃあウザさが違うね。
「まあ!なんですのその態度は!?
私がイギリス代表候補生セシリア・オルコットと知っての狼藉ですの!?」
「知らん。」
「知らないよ。」
知ってるけど、ここは原作通り知らないって言っとこう。
と言うか狼藉って、今時日本人ですらあんまり使わないのに。
「知らない・・・!?このセシリア・オルコットを知らないですって!?」
「ああ、知らん、俺がイギリス人ならいざ知らず、他の国の代表候補生如きを覚えるほど、
暇じゃ無いんでな。」
「そうそう、むしろ誰でも知ってるって考えてる方がイタいよね?」
おうおう、どんどん顔が赤くなってきてるよ?
肌が白いから分かりやすいよね。
「きぃぃっ!!もう許し―」
キーンコーンカーンコーン
お、いいタイミングで予鈴がなるな。
「ほれ、さっさと自分の席に帰りな。」
「くっ!また来ますわ、逃げない事ですわね!!」
「俺達が逃げる必要は無いね。」
ははっ、
あの程度の器量しかないのに、貴族の当主とはね、
ま、彼女の中にある闇は知ってるし、一度ケチョンケチョンにしてやりますかね。
sideout
side一夏
やっぱりと言うべきか、セシリアは俺達に突っ掛かって来たな、
しかしどんだけ高飛車なんだよ、見てて恥ずかしいわ。
そんな事を考えている内に授業が始まり、
一応覚える事はここ3ヶ月で頭に叩き込んでおいたので、
原作の様に全部分からないなんて事は無い。
てか、原作一夏よ、なんで電話帳と間違えるんだよ?
あんなもん間違っても捨てねぇって。
「ああそうだ、クラス代表を決めなければいけないのを忘れていた、
自薦、他薦どちらでもいい、誰かいないか?」
・・・、来た・・・、俺のめんどくさいランキングNo.2(因みに秋良はNo.3らしい。)、
クラス代表選出、これ俺らになんの得があるんだよ、想像した限り何もないぞ?
「はい!織斑一夏君を推薦します!」
「私も!!」
「私は織斑秋良君を推薦します!!」
「私も!!」
ほれ見ろ、案の定じゃねぇか、めんどくせぇなぁまったく・・・。
「推薦されたのは織斑兄弟のみだな?」
「やらんぞ駄姉、勝手な事ぬかしやがったら、一生姉と呼ばねえぞ?」
「そうだよ、俺達の意思を無視して出される票に、
なんの意味があるの?どうやら一生敬語で織斑先生と呼んでほしいみたいだね。」
俺と秋良がそう言った瞬間、駄姉の身体がぶれ、
次の瞬間には土下座をしていた。
「ごめんなさいそれだけは勘弁してくださいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」
「織斑先生!?」
そんな駄姉の様子に山田先生が驚きの声を上げていた。
見れば箒以外の女子全員があまりの光景に目を丸くしていた。
因みに箒はその様子を見て、腹か抱えて爆笑していた。
箒って駄姉の事をからかいの対象、もしくはBでLな観点で、
俺と秋良の仲を割こうとする敵、だったっけ?
そんな相手が弟達の脅しに対して即座に土下座をかますんだ、
ウケない筈が無いな。
「山田先生、放っときましょう。」
「そうですよ、これがこの人の本性ですから。」
「織斑君!?」
どっちを呼んだのかは知らないけど、悲鳴をあげる山田先生を放置して、
取り敢えず席に着こうとした時だった・・・。
「お待ちください!その様な選出は納得がいきませんわ!!」
「「入って来るの遅いな!?」」
あまりにもタイミングの悪い反論に、思わずハモってつっこんだ。
頭に血が昇っているのか、俺達のツッコミを無視し、
セシリアは叫び続ける。
「良いですか!?クラス代表に相応しいのは入試主席のこの私、
セシリア・オルコットですわ!!大体、こんな極東の島国にいることすら私にとっては耐え難い屈辱で・・・!!」
・・・、キレて良いか?良いよな?よしキレよう。
「さっきからピーチクパーチクうるせぇな、そんなに屈辱的ならとっとイギリスに帰れ。」
「なっ・・・!?貴方!私を侮辱しますの!?」
「先に侮辱しだしたのはそっちだろ?それに、自分が相応しいと思うなら何故立候補しなかった?
まさかとは思うが、自分は指名されて当然だとでも思っていたのか?」
その言葉にセシリアだけではなく、クラス中の生徒がハッとしたような表情をする。
しかも・・・、
「確かに・・・。」
「自分でそう思ってるなんて、逆に滑稽よね。」
このクラスの連中には結構辛辣な奴が多いらしい、
所々からセシリアに対する批判が聞こえる。
まあ当然だわな、俺は正論しか言ってないし。
三十年以上生きてたらフツーに人を言いくるめる術位いくらでも見つかるさ。
で、当のセシリアはと言うと、顔を茹で蛸の様に真っ赤にしていた、
そんな顔をするぐらいなら最初から突っ掛かって来るな、阿呆が。
「決闘ですわ!!もし貴方が負けたら一生私の小間使い、
いいえ、奴隷にしてさしあげますわ!!」
机を叩きながら、苦し紛れに言った言葉は失笑に値したが、
ここで受けなければ話が進まんし、買っとこうか。
「良いだろう、受けてたつ、一週間の準備期間の後、
死力を尽くし、戦わせてもらおう。」
「良いでしょう、逃げない事ですわね!!」
話は纏まった、これでお膳立ては整ったな。
俺は内心高笑いをあげそうになるのを必死に堪えていた。
sideout
side秋良
兄さんの口角が僅かにつり上がったのを見て、
内心呆れると同時に、やっとやって来た機会にワクワクしてる。
十年以上待ったんだ、楽しみじゃない訳がないけど、
今回ばかりは兄さんに美味しい所を譲ろうと思う。
だって面倒じゃん、クラス代表なんてさ。
「それでは、織斑兄、オルコット両人は一週間後、
第一アリーナで模擬戦を行って貰う、良いな?」
「無論だ。」
「分かりましたわ。」
いつの間にか復活していた姉さんが、纏める様に尋ねると、
二人は頷きながら了承していた。
「織斑、お前達には日本政府から専用機が支給される事になった。」
そう言えばそんなイベントもあったね、小さいから完璧忘れてたよ。
けど、俺達の答えは決まっている。
「「必要ありません。」」
兄さんと見事にハモって返答した。
「何?」
姉さんが怪訝そうに聞き返して来る。
「俺も秋良も、既に専用機を持ってます、なので必要ありません。」
兄さんの言葉を合図に、俺は右腕を、
兄さんは首を隠すように着ていたタートルネックずらし、
首元を露出させる。
そこには紅いブレスレッドと、トリコロールに彩られたチョーカーがあった。
それは勿論、ルージュとストライクの待機形態だ。
「お前達、何処でそれを手に入れた?」
やっぱりそう聞かれると思ったよ、でも大丈夫、
女神の情報改竄が働いてイレギュラー的な企業が出てきてるからね。
「織斑先生、アクタイオン・インダストリー社はご存知で?」
「ああ、新興企業故に知らない事は多いが・・・。」
「そこの社長と俺達は知り合いなんですよ、俺達に適性があると分かった次の日位に、
テストケースとして新型機を渡して貰ったんです。」
「なんだと!?」
俺の言葉に、姉さんだけでなく、クラス中の人間がその顔に驚愕の表情を浮かべていた。
まあそうだろうね、いきなり現れた男性IS操縦者が、新興企業のテストパイロットだなんてさ、
まあ誰が聞いても驚くだろうね。
因みに、アクタイオン・インダストリー社は、SEED世界に実際有ったMS企業だったけど、
女神の改編能力で新興IS企業としてこの世界に出てきたらしい、
しかも社長は女神の化身らしい。
一度会ったことあるけど、女神に似て変なところを気に入る人(?)だった。
「そう言うわけなんで、専用機の話はなかった事にしといてください。」
これで問題なしだね、
さてと、兄さんの訓練に付き合わないとね。
sideout
noside
時間は移動し、放課後・・・、
第一アリーナに一夏と秋良、そして観客席にはモッピーがいた。
「長かったな・・・。」
「そうだね、長かった。」
互いにそう呟きながらも、一夏はストライクを、
秋良はルージュを起動させる。
「長いこと待たせたな、ストライク、これからは思う存分暴れさせてやる。」
「待たせちゃってごめんね、ルージュ、これからいっぱい楽しもうね。」
一夏と秋良はI.W.S.P.より対艦刀を一本ずつ引き抜き、正眼に構える。
「十五年越しの初戦闘だ、心置き無く暴れるぞ!」
「行くよ、ルージュ、君の力見せてくれ!」
叫びながらも、両者スラスターを吹かし、距離を詰める。
「織斑一夏、ストライク、行くぞ!!」
「織斑秋良、ルージュ、行くよ!!」
名乗りながら振られた刃が激突した瞬間、周囲にソニックブームが起こった。
sideout
side一夏
良いねぇ、やっぱり人目につかないように動かしてた時とは、
楽しさが段違いだ。
ストライクを動かすのは何も今日が初めてではない、
転生して、小学校に上がった辺りから、
人目を忍んでちょくちょく動かしてたからな、
大体の事は出来るし、空を飛ぶことにも慣れている。
とは言え、まだ高速戦闘に慣れている訳では無いからな、
ま、二日ぐらいあればなんとかなる問題だな。
そんな事より、今は目の前にいる最強の相手と戦う事だけを考えねぇと。
ウォーミングアップとは言え、身体が温まるだけじゃなく、
頭が沸騰しそうな位熱くなってる。
それと同時に、時折身体を掠める刃に背筋に冷たいものが流れる。
「これが恐怖か・・・!!」
絶対防御など、気休めにもならない、
本当の戦闘は殺し合いに尽きる。
俺の身体を、秋良が振るう刃が掠めるのと同時に、
俺が振るった刃が秋良の身体を掠めると、この上無く血がたぎる。
女神め、俺に静かなる虜獣のデータを仕込みやがったな、
お蔭で戦闘が愉しくて仕方がない。
熱くなりながらも、冷静な判断だけは出来るようで、
何処を狙えば確実にダメージを与えられるのかが直ぐに浮かんでくる。
右手に持つ対艦刀で秋良を弾き飛ばした瞬間、
左腕にコンバインド・シールドを呼び出し、
ガトリングの銃弾を浴びせかける。
だが、直撃を喰らうほど秋良もマヌケではない、
すぐさま自分もシールドを呼び出して銃弾を防ぎ、
ビームブーメランを引き抜き、投擲してくる。
俺は避けるでもなく、身を沈め、真上を通り過ぎようとしたブーメランのグリップを掴み、
逆に投げ返した。
「なにっ!?くそっ!!」
驚きながらもビームブーメランを対艦刀で叩き落とし、
両肩のレールガンで狙撃してくるが、俺は構わず対艦刀を両手に持ち、
一気に距離を詰めX字に切りつけた。
「ぐぁぁぁっ!!」
秋良はなす術なく地面に叩きつけられ、
ルージュは解除される。
「今日は俺の勝ちだな?」
「そうだね、でも、次は勝つよ?」
「楽しみにしておく。」
俺はストライクを解除し、秋良に手を差しのべ立ち上がらせる。
「よし、丁度いい時間だ、飯食いに行くぞ。」
「そうだね、モッピーも行こうか?」
「うむ、布仏や相川辺りが一緒に食事をしたがると思うが?」
「そん時はそん時だ。」
軽い会話をしながら俺達はアリーナを去った・・・。
sideout
はいどーもです!
そろそろストックが無くなって来ました(汗)
一応いける所まで連日投稿していきます。
次回予告
遂に始まったクラス代表決定戦、
一夏はセシリアとどの様に闘うのか?
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
クラス代表決定戦
お楽しみに!