sideセシリア
新しい愛機、ブルデュエルを駆り、
私は空へと飛翔します。
イタリア語で青を表すこの機体は、まさしく私の為に進化したとも言えるでしょう。
ここ数ヵ月で行うようになった近接戦闘での取り回しを重視した装備類、
そして、極めつけは新しく追加されたストライカーパックですわね。
これが一夏様が仰った事なのですね。
ですが、今日は殆ど使うことはないでしょう。
「貴様ァ!!」
サイレント・ゼフィルスのパイロットが叫びながらもレーザーを撃ちかけてきますが、
この程度の狙撃など、もう私には届く筈もありませんわ。
「そんな物が私に当たる筈もないでしょう?」
右肩のシールドでレーザーを防ぎつつ、
その裏側に装備されているスコルピオン機動リニアガンを撃ちます。
フォルテストラに装備されていたリニアガンの発展型というだけあり、
連射力、破壊力共に段違いです。
「なっ!?」
先程までとは比べ物にならない弾速に驚いたのでしょうか、
サイレント・ゼフィルスはライフルを犠牲にして回避しました。
「その程度では避けられませんわよ。」
左肩のラック内に装備されていたスティレット投擲推進対装甲貫入弾を3つとも引き抜き、
サイレント・ゼフィルス目掛けて投擲します。
ロケット推進により速められた速度のまま、
スティレットの尖端はサイレント・ゼフィルスの脚部に突き刺さり、
盛大に爆ぜました。
なるほど、あれは敵に突き刺さった後、内部から爆発するという武器なのですね、
PS装甲には効かないとは思いますが、通常のISには脅威でしょう。
「グッ!クソォォォッ!!」
先程投擲したスティレットの内、一つがスカート部に刺さっていましたので、
ビットの一部が使えなくなったのでしょう。
凄まじい恨みの声と共に、サイレント・ゼフィルスはこちらに背を向けて逃げて行こうとします。
困りましたわね、ブルデュエルには中距離以上を狙える装備が殆どありません、
頑張れば追い付けるでしょうが、ダガーがそれを見逃す訳がありません。
それに、これ以上戦えば間違いなく余計なデータを与えてしまうでしょうし、
どうしたものでしょか・・・。
「セシリア、ここからは僕に任せてよ、ヴェルデバスターの力、見せてあげる。」
「分かりましたわ、お願い致しますわね。」
盟友の言葉を聞き、私は後ろに下がります。
シャルさんの機体がどれ程のものか、見せて頂きましょう。
sideout
sideシャルロット
サイレント・ゼフィルスが逃げようとしてるけど、
それを逃がすほど僕は甘くは無い。
セシリアが推進基の大半を破壊してくれたから、
サイレント・ゼフィルスはノロノロと飛行する事しか出来ない。
まずはダガーから破壊しちゃおう、
じゃないと面倒だからね。
「行くよ!ヴェルデバスター!!」
周りに展開していたダガー数機に照準を合わせ、
両肩に装備されている六連装ミサイルを展開して、
腰に装備している複合バヨネット装備ビームライフルをマニピュレータでしっかりと保持して、
一斉に発射する。
その破壊力はまさに圧巻の一言に尽きて、
一瞬にして、十機近い数のダガーを消し去った。
やっぱり僕はこういう派手な戦い方が好きだなぁ、
チマチマ倒すより気持ち良いしね。
推進力についてはまた今度試そう、
ストライカーパックも新規に追加された事だしね。
でも、他の武装は今日は使わないよ、
そんな自分の手の内を直ぐに晒す筈がないしね。
「さぁ、逃がさないよ、ここで存在を消しても別に何の意味も無いからね、
君の機体も、君の命も!!」
複合バヨネット装備ビームライフルを連結させて、
逃げるサイレント・ゼフィルスに向ける。
このビームライフルは横並びに連結させる事で、
より強力な砲撃を行う事が出来る。
さぁ、神様にお祈りはした?
いるかどうかなんて、僕は知らないけどね!!
トリガーを引くと、極太ビームの光条がサイレント・ゼフィルスへと突き進む。
だけど、その間に一機のストライクダガーが割り込み、
シールドを掲げてビームの光条を防ごうとするけど、
あまりにも威力が強すぎたのかシールドは溶断されて、
ダガーはビームの奔流に呑まれて消滅した。
だけど、その間にサイレント・ゼフィルスは射程範囲内から遠ざかっていた。
「逃げられちゃったか・・・、次こそは必ず墜ちて貰うよ。」
まぁ良いや、機体の感覚は掴めたしね。
ビームライフルを格納した時、
ブルデュエルデーストラだっけ?を纏ったセシリアが僕の方にやって来た。
「逃げられてしまいましたわね、それにしてもヴェルデバスターシーストラでしたか?
とても素晴らしい性能ですわね。」
「セシリアのブルデュエルもスゴかったね、
あのクナイみたいなのえげつなかったよ?」
「ふふっ、お互い様ですわ♪」
「セシリア、シャル。」
そんな風に笑いあっていると、
機体の全身をオイルで濡らした一夏が僕達の所にやって来た。
多分、ダガーを切り裂いた時の返り血ならぬ、返りオイルだろうね。
「遂に俺の領域に辿り着いたみたいだな、
お前達の機体は、この俺の機体との連携を前提に進化したんだろう。」
「一夏様のストライクEとの連携を前提に、ですか?」
「確かに、ストライクEは万能型、ブルデュエルは近接戦闘型、
そして、ヴェルデバスターは遠距離型だね?」
なるほど、僕達の覚悟を汲み取ってくれたんだ、
だからこうも特性は偏るけど、補いあえる様になってるんだね。
「あぁ、ここまでウマイこと行けるとは想像してなかったが、
お前達の強い気持ちのおかげだろう、ありがとな、二人とも。」
そう言って、彼は何時もの様に僕達の頬にそっと手を触れてくれる。
この感触が、僕達に彼の優しさと安らぎを与えてくれるんだ。
彼の愛に応える為に、僕達は戦おう。
ただそれだけだよね。
sideout
side一夏
「せーのーでっ!!」
『一夏!!秋良!!雅人!!お誕生日おめでとう~!!』
全員が一斉に俺達への祝いの言葉をかけてくれた後、
盛大にクラッカーが破裂する音がする。
「ありがとな、皆・・・、って少し狭いな。」
キャノンボールファストが終わった後、
俺達は即行で俺の自宅に行き、僅か一時間で用意を終わらせた。
因みに、この狭いリビングに俺、秋良、雅人、箒、セシリア、シャル、鈴、簪、ラウラ、
そして弾や数馬、蘭に楯無や虚さん、ついでに何故か黛薫子までいる。
狭い場所はあまり好きでは無いから、早く外に出たい。
「しょうがないさ、これだけ大人数が一ヶ所に集中してるんだしね。」
「そうそう、祝って貰えるだけありがたいと思えって。」
それは分かってるんだがな、
まぁ、そんな気分は隣にいるセシリアとシャルが紛らわしてくれるしな。
「一夏様、紅茶ですわ♪」
「ケーキもあるよ♪」
「ありがとな二人とも、美味しく頂こう。」
二人からそれぞれ手渡された紅茶とケーキを受け取り、
俺は二人を自分の身体の方へと抱き寄せた。
「きゃっ♪」
「エヘヘ♪」
嬉しそうな顔をしてくれるな、
こちらとしても遣り甲斐があるというものだ。
何の気無しに秋良と雅人の方に目をやってみると、
秋良は簪達と、雅人は楯無とそれぞれ会話を交えながら食事をしていた。
箒はと言うと・・・。
「ハァハァ!!良いぞ!五反田!御手洗!!もっとポーズを取ってくれ!!」
腐女子精神丸出しで、弾と数馬の姿を懸命にスケッチしていた。
なんか久し振りに見た気がするが、残姉さんよりマシだから見て見ぬ振りをしておこう。
弾と数馬の顔がひきつっているが、
俺に実害が無いので取り敢えずご愁傷さまとだけ思っておく。
まったく騒がしい限りだが、悪い気はしないな。
だが、そろそろ三人だけで話もしたいし、席を外すとするか。
「(セシリア、シャル、ここは騒がしいから縁側に出るぞ。)」
「(はい♪)」
「(うん♪)」
小声で二人に耳打ちし、彼女達を連れて縁側に出る
人混みで上気した頬に、
秋の夜風が妙に心地良かった。
腰をおろし、話を切り出す事にした。
「セシリア、シャル、この時計ありがとな。」
「いえ、お気に召した様で何よりですわ♪」
「一夏が喜んでくれたら嬉しいよ♪」
俺が左手に嵌めた腕時計を見せると、
二人は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「お前達のその待機形態、腕輪になった様だな、似合ってるな。」
セシリアの右手首と、シャルの左手首にはそれぞれ銀色に光るブレスレットが着けられていた。
デザイン的には何処と無く拘束器具の様にも見えなくも無い。
それを言えば、俺のヤツも完璧に首輪にしか見えんがな。
まぁそれはいい、他に話しておきたいこともあるしな。
「データを見せて貰ったが、やはりストライカーシステムに対応しているみたいだな、
ここまで巧く事が運ぶとは思っていなかったが、利用しない手はないな。」
キャノンボールファストの会場から移動する最中、
俺は二人に確認を取ってブルデュエルデーストラ及び、
ヴェルデバスターシーストラの機体データを確認させてもらった。
ストライカーシステムは必要最低限に考慮していたが、
まさかブルデュエルにヴェルデバスターというガンダムタイプに進化するとは思わなかった。
俺達転生者以外のガンダムタイプが現れるとは、
俺達がこの世界に深く干渉しすぎたとも言えるだろう。
だが、それが具現化した以上、それが正しい道といえるだろう。
「まさかガンダムタイプに進化するとは思いませんでしたわ。」
「うんうん、一夏や秋良の機体と同等なんでしょ?僕達に扱いきれるかな?」
「大丈夫だ、お前達の技量なら十全に扱いきれるさ、
俺の傍に居てくれるお前達ならな。」
不安そうな二人の手を取り、俺は彼女達に微笑みかける。
「これからもお前達二人を頼りにしている、
俺の傍で力を存分に奮ってくれ。」
「勿論ですわ一夏様。」
「貴方の戦場が、僕達の戦場だよ。」
俺の言葉に笑って頷いてくれる二人は、
何よりも美しく、何よりも気高く見える。
「ありがとな、セシリア、シャル。」
俺は二人を抱き寄せ、この一時を楽しむ事にした。
sideout
noside
「クソッ!クソッ!クソォッ!!」
とある場所にあるホテルの一室にて、
織斑千冬によく似た少女、マドカが、何度も何度も壁を殴りつけていた。
「何故だ!?何故だ!?何故だ何故だ何故だ何故だ!!?何故勝てない!!?」
彼女は今回の襲撃に際して、織斑一夏どころか、
彼の周りにいるセシリアとシャルロットに敗北を喫するという醜態を晒したのだ。
認めたくなかった、彼女は戦う為だけに生まれた存在、
敗北することはあってはならない。
「織斑一夏・・・!!お前は私が殺してやる・・・!!」
呪詛にも等しい声が、狭い室内に木霊するのであった・・・。
sideout
noside
「有り得ない!こんな事がある筈がない!!」
同じ場所の別室では、今回の襲撃事件の黒幕である篠ノ之 束が、
ある映像を見て叫んでいた。
その映像とは、セシリアとシャルロットの機体がセカンドシフトする様子であった、
しかし、それはどう見ても別機体と言うべき変化であり、
通常なら有り得る筈がない。
そんな事は束も十分承知している、
それ故に理解出来ないのだ。
ISは自分が造った物、知らない事は一切ないと思っていた彼女に突き付けられた現実、
彼女は心の何処かでそれを認めたくなかったのだろう。
しかし、彼女がそんな事に気付く事は無い。
「・・・、いいさいいさ、予想外のデータは取れたんだ・・・、
目にもの見せてあげるよ・・・!」
仄暗い笑い声が室内に木霊し、
これから起こりうる波乱を予感させた。
sideout
はいどーもです!
色々大変な事になりつつありますねぇ。
次回は新しく登場した二機の説明をしたいと思います。
次回予告
キャノンボールファストの事後処理を終えた一夏達の下に、
専用機持ちのリーグ戦の知らせが届く。
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
チーム総当たり戦
お楽しみに!