side一夏
リーグ戦の開催を2週間前に控え、
俺達生徒会メンバーの仕事が更に増え始めた。
面倒な事には変わりは無いが、どうせすぐに片付くから問題は無い。
「ふぅ・・・、終わったな、そろそろ飯にしようか。」
「はい♪」
「うん♪」
書類整理をしていてくれたセシリアとシャルを促し、
俺は生徒会室の鍵を持って外に出ようとした。
だが、その時、俺の携帯に着信が入った。
こんな微妙な時間に一体誰がかけてきたのだろうか?
相手は・・・、弾?
一体何の用があって俺にかけて来るんだよ。
「アロー?」
『アロー・・・、って、なんでフランス語で電話に出てるんだよお前は!』
アローとは、フランスで電話に出る際の挨拶で、
日本でいう、もしもし?に近い意味だ。
そんな事はどうでもいいとして・・・。
「で?何の用だ?手短に話してくれ。」
『いやな、それが最近、週末になるとずっと誰かに見られてる様な気がするんだよ、
普通なら俺なんかにストーキングする奴なんていないだろ?
だからお前ら関連での奴かなと思って連絡しただけだ。』
なん・・・だと・・・?
弾がそこまで考え付くとは思わなかった、完璧に蘭に尻に敷かれてる弾が・・・。」
『なんでそんな失礼な事を言われにゃならんのだ俺は!?』
「なっ!?人の心を読むな!」
『口に出してただろうがお前!!』
まあ反応が楽しみでわざとやったんだけどな。
「それは良い、その言い方だと、他にも何かありそうだが?」
弾の言葉に裏を感じた俺は単刀直入に尋ねる事にした。
すると、どういう訳か弾は押し黙ってしまった。
『・・・、それがよぉ・・・、その気配を感じる様になってから、
蘭が【お兄に近付く牝豚がいる!!】とか言って殺気だってんだよ・・・、そんな訳あるはずねぇのに・・・。』
「・・・、弾、事の下手人が分かった、取り敢えず俺に任せとけ、それじゃあな。」
弾の言葉を聞くより先に電話を切り、
俺は盛大なため息を吐いた。
やれやれ・・・、俺は残姉さんの呪縛からは逃れられん様だ・・・。
しかし、まさかあの女が残姉さんになるとは思わなかったがな。
「まぁ良い、待たせたな二人とも、行くとするか。」
「待ちくたびれちゃったよ♪」
「しっかりとエスコートしてくださいな?」
「分かってるさ。」
二人に腕を差し出し、
彼女達が抱き付いてくれたのを確認して俺は歩き出した。
sideout
noside
リーグ戦を1週間前に控えた週末、
一夏とセシリア、そしてシャルロットの三人はなぜか私服に着替え、
一夏の実家近くにある、五反田食堂の近くに居た。
その理由はただ一つ、友人である五反田弾に付きまとう、
ある人物に制裁を加えるためだ。
「まさかあの方がストーカーになられるとは思いませんでしたわ。」
「うんうん、あの人は大丈夫だと思ってたのに・・・、
もう僕、年上を信じられそうにないよ・・・。」
「それは言い過ぎじゃねぇか?」
彼女達のあまりの言い草に苦笑しつつも、
彼は標的が網にかかるのをじっと待った。
「(むっ?弾が出てきたな?とすればそろそろ尻尾を出すぞ、
セシリア、シャル、出来る限り気配を消しておけ。)」
「(かしこまりましたわ。)」
「(了解だよ。)」
五反田食堂の表口から弾が出てきた事を確認し、
一夏達はじっと息を潜め、標的が現れるのを待った。
「(弾君だけ・・・、な訳無いよね、蘭ちゃんも着いて行くんだ。)」
「(そりゃそうだよな、ブラコンなんだし。)」
案の定と言うべき組み合わせにシャルロットと一夏は苦笑するが、
そんな事より先に、周囲の気配に気を配る。
「(一夏様、近くに誰かいますわ。)」
「(感知した、まだ飛び出すな。)」
標的が動き出したのを感知した一夏達だが、
本格的に動くのを待って動かない。
「(あ、蘭ちゃんが殺気だってきたよ、一般人に分かるんだから、
かなり近付いてるんだね。)」
「(まぁ、蘭を一般人と呼んで良いのか分からんがな、
よし、なるべく見付からない様に移動するぞ。)」
「(はい。)」
一夏達は弾達に、そしてストーカーに見付からない様に移動し始めた。
物影から出た一夏達は、目を疑うような光景を目の当たりにした。
「はあっ!?」
「えぇっ!?」
「嘘ぉ!?」
なんと、その標的が弾達が通り過ぎて行く電柱にぶら下がり、
写真を取っていたのだ。
・・・、ある意味、楯無よりも恐ろしい物がある。
「ハァハァ・・・、五反田く~ん!」
「(やっぱりね・・・。)」
「(虚さんがあの様になるとは・・・。)」
「(言うな、余計に胃が痛くなる・・・。)」
予想していた通りの展開になってしまったため、
三人は頭を抱えたくなる衝動を必死に抑えていた。
「まぁ・・・、友人の胃を鑑みれば、取り敢えず制裁しておくに越したことは無いな。」
そう言うが早いか、彼は塀によじ登り、
そのままの勢いで跳躍、虚のところまでやって来た。
「どうも虚さん?」
「へっ・・・!?いっ、一夏君!?」
「取り敢えず降りましょうか、言い訳ならそれから聞きますんで。」
「にょえぇぇぇぇぇっ!!?」
地獄に引き摺り降ろされる罪人の様な悲鳴をあげ、
虚は一夏に地面へと引き摺り降ろされたのであった・・・。
sideout
side一夏
虚さんを地面に降ろし、
取り敢えず人目に付かない場所で正座をさせて事情聴取を執り行う事にした。
「まぁこうなる事は分かってましたが、
取り敢えず言い訳したい事があるなら聞きますよ?」
「一夏君・・・、お願いですからこんなアスファルトの上で正座は・・・。」
「残姉さんがほざくんじゃねぇよ、キリキリ話せや。」
「うぅ・・・、一夏君が酷い・・・。」
何時もの事だ、気にしてたらストレスで死んでしまう。
「酷かねぇわ、アンタらの変態的趣向の方が酷ぇよ、
それより、とっとと白状しろや。」
「はい・・・、文化祭の時から五反田君が気になって・・・、
どうすれば彼に近付けるかずっと悩んでたんです・・・。」
「それでストーカーになったと・・・?残念過ぎるでしょうが。」
やれやれ・・・、この人も奥手なんだな、
何処かの誰かさんを見てる様な気分だぜ・・・。
「うわぁっ!?」
「ひいぃっ!?」
「どうした!?」
カメラを見ていたシャルとセシリアが悲鳴をあげていた。
一体どんな写真があると言うんだ?
「いっ、一夏ぁ・・・、もうやだよ・・・。」
「ベッドの中に帰りたいですわ・・・。」
そんなに酷い写真があるのかよ・・・、
こりゃ確認して消去するのが一番だな。
そう思い、シャルから受け取ったカメラを操作し、
撮影した写真を確認して・・・、酷く後悔する事になってしまった・・・。
なんと、カメラに収められていたのは、
ほぼ全て弾の半裸状態の姿だった・・・。
しかもどうやって撮ったのか、入浴中の写真もチラホラあるときた・・・。
「・・・。」
本当に残しておいてはいけないと思い、
メモリーカードを引き抜き、取り敢えず踏みつけておくことにした。
「わーっ!?何するんですか!?」
「脚にしがみつくな!!破壊できねぇだろうが!!」
「ダメです!!このメモリーだけは壊させません!!」
そんなに弾の半裸映像が大事か!!
しかし、こいつを破壊しとかねぇと本人にバレた時が怖い。
「うわぁっ!?まだあるよ!?」
「こっ!?これはまさか・・・!?」
まだ何かあるのかよ・・・、
もうホントに勘弁してくれよ・・・。
震えるセシリアから一冊のノートを受け取り、
すさまじいデジャヴに襲われながらもノートを開く。
そこには・・・。
sideout
sideノート
『9月13日、
廊下でとってもカッコいい人とぶつかっちゃった!!
一夏会長のお友達、ベースギターも上手い!でもマトモに話できなかっなぁ・・・。
どうすればいいんだろう・・・?』
『9月18日、
五反田君のお家に侵入成功!!
御風呂中らしいので、天井から覗く事にしましょう、
ハァハァ・・・、五反田君カッコいいよぉ~・・・!』
『9月19日、
五反田君の寝室の天井裏にてこれをしたためています、
ハァハァ・・・、五反田君の寝顔も良いよぉ~!!
ハッ!?何よあの小娘!?五反田君と添い寝ですってぇ!?
恨んでやる呪ってやる・・・!!』
sideout
side一夏
「「「・・・、ひぃぃぃぃっ!!?」」」
恐っ!!?
なんだよこの恐怖は!?
戦いの中ですら感じた事がねぇぞ!!
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
冗談抜きでこれ以上野放しにしていたらヤバイパターンだぞこれ!?
「ハァ・・・、で?虚さんは弾の何処が好きなんですか?」
「ひぇっ!?な、ななななな、なんでその事を!?」
自分で暴露していた様なもんだがな、
まぁ良いや、とっとと吐いてもらおうか。
「確かに弾はそこそこイケメンでしょうが、ただのバカですよ?」
言い方は悪いが、
アイツは変な所でヘタレでバカだ。
強いて善いところを挙げるとするなら、
御人好しかつ、分け隔てなく優しいというところだろうな。
「ばっ!?バカとは失礼じゃないですか!!?」
ムキになってくれる女性がいてくれて幸福者だな、弾?
でもな、この人は変態だからな、付き合うのはやめといた方がいいぞ。」
「なんでそんなにボロクソに言われなければいけないんですか!?
私は変態じゃありません!!仮に変態だとしても変態という名の淑女です!!」
「言い切ってんじゃねぇよ!!逆に清々しいわ!!」
何気に恐ろしい事をさらっと言いやがるなこの人。
ある意味楯無より怖いわ。
って、今はそんな事はどうでもいいんだよ、
取り敢えず何とかしてストーキングを辞めさせねば。
かといって、何かいい案があるわけでも無いが、
なんとかしたい事は確かだ。
だがどうする?
どれだけやめとけと言っても、残姉さんが止まる確率は、
俺が駄洒落をいう確率より低い。
そんな事はどうでもいいとして・・・。
いっその事、弾に告白させちまうか?
いや、それだと蘭がどんな行動を取るか分かったもんじゃない。
さてと、そろそろなんとかしますかね。
「いい加減、告白してやってください、
アイツもヘタレなんでね、貴女から告白してな?」
「ひええっ!?なんでそうなるんですか!?」
「これ以上ストーキングを続けられたら警察に通報しますからね?
それがイヤならとっとと真っ当な関係になってください。」
「そっ、そっ、そんなの無理です~~~~!!」
あっ!?逃げやがった!!
しかも案外速い!!
「逃げたか・・・、これで今週の分が収まるならそれで良いがな・・・。」
さてと、そろそろ帰るか・・・。
「セシリア、シャル、帰るか・・・。」
「はい・・・、なんだか疲れましたわ・・・。」
「甘い物食べたいよ・・・。」
近くに甘味屋あったかねぇ・・・?
探してみるか・・・。
後日、蘭と虚さんがマジな修羅場を展開する事になるとは、
神でもない俺は知るよしもなかった・・・。
sideout
はいどーもです!!
笑って頂ける方がいらっしゃれば光栄です。
それでは次回予告
リーグ戦二日前、一夏の行動に疑念を抱いた楯無は、
彼の真意を見極めるべくに決闘を申し込む。
次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
最狂対最強
お楽しみに!!