インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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刃の重さ

side一夏

 

無人機襲撃から一ヶ月後、

季節は秋から冬へと移り変わり、

もうじきIS学園にも冬休みが訪れようとしている今日この頃。

 

あれから目立った襲撃や事件も無く、

俺達は普段通りの日常を送っている。

 

まぁ、秋良達を教導してもらう手筈も大体調えたし、

俺は気楽に自分の仕事だけをやっていれば良いからスゲェ楽だ。

 

まぁそれは置いとくとして・・・。

 

現在、俺は第一アリーナにて、箒の訓練に付き合っている。

 

元々、筋は悪くなかったため、

二週間そこそこで代表候補生クラスとは言えないまでも、

現状で三年の一般生徒を上回るぐらいの力を身に付けはした。

 

だが、そこからがキツい所だ。

要するに伸び悩む時とはどんな物にも必然として存在する。

 

彼女の場合、非常にゆったりとしたスピードで上達してきていた為、

急激な成長に戸惑いを覚えているのであろう。

 

まぁ仕方がない事なのだろうが、

俺個人としては早々に国家代表クラスにはなって欲しいものだ。

 

そうじゃないとこれから先の戦闘、

生き残れる確率は極端に低くなるからな。

 

「むぅ・・・、中々思うようにはいかんな・・・、

戦える様にはなったが・・・、隙があるな・・・。」

 

「しょうがない、この俺が相手なんだ、それにお前が頼んだんだろ?

僅かな隙も攻撃して欲しいってな?」

 

悔しそうに言う箒だが、

この特訓の方式は彼女のオーダーだ。

 

本来なら俺が教えながら戦うという方式をとる筈だったが、

彼女の依頼により実戦形式で戦い、徹底的に拙い部分を攻撃するという物だ。

 

流石にカウンターを狙う様な事はしなかったが、

回避後の僅かなブレや攻撃を防がれた際に生じる無防備な瞬間に、

俺が攻撃を叩き込むという至極単純なものだった。

 

まぁ最初の一週間はマトモに反撃することすら出来ずに、

隙という隙を攻撃されるばかりだったが、

ここ最近、漸く反撃が出来る様になってきていた。

 

まぁ、正直言い切ってしまえばまだまだ及第点には遠いというわけだ。

 

「むぅ、その通りなんだが、悔しいのには変わりはない。」

 

「その気持ちがあるなら上等だ、頑張ってみろや。」

 

「無論そのつもりだ。」

 

俺がストライクE+アナザートライアルソードを展開するのにつられ、

箒も紅椿を展開し、宙に浮かぶ。

 

戦闘スタイルを合わせる意味もあるが、

やはり近接戦が一番教えやすい。

 

「お前が強くなると言うなら、この俺を踏み越える気でかかってこい。」

 

「あぁ、いざ、参る!!」

 

二本の刀を呼び出し、箒は猛スピードでこちらに突っ込んでくる。

 

一騎討ちなら正々堂々とした戦い方だが、

流石に乱戦になるとただの猪武者だ。

 

「ただ単純に突っ込んでくるな、もっとジグザグに動け。」

 

初日にも教えた筈なんだがな、

それではただ早く動くだけの的だと。

 

取り敢えず右手にシュベルトゲベールを保持し、

左腕のパンツァーアイゼンを射出する。

 

「そんな物ッ!!」

 

箒は右手に保持していた刀でロケットアンカーを切り裂こうとしていた。

戦術的には悪くは無いが、それは相手との力量に絶対的な開きが無いと行ってはならない芸当だ。

 

「やめとけ、まだ破壊出来ねぇよ。」

 

パンツァーアイゼンのワイヤーを掴み、

大きく動かす事で剣閃から逃れさせる。

 

「なっ!?」

 

空振った事により僅かに体制を崩した箒に追い討ちをかけるべく、

左掌からワイヤーアンカーを射出、紅椿の装甲に突き刺し、

此方に引き寄せつつも大きく振り回す。

 

丁度良いと思われる所でアンカーを戻し、

シュベルトゲベールを振り抜く。

 

勿論、武器破壊や一撃撃破を避ける為にレーザーはカットしてある。

 

「まだだッ!!」

 

「ほぅ?」

 

体制を崩しつつも箒はシュベルトゲベールの斬撃を、

二本の刀で支える様に受け止めていた。

 

中々やるじゃないか、

謂うところの負けてたまるか根性ってやつか。

 

だが、それだけで勝てる程、

戦いって奴は甘くはないんだよ。

 

「ま、まだぁっ!」

 

シュベルトゲベールを受け止めたまま、

箒は俺に蹴りを入れようとする。

 

しかし、そんなことも当然折り込み済みな訳で、

少し身体を捻り、左脚で受け止める。

 

「ナメられた物だな、この程度見切っていないとでも思ったか?」

 

「くっ・・・!!流石だな・・・!!」

 

伊達に鍛えて無いからな、

それにどういう風な体制になれば、相手がどう対処するか等の予想も大体立てている。

 

俺の強さはある意味それに支えられているんだがな。

 

「今度はこちらからいくぞ。」

 

空いている左手でマイダスメッサーを引き抜き、

ビームサーベルの様に切りつける。

 

「ッ!!」

 

箒がそれを察知して回避するが、

簡単に逃がす俺じゃない。

 

振った勢いそのままにマイダスメッサーを不意討ち気味に投擲する。

 

「なにっ!?うわっ!?」

 

「そこだ!!」

 

咄嗟に回避するが、僅かに被弾した為に、

箒は大きく体制を崩す。

 

そして、俺がその隙を逃す道理が無い。

 

瞬間加速<イグニッション・ブースト>を発動させ、

紅椿に急接近し、レーザーを発生させたシュベルトゲベールの横凪ぎを叩き込んだ。

 

「がはっ・・・!!」

 

吹っ飛ばされた箒はアリーナの壁に激突し、

地面にずり落ち、膝を着いた。

 

「どうした?もう終わりか?」

 

俺は箒の前に降り立ち、わざとらしく尋ねてみる。

 

だが、どうせ終わるなどと思ってはいない。

 

「まだだ!!私は強くなりたい!!だからここであっさりと終わる訳にはいかないんだ!!」

 

それでこそだ、それでこそ教える意義があると言うものだ。

 

「その気概は褒めてやる、だが、悔しさだけでは勝てんぞ、

もっと創意工夫してみろよ。」

 

「創意工夫・・・?」

 

なんとか立ち上がった箒は、俺の言葉の真意を理解出来なかったのか、

何やら教えて欲しそうな顔をしていた。

 

ま、教えるって宣言したからには教えるがな。

 

「例えばの話、お前の刀はレーザーを飛ばせるだろ?

だから単純に刀を振るのではなく、二つの技を一つに纏めてみろって事。」

 

「なるほど・・・、だが、難しいのではないか?」

 

「マイナスな面ばかり考えていたらキリがねぇぞ、

お前は強くなりたいンだろ?だったら四の五の言わずにやってみろよ。」

 

悪い方向に物を考えるのも、危険回避の為には悪くは無かろう、

だが、何かをしようとしている時にはそれは寧ろ邪魔でしかない。

 

「そうだったな・・・、済まないが、手伝ってはくれぬか?」

 

「良いだろう、かかってこい。」

 

刀を構える箒の気概に触れ、

俺もシュベルトゲベールを構え直す。

 

さぁ、見せてくれよ、お前の答えという物をな?

 

sideout

 

side箒

 

刀を構え、私は瞑目する。

 

今、私の目の前にいる一夏は、

この学園どころか、世界でも最強を名乗れる程の力を持っている。

 

誰にも屈する事のない鋼の心を持ち、

如何なる力にも傷つけられない、絶対的な力を持っている。

 

私では追い付く事の出来ない高みにいる男に、

私は直々に訓練をつけてもらっている。

 

ならば、ここで出し惜しみなどして、全力でかからないのは彼に対する侮辱だ。

 

以前、彼は私に護る為に力を使う方法を教えてくれた、

喩えそれが何かを壊す事になろうとも、護りたい物を護れると。

 

私は友を、仲間を護りたい、

その為には脅威となる物を斬る必要がある。

 

だが、それがどうしたと言うのだ、

確かに人殺しは進んでやりたいとは思わないが、

護るべき物があるときにはそうは言ってられないのが現実だ。

 

一夏は暗にそれを教えたかったのだと思う。

 

彼の想いに私は応えたい、ただそれで充分だ。

 

「行くぞ一夏!!」

 

「かかってこい!!」

 

考えるのもそこそこに、私は瞬間加速<イグニッション・ブースト>を発動させ、

一夏に一気に迫る。

 

左手に保持していた刀を、突きの要領で一夏目掛けて突き出す。

それと同時に、右手に保持している刀は逆手に持ち変え、身体で隠す様にしておく。

 

こうすれば、一撃目を避けられても二撃目に繋ぐ事が出来る。

 

だが、一撃で仕留める気でかからねば、

絶対に二撃目も当たる筈がない!

 

「ハアァッ!!」

 

「なんのッ!!」

 

私の渾身の突きを、やはり一夏は難なくシュベルトゲベールで逸らしてしまう。

 

流石は一夏だ!

この程度では傷ひとつ付けられないか!!

 

だが、もう一撃ある!!

 

「もう一撃ぃぃッ!!」

 

逸らされたのが左側だったため、その勢いにのるだけで右手の刀が出る。

ここまでは計算通り、後は当てるだけだ!!

 

「届けぇぇぇぇぇ!!」

 

「なにっ!?」

 

一夏が驚愕の表情を見せるが、そんなことを気にしている暇は無い。

 

振り抜いた刀が何かにぶつかる様な手応えを感じる、

やったのか・・・?

 

振り抜いた刀を見てみると、

一夏の左腕に搭載されていたクロー搭載型シールドで受け止められていた。

 

「中々やるじゃないか、これは予想出来なかったぜ。」

 

「止めておきながらよく言う物だな・・・!!」

 

「当然だ、だが、今のは良い攻撃だったぞ、流石だな。」

 

こんな直撃もしてないのに誉められても嬉しくないな・・・、

そうは思っても、これが実力差なのだから仕方無いな・・・。

 

「さてと、そろそろ時間みてぇだし、

そろそろ終わるとしようぜ。」

 

「あぁ、今日も済まなかったな。」

 

「気にするな、それじゃあな。」

 

シュベルトゲベールを収め、一夏はピットへと帰って行く。

 

その後ろ姿は、まさに威風堂々、

最強を名乗るに相応しい風格が漂っていた。

 

一夏、私は強くなる、

せめて自分の護りたい物を護れる位まではな。

 

sideout

 

noside

 

暗い・・・、暗い闇の中で、その者は何かに勤しんでいた。

 

時折、彼女の手元より火花が散り、僅かに周囲を照らす。

 

「ふふふ・・・、もうすぐだ・・・、もうすぐ出来上がる・・・。」

 

女、篠ノ之 束はその瞳にほの暗い憎しみの焔を燃やしながら、

自身の目の前に置いている鎧の様な物を撫でる。

 

通常のISよりも更に人形に近く、

スタイリッシュな印象を強く受けるフォルム。

 

コアが設置されている箇所に今だコアは埋め込まれていないが、

コアに馴染みさえすればすぐにでも稼動出来るという状態なのであろう。

 

「ガンダムアストレイゴールドフレーム・・・、

ミラージュフレーム・・・、もうすぐだからね・・・。」

 

アクタイオンより盗んだデータを基に作り上げたこの機体は、

束が製作したISの性能を凌駕していた。

 

目の敵にしている男が所属している企業の設計だと思うと、

使用する事に僅かばかりの抵抗感はあった。

 

しかし、勝つためには背に腹は変えられない状況であったため、

その機体の優秀さも相まって使用に踏み切ったのだ。

 

今の束の心は、自身が想っていた箒の事などは既に無く、

ただ一つ、自分を侮辱し、娘を傷付けた一夏への憎しみに塗り潰されていた。

 

あたかも、復讐だけに生きる者の様に、

愛情等消し去った様に・・・。

 

「ふふふふっ・・・、待っていろ織斑一夏・・・、

君に絶望を与えてあげるよ・・・、フフフフ・・・。」

 

一夏を殺した時の光景を思い浮かべた束は、

ほの暗い笑い声を発していた。

 

 

自身が破滅への一途を辿っているとも知らずに・・・。

 

sideout




はいどーもです!

死亡フラグ乱立中です(汗)

次回からアリアンさんとのコラボに入ります、
と言っても、この小説で書くのは導入のみで、コラボ本編はアリアンさんの小説、IS~凶鳥を駆る転生者~の方で掲載されますので、是非是非ご覧になってください。

それでは次回予告
一夏達に引き摺られ、秋良達はアクタイオン社にて異世界への扉を潜る。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
番外編 教導隊との出会い

お楽しみに!!
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