インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

71 / 116
誘われし者 前編

side一夏

 

1月6日

自国や親元に帰省していた生徒や教師の大半が戻り、

数日後に迫った三学期の始業式に向けて動き出していた。

 

とは言っても、俺のやる事は何も変わる事は無い、

ただ与えられた仕事をこなし、時に策を巡らせる程度の事しか無い。

 

何か特筆すべき点があるとするならば、

箒やダリル、フォルテの模擬戦の相手をした位だ。

 

楯無は俺の手を借りる気が無いらしく、

独りで扱い切ろうとしていたが、恐らくは使いこなせない事は明白だ。

 

非ガンダムタイプの機体にはあの手の兵装は使いこなせない。

喩えそれらしく戦えたとしても、能力を完全には出しきっていない事の方が多い。

 

もし、十全に扱える様になった暁には・・・、

いや、それはその時に判る事だ、ここでとやかく言う必要など無いだろう。

 

全ては必然として目の前に現れ、人間を試すかの如く立ちはだかる。

 

それをどう受け止めるかは人間次第だ・・・。

 

さて・・・、時代の流れは俺に何を見せてくれるのか・・・、

楽しみだな。

 

sideout

 

noside

 

同日、

IS学園第3アリーナに四機の機体が集っていた。

 

一機は織斑一夏が駆るストライクノワール。

一機は篠ノ之 箒が駆る紅椿。

一機はダリル・ケイシーのヘル・ハウンドver2.5。

最後の一機はフォルテ・サファイア駆るコールド・ブラッド。

 

普段はまず同じ場所に集う事のない四人が、

何故一同に会しているかというと、

彼女達は一夏に特訓を着けて貰おうと彼に依頼した際、

一夏は三人同時に相手にすると宣言したためである。

 

その申し出に、彼の真の実力を知らないダリルとフォルテは耳を疑ったが、

箒の表情が畏怖に染まっていた為、そのまま何も言わずに今に至ると言う訳だ。

 

「三人とも準備は良いか?

三対一となると、俺も流石に手加減は仕切れないからな。」

 

「構わない、むしろそう来てくれ無くては私達の鍛練にならない。」

 

「最強と誉れ高いお前の実力を、アタシらに見せてくれよ。」

 

「本気でいくッスよ~?」

 

一夏の問い掛けに、

各々闘志を燃やしながら返答する。

 

まるで、手を抜く様なら逆に倒してやるとでも言うような雰囲気に、

一夏は口元に薄い笑みを浮かべる。

 

「その闘気、心地いい、もっとたぎらせろ、

そして、俺に己が戦いを示してみせろ!!」

 

一夏の叫びと共に、三人は彼に向けて動き出す。

 

「はぁっ!!」

 

箒は一夏より譲り受けたタクティカルアームズⅡLを振りかぶり、

スラスターを全開にしながらも彼に斬りかかる。

 

「いい突進だ、だが、タクティカルアームズでの唐竹割りはお奨め出来んな。」

 

一夏は彼女の左側へと回り込み、タクティカルアームズⅡLの斬撃を回避、

同時に回し蹴りを箒の背中に叩き込む。

 

「ぐぁっ!」

 

「貰ったッ!」

 

蹴りを叩き込んだ隙を狙い、ダリルは彼の背後より二本の剣による攻撃を仕掛ける。

 

「いい攻撃だ!だが!!」

 

その場で反転しながらもビームブレイドを抜き放ち、

ビーム刃を発生させずに剣と切り結ぶ。

 

「嘘だろ!?あの体制からどうやって!?」

 

「これぐらい出来なければな!」

 

驚くダリルを他所に、彼はビームブレイドで剣を払い、

リニアガンを右方向に発射し、攻撃を仕掛けようとしていたフォルテに牽制をかける。

 

「クッ!噂通りの・・・、いや、それ以上ッスね・・・!」

 

あまりにも的確な一夏の戦法に、

フォルテやダリルですら舌を巻き、攻撃を仕掛ける隙すら奪われていく。

 

「やはりいい腕をしている、でなければ、ここまで耐えきれる筈も無い!」

 

自分の斬撃を受け止めながらも、尚押し返そうと力を籠めるダリルに、

彼はある種の感激を覚える。

 

その感激は興奮に変わり、彼の血をたぎらせる。

 

「くっ・・・!やっぱ強ぇなお前!」

 

「貴女も中々だ、ダリル先輩!」

 

ダリルは彼の強さに驚嘆しながらも、拮抗を崩すべく足掻く。

一夏もその拮抗を崩すべく、左手にもビームブレイドを保持するべく動かす。

 

拮抗を破れないダリルは、完全に斬られる事を覚悟した。

 

だが・・・。

 

「ダリル先輩!離れてください!」

 

その状況を打破すべく、体制を立て直した箒が、

タクティカルアームズⅡLをアローモードに変形させ、

ビームアローを一夏に射かける。

 

「むっ!」

 

一夏は事前に察知し、

ビームアローの軌道から離脱、ダリルからも離れる。

 

(今のは箒のタクティカルアームズⅡLの攻撃だな・・・、

軌道を変えられないと言うことは、まだ使いこなせていないな。)

 

一夏は三人から距離を取りつつも、

冷静に戦況を分析し、これからの戦術を組み立てていく。

 

(ダリル先輩とフォルテ先輩の力量もそこそこあるな、

あの力が使えるようになれば面白いだろうな・・・、

まぁいい、なるようになればな・・・。)

 

彼は中々に面白い人材を発掘出来た事に喜び、

ビームブレイドを握り直した。

 

「おいおい・・・、判ってた事だがよ、アイツって無茶苦茶だよな・・・。」

 

「そうッスね・・・、揺さぶりも牽制も全く同時にするって・・・、本当に人間なんスかね?」

 

「人間の皮を被った何かでしょうね、慣れたつもりだったのですが・・・。」

 

ダリルは呆れた様に言い、フォルテは一夏の人間離れした技量に驚き、

彼を知る箒は冗談のつもりで語る。

 

「だが・・・、ここまでの強者に相手して貰うのも滅多にない

ありがたく、胸を借りよう

 

ダリルが発した言葉に、

箒達は力強く頷き、一夏へと向かっていく。

 

彼もそれに呼応するかの如く動き出し、彼女達へと急接近する。

 

四機が再びぶつかろうとしたその刹那、

上空より無数の光条が降り注ぎ、アリーナ内にダガータイプの機体が乱入してくるのであった・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

撃ちかけられるビームの光条を回避し、

三人を後ろに下がらせながらも敵を確認する。

 

前回の襲撃と同じく、大半はストライクダガーで占められていたが、

一部に新たな機体群も見掛ける事が出来た。

 

ストライクダガーに近い形状ながらも、

更にストライクに近しいフォルムになった紺を基調とした機体、105ダガーだ。

 

アイツが出てきたとなると、

完全にストライカーシステムが模倣され切ったみたいだな。

 

まぁ良い、この程度の対価は予想出来た。

むしろ、今この世界にいないメンバーの能力を奪われずに済んだだけ上々だな。

 

さて、かといってストライカーシステム装備機にはちょいと気合い入れて相手せねばな。

 

まだこの三人にはコイツらと戦う力は無い、

はっきり言って、実戦力にカウント出来ない。

 

「三人とも直ぐに下がれ、コイツらは俺が引き受ける。」

 

だが、三人は一向に下がろうとしない。

何故だ・・・?

 

「待て一夏!私は戦える!お前だけを戦わせる訳には・・・!」

 

「そうだぜ!アタシらだって専用機持ちだ!」

 

「援護位なら出来るッス!会長一人が戦えば済む物でもないッスよ?」

 

チッ・・・、三人揃って無謀な事を言いやがる・・・、

何か有っても援護出来ねぇのに・・・。

 

いや、待てよ・・・?

上手い具合に事が運べば或いは・・・。

 

「分かった、援護は任せる、だが、無茶だけはするな。」

 

「その言葉、待っていたぞ!」

 

「任せろ!お前の背中、守ってみせるぜ!」

 

「やるッスよ!」

 

三人は一斉に闘志を燃やし、己の武器を構える。

心意気は上等、やらせてやるか。

 

これが、新たな扉が開く鍵になるならな・・・。

 

sideout

 

noside

 

「くっ・・・!コイツらまた・・・!!」

 

同じ頃、別のアリーナにて独り鍛練を行っていた楯無は、

突如として現れたダガータイプの機体を相手に、

一夏よりもたらされたタクティカルアームズⅡを振るい、

一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「えぇい!!」

 

タクティカルアームズⅡを横薙ぎし、一度に二機のダガーを切り飛ばす。

スラスターで加速力を上乗せされた威力は凄まじく、

鋼鉄を紙の如く切り裂ける。

 

ダガータイプの性能は以前より若干向上していたが、

楯無もタクティカルアームズⅡによる戦力の底上げにより、

なんとか互角に持ち込めている。

 

「でも、流石にちょっとキツい、かな・・・!」

 

だが、それは所詮一対一での話であり、

集団に囲まれ、攻められてしまえば即座にその均衡は破られてしまう。

 

彼女もそれを理解しており、徐々に疲労の色を濃くしていく。

 

その時、一機のダガーが彼女の死角より飛びかかり、

飛び蹴りを仕掛ける。

 

「ッ!」

 

咄嗟に振り向き、タクティカルアームズⅡを盾の様に構え、

蹴りを防ぐが、勢いがついていた為に弾き飛ばされる。

 

体制を崩した楯無に向け、数機のダガーがビームサーベルを抜き放ち、

四方から囲いこむ様に迫る。

 

如何に絶対防御があるとはいえど、

多角的かつ、ビーム兵装を防ぎきれる確証は無い。

 

喰らえば必殺、しかし避ける事は出来ない。

楯無は窮地に立たされた・・・。

 

sideout

 

noside

 

その頃、アリーナの外にも無人機の襲撃があった。

 

今回はどうやら無差別攻撃らしく、

ダガー達は手当たり次第に攻撃を仕掛けていた。

 

だが、現在ダガーを圧倒する事が出来るガンダムタイプは、

大半が別世界へと飛ばされている為に、

IS学園側は窮地に立たされつつあった。

 

「皆さん!早く避難してください!!」

 

真耶は自身の機体、ラファール・リヴァイヴに身を包み、

向かい来るダガーから逃げ遅れていた生徒たちを逃がすべく奮戦していた。

 

しかし、第3世代の機体ですら傷を与えるのがやっとの機体に、

第2世代の、それも量産機のリヴァイヴでは倒す事は至難の業であろう。

 

「まーやん!」

 

「なーちゃん!」

 

生徒たちを避難させていたナターシャが福音を身に纏い、

格闘戦のみでダガーを相手にする。

 

福音の主装備であるシルバー・ベルは、

広範囲殲滅を目的としているためにこの様な限定空間では余計な被害を生むため、迂闊に使用できないのである。

 

圧倒的に不利な戦力差、

圧倒的に不利な状況が、彼女達の心に絶望の影をおとす。

 

「無人機の目的は・・・!私達の殲滅・・・!?」

 

「そうかもね・・・!でも、ここで倒れる訳にはいかない!!」

 

真耶とナターシャは敵の目的に気付きながらも

学園の生徒たちを護るために闘志を燃やす。

 

教師としての矜持の基、それが彼女達を奮い立たせたのだ。

 

だが、その心意気のみで戦いに勝つことは不可能である、

戦いはまだ、始まったばかりなのだから・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

箒達の援護もあり、

俺が受け持った第3アリーナの無人機の軍勢は半数以上が掃討され、

後一押しで他の場所へと救援に向かえるといった時、

敵に援軍が現れた。

 

レーダーに映ったに過ぎんから形式の判別は不能、

数は二、無人機にしては少なすぎる。

 

つまり、俺がリークしたデータを基にした敵か、

俺達が奪ったデータを使った敵だろうな。

 

さて・・・、

どんな奴が来るのやら・・・。

 

そんな事を考えていると、

紫と赤の機体がアリーナのバリアーを突き抜けてくる。

 

紫の機体は、元々は付いて無かったであろう装備を無理矢理取り付けた感が否めないアンバランス気味な機体。

 

赤の機体は、アストレイアウトフレームに酷似したフォルムを持っており、

背中にはディバインストライカーを装備した機体・・・。

 

「ガンダムアストレイミラージュフレーム・・・、

そして、テスタメントか・・・。」

 

計画通り・・・。

簡単に引っ掛かってくれて大助かりだ。

 

しかし、まさかテスタメントにしてくるとはな・・・、

簪のやつ、出し惜しみしないから余計なデータを録られるんだよ。

まぁ、直ぐに壊すから関係ないがな。

 

「見付けたぞ・・・!織斑一夏ァ!!」

 

「貴方は、私が殺す!!」

 

ミラージュフレームに乗るのはマドカ、

テスタメントに乗るのはくー、か・・・。

 

やれやれ、なんて貧弱な殺気だ、本当に闇の組織のエージェントか?

ぬるすぎる。

 

「誰だ?お前ら?」

 

「貴様!!忘れたとは言わせん!!」

 

「私の腕を切り落とした癖に・・・!!」

 

クックックッ・・・、完全に俺を殺す事に囚われてやがるな。

そんな物で俺を殺せる筈など無いのにな・・・。

 

「あぁ、そう言えばいたな、あまりにもつまらない存在だったから、

記憶から消えかけてたぜ。」

 

「黙れ!!」

 

「赦さない・・・!!」

 

俺の挑発にまんまと引っ掛かり、

奴等は己の得物を構える。

 

憐れな奴等だ、俺に刃を向けた先が見えぬとはな・・・。

 

だが、向かってくる相手を無下にはせんよ、

その意志に戦士としての礼儀を以て、全力で相手になってやろう。

 

「来いよ、俺が殺したい程憎いのだろう?

向かってきて、復讐を果たすが良い。」

 

「無論だ!!」

 

「死ぬ覚悟は出来ていますか!?そんなの意味ありませんがね!!」

 

手でかかってこいと挑発すると、案の定奴等は俺に向かってくる。

 

愚か者が、滅びの絶望を味わうが良い、

そして、俺の計画の尊き礎になれ。

 

クックックックッ・・・、ハーッハッハッハッ!!

 

sideout

 




はいどーもです!

微スランプから抜けられません・・・(汗)

それでは次回予告
一夏がマドカとくーを相手取っている頃、
窮地に立たされた箒は変革の扉を開く。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
誘われし者 箒編

お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。