インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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黒と緑の拳法対決

side一夏

 

セシリアやシャルがそれぞれ別の場所に向かったのを確認し、

俺はグリーンフレームを纏う山田先生に向き直った。

 

しかし・・・、似合わないというかなんというか・・・、

あまり相性が良いとは思えん組み合わせだな。

 

あの人、どちらかと言えば射撃専門だろうし、

格闘戦の心得なんて、実際問題として無いだろうなぁ・・・。

 

ここはいっその事、

機体の特性を活かしてもらうためにも格闘戦中心に戦ってみるか。

 

「それでは、始めるとしますか?山田先生?」

 

「はいっ!お手柔らかにお願いしますね?」

 

「まぁ、気が向いたらね。」

 

この人は楯無とは違って頭に血が上ってない無いだろうし、

油断してかかるような無礼はしないけどな。

 

「今回は貴女の実力を計るのではなく、

貴女がその機体になれる為の訓練だということを忘れないで頂きたい、

出し惜しみなどせずに、俺に全てぶつけてください。」

 

「はいっ!それでは、行きます!!」

 

そう言って、山田先生はツインソードライフルを構え、

こちらに向かってくる。

 

さぁ、この俺に見せてくれの、アンタの力ってやつをな!

 

sideout

 

noside

 

「はぁぁっ!!」

 

烈迫した気合いと共に、

真耶はストライクノワール目掛け、一直線に突き進む。

 

対する一夏は、その手に武器を持たず、

徒手空拳で拳法の構えのまま、真耶の接近を待つ。

 

間合いに入った瞬間、

真耶はツインソードライフルをソードモードで突き出す。

 

「ふっ!」

 

彼は身体を僅かに開き、ビーム刃を回避した勢いのまま、

右足で蹴りを入れるべく動く。

 

だが、それより一瞬早くグリーンフレームが動き、

彼の蹴りを回避した。

 

「チッ!」

 

露骨に分かる舌打ちをし、

蹴りを発っした脚を振り抜き、

着地した瞬間に軸足を入れ替え、回し蹴りを発する。

 

「ッ!!」

 

しかし、真耶は必死の形相ながらも、

彼の蹴りが発動するより僅かに早く動き、蹴りを回避した。

 

(流石は自立支援型AIを搭載しいてるだけはあるな、

回避行動も早い、防御型の機体なだけはある!!)

 

自分が根を回したとは言えど、

グリーンフレームに搭載されているAIの厄介さに、

彼はポーカーフェイスの裏で盛大に苦い顔をしていた。

 

(だが、カウンターだけは予測出来んだろう、

そこから攻撃に繋げれば勝てると言いたいが・・・。)

 

自分が根回しを行ったからこそ、AIの性質を理解している彼だが、

ある一つの懸念材料を拭い去れないのだ。

 

(山田先生の格闘戦技能が分からんから、

下手に仕掛けにくいんだよな・・・、まぁ、俺の腕でカバーすれば良いか。)

 

彼が戦術を思案している最中、

真耶はツインソードライフルを振りかぶり、

袈裟斬り彼に叩き込もうと動いた。

 

(ま、要は試し、って事だな!!)

 

彼は僅かに身体を後方に動かしながらも、

ウィングバインダーに装備していたフラガラッハ3ビームブレイドに手を伸ばす。

 

しかし、彼それを引き抜くよりも、真耶の斬撃が彼を捉える方が速い。

 

「貰いましたよ!!」

 

真耶自身もそれと確信し、彼目掛けてツインソードライフルを振り下ろす。

 

だが、一夏はビームブレイドを引き抜くのではなく、

振り下ろされるツインソードライフルを、

僅かに後方に下がることで振れる様になった右脚で蹴り飛ばした。

 

「フェイント!?しまっ・・・!!」

 

「脇が甘い!!」

 

自分が誘い込まれたのを悟った真耶は、

自身の左脇腹目掛けて振り抜かれるビームブレイドを回避しようとするが、

それよりも早く、ビームブレイドの峰が直撃し、大きく吹き飛ばされる。

 

「きゃあぁぁぁっ!?」

 

真耶の身体は機体ごと大きく吹き飛び、

アリーナの壁に叩き付けられた。

 

「取り敢えず、今のはAIに頼り過ぎましたね、

人間の思考は、時にして機械すら上回る事をお忘れなく。」

 

「は、はいぃ・・・、

や、やっぱり一夏君は強いですね・・・。」

 

ビームブレイドを格納しながら発せられる一夏の言葉に、

真耶は壁に激突した衝撃で涙目になりながらも頷く。

 

「ですが、踏み込み、腕の振りの速さは実に素晴らしいモノでしたよ、

射撃専門だと思っていましたが、格闘戦にも筋があります。」

 

「い、一応代表候補生でしたから・・・、

でも、どうも格闘戦だけはちょっと怖くて・・・、あははは・・・。」

 

一夏の賛辞に答えながらも、

真耶は何処かぎこちなく笑っていた。

 

そう、彼女は元代表候補生というだけあり、

射撃が得意分野と言えども、どの領域でも適応出来る能力を持っている。

 

しかし、彼女の言う通り、

格闘戦で伴われる痛みや衝撃に慣れていない身では、

恐怖を伴うのは仕方の無いことと言えるであろう。

 

「まぁ、確かに素手でやるのは怖いでしょうね、

俺も最初はそうでしたよ、でも、慣れていかなきゃいけない、

グリーンフレームは近接戦闘でその真価を発揮します、

その機体に選ばれた貴女は進化する事を求められているのです。」

 

一夏は彼女の恐怖を肯定しながらも拳を構え、

徒手空拳での戦いを推奨する。

 

「今、恐怖と言う殻を破り、新しい力を掴む時が来たのです、

さぁ、貴女の大切な物を守るための力を掴むのです。」

 

「・・・、分かりました・・・、私にもそれが出来るなら・・・、

私は戦います!」

 

一夏の覇気に感化されたのか、

真耶も彼と同じ様に拳を構える。

 

「この機体はとっても柔らかくて動きやすい、

それを活かすのは私の身体の動き、というのですね?」

 

「えぇ、その通りです、

俺のビームライフルを蹴り飛ばした時の動き、見せて下さい。」

 

「はい!」

 

一夏の言葉に感化されたのか、

真耶はツインソードライフルを捨て、徒手空拳で彼に迫る。

 

「はぁっ!!」

 

「ムッ!」

 

繰り出される拳や蹴りを捌き、一夏は真耶と対峙する。

 

「やはり元代表候補生なだけはある!!

武術の基礎の基礎は出来てますね!!」

 

「誉めてくれてるのですか!?」

 

基礎が出来ている事を悟り、

彼は非常に面白そうな顔をして真耶に迫る。

 

「ですが、まだまだ、覚えて頂くことはありますね!

さぁ、全力で俺にかかってきて下さいよ!!」

 

一夏は繰り出された真耶の腕を掴み、

背負い投げの様に投げ飛ばし、体制を立て直す前に接近し、

胴に蹴りを叩き込む。

 

「かはっ・・・!まだ・・・!」

 

吹っ飛ばされた衝撃で呻くものの、

彼女は直ぐ様体制を立て直し、再び一夏に向かって行く。

 

「はぁっ!!」

 

「良い腕の振りだ、そこにビームサーベル等を織り混ぜた動きならなお良い!!」

 

「はいっ!」

 

攻撃は更に苛烈さを増しながらも、

一夏のアドバイスを受け、それを真耶は実行に移す。

 

ビームサーベルを二本とも抜き放ち、

蹴りや柄での打撃も加えながら攻撃を仕掛ける。

 

「良い!!実に良い!!この感じ!!ゾクゾクしやがるぜ!!」

 

一夏もビームブレイドを引き抜き、

攻撃を全て捌き切りながらも自分も攻撃を仕掛ける。

 

ブレイドの峰で、柄で、そして自分の腕や脚で、

真耶を圧倒する。

 

(やっぱり・・・!接近戦じゃあ・・・、勝てない!!)

 

(こんだけ攻め立ててるのに、よくも凌いでいるものだ!!

やはり、俺の見立てに間違いは無かったな!!)

 

真耶は一夏の技量に驚愕し、

一夏は真耶の力量に純粋に感激していた。

 

(でも、私はこんな所で立ち止まれ無いの!

教師として!一人の大人として!!生徒たちの手本となりたいから!!)

 

真耶は己の意地、己の教師としての誇りに賭けて、

彼に挑み、競り勝つ事を望む。

 

(どうしたら良いの!?地の力じゃ、彼には到底及ばない!!

でも、負けたくない・・・!!)

 

その時、真耶の頭にある方法が閃いた。

 

(・・・!そうだ・・・!!このグリーンフレームには自立支援型のAIが装備されている・・・!!

もしかしたら、一夏君の攻撃の先を読めるかも知れない・・・!!)

 

グリーンフレームに搭載されているAIは、

相手の行動を先じて予測、パイロットにその先の行動を委ねるシステムとなっており、

巧く使えば、相手の行動を封じる事も可能である

 

ただし、それには相応の技術が当然ながら要求される、

言うなれば、達人やそれに近い領域の人間のみが実現できる技なのである。

 

(それでもやる価値はある・・・!!

お願いグリーンフレーム!!私に、力を・・・!!)

 

強く、強く願う真耶にグリーンフレームが応えたのか、

彼女に送られてくる情報が増える。

 

一夏の次の動きを予測し、

どう動くかというパターンが表示されていく。

 

(次は、後ろに下がる・・・!!)

 

真耶が僅かに後退した直後、

一夏が振るったビームブレイドが空を切る。

 

「っ!!」

 

一夏の表情が一瞬苦いものに変わるが、

彼は直ぐ様次の行動に移る。

 

(次は、身体を沈めて・・・!!)

 

一瞬前まで真耶の頭があった場所を、

ストライクノワールのハイキックが通過していく。

 

(今っ!!)

 

一夏の軸足を脚で払い、彼の体制を崩させる。

 

先を読んでいたかの行動に、一夏はどうすることも出来ずに倒れていく。

 

「貰いました!!」

 

好機と見て、彼女は一夏目掛けてビームサーベルを振り下ろす。

 

だが・・・、

一夏は背中から倒れる勢いを利用し、

払われた脚でビームサーベルを蹴り飛ばした。

 

「えっ!?」

 

「いい攻めでしたね、予想外でしたよ。」

 

驚愕する真耶を他所に、一夏は愉しげな表情を崩さない。

 

「それでも、咄嗟の判断が最後には物を言わせる時もある、

今の俺みたいにね。」

 

ハンドスプリングの様に跳ね起き、

彼は真耶の頭上を取り、ビームブレイドを振り下ろす。

 

真耶も咄嗟に残ったビームサーベルで受け止める物の、

二刀流の一夏に相対できる技量、筋力を持たない為、

ビームサーベルは弾き飛ばされ、ビームブレイドの機体への直撃を許した。

 

程無くして、グリーンフレームのエネルギーは底を突き、

真耶は膝をついた。

 

「中々、面白い戦いを見せてもらえました、

本当に良い強さでしたよ、山田先生?」

 

「あははは・・・、それでも・・・、負けちゃいましたね・・・。」

 

満足気に話す一夏の言葉に苦笑しながらも、

真耶は何処か満ち足りた表情で答えた。

 

「格闘戦も中々良いものでしょう?

お気に召さなければ、こちらで別の手を考えましょう、

今日はこれで終わりましょう、お疲れ様です。」

 

真耶に労いの言葉をかけつつ、自身もストライクノワールを解除した一夏は、

ピットに向けて歩いて行った。

 

(やっぱり、一夏君は強い・・・、私も負けていられませんね!)

 

彼の後ろ姿を見送った真耶は、

新たな決意をその胸に宿しつつ、自身もピットへと戻って行くのであった。

 

sideout




次回予告

遠征組も戻り、三学期が始まったIS学園、
だが、例の二人の関係は今だ冷えきったままで・・・?

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
姉妹の蟠り。

お楽しみに!
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