続きは書くとしても随分先かね
ーーなぁ、オレと一緒に来ないか?
それは神の救いにも等しいものだった。
間違っても神などと言える神々しい存在ではなかった。
だが、悪魔の契約でもなんでも良い。それは俺にとって紛れもなく救済であった。
ーー勘違いするな、オレはお前を助けようなんてこれっぽっちも思っていない
それでも良い。
たった独り、無様に生きて骸を晒すものと思っていたのだ。誰かに必要とされる事も無く、独り消え逝くと信じていたのだから。
ーーオレはお前を使い潰す。オレの復讐を手伝う使い捨てのコマに過ぎない
上等だ。俺にこれ以上なく相応しい。負け犬の誇りを見せてやる。
俺は少しでも誰かの力になる事が出来るなら満足だ。
ーー気に入った。なら来ると良い、この世を地獄に……猛争の渦へと変えようじゃないか
生きる事に必死だった。
理由なんてない、ただ死にたくなかった。
毎日毎日、食糧を探して路地裏のゴミ箱を漁った。
泥水を啜り、腐った肉を喰らい、ダンボールの上で寝て過ごした。誰から見ても底辺で、誰が見ても薄汚れていて、まるで野良犬や猫……つまり人にも及ばぬ獣と変わらなかった。
皆が俺に侮蔑の視線を向け、憐憫の眼差しを向けた。ボロ布を纏っただけの年端もいかぬ少年だった俺を人々は『可哀想』『穢らわしい』ありとあらゆる言葉で罵り、憐れんだ。
鬱陶しかった。
俺を知らない癖に知ったような口で語る奴らは目障りで耳障りだ。消えていなくなって欲しかった。実際、何人も消してきた。奴らは泣き喚き、助けを懇願したが、それすらも頭の痛くなるノイズだった。だからこそ、消した後はとても気分がスッキリし、晴れやかだった。辺りには静寂が広がり、俺を苦しめる雑音のない無音。いや、心地の良い死の音が響いていた。
結局、誰も俺を見てなんかいない。奴らに見えているのは『身寄りがなく、住む場所もない哀れな子供』だった。
違う。俺はそんな同情なんて求めていない。俺が欲しいのは俺の価値を認めてくれる人だ。ゴミ屑でもド底辺でも獣でも括りなんてどうだって良い、俺を俺として見てくれる人が欲しかった。
そんな小さな願いも叶わぬからこそ、
俺は全てを持って生まれた者達を妬んだ。
俺は陽の当たらぬ影へと追いやった運命を憎悪した。
俺は救いなど欠片も与えぬ女神達に憤怒した。
俺は永劫変わらず続く世界を悲嘆した。
そうする度に俺の中にドス黒く、常人ならば気が狂いそうなほどの闇が生まれるのを感じた。
ああ、分かる。これは世界の敵足り得るナニカだ。
生み出した俺自身、ただ身を任せれば飲み込まれてしまいそうなほどだ。だが、屈するものか。俺は俺だ。それ以外の誰でもない。
次第に大きくなっていく闇。
やがて抑えが効かなくなっていく。自分が自分でなくなる様な喪失感が俺を支配し始めた。恐怖に煽られ、冷静さを欠き、薬物中毒者の様に錯乱する事もあった。
そんな時、俺は紅の大輪を咲かせた。
機械的に、けれど衝動的にただ殺す。
そして俺が唯一愛する死の音を聞く。
この時間だけは俺の心は何処までも凪いだ湖面の様に安らかでいられるのだ。しかし、安寧は長くは続かない。暫くすれば石を投げ入れたかの様に波紋が広がり、自己の喪失という焦燥に駆られる。
そうしてまた殺す。それを永遠と繰り返した。
終わりの見えない悪夢。
ーー誰か俺を救って欲しい
己が身に闇を宿した少年は、同じく闇に穢されし女神との邂逅を果たす。
この出会いが世界にもたらすのは猛争と破滅か、それとももっと別の何かなのか。ゲイムギョウ界に暗雲が立ち込める。
テスト投稿みたいなものだね。
大幅な設定の変更や改稿があるかもしれませんが悪しからず。