ごめんなさい。
何もない。
誰もいない。
まるで終末でも迎えたように全てが崩壊している。建物も森も空も大地も海も、なにもかもが裂け、砕け、割れている。
地を踏めば、渇ききった砂が宙を舞う。
それに手で触れれば理解出来よう。恵など絶えている。此処だけではない。かつてはゲイムギョウ界と呼ばれ、何億もの民が暮らし、沢山の生命が栄えた大地はその奇蹟を一滴残らず絞り出された。
彼方まで続く水平線は黒く淀みきっている。
掬い上げればドロドロとした不快感を伴う感触共に地へと零れ落ちる。かつて生命を生み出した原初の海は消え去った。多種多様な生物の影もない。初まりの神秘は既に尽きた。
仰げば目にする空は無数に引き裂かれ、無間が顔を覗かせている。
そこにあったはずの夜空の暗黒ではない。文字通り、何者の存在も赦さない絶対の虚無。太陽も、太陰も姿を無間の中へと姿を隠してしまった。ゆえに強大な光はなく、あるのは永遠の闇と僅かな星々の輝き。
この次元が黄昏を迎えたのはいつだっただろうか。
あまりにも遠い過去として、思い出す事は容易ではない。
幾星霜の時が経ったのは確かだろう。しかし、あてもなくただ独り闇を彷徨い続ける俺の時間の感覚なんてとうの昔に消失した。だから俺にはこれだけの時間が過ぎたと断言する事は出来ない。もう何万年、何億年も昔なのかもしれないが、ほんの十年前かもしれない。
だが、こんな問いに意味はない。もう誰もいなくなったこの次元。彷徨う俺だけの世界。一体記録として保存する事の意味があるだろうか?分かりきっている。だからこそ問いに意味はない。
ただひたすらに彷徨い歩くのだ。
この闇の中を。
彼らは心を闇へと染め上げ、人としての形を失い、影としてこの世を覆っている。
しかし、この世を黒く染めているのは俺。つまりだ、
人としての命を亡くし、新生した俺という新たな神をある種の信仰という形で支えている。純然なネガティヴエネルギーを作り出す100%の悪意となった彼らは俺の中に溶け込んでいるのだ。
人だけではない。
この暗獄の初まりの日。
あの日、俺という闇の流出によって世が侵された。
初めは緩やかだったが次第に勢いを増し、最後には星の光すら捕らえる速さで世界を呪った。
やがて抗うモノも潰え、俺を中心とした
ありとあらゆる
天井知らずの俺の闇は
いつかは全ての次元を喰らうのかもしれない。
そうして俺という意識も闇へと消え去るのだろう。
ーー俺の願いはこんなモノだっただろうか?
意味不明ですね、はい。