ポケットモンスター スカイ・アイスエイジ 作:お豆腐食べたい
『見えたぞ、あれがグリューラ氷山だ。』
雲の中を抜けて飛びながら、ロミオが呟いた
そこにあったのは見るからに氷山、って感じがする。そして近づくにつれて人影がぞろぞろと見えてきた
「よし、ロミオそろそろ降ろして。とりあえず下の人達をやっつけるから」
『了解』
「ショウも行けそう?」
「任せな才蔵」
「知り合いの人?」
「今思いついた」
才蔵さんって誰だよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『降ろすぞ!』
「よっと」
「ありがとよ、戻れエモンガ」
そう言って降りると早速近くにいた数人のプリズムブレイカーの下っ端?の人達に気付かれた
「な!?何者だお前ら!」
「何処から来やがった!?」
「構わねぇ!我々の邪魔はさせるな!」
それぞれがそれぞれの反応を見せながらモンスターボールに手をかける
「ユウ、ここは俺に任せて上の方に行け。俺の三匹で食い止める」
「三匹目いたんだ!」
なんなの!?すごい気になるんですけど!
「じゃあお願いね!」
「おうよ。じゃあ行くぞお前ら!」
そう言うと、ショウは自分のボールに手をかけて三方向にそれぞれ投げた
「おら!ぼさっとしてないでさっさと行け!」
「え?あ、うん!」
気になるけど先を急ごう、気になるけど!
大事なことなのかわからないけど二回思っちゃったよ!
『ユウ、この氷山の頂上付近にちらほらと人影があった。ここからまっすぐ登って少し曲がれば着きそうだぞ』
「わかった!」
『あと寒いからボールに戻る!」
「ナビゲートしてくれないの!?」
僕の叫びは虚しく雪に吸い込まれ、ロミオはモンスターボールに戻って行ってしまったが、僕は取り敢えずさっき言われた道を進んでみることにした。
★★★★★★★★★★
頂上の少し前まで急いで走ると、そこには銀髪の水色の目をした可愛らしい女の人がいた。
しかし、着ている防寒着っぽいポンチョの留め具は見覚えのあるPっぽいマーク。
プリズムブレイカーの人だ…
「来たわね。」
「これはどうも。いきなりですいませんが通してもらえませんか?」
「ふふふ、駄目よ。一応私幹部なのよ?貴方を止めないといけないの。」
「ならポケモン勝負で勝ったら通してください」
「面白い子ね、キリューが興味を持つわけね。
貴方の名前、教えてくれる?私はミロっていうの」
「ユウです、そのキリューさんって人がプリズムブレイカーのリーダーなんですか?」
「さぁてね、自分で確かめられたらいいわね」
「それなら上に行かなければならなくなりましたね」
「いけると思って…?」
そう言うとポンチョのしたからボールを取り出す。僕もボールに手を掛ける。
(今回豪鬼は出たそうじゃないし、姫ちゃんとジャックは寒いの嫌いだし、あんま出したくないけどあいつに頼むか…)
「行きなさい、トドゼルガ!」
「頼むよ、ツキヤマ!」
ミロさんはトドゼルガを繰り出したのには驚いた。なにせあんなに強そうなトドゼルガは久しく見ていないからだ。下っ端とは全然違う。
一方、僕が出したのはアブソルのツキヤマ。メンバーの中でも寒さに強く、常に微笑を崩さない、美食家(グルメ)なアブソルだ。
『んんっ〜。この雪景色、そしてこのバトルの香り、久しく感じていなかったよ。実にtrès bienッッ!』
あーまた始まったよ、この独特のグルメ論。バトルの時は頼りになるのに、なんでだろ。
そんな事を思ってると
『bonjourユウ。今日の相手はこのレディのトドゼルガなのかい?』
「うんそうだよ。豪鬼のやつ、なんかでたがらないからお願いね出来るかな?」
『no problem!僕にこんな美味しそうなオードブルを用意してくれたのだからね!この後のディナーのほんの余興を楽しませて貰おうか!』
「…わかってると思うけど、食べちゃだめだよ?」
ツキヤマは一瞬口をひくつかせると、すぐにいつもの微笑に戻り『わかっているさ』と答えた。
すごいな、不安しか感じない。
やれやれと思っているとミロさんはくりっと首を傾げて、訪ねてきた
「あなた…なぜ氷タイプのトドゼルガに仮にも有効とは言えない悪タイプのアブソルを戦わせるのかしら?」
「あー」
僕は一息つく
「僕のメンバーの格闘タイプのやつがあまりでたがらないのでとりあえず雪原に強いやつにしました」
「へぇ…ちょっと甘く見られてるのね。あなたはここで私に止められるのよ?」
「まさか、僕だってここを通ってリーダーのキリューさんでしたっけ?のことを止めなきゃならないんですよ」
『ところでマドマゼル。このトドゼルガ、一体どんな味がするのか、教えていただけないだろうか?』
なんかしゃべりだしたぞこの美食家。
ミロさんすごいきょとん、としてるじゃん。
「このアブソル、なにを言っているのかしら?」
「ほっといてくれてもかまいません…」
「そう?ならそうさせてもらうわ」
そう言われたツキヤマは『non!』といいながら何処ぞの悲劇のように倒れこむ、いちいちうるさい
「そろそろ始めてもいいかしら?時間稼ぎもいい感じだと思うの」
「あ、いつでも構いませんよ」
「それなら遠慮なく、トドゼルガ波乗り!」
「グオオォォ!!!!」
奇襲を仕掛けるが如く、ミロさんのトドゼルガは波、というか雪崩に乗りながら突進してきた。雪雪崩の間違いじゃないのかな?
『んー、なんとも美しいそのフォルム…やはり素晴らしい食材になるなぁ…食べたい、食べたいよ君のことがぁ!』
(やばい。こいつ忠告を無視して少し食べようとしてるな…)
説明しよう。このツキヤマは美食家なのだが、強いポケモンや鍛えられたポケモン、興味をそそるポケモンを食べようとするポケモンなのだ。食べると言ってもカニバリズムのような感じではなく、バトルを通して相手ポケモンの全てをさらけ出させるような戦い、それがツキヤマ流の美食なのだ。勿論普段の食事もシェフ=ジャックによる″その場の食材でできる最高の料理″により満足している。
バトルするだけならユウだって好きにやらせるが、うるさい上に変態(姫ちゃんとはちがう意味)臭くなるので相手トレーナーの人に迷惑をかけたくないのであまり食事モードになって欲しくないのだ。
「ツキヤマ、避けてから辻斬り!」
『ハハハハハーッ!!』
狂気にも似た笑い声をあげながらツキヤマは自身のツノを紫色に光らせる。雪崩にのって突進してくるトドゼルガを避ける
『熱いヴェーゼをくれてやろう…!」
技を外し隙ができた背後からツキヤマが自らのツノを叩き込む。急所に当たったらしく、低いうなり声をあげながらぐらついている
「トドゼルガ!?あ」
「ナイスだよ!ツキヤマ!」
「く…トドゼルガ、相手から距離をとって吹雪よ!」
「グギュオオオオオオ!!!」
まだ体力が残っていたのか…!と思っているとすぐさま反応したトドゼルガはツキヤマから離れると、その場に吹き荒れているあられの影響で恐ろしいほどの吹雪を巻き起こした。
吹雪はうねりをあげながらツキヤマに襲い掛かる
『くっ…!これは僕でも、ぐあぁ!』
「ツキヤマ!?」
吹き荒れる嵐はツキヤマを飲み込むと、何事もなかったかのように再び静寂が訪れる…
沈黙を破ったのはミロさんだった。
勝利を確信したかのような顔だ
「私の勝ちね。モンスターボールは置いていかないでいいから、ここから下がって…」
『トレッ・ビアァン!!!』
ーー雪の中から狂気に満ちた表情のアブソル、ツキヤマを目の当たりにするまでは
「な!?どういうことなの!?」
「そのまんまですよ。トドゼルガの吹雪はツキヤマにダメージを負わせる事は出来ましたけど、倒す事は出来なかったのでツキヤマは雪の中から飛び出てきたわけです。」
『ハハハハッハハー!嬉しいよユウッ!あの時の記憶が蘇るようだ!』
「よし決めるよツキヤマ!メガホーン!」
「!と、トドゼルガよけなさ…」
『逃がさないよッ!』
タイミングはあっていたであろうトドゼルガの回避はツキヤマの放ったメガホーンを避けられるはずだった、だが少しタイミングをずらし、放たれたメガホーンを避ける事はできず、吹っ飛ばされてそのまま動かなかった
「そ、そんな…!私が負けるなんて」
ミロさんは心底驚いたようにお尻をぺたん、と地につける。
それを見て僕も内心胸を撫で下ろした。
あの時ツキヤマには確かに吹雪が直撃した、しかしツキヤマはアブソルには珍しく体力が非常に高いため、いくら吹雪とはいえ体力を削りきれなかったんだろう。
それにしても悪い奴だ。あえて雪の中に隠れて隙をついてメガホーンを叩き込むなんて…
さすがはカリスマ美食家だよまったく
『sorryマドマゼル。君のトドゼルガがあまりにも魅力的だったので、あまり使いたくなかったが禁じ手を使わせてもらったよ』
「…?このアブソル本当になんて言って?」
「禁じ手を使ったとかなんとか、ようにはすごく強かったから頑張りましたって言ってると思ってください」
「は、はぁ?」
「でも、僕らが勝ったんでリーダーのキリューさんの元に連れて行ってくれますよね?」
僕が言うとミロさんはうっ、と口を結んだが、観念したのか「こっちよ」と案内してくれた。
ツキヤマは命令に違反したのでおやつ抜きの刑に処しました。
両手をついて謝っても許してあげない
次回はキリューとの戦闘になります
ポケモン:アブソル
ニックネーム:ツキヤマ
性別:オス
特性:強運
説明:フランス語と英語がペラペラの変態。美食と強いポケモンのことをこよなく愛する変態。と言うか変態。