悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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今回も悟飯は出てきません。


百代の敗北

「道中、お疲れ様でした。ここが我々の研究所ですぞ」

 

 両手を広げ誇らしげに言う老人。

 百代を乗せたジェットフライヤーは老人の言った通りに1時間程で目的地へと辿りついていた。そのたどり着いた場所にあったのは山中に隠されるかのように建てられた巨大な施設で、老人は研究所と言っているがそれにしてはかなり奇妙な形だった。寧ろ遊園地にありそうなアトラクションや特撮の悪の秘密基地とでも言われた方がしっくり来る位である。ただ一つ確かなのはその巨大さ、東京ドームの数倍はあるだろう巨大な建造物が不釣合いにも山奥に建てられていた。

 

(飛行した速度と時間から考えて、流石に東京と言うことは無いな。群馬あたりか?)

 

 自分の現在地に対し予測を立てる百代。

 飛行している間、変な場所に連れていかれては堪らないと流石に緊張感を走らせ、周囲の景色を油断なく観察していたので予測はそれ程外れていないだろう。

 

「それでは、どうぞ着いてきてくだされ。戦闘生物はこの中です」

 

「ああ」

 

 研究所の扉が開き、中へと入って行く。入り口から入った先にあったのは薄暗く真っ直ぐな道、老人に付いてその道をしばらく進むと、やがて先に明るい光が見えてきた。その光のあるところにたどり着くと、そこは半球形をした明るく広いスペースであった。

 

「ここで戦っていただきます。しばらくお待ちください」

 

「わかった」

 

 そこで老人は百代と別れ、更に先へ続く道へと進んで行く。

 一人待たされた百代は周囲を見回したりして時間を潰し5分程が経過した所で、その部屋に取り付けられたスピーカーから分かれた老人の声が聞こえてくる。そして声が聞こえたのとほぼ同時に部屋にあった扉が開き、その先より部屋に入ってくるモノがあった。それはシルエットで言えば人型で、しかし全身が青い色をした明らかな異形の生命体、それが5体居る。

 

『どうもお待たせしました。これは儂の作り出した戦闘生物バイオマン。まずはウォーミングアップと行きましょうか』

 

 老人がその正体を告げる。異形の生命体バイオマンには声を発する器官自体が無いのか一切の声を発しないまま構えを取った。

 

「随分、気色の悪い奴等だな。趣味悪いぞ。それにしてもウォーミングアップと言うことはこの後に本命が残っているってことか?」

 

『勿論。この儂、Dr.コーチンがバイオテクノロジーの粋を集めて作り出した取っておきがおりますよ』

 

 百代はその醜悪な外見に不快感を感じ、揶揄する言葉を吐きながら、同時に気になった点を問い詰めた。その問いかけに対し自信有り気な声が返ってくる。その声にも不快感が感じられ、聞くだけで嫌らしい笑みを浮かべている姿が思い浮かんでくるようだった。

 

「そうか、じゃあ、さっさとこいつらを叩きのめしてそいつらを引き出してやろうじゃないか」

 

『それでは始めましょう』

 

 感じたストレスを目の前の化け物にぶつけることを決めた百代。そんな彼女に対し、コーチンの指示に応え、5体のバイオマンが同時に襲い掛かる。

 

(速い!)

 

 その動きを見て百代は内心で驚きの声をあげる。技量は別として、単純な速度だけで言えば壁越えの武術家、その一歩手前クラスの速さがあったからだ。

 襲い掛かってきたバイオマン達は百代の手足の届く間合いより少し離れた所で散会。5体の内4体が正方形を描くように百代を取り囲み、残る一体はそのまま直進し彼女に迫った。無言のまま腕を振り上げ、尖った指先を立て、獣が爪で切り裂くような動作で振り下ろそうとする。

 

「川神流・無双正拳突き!!」

 

 そこで百代が動く。バイオマンの腕が完全に振り下ろされるより前にその胴体に正拳を叩きこむ。強烈な一撃を受け吹っ飛ぶバイオマン。しかし恐怖と言う感情がそもそも存在しないのか、残る4体のバイオマンは味方が派手にやられる様子を見ても全く臆する様子を見せず、今度は全員が同時に彼女に対し攻撃を仕掛けてきた。

 

「川神流・大爆発!!」

 

 それに対し、百代は気を周囲に放出。彼女を中心とした爆発が起こり、その爆発に飲まれた4体はまとめて弾き飛ばされた。全ての個体が動かなくなる。あっと言う間の決着であった。

 

『流石は世界最強と呼ばれた武神。どうやらウォーミングアップにもならなかったようですな』

 

「いや、なかなか大したものだったぞ。見た目は醜悪だったが、今まで戦った中で上位に入る強さだった。本命が残ってるんじゃなかったらもう少し時間をかけて楽しんでいただろうな」

 

 バイオマンを短時間で倒した百代に対し、賞賛の言葉を述べるコーチンとバイオマンの性能を評価する百代。あっさりやられたバイオマンであったが、表の武術界の世界最強クラスと比べた場合、彼等よりも遥かに上に位置する強さがあった。京であっても恐らく1対1では勝ち目はゼロに近い。

 

(クッキーを軍事用として量産してると聞いたが、このレベルが雑兵扱いだとしたら揚羽さんも大変だな)

 

 その強さを考え、九鬼財閥の軍事部門を統括する友人にしてライバルの女性に同情の気持ちを抱く。とは言え、所詮は他人事。今の彼女にとってはもっと大事なことがある。

 

「さて、そろそろ本命と行こうじゃないか? もっと自信がある奴等がいるんだろう?」

 

『いいでしょう。見なされ、儂の傑作達を!!』

 

 待ちわびて我慢できないと言わんばかりの百代の言葉に応え、先程バイオマンが出てきたのと同じ場所から3体の戦闘生物が現れる。3体とも人型で全身緑色の細長の顔をしたやや細身の個体、全身黄色で相撲取り以上に太った体型をした固体、そして薄い赤色の肌と濃い赤い髪を持った筋肉質で一番人間に近い姿をした固体。

 

『キシーメ、ミソカッツン、エビフリャー。さあ、川神百代、この3体を相手に世界最強の力を見せるがいい!!』

 

「確かにさっきの奴等とは違うようだな」

 

 その3体を見た瞬間、百代はその強さを本能で感じ取り、緊張感を高め構える。

 しばらく間両者は睨み合い、そして先に動いたのは戦闘生物達だった。

 

(速い!!)

 

 その心情を一言に表せば先程バイオマンの動きを見た時と同じ。しかしその内実はまるで違った。先程の驚きが155キロの速球を投げられる速球投手が小学生にしては速い球を投げる少年を見た時のような上から目線のものだったとすれば、今の驚きは170キロの速球を投げる投手を目撃したようなもの。つまり、戦闘生物は百代よりも速くそして常識外れな速さを持っていたのだ。

 

「くっ」

 

 先頭に立ち最初に攻撃を仕掛けて来たのは見掛けからして身軽そうな緑色の戦闘生物、キシーメ。飛び蹴りをしかけてくる。その攻撃を横に飛んで何とか回避するものの、そこに続けて飛び込んで来た赤い戦闘生物、エビフリャーの拳が迫る。

 

「があっ」

 

 初撃をぎりぎりで回避し、体勢を崩していたため今度はかわせず空中に跳ね飛ばされる。内臓が破裂仕掛ける程のダメージを負うが得意の瞬間回復を使い、即座に全快するとそのまま反撃に移った。

 

「川神流・星殺し!!」

 

 必殺のエネルギー波を放つ。しかしそこでミソカッツンが他の2体の盾になるように前に立った。ミソカッツンに直撃するエネルギー波、その一撃はその腹の肉をその体躯の後方にまで引き伸ばしそのまま突き破るかと思われた。しかしそこで伸びが止まり、引き絞ったゴムが解放されるかのようにして一瞬で元の体型に戻り、同時にエネルギー波を跳ね返す。

 

「何!?」

 

 空中で自由の効かない百代は自らが放った攻撃をよけることができずまともに受けてしまう。受けたダメージを癒すため、早くも二度目の瞬間回復を使用。改めて相手の強さを実感し、そして自身の不利を悟る。

 

(3対1のままではまずい。なら、まずは1体減らす!!)

 

 地面に着地した百代はそこで超加速を発動。極短時間だけではあるが、全身のスピードを何倍にもすることができるその技の効力で他の2体をすり抜け、ミソカッツンに接近。

 

「禁じ手・富士砕き!!」

 

 拳を叩き込む。しかしその一撃も先程のエネルギー波同様にゴムのように柔らかい体を持つミソカッツンには痛痒を与えることはできなかった。

 

「なら……!?」

 

 気弾も物理攻撃も駄目ならばべつの手段をと、次の攻撃を加えようとする百代。しかしそこで背後から殺気を感じ、攻撃を止め一端退避に移る。確実に逃れる為に再び超加速を使用する。

 

「なっ!!」

 

 しかしそこで彼女は驚愕をする。超加速を使用した百代に対し、キシーメが付いて来たのだ。そしてキシーメの腕から電撃の鞭が放たれる。

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

 その鞭に捕らえられ、全身に流れる電流に絶叫をあげる。必死に逃れようともがくが鞭は解けない。そうして数秒間電撃を受け、遂にその場に膝を突き、そのまま地面に突っ伏した。

 

「ぐっ」

 

 そこでようやく解放される。それをチャンスと見て瞬間回復を使おうとする。しかし技が発動しなかった。百代もそして相手も知らないことだったが、瞬間回復は電撃などで神経の一部が麻痺したりすると使用が不可能になるのだ。今回の場合、数秒間電撃を喰らい続けたことでその領域にまで至ってしまっていた。

 

『世界最強と呼ばれた武神がこの程度だったのか』

 

 動けなくなった百代に対し、スピーカーから失望の言葉が投げかけられる。百代は屈辱を味わいながら同時に笑いが込み上げてくるのを堪えきれなかった。

 

「くっくっ、さっきから私のことを世界最強と呼んでいるが、とんだ間抜けだな」

 

『間抜けじゃと!?』

 

 自身を天才と自負しているコーチンは侮辱の言葉に怒りを露にする。そんな彼に対し、百代は更に嘲りを強めて言った。

 

「ああ、間抜けだよ。私はもう世界最強なんかじゃない。私よりもそしてお前が自身を持っているこの化け物達よりも強い奴は他に居る」

 

『娘よ、それは真か!?』

 

 その時、コーチンとは違う声がスピーカーから発せられた。

 

「誰だ!?」

 

『Dr.ウィロー様に無礼な口をきくな!!』

 

 突然の第3者の声に思わず動揺する百代に、コーチンが怒り叫ぶ。

 

「Dr.ウィロー?」

 

『偉大なる大天才、世紀の否、人類始まって以来の科学者。それがDr.ウィロー様じゃ。そして儂はその助手なのだ』

 

 コーチンが誇らしげに語る。そしてそこでウィローが再び口を開いた。

 

『娘よ。お前よりも強いと言う存在は何者だ?名を何と言う』

 

「名前か。いいだろう、教えてやる、そいつの名は……グレートサイヤマンだ」

 

 その名を伝える時の百代の口調と表情は完全に相手をからかう態度だったのだが、2人はそれに気付かない。

 

『グレートサイヤマンだと。儂のデータにそのような人物の名は無いが。おい、川神百代、そいつはどこに居る!?』

 

 それどころか世界最強の人物を探すために調査をしたにも関わらず全く知らない名を告げられたことに慌てふためくコーチン。それに見て百代は僅かに溜飲を下げると、更に意地悪な笑みを浮かべて言った。

 

「さあな、自分で探してみたらどうだ?」

 

『貴様!! キシーメ!!』

 

 百代の態度に怒ったコーチンはキシーメに再び電撃を流させる。悲鳴を上げる百代。

 

「があああああああ!!!」

 

『どうだ!!口を割る気になったか!?』

 

 電撃を止め再び詰問するコーチン。しかし百代はそれを拒んだ。

 

「ぐっ、断る」

 

『貴様!!』

 

 再度電撃を流そうとするコーチン。しかしそこで制止の言葉が入った。

 

『辞めよ。力は少々物足りないが、その娘の言葉が嘘で代わりが見つからなければその娘で妥協する。私の新しい体だ。無闇に傷つけるな』

 

『はっ。申し訳ありません。Dr.ウィロー様』

 

「新しい……体?」

 

 スピーカーから聞こえる会話をおぼろげな意識で聞きながら度重なるダメージに百代は意識を失うのであった。




っと、言う訳で謎の老人の正体はドラゴンボールZ映画第2弾のDr.コーチンでした。
百代達でもある程度戦えるレベルの敵にしようと思い、最初の敵はこいつを選びました。
しかしブロリーと予想した人多すぎ(汗)
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