悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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悟飯、爆弾発言をする

 タイヤを切り裂いた一子。その姿は少し光輝いていた。如何に磨り減ったタイヤとて腕力だけで切り裂けるものではないし、自然体の動きを身につける修行をしたとて僅か3ヶ月でその真髄にまで辿り付ける筈も無い。このようなことが出来るようになったのはこの輝きが関係していた。

 

「大分使いこなせるようになったみたいですね。それじゃあ、次は”気弾”を試してみましょうか?」

 

「うん、何時でも来て!!」

 

 返事を確認した悟飯は切れたタイヤを片手で持ち上げる。一方、一子は持っていた薙刀を地面に置くと両手首を合わせた状態で手を開いた。

 

「か~」

 

 一子の手のひらの中に極小さな青い光がともる。

 

「わ~」

 

 その光が少し大きくなる。

 

「か~」

 

 輝きも強くなる。

 

「み~」

 

 光は裸電球と同じ位の大きさにまで拡大する。そこで悟飯は8キロ程の重さを一子に向かって軽く放り投げた。

 

「波ー!!!」

 

 一子の手から光が放出される。その光はタイヤに命中し弾き飛ばした。弾かれたタイヤは悟飯の目の前に落下する。

 

「凄いよ、一子さん。まさか短期間でここまで”気”を扱えるようにようになるなんて!!」

 

「えへへ、そうかしら」

 

 見事な成長に興奮し、賞賛の声を送る悟飯。褒められて照れる一子。生命の持つ神秘の力”気”。武術家として常識のレベルを超えるにはこの力をコントロールできるようになることが必須事項と言えた。一子がタイヤを切断したり、先程のように弾き飛ばすことができるようになったのもこの力をコントロールできるようになったおかげである。

 しかし才能の無い地球人にとって気をコントロールすることは簡単では無い。それどころかその前段階、自身の”気を認識する”と言う段階で多くの者は躓くことになる。

 平行世界で、悟飯がビーデルに武空術を教えた時もまずそこから始め彼女は1日でこの段階をクリアーしたが、才能の無いものはこの新しい感覚を掴むのに年単位、下手をすれば一生かかってもできないことがある。実際、一子は何年もの間、この感覚を掴む段階に到達できずに居た。

 それでは何故急にここまで成長できたのかというと、そこにはある理由が存在している。無論、それは悟飯が関わっていた。

 

「でも、これも悟飯君のおかげよ」

 

「いや、僕は切欠を与えただけで、これは一子さんが頑張ったからですよ」

 

 悟飯は謙遜する。この謙遜は彼が謙虚だからと言う理由だけでは無い。悟飯自身にも予想外の偶然が産みだした結果だったのである。それ故に自身の功績とするには恥ずかしさがあったのだ。

 話は3ヶ月前に遡る。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ一子さん、この前と同じおまじないをするね」

 

「うん。お願い」

 

 休憩時、疲労回復を早める為に気を送り込む。この治療を行うのは最初の時を合わせ2回目だった。

 

「あっ、気持ちいい……あれ?」

 

「どうかしましたか?」

 

「うん、何て言うか。体の中を流れているものが分かるって言うか。それが二つあるって言うか……」

 

 言ってる本人もよく分からない感覚。その感覚を感じ取ろうと意識を集中する。するとまるで導かれるかのようにして半ば無意識に体が動く。両手を体の前に突き出し、両手のひらを包み込むような形を取り、その状態で更に意識を集中させると、両手の中に一瞬だが豆電球よりも小さな光が生まれたのだった。

 

「今のってお姉様が使うのと同じ……。じゃあ、この体の中を流れてるのって気なの?」

 

 元々自分の中に存在するものを知覚するのは難しい。自分の中に流れる血液の流れを普通は知覚できないのと同じことである。しかし輸血や薬剤の注射などで外部から異物を取り込み変化が起きた時、人は一時的に血液の流れを感じとることができる。今、一子に起きた現象は原理的にはそれに近かった。悟飯の気と言う異物を取り込んだことで彼の気を知覚できるようになり、それと比較することで自分自身の気も感じ取り、僅かであるがコントロールできたのだ。最初の治療の時はあまりに疲れきり過ぎていて気づかなかったが、今回は少し余裕のある状態で彼の気を受け取ったため、このようなことが起きたのである。

 

「あれ? じゃあ、もしかしてこのおまじないって気を使ってるの?」

 

 そして、気を感じ取った一子が悟飯のおまじないの意味を理解するのは当然の流れであり、彼の秘密がまた一つばれてしまうのであった。その後、彼は必死に頼み込んで口止めをお願いし、これ以上に秘密が拡散するのを防ぐのだった。

 そしてその後も気による治療は継続された。寧ろ一子に対しては既にばれたからと開き直って頻繁にこれを行った結果、悟飯によって精緻にコントロールされた気の流れを体内で感じ取った彼女はこれを模倣することによって成長を早めることができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、悟飯君、ほんとによかったのSクラスを選ばなくて」

 

 修行がひと段落付き、休憩を取りながら談笑する二人。そこで一子は気になっていたことを尋ねる。1年最後の学年末テストで悟飯は毎回2位だった九鬼英雄と毎回1位だった葵冬馬を超えて学年首位を獲得している。成績的には当然問題無いし、学校生活や日本での生活の不慣れも大分解消されてきており、順当に行けば2年からSクラスに編入する筈だった。しかし悟飯はそれを断りFクラスに残ったのである。

 一子としては勿論、悟飯が他所のクラスへ行ってしまうよりは残ってくれた方が嬉しいし、ましてやSクラスとFクラスは仲が悪いので尚更だ。しかし将来は学者になりたいと言う彼の夢を聞いていたため、 その夢のためにはSクラスに行った方がいいのでは気にしているのである。

 

「うーん、勉強のことならFクラスにも大和や甘粕さん見たく頭のいい人が居るし……」

 

 落ちこぼれクラスと言われるFクラスだが、同時に得意分野においては特出した能力を持つ者も多い。勉強に関して言えば直江大和と甘粕真与の二人が常に学年でトップ10に入る学力の持ち主となっている。この二人と悟飯との関係は友好的でたまに勉強でわからないことがあったとしても相談相手に困ることはなかった。また、エリートクラスに在籍することには互いに競争心を持つなどのメリットもあるが、その点において悟飯はいい意味で毎ペースであるためあまり関係が無い。周りがさぼっていようが頑張っていようがそれに引きずられることが無く、必要と思えば努力できるタイプなのだ。そのため勉強のために無理にSクラス移る必要性を彼は感じていなかった。

 

「それにF組のみんなとも折角仲良くなれたのに分かれるの残念だと思うし……」

 

 からかいなどはあっても、陰湿ないじめなどとは遠いF組の空気は悟飯とよくあっており、クラスメートとは良好な関係を築けている。中でも特に親しい相手として、くまちゃんこと熊飼満とは食べるのが好きな者同士、よく話をしたり一緒にご飯を食べたりするし、源さんこと源忠勝はそのツンデレで面倒見のいい正確から転校生である悟飯に色々と世話を焼いてくれていたりしたことでそのまま友人となっていた。

 

「そっか」

 

 悟飯がちゃんと考え、そして望んでFクラスに残ったことがわかり、安堵する一子。しかしそこで悟飯が爆弾を投下した。

 

「それに一子さんと一緒に居たいしね」

 

「えっ!?」

 

 悟飯の言ったまるで愛の告白のような台詞に顔を真っ赤に染める一子。3ヶ月前に岳人から言われた言葉がフラッシュバックのように脳裏を過ぎる。

 

『てか、転校生の奴、もしかしてワン子に気があるんじゃねえか?』

 

「あわわわわわ」

 

 思い出してしまったことで顔をさらに赤くし、パニックに陥る一子。そんな彼女の顔を悟飯が覗き込む。

 

「何だか顔が赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「なっ、何でもないわ(そ、そうよ。アタシと悟飯君は友達だもの。きっとそれだけよ!!)」

 

 必死に自分にそういい聞かせる一子と自分の発言の意味を良く分かっておらず、首を傾げる悟飯。その後、一子は送っていこうとする悟飯を振り切って慌てて家に帰るのだった。

 

 しかしその日彼女は衝撃的だった筈の悟飯の言葉を忘れてしまうことになる。何故ならば、それ以上に衝撃的なことが起きたからだ。

 彼女の姉、川神百代を誘拐したと言う知らせが誘拐犯から届いたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモ先輩が攫われたってマジかよ!?」

 

「うん……」

 

 岳人の言葉で一子が涙目で頷く。誘拐の知らせがあった翌日、風間ファミリーのメンバーは彼等の寄り合い場所である廃ビル「秘密基地」で緊急集会を開き集まっていた。

 誘拐があった当初は悪戯の可能性が疑われ、静観の構えが取られた。百代を誘拐できる存在等、川神院の人間には考えづらかったと言うのもある。しかし、その日、百代は結局帰宅せず、連絡も取れなかったことでそれが事実だと判断するにいたり、一子は居ても立ってもいられず、仲間達にそのことを知らせたのである。

 

「それで、犯人から要求とかはあったのか?」

 

「グレートサイヤマンって人を連れて来いって。そうしたらお姉様は解放するって話だったわ」

 

 一子の問いかけに皆、首を傾げる。聞いたことがない名前だったからだ。

 

「何つーか、プロレスラーみたいな名前だけど、有名な奴なのか?」

 

「いや、俺は聞いたこと無いな」

 

「ネットでもヒットしないね」

 

 風間ファミリーの頭脳面担当の大和とモロが揃って首を振る。

 

「モモ先輩を誘拐して引き換えってことは川神院の人と繋がりがあるのかも」

 

 京が推測を述べる。確かに百代を誘拐して要求を通しやすいのはその身内と言う判断は妥当なところである。

 

「かもしれないな。けど、俺はもう一つ思いつくことがある。もしかしたら孫悟飯が鍵を握っているのかもしれない」

 

「あん、何であいつが?」

 

「まさか、あいつが誘拐に関わってるってこと!?」

 

 大和の言葉を曲解し、モロが敵意を放つ。その言葉が納得いかない一子が悟飯のフォローに入ろうとするが、それよりも早く大和が否定をした。

 

「そうじゃない。そもそもこの話はおかしな所があるんだ。多分、卑怯な手段か何かを使ったんだと思うけど、だとしても姉さんを誘拐するなんて只者じゃない。そんな奴が要求する以上、グレートサイヤマンってのもかなりの重要人物の筈なんだ。なのに、俺達が誰も知らず、ネットにも引っかからない。けれど、そいつがマヤリト大陸の人間だとしたら筋が通る」

 

 その言葉に皆がはっとする。大和の言葉は確かに筋が通っているように感じた。

 

「京の推測したように川神院の人達とグレートサイヤマンに何らかの関わり合いがあるとしたらその関わりを作ったのは同じマヤリト大陸の人間である悟飯の可能性がある。そうでなくても、マヤリト大陸の有名人だとしたら知っているかもしれない」

 

「だったら、まずは孫の奴から話を聞いて見ねえとな」

 

 リーダーの風間が話しをまとめる。それを受けて待っていたとばかりに携帯電話を取り出し、悟飯に電話する大和。数回コール音が鳴り響いた後、通信が繋がる。

 

『はい、もしもし』

 

「あっ、悟飯か。ちょっと聞きたいんだが、グレートサイヤマンって名前に心辺りは無いか?」

 

『えっ!? ど、どうしてその名を……』

 

 悟飯の反応、それを聞いて大和は問い詰めたくなる気持ちを抑え事情を説明する。

 

『そんな、百代さんが誘拐!?』

 

「ああ、それでそのグレートサイヤマンって人に会うことはできるか?」

 

 状況的には下手をすれば百代の身代わりに慣れと言っているのに近い話である。断ってくる可能性は十分に会った。しかし悟飯は快諾する。

 

『大丈夫です。それで彼をどこに向かわせればいいですか?』

 

「ああ、それじゃあ……」

 

 秘密基地に来て貰うのが一番手っ取り早いが、できればこの場所にはなるべく部外者を入れたくない。そう考えた大和は近くの公園に来て欲しいと告げる。電話を切ると仲間達に会話の内容を教え、皆で公園へと急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風間ファミリーのメンバーが公園に移動すると、そこには一人の男が立っていた。

 

「もしかしてあんたが……」

 

「そうだ。私が、悪は絶対許さない。正義の味方!!グレートサイヤマンだ!!」

 

 百代の時と同じ名乗りとポーズをする悟飯。それに対し、風間ファミリーの反応はと言うと各自、次のようだった。

 

(こいつ悟飯だよな。声同じだし)

 

(かっこいい!!)

 

(しょーもな)

 

(うおー、こいつおもしれー!!)

 

(何かダセエかっこしてるなこいつ)

 

(えーと顔隠してるけど、多分、孫悟飯だよね?)

 

 こんな感じで半分位に正体も見破られていた。

 

「悟飯君から話は聞いている。直ぐに私が助けに行こう!!」

 

「助けにって、姉さんがどこにいるのかわかるのか?」

 

 尋ねる大和に悟飯は自身満々で応える。

 

「心配いらない。彼女の気を感じ取ることができた」

 

 悟飯達が気を感じることができる範囲は惑星単位。平常時の亀仙人程度に気を抑えていても、1万キロ先から探知することができる。国内に居る百代の気を感じ取ることなど訳も無いことだったのである。

 

「すげぇ、そんなことできんのか!!」

 

 それを聞いて声を出して驚いたのは風間だが、他のメンバーも驚き、大和は悟飯の実力を改めて確信する。

 

(やっぱり悟飯の奴はルー師範代とかに匹敵するような力の持ち主で間違いない!!)

 

 彼は知らないマスタークラスと呼ばれる実力者達ですら気を探知できる範囲は精々数十キロであることを。

 

「それじゃあ、早速……」

 

「待って!!」

 

 百代救出に向かおうとする悟飯。しかしそこで一子が叫んだ。

 そして悟飯を真っ直ぐに見つめると決意を秘めた表情で彼女は言った。

 

「お願い、アタシも連れてって!! お姉様を助けたいの!!」




みんな大好き戦闘力をちょっとだけ公開(ただし、あまり詳細に公開してしまうとつじつま合わせが大変になってしまうため、戦闘力50万を超えるとスカウターがボンします)

悟飯:計測不能
百代:1390→1850(悟飯戦覚醒後)→2400(現在)
一子:75
鉄心:1050(瞬間2800)
ルー:399
クリリン:計測不能
ヤムチャ:49万
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