悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

24 / 46
二次予選と対策会議

 大会1次予選を突破した人数は計800名。2次予選ではそこから一気に16名に絞られる。その内容は16グループに分かれての50人バトルロイヤル。つまり、各グループで勝ち抜いた1名のみが最終予選にすすめると言う過酷なものであった。

 そしてその中の1つのグループにて、一子は中国における武術の総本山、梁山泊に所属する武術家と現在戦っていた。彼女の名は史進、赤みがかった茶髪の棒使いである。

 

「ちっ、話が違うじゃないさ。武神の義理の妹は300点位って位の雑魚って話だったのに、3000、いや4000点クラスかよ!!」

 

「やあああああ!!!」

 

 長物を持った者同士の戦い、形勢は一子がかなり押した状態になっていた。技量はほぼ同等だが身体能力で大きく上回っており、更に気合も上回っている。その勢いのまま押し切ろうとする。しかしそこで史進に助太刀が入る。

 

「苦戦してるみたいだね」

 

 その人物の正体は史進の同門である楊志であった。仲間同士同じグループに分けられた場合、どちらかの敗退が確定する反面、協力しあうことができるというメリットが発生する。その有利さを活かしてきた彼女達に対し、同じグループに知り合いの存在しなかった一子は、2対1と言う不利を強いられることになってしまう。

 

「ぐっ」

 

 史進と楊志、壁越えにこそ至っていないものの、どちらもそれにかなり近い実力者である。悟飯との修行で急成長したとは言え、流石にそのレベルの武術家相手に数のハンデを跳ね返し、正攻法で打ち勝てる程の実力は未だ持っていなかった。

 

「粘るね」

 

「けど、それも時間の問題。わっちと楊志の二人に勝てる訳ないさ」

 

 同門同士息のあった連携を繰り出してくる二人。それに対し、一子は防戦に徹することで何とか相手の攻撃を凌ぐものの、このままでは敗北は時間の問題であった

 

(顎じゃ一度に多数の相手は倒せない……。こうなったら、もうあれを使うしかないわ!!)

 

 しかし一子にはまだ逆転の手段がただ一つだけ残されていた。最終予選に向けて温存していた切り札であったが、ここで負けてしまえば意味が無い。そう思い彼女が技を使う決意をしたその時だった。

 

「ひゃっはー、漁夫の利だぜ!!」

 

「んな!?」

 

 乱入者が現れたのだ。その人数は二人、紫色の長い髪をした女と赤い髪のツインテールをした少女。彼女達は史進達と楊志に対し、一人一撃、持っていた武器で強烈な一撃を見舞う。

 バトルロイヤルではこれは当然考えられる展開。勿論、これまでは梁山泊の二人もそれは頭にあり、これまでは注意していたのだが、一子の予想外の強さとその粘りに対し、彼女に意識集中し過ぎ、何時の間にか警戒レベルが落ちてしまったのである。

 資質はあれど若さ故に残る未熟さからくる失態、そしてその隙を乱入者の二人は見逃さなかったのだ。

 

「わるいね。あんた等が残った方が厄介そうだったもんでね」

 

 奇襲に対処できず、まともに攻撃を受ける史進と楊志。武術家と言えど人間、無防備な所に受けた渾身の一撃には耐えられなかったようで、両者共にこれで昏倒し脱落となる。

 これにより残るのは一子を含めて3名だけとなった。

 すなわち、一子と乱入者の二人が戦い勝った方が最終予選へと進むと言う状況である。

 

「それじゃあ、後はあんただけだよ!!」

 

「師匠の話だと才能無しってことだったけど、大分話が違うみたいじゃんか。まっ、勝つのはウチ等だけどな」

 

 得物を狙うように一子を見る二人。

 乱入者達の正体は川神院元師範代である釈迦堂刑部の弟子である板垣亜巳と板垣天使。仮に二人が何もせず、一子が敗れていた場合、史進&楊志VS亜巳&天使と言う2対2の対決という状況になっていた。その場合、個々の力で勝り、コンビネーションでも劣らない梁山泊コンビの方が有利となることは明らかだった。それに対し、この力としては梁山泊の二人に勝れど仲間の居ない一子を残し、二人で掛かった方が有利と判断したのである。

 二人は狙い通りに最後の障害となった一子に対し詰め寄る。亜美は棒を構え、天使は片手にゴルフクラブを武器として握り締める。

 

「ひゃっはー、ぶっ潰してやるぜ!!」

 

 ゴルフクラブの一撃を一子に向かって全力で振り下ろす天使とその背後で一子が防御や回避を取った所を狙うつもりで構える亜巳。

 そしてゴルフクラブは一子の身体を切り裂いた。

 

「!?」

 

 その光景に自分達の目を疑う二人。その次の瞬間、彼女達は背後より聞こえた声に振り向こうとする。

 

「残像拳よ!!」

 

 無論、一子は彼女達が振り向くのを待たない。声に遅れて薙刀が飛んでくる。

 

「川神流、大車輪!!」

 

 全力で振るわれたその一撃は一振りで二人まとめて場外にまで跳ね飛ばす。この瞬間、一子の最終予選進出が決まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ワン子&まゆっち、最終予選進出おめでとう!!」

 

「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」

 

 二次予選の6日後、その日の金曜集会では秘密基地に風間ファミリーの全員が集合し、一子と由紀江の祝勝会、並びに敗退してしまった4人の残念会が開かれていた。

 

「いやあー、照れるわ」

 

「わ、私なんかのために、こ、こんな催しを、本当にありがとうございます!!」

 

「うう、えがったなあ、まゆっち。誕生日もクリスマスも一人やったもんなあ。自分のためにプレゼントを買って、一人パーティなんてもうしなくていいんやで。オラ、感動で涙がちょちょぎれちまうぜ」

 

 恥ずかしそうに後頭部に手をやる一子とてんぱった様子で大きく頭を下げる由紀江。どちらもその表情は真っ赤で、勿論嬉しそうである。

 ちなみに松風の語った由紀江の悲しすぎて引いてしまう過去のエピソードは空気を読んでスルーされた。

 

「京とクリスは残念だったね」

 

「大会に向けて二人とも結構頑張って修行してたのにな」

 

 一子達を祝う一方で二次予選で敗退してしまった仲間に慰めの言葉をかけるモロと大和。

 

「うん、だから慰めるために結婚して大和」

 

「お友達で。まあ、相手がわるかったよな」

 

「ああ、敵が強かったと言い訳するのも情けないが、流石は川神院師範代。恐るべき強さだった」

 

 二次予選で二人と同じグループに入り、最終予選に進んだ相手。それは川神院師範代。ルー・イーだった。この手の大会は若手に活躍の場を譲り、参加しなかったり裏方にまわるような選択を選ぶことの多い彼であったが、マヤリト大陸の武術家と戦える機会と言うことには武術家の血が騒いだらしく参加者の一人となっていた。勿論、京達の居たグループを勝ち抜いたのは彼である。

 

「ちくしょー。まさか、一次予選すら突破できないなんてな。まっ、しょうがねえ。こうなったらワン子とまゆっちを全力で応援するぜ!!」

 

「ああ、俺達の夏の予定は二人にかかってるしな」

 

 一次予選で敗退してしまった岳人。今回、風間ファミリーはある共通の目的を持って大会に参加していた。そのため、敗退した彼らは残った二人を何時も以上の気持ちで応援する。

 

「そうだな。皆でマヤリト大陸に行こうじゃないか」

 

 交流武術祭、その本戦はマヤリト大陸で行われる。当然、出場者はマヤリト大陸に行くことができるのだが、何と本人だけでなく、参加選手一人につき5名まで応援団として、旅費、滞在費を九鬼が全額支給してくれるという特典が付けられているのだ。これはシード選手である百代にも適用される。つまり彼女以外に誰か一人以上が本戦に進めれば風間ファミリーの全員が無料でマヤリト大陸に行くことができるようになるのである。

 

「ああ、そのために俺達で二人をバックアップする。まずはこれを見てくれ」

 

 目的を達成する為に策を練ってきた大和が机の上に紙を広げる。そこには16名の名前が書かれており、名前の下には簡単なプロフィールと一次予選でのベンチプレスと100メートル走の記録が書かれていた。

 一体何の一覧かと思う者達に対し、その正体が告げられる。

 

「これは最終予選進出者の一覧だ」

 

「おいおい、本当か!? 一体どうやって手に入れたんだ?」

 

「出場選手の名前はまだしも、ベンチプレスなどの記録まで……。大和、まさか、何か悪いことをして手に入れたのではないな?」

 

 大和の答えと書かれた内容に驚くメンバー達。彼等に対し、情報入手の種明かしをする。

 

「確かに公開はされていないが、隠されている訳でも無い。一次予選の時は他の選手の記録も普通に聞こえる状態だったんだろ? 参加者やその知り合いから俺のネットワークを使って情報を集めたんだ」

 

 大和には友人が多い。その友人は本当に大切な友と便利な知り合いに区切られているが、その便利な友人はかなり、広いネットワークを形勢している。そのネットワークを使えばこの程度の情報を集めるのはそれ程難しいことではなかったな。

 

「こういうところは流石だな弟。それじゃあ折角だ。どんな選手が居るのかよく見せてもらうか」

 

 情報の出所が分かった所で資料に視線を戻すメンバー達。目を通しながら気になる選手について触れていく。

 

「義経、弁慶、流石は偉人のクローン。最終予選に残っているし、記録も流石だね」

 

「与一は落ちた残ってないみたい。まあ、弓兵にとっては二次予選の内容は少し不利なルールだったしね」

 

「あれ、清楚先輩も残ってるじゃねえか」

 

「ほんとだ。びっくりね。もしかしたらあの人も誰か武人のクローンなのかしら」

 

 義経はベンチプレス350キロに100メートル3秒5とどちらもかなりの好成績で流石は偉人のクローンというところだったし、弁慶は100メートルこと8秒台程度だがベンチプレスは450キロと義経を上回っている。元々わかっていたことではあるが、どちらもかなりの強敵に間違いなさそうである。

 そして清楚については記録事態は最終予選に進んだメンバーの中では平凡な記録で実力未知の存在となっていた。

 

「ウチの高校からは他にルー先生と2Sの榊原が進んだみたいだな。ルー先生はさすがに凄いが榊原の方はワン子よりちょい下ってところか」

 

「そういえばあの怪しい格好をした男は残っていないのか?」

 

「ああ、あいつすげえ速さだったな。この俺が全然追いつけなかったぜ。どうなんだ大和?」

 

 クリスと風間の疑問に大和が一人の名前を指差す。

 

「ああ、こいつだ」

 

「ウルトラナメックマン……また、怪しい」

 

「やっぱり、正体はあいつなのかな?」

 

 グレートサイヤマンの正体に気づいている何人かが悟飯を思い浮かべる。しかしこの場で考えても答えがでる訳ではないので一旦脇におかれる。

 そしてその次の名前を見たところで、百代は驚愕の声をあげた。

 

「ベンチプレスの1トン越えが二人居るな。鍋島学長と……ヒュームさん!?」

 

 彼女が驚いた理由、それは彼が彼女同様シード扱いで予選免除の筈だったからだ。その疑問に対し、大和が答えた。

 

「ああ、それについては何でも直前になって本人が予選からの参加を表明したみたいだ。そのおかげで本戦にすすめる人数も5人になるらしい」

 

「えー、そんなのありかー。それだったら私も予選からでたかったぞー」

 

 不満の声をあげる百代。この大会の参加者は皆、滅多に戦えないレベルの強者。バトルマニアの彼女からすれば羨ましくてしょうがなかった。

 

「まあ落ち着いてくれ姉さん。今更どうしようも無いだろう。後、気になるのは板垣辰子て人かな。ベンチプレスでは弁慶を上回った記録を出している。100メートルは遅いけど、情報提供者の話ではそもそもがあまり真剣な感じで走ってなかったらしい。それにこの人の苗字はワン子が予選で最後の破った二人と同じ。親戚の可能性が高いと思う」

 

「あっ、あの二人、確かにかなりの使い手だったわ。だったら油断できないかも」

 

 天使達のことを思いだし、気を引き締める一子。

 そしてメンバーの名前を全て確認した所で大和がある選手について指し示した。

 

「おっと、忘れるとことろだった。最後に要注意な選手がいる。この二人、多分マヤリト大陸の人間だ」

 

 その言葉に皆が注目する。

 

「悟飯の奴と同郷か。なんでわかるんだ」

 

「悟飯の奴は俺達と同じ見た目だけど、この二人は外見からして明らかに違うんだ。多分、獣人って奴なんだと思う」

 

 そう言って写真を取り出し、机に置く。それを覗き込むメンバー達。

 

「うげっ、まるで化け物じゃねえか」

 

「失礼だぞ岳人。確かに自分達からすれば異質な姿をしているかもしれないが、彼等は立派な人間なのだろう」

 

「まあ、迂闊なこと言うと人権団体とかうるさそうだよね」

 

 その写真を見てそれぞれが感想を述べる。その写真に写っている選手の名前、それはガーリックJrとジンジャーと言った。




次回より最終予選開始です。それが終わった後は学園生活を何話か書いて(タイトルに反して、あまり書いてなかったので)その後、本戦に移る予定です。
まだまだ先は長いですね。

PS.1次予選の記録ですが、一応全選手分考えてたりします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。