途中浮気した別作品も完結し、これからはこまめに続きを書いていきたいとは思っているのですが、会社の転勤とかあって、忙しくなるかもしれないので約束が出来ない状態です。
できる限り頑張ります。
「あれ、部屋にこんなものあったっけ?」
ヒュームと別れた悟飯、彼が自分の控え室に戻るとそこに備え付けられた机の上に覚えの無いペットボトルが置かれていた。
「あっ、なんか紙が。えーと……」
そのペットボトルには紙が貼り付けられていた。その紙を取ってみるとそこには文字が書いてある。
そこに書かれた内容に目を通す悟飯。
『参加者への差し入れです。ご自由にお飲みください』
「へえ、気が聞いてるなあ。ちょうど喉が渇いてるし、早速飲もうかな」
試合の後と言うこともあり、多少体が火照っていた悟飯はありがたいと早速それを飲もうとキャップを緩めた。
そしてそこで彼は軽い違和感を感じる。
「あれ? 何か変な感じが……。まっ、いっか」
その違和感の正体、それは封が最初から切ってある状態になっていということだったのだが、答えに気づかなかった悟飯は、喉の渇きを癒すため、中身を勢いよく煽ってしまう。
そして3分1程を一気に飲み込んだ彼は、そこで顔をしかめた。
「うっ、何か変な味。あれ……ふあぁぁぁぁ、何だか急に眠く……」
悟飯の舌が感じたのはスポーツ飲料に何かを混ぜたような奇妙な味。
そして彼はそこで強烈な睡魔に襲われる。その睡魔はあまりに強烈で、頭を振った程度では抵抗しきれるものではなかった。体が崩れ、床に横たわって眠り込んでしまう。
そして彼が眠ったのを確認し、控え室に忍び込む者達が居た。
「どうやら、私達のしかけた睡眠薬は効いたようね」
「くくっ、超強力睡眠薬だからな」
それはガーリックJrの配下ニッキーとサンショだった。飲料は彼等の仕掛けた罠だったのである。
「くくっ、こいつにこのアクアミストを飲ませれば」
「神に奪われなかったった一滴だけのアクアミスト。これでは新たな魔族を一体しかつくりだせないけど、こいつを魔族にし、魔凶星でパワーアップさせれば敵はいないわ」
彼等の目的、それは悟飯を魔族と化し自分達の戦力として引き込むことであった。悟飯はべジータと並び地球で最強の存在である。平行世界ではペンギン村に存在するロボット少女がスーパーサイヤ人ゴットにも匹敵する力を持っていたりするが、生憎とこの世界の彼女はそこまでの力を持ってはいない。つまり悟飯が魔族化し、更に強化されれば彼を止められるものは誰も居ないということである。
「よし、飲ませるぞ」
「ええ、わかったわ」
サンショが悟飯は抱き起こし、その口元にアクアミストの入った水差しを近づけるニッキー。液体が悟飯の口に流れこもうとする。
「!!」
「!?」
しかしそうなる前に水差しが宙に舞った。無論、ニッキーやサンショがそれをやった訳では無い。水差しを蹴り飛ばした第3者が現れたのだ。
「うおっとっと」
慌てて水差しをキャッチするサンショ。アクアミストが無事なことを確認し、ほっとすると蹴り飛ばした者の方を向き、睨みつけて叫んだ。
「何しやがる!!」
「それはこちらの台詞だな。この俺の恩師の息子に何をしようとしている」
荒々しい怒声に対し、静かな怒りの声を返した男の正体。それはヒュームだった。
「こ、こいつは!!」
その姿を見て焦る二人。悟飯との戦いからヒュームの強さが自分達では到底適わないレベルであることが彼等にもわかっていたからだ。
「貴様等が何者かはとりあえず貴様等には束縛されてもらおう。九鬼の従者としても大会参加者に危害を加えたお前達を放置するつもりは無い」
「くっ」
戦闘態勢に入ったヒュームを前に破れかぶれとばかりに飛びかかろうとする二人。しかしその時、2人の体が突然ビクンと揺れた。
「こ、これは」
「ふふ、まさかこのタイミングとはね」
何やら驚いた顔をし、そして歓喜の表情へと変わる。急な態度に、ヒュームは訝しげな顔を浮かべるが、直ぐにあることに気づき緊張を高めた。
「貴様等何をした?」
「くくっ、俺達は何もしてないぜ」
「ええ、ただ。効果が現れるとことまで近づいたのよ。まだ完全ではないけれどこれならばあなたにも勝てるわ」
ニッキー達の気は先程までの10倍以上に高まっていた。魔凶星、魔族に力を与える邪悪な星が地球へと接近を始めたのだ。
その圧倒的なパワーアップから来る高揚感に酔う二人。
それに対し、ヒュームはパワーアップの理由こそ理解できなかったものの、直ぐに落ち着きを取り戻し、嘲るような笑みを浮かべ余裕の態度を示した。
「ふん、その程度でこの俺に勝つだと」
「はっ、今のお前は試合で消耗してる筈だ。それに対し、こっちはパワーアップし、二人。お前に勝ち目は……」
吼えるサンショ。しかし彼は最後まで口を開くことはできなかった。ヒュームの蹴りによって強制的に黙らされたのである。
10倍にパワーアップしたとは言え、元々サンショの力は戦闘力に対し、200程度、パワーアップしても2000を超える程度である。それに対し、ヒュームは19000、試合の消耗で3分の1以下に力が落ちているが、未だ圧倒的な力の差が残っていたのだ。
「ぐっ、ぐえっ」
「さてと、次は……」
一撃でグロッキー状態になったサンショを横目に残ったニッキーの方を倒そうとするヒューム。しかしそこで彼は飛び退いた。それとほぼ同じタイミングで部屋の中にエネルギー弾が叩き込まれる。
そして起こる大爆発。
「ぐっ」
突然の奇襲、更なる乱入者の攻撃によって、悟飯の控え室はぐちゃぐちゃになっていた。しかしとっさに回避したヒュームに大したダメージは無い。その代わり爆発が落ち着いた時にはニッキー達の姿は無く、彼等を逃がしてしまっていた。
「くっ、俺としたことが。まあ、こいつを守れたことが救いか」
歯噛みするヒューム。しかし悟飯を連れて行くことまでは出来なかったらしく、部屋には眠ったままの彼の姿があった。
「まったく、この俺を超える力を持っていながらこのていたらくとはな。父親と同じで妙に抜けた所の多い奴だ。……この性格は直せそうにないな。せめて薬や病気に対する抵抗力をあげる技でも教えてやるとするか」
悟空に受けた指導の借りを返す形として悟飯への指導を考えるヒューム。しかし今はそれよりも優先しなければならないことがある。
「とりあえず、こいつの安全を確保し、揚羽様達に奴等のことを伝えなくてはな」
そうして悟飯を抱え部屋から運びだしていくのであった。
悟飯達が襲撃を受けている頃、舞台の方では大会が進行していた。
2回戦第2試合、ルー・イーVS川神一子。師弟対決とも言えるこの試合は試合開始から5分、ここまでの展開はルーが一方的に優勢で一子が何とか食い下がると言う形になっていた。
「短期間で随分ト強クなったネ。驚いたヨ」
「はあっ、はあっ、あっ、ありがとうございます!!」
ルーの賞賛。実際彼女は大健闘をしていた。ルーはほぼ全ての点に置いて一子を上回り、その技や癖までも把握している。その相手に対し、5分粘るだけでも見事なものである。しかしそれも限界。体力の消耗とダメージから立っているのも最早限界に近い状態にまで追い込まれている。
(折角、悟飯君から仙豆をもらったのに)
相手が格上とは言えこのまま負けるのはあまりにも悔しい。何とか打開策は無いか必死に頭を回転させる一子。
(川神流の技は駄目。ルー師範代に知られちゃってる。そうなると悟飯君やクリリンさんから教わった技しかない。でも……)
舞空術、太陽拳、残像拳、ここまでの試合で全て使ってきてしまった。愛弟子の試合だ。当然、ルーにはチェックされていると思った方がいい。
(うー、何か、何かないかしら)
しかし幾ら考えてもこれ以上教わった技はなかった。
そして他に策を思いつく前に決着をつけようとルーが攻撃を仕掛けてくる。
「た、太陽拳!!」
慌てて技を使う一子。しかしそれを予想していたルーは彼女が技を使う直前に目を閉じる。
そしてそのまま気を感じ取ることで一子の位置を掴み、彼女に目掛けて突進した。
「川神流 無双正拳突キィィ!!」
必殺の拳が突き刺さる。倒れる一子。
「ワン、ツー……」
カウントが入る。必死に立ち上がろうとする一子。しかし彼女の根性でも今度ばかりはどうにもならなかった。
「テン!!」
勝敗が決する。こうして、彼女の快進撃もここで一度途絶えることとなったのである。