悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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今回はオリキャラが出てきます。ほぼ1話限りのキャラです。


悟飯、決闘をする

「よう、超人!」

 

「ちょっと、その、呼び方勘弁してくださいよー」

 

 校内で他クラスの生徒に声をかけられ肩を叩かれ、友人のからかいに対するように苦笑して応対する悟飯。編入試験で満点を取った上、体力測定で規格外の成績を残したことですっかり有名人になってしまった彼であったが幸いなことに彼に向けられる視線はそれ程悪いものではなかった。この学校には既に川神百代と言う特別な存在が居る。その為、悟飯の存在は規格外ではあっても異常な存在として拒絶されることはなかったのだ。これはまさにブルマの狙い通りで、今の悟飯の立場はよく言えばアイドルやスター、悪く言えば流行のマスコット扱いと言った感じであった。

 

「ちっ」

 

 ただ、当然ながらもそれを面白く思わない者も居る。その代表格は1-Sのクラスメンバー達だった。悟飯はその文武両道さを称え1年で最も優秀な生徒であるかのように評価されている。それはエリートクラスである彼等からすれば容易に認められることではなかった。

 

「孫悟飯、お前に決闘を申し込む!! 武器ありの格闘での1対1だ」

 

「えっ?」

 

 そしてその鬱屈した感情を爆発させた者が居た。

 彼の名前は黒井明。川神学園、学年3位の成績を持つ1-Sの生徒だった。彼は学業だけでなく武術も長けており、毎回トップの葵冬馬は運動は特に優れておらず、毎回2位の九鬼英雄は文武ともに優れていたが腕に故障を抱えていることを知っていたため、自分が学年で最も優秀な生徒だと自負していた。そんな彼にとって、悟飯は正に目の上のたんこぶ、目障りな存在だったのである。

 そこで彼はどちらが上かを証明するために校舎裏に悟飯を呼び出し決闘を申し込んだのである。

 

「大層な運動能力を持っているらしいが、それだけでは真の武術家には勝てないことを教えてあげよう」

 

「あの、決闘制度は知っていますが、僕は喧嘩とかは」

 

 敵意を剝き出しにして挑んでくる黒井に対し、悟飯は何とかそれを回避しようとする。

 しかしそこで黒井は悟飯にとって非常にまずい事実を突きつけてきた。

 

「ふん、とぼけるな。知っているのだぞ。俺はお前が親不孝通りで起こした騒動を」

 

「いぃぃぃぃぃ!!」

 

 驚愕する悟飯。話は数日前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、何か変な所に来ちゃったな」

 

 街を歩いていて道を間違えた悟飯は何やら荒れた場所に迷い込んでしまっていた。そこは通称、親不孝通り、不良の密集区であり、その奥には更にアングラな世界の住人が集まる場所であり、それを知る一般人は近寄ることの無い所であった。

 

「引き返すか」

 

 今、来た道を戻ろうとする。しかし、そこで彼の耳に悲鳴が聞こえた。

 

「きゃあ!!!」

 

「や、やめてくれ!」

 

 女と男、両方の悲鳴。それを聞いた語飯は直ぐ様、その悲鳴のもとへと駆けつける。そしてそこにあった光景は川神学園の制服を着たカップルと思われる男女とそれを取り囲む複数のガラの悪い男達であった。

 その取り囲む男達の中で一際大きな存在感を持つ男が舌なめずりをして、口を開く。

 

「へへっ、こいつはそそられるな。おい、おめえら男の方は俺が食う。女の方は好きにしな」

 

「ありがとうございます竜兵さん!!」

 

 そうして男達はカップルの二人を引き離そうとする。しかし、そこで彼等を止めるため悟飯が飛び込んで行った。

 

「止めろ!!」

 

「なんだ。てめえ」

 

 突如乱入者にお楽しみを邪魔された男達は不快感を露にする。しかし一人だけ喜んでいるものが居た。竜兵と呼ばれた集団のリーダーである。

 

「おっ、こいつは。おい、お前等は手をだすな。へへっ、邪魔をされたかと思いきやもっといい男が飛び込んでくるとはな」

 

 竜平は女には一切の興味が無い同性愛者であった。その好みに悟飯が合致したらしい。しかしそんなことは悟飯には関係なかった。

 

「早くその人達を放せ!」

 

「んっ? 男の方にはもう用がねえから金だけ取って解放してやってもいいが、部下にも一応餌をやんねえとな」

 

「……」

 

 返って来た竜兵の言葉にこれ以上の説得は無意味だと判断し、悟飯は戦闘態勢を取る。

 そして彼に向かい欲望を向き出しにした竜兵が襲い掛かった。

 

「もう、我慢でき……」

 

 だが襲うどころか竜兵は最後まで言葉を紡ぐことすら出来なかった。その場に居た者達が何が起こったのかわからない程、一瞬の間に移動した悟飯の拳が彼の腹に突き刺さっていたからである。そしてその一撃で完全に昏倒し、その場に崩れ落ちた。

 

「なっ!?」

 

「この野郎!!」

 

 自分達のリーダーがあっさりとやられたことに対し手下達は驚きと焦りから刃物を抜き、悟飯に飛び掛ってくる。恐慌もあり、その中の一人が本気で刺すつもりナイフを突き出す。

 

「んな!?」

 

 しかしその刃が届くことはなかった。悟飯が指2本で挟んで止めて見せたのだ。そればかりか指を軽く捻りへし折って見せる。

 

「ば、化けもの」

 

 ナイフを折られた男は戦意も折られ逃げ出そうとし、身体を反転させる。しかしそこで彼は硬直した。そこにはさっきまで立っていた筈の彼の仲間が全員倒れ伏しており、彼が振り返るまで反対方向に居た筈の悟飯の姿があったからである。

 

「今更逃がさないぞ。君達には少し反省してもらう」

 

 そして男に対し一撃をお見舞いし、昏倒させる。

 悪人を全て退治し終えた悟飯は助けたカップルの方を向いて安心させるように話かけた。

 

「もう大丈夫ですよ」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

 二人は土下座せんばかりの勢いで悟飯に感謝の言葉を述べる。特に女の子の方は助かった安堵からか目に涙を浮かべていた。

 

「たまたま通りがかっただけですから」

 

「いえ、本当にありがとうございます。それにしても凄いですね、もしかしたら3年の川神先輩並に強いんじゃあ」

 

 謙遜する悟飯に対し賞賛の言葉を送る男。その言葉に悟飯は顔色を変えて困った顔をする。

 

「あの、あまり大げさに語らないでもらえますか。僕、あまり目立つの好きじゃなくて。できれば僕のことはなるべく吹聴しないで置いてください」

 

「あっ、はい、わかりました」

 

 恩人の意向に対し素直に頷いてくれる二人。それを聞いて悟飯はほっと息をついた。

 

「それじゃあ、こいつ等は警察を読んで片付けてもらいます。これからは気をつけてくださいね」

 

 その後、匿名で警察を呼び、カップル達と共にその場を立ち去ったのであった。

 

 

 

 

 

「どっ、どうして、知ってるんですか!?」

 

 口止めをしていたにも関わらずばれていることに焦る悟飯。その反応を見て黒井は嫌らしい笑みを浮かべる。

 

「その反応を見る限りどうやら間違いないようだね。君が倒した不良、板垣竜兵は不良共のトップを気取っている奴なんだ。そいつが探している男の特徴が君に一致していたのでそうではないかと思って鎌をかけたのだよ」

 

「そ、そんな、ずるい」

 

 引っ掛けられたことを知り落ち込む悟飯。しかし今更後悔しても仕方が無い。何とかこれ以上秘密が広がらないようにするために男に話を持ちかけた。

 

「あ、あの、そのことは秘密に」

 

「秘密にしたいのならば決闘を受けるがいい。僕に勝てば黙っていることを誓おう」

 

 それに対し、男は条件を突きつけてきた。力で無理やり従わせることなど最初から頭に無い悟飯には他に選択の余地は無く、仕方無く決闘を受けることを承諾する。

 

「わ、わかりました」

 

「よし、では勝負は明日、場所は校庭の真ん中だ」

 

「へっ? 今からやるんじゃ……」

 

「人前じゃなければ僕の優秀さを証明できないからな。それに、決闘は教師立会いの下でやると決まっているだろう」

 

「あっ、そうですね。わかりました」

 

 男の言い分に納得し、頷く悟飯。それを見て黒井は満足し立ち去って行った。しかし彼が居なくなった後でふと気づく。

 

「あれ、皆の前で戦うんじゃあ、親不孝通りのこと秘密にしてもらっても意味が無いんじゃあ……」

 

 

 

 

 

 

 

「凄い数の観客だな」

 

「ははっ、そうですね」

 

 翌日、悟飯と黒井の決闘は学園の生徒の大半が注目するところとなり校庭の中心を取り囲むように観客達が並んでいた。そしてその中には特に特にこの試合に注目している者が居た。百代である。

 

(この試合で悟飯あいつの実力がわかるかもしれない。黒井は1年の中ではなかなかの使い手、ワン子よりも上のレベルだ。もしそれをあっさりとくだすようであれば……)

 

「源さん、セコンドについていただいてありがとうございます」

 

「別にお前のためじゃね。ちょっと暇だったからな。暇つぶしになるかと思っただけだ」

 

 悟飯の隣に立つのは決闘が始めての悟飯のためにアドバイス役を買ってでてくれたクラスメートの源忠勝。

 そして正面には対戦相手の黒井明の姿があり、間には審判として教師であるルーが立っていた。

 

「準備はいいカネ?」

 

「はい」

 

「構いませんよ」

 

 ルーの問いかけに悟飯、黒井共に肯定の返事を返すと共に動き互いに向き合う。黒井の手には槍、悟飯は素手。お互いの最も得意な戦闘スタイルで何時でも戦える準備が整っていた。

 

「でハ始めるヨ。東方、黒井明」

 

「はい」

 

「西方、孫悟飯」

 

「はい!」

 

「はじめえええええ!!!」

 

 試合開始と同時に黒井が攻撃をしかける。先手は突き。悟飯はそれを大げさな声を上げながらかわす。

 

「うわっ」

 

「今の一撃をかわすとはやるじゃないか。ならばこれはどうだ」

 

 ついで放たれたのは突きと薙を上手く組み合わせた連続攻撃。それに対し、悟飯は回避に専念する。

 

「何だよ、転校生の奴、防戦一方か?」

 

「まあ、素手対武器だしね。しょうがないんじゃない?」

 

「ぎりぎりかわせてるけど、このままじゃ、時間の問題かな?」

 

 試合を見ていた岳人とモロ、大和が感想を述べる。戦いを見ていた観客の大半も同じような評価であったが。しかし武術のレベルが一定を超えた実力者達の感想は異なる。

 

「いや、違う。悟飯の奴、全ての攻撃を完全に見切ってる」

 

「うん、やけに大きく回避してる時があるのが気になるけど。基本的に紙一重で回避してるね。正直、凄い」

 

 そうして1分程逃げ続ける悟飯。彼は逃げながらタイミングを測っていた。

 

(そろそろかな?)

 

 実はこれまで逃げ回っていたのは彼が一晩かけて考えた目立ち過ぎないで勝つための筋書きだったのである。逃げ回った後、一撃で決め、それをラッキーパンチ扱いにすることで辛勝扱いにすると言う狙いだった。

 

「奥義・蓮華!!」

 

 奥義と名乗り放たれたのは突き、かと思いきや悟飯が回避の動きを見せた所で槍全体を大きく回転させ、柄の方が彼の頭部めがけて迫る。本来取っ手である柄を武器とするフェイントの効果を狙った変則技。完全に虚をついた見事な一撃だった。しかしそれさえも悟飯は回避してみせる。

 

(!!……やはり悟飯は)

 

(今のは、ちょっと驚いたな。って、しまった今のに当たればよかった!!)

 

 その動きを見て確信を深める百代と自らの作戦からすれば失敗したと慌てる悟飯。

 

「この!!」

 

 自らの必殺技がかわされた苛立ちを込めて放たれる追撃の薙ぎ払い。その一撃が悟飯を捕らえその身体を跳ね飛ばす。

 

「遂に逃げ切れなくなったのか!?」

 

 初めての攻撃の命中に観客が騒ぐ。

 そして、審判のルーが続けられるかどうかを確認するため、悟飯に駆け寄った。

 

「どうだね。まだやるカネ?」

 

「はっ、はい、やれます」

 

(よし、これで後は)

 

 苦しそうな表情をしながらも立ち上がった悟飯に演技であることに気づかない観客達の歓声が沸く。一方、黒井は余裕の表情を取り戻していた。

 

「レプリカと言え武器で打たれた以上ダメージは大きい筈だ。直ぐに楽にしてやるよ」

 

「それデハ勝負再開!!」

 

 再開の合図と共に勝利を確信した黒井がとどめの突きを放つ。それに対し、悟飯は放たれた槍を蹴り上げた。その圧力を受けてへし折れる槍。

 

「んな!?」

 

(やばい、やりすぎた!!)

 

 折れた槍を見て焦る悟飯。実は彼の狙いとしては弾き飛ばすだけのつもりでかなり手加減した蹴りだったのだが、先程彼を跳ね飛ばした時点でその身体があまりに頑丈であったため槍の方に亀裂が入っていたのだ。まあ、原因は何にしても今更どうにもならない。頭を切り替えた悟飯は呆然とする男に対し、一気に接近する。

 

「やあ!!!」

 

 そして手加減した拳を一瞬の内に6撃叩き込む。その衝撃により黒井はダウンし、その場に倒れる。

 

「勝負有り。勝者、孫悟飯!!」

 

 立ち上がる様子の無い黒井に審判のルーが悟飯の勝利を宣言する。素人目にはピンチからの逆転劇に見えるその結末が観衆は大歓声を上げた。

 

「いやー、ラッキーでした。まさか、槍が壊れるなんて。きっと整備不良だったんですね」

 

 笑いながらコメントして誤魔化す悟飯。蹴りで槍が折れるなんて普通はありえないので、生徒の半数以上はそれを信じたようだった。しかしそれで騙されてくれない者も居た。

 

(孫悟飯、あいつは本物だ!!)

 

 武神、川神百代、悟飯が完全に彼女のターゲットに入った瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

「悟飯、私と戦ってくれ」

 

 早速とばかりに、その日の放課後、百代は悟飯を呼び出し決闘を申し込む。

 

「えっ、どうして僕と」

 

「私は強い奴と戦いたいんだ。今日の戦いを見て確信した。お前は強い。あの戦いですら、まるで本気を出してなかったのは分かっているぞ」

 

(あちゃー、ばれてるよ。一体どうしたら!?)

 

 誤魔化そうにも百代の真剣な目つきを見れば適当な言い訳では引き下がってくれないのは目に見えている。この状況に焦る悟飯。だが、その時、彼の脳裏に唐突にいいアイディアが思い浮かんだ。

 

「わかりました」

 

「ほんとか!? 私と戦ってくれるのか!?」

 

 肯定の返事に顔に喜色を浮かべ、思わず詰め寄る百代。しかし悟飯は首を振って否定する。

 彼は挑戦を受けることを承諾した訳ではなかった。ただ、百代の強者と戦いたいという意図を理化したという意味で肯定の返事を返したのである。

 そして彼は代案を提示した。

 

「いえ、僕は戦いません。あの、僕は戦うのがあまり好きではないので。その代わりに僕よりも強い人を紹介します。それで勘弁してもらえませんか?」

 

「お前よりも強い? それが本当ならばそれでもいいが」

 

「ありがとうございます。その人の都合を確認してまた今度連絡しますね」

 

 やや疑わしげな顔をしながらも悟飯の言葉が本当ならば彼女にとっては願ったり叶ったりである。妹の恩人に対して余り無理強いもしたくない。

 こうして、この日二人は約束をし、後日悟飯より決闘の日時と場所が伝えられるのであった。




さて、悟飯が紹介する相手とは誰でしょう?(笑)

PS.明日からコミケに参加+盆休みが終わってしまうので次の投稿は少し遅れるかもしれません。
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