実は旧ブロリーがでてくる話を構想していたのですが、こっちのブロリーを出して友人になったり、勝負したりする話も面白そうだと考えています。
でもまずは本編をすすめないといけませんね。
「やー!!!」
ぶつかり合う悟飯と一子。何時も修行している場所で二人は組み手をしていた。勿論、まともにやれば勝負どころか修行にすらならない程の力の差が二人には存在する。
しかし悟飯の方が気をほぼ0にまで抑え、更に一子の方は武器有りとハンデをつけることで、フィジカル的な強さは拮抗し、技量を競う合ういい感じの力関係となっていた。
「川神流、鳥落とし!!」
勢い良く振り上げられた一子の薙刀、それに対し悟飯は正面から受け止めることはせず、横から薙刀を叩き、力の向きを変える。
結果、空ぶるその一撃。
「うわっ」
「はっ!!」
力の行き場を見失い、宙でバランスを失う一子。そこを逃すまいと、彼女の腹を狙い悟飯は拳を撃ち込もうとした。
「ぐっ」
その一撃をまともにくらえば一子の身体は数メートル吹き飛んでいただろう。悟飯もそうイメージする。しかしそれに対し一子は身体を引き締め、舞空術を使うことでほんの僅かに後退しただけ。しかも力の全てを受け止めるのではなく、一部を逆に利用し身体を一回転、空中でしゃがみ回し蹴りで反撃へとつなげた。
「うわっ」
見事な対処に不意をつかれ、悟飯は反応できない。顔面、頬にまとに蹴りを受けてしまう。さらに一子は足を振り上げ、踵落としを討ちこもうとする。
「たあ!!」
「きゃっ」
それに対し、悟飯は受けるでも防ぐでも無く、奇策を試した。地面に向けて気功波を放ったのだ。放たれた気は地面とぶつかり爆風と土煙が舞い起こす。土が目に入り、更に爆風にあおられ制止する一子。
「よし、今の内に・・・なっ!!」
だが、そこで目の痛みを堪えた一子が、目を閉じたまま気を感じ取ることで悟飯の位置を掴み、土煙の中を突っ切ってきた。驚く悟飯に対し、一瞬で接近した一子の薙刀が勢いよく振り下ろされる。
「はーー!!!!!!!」
「えっ? きゃーーーーー」
直撃は回避できないタイミングであった。しかし危機に対する反射から、意図せず気を解放してしまう悟飯。流石にそれには堪えきれず、吹き飛ぶ一子。
「し、しまった!!」
空中に身体を投げ出され目を回し気絶する一子。それを見て悟飯は慌てて飛びより空中で彼女を抱きかかえるのであった。
「もう、反則よ!! 悟飯君!!」
「す、すいません」
しばらくして意識を取り戻した一子に怒られる悟飯。
勝負であれば悟飯の圧勝だが、試合としては事前に取り決めたルールを破ってしまった悟飯の反則負けである。
叱られて小さくなる悟飯。それに対し、一子はそこでくるっと表情を変えた。
「なんてね。怒ってないわよ。寧ろ、そこまで悟飯君を追い詰めたってことだしね。ハンデ付きとは言え、嬉しいわ」
自分の成長を実感し、嬉しそうな表情を浮かべる一子。
「ええ、確かに一子さんは前よりも、大会の時と比べても強くなってますね」
悟飯も評価する。それはお世辞ではなく、心からの評価であった。
そして成長したのは一子だけではなく、自分自身もそうであると感じていた。日本に来てから今回のように力を制限した組み手や試合を何度も行うこと彼の戦いの技量は大きく上がっている。組み手を通して、それを改めて実感したのだ。
(思い出してみれば、お父さんやピッコロさん、クリリンさん、他のみんなもただ強いだけじゃなく、色々と工夫して戦っていた。それに対し、僕は正面からぶつかるだけだった)
武術家として長年鍛えてきた仲間達と才能に頼るだけの部分が多かった自分との差。悟飯はそれに気づき、そしてその差を少し埋めたと感じ喜びを覚えていた。
(なんだか、楽しいな)
自分の成長を自覚すること、それは何か物事に取り組む上で、最も楽しいと感じる瞬間の一つだ。悟飯は今、修行を楽しいと感じていた。子供時代にも修行を楽しいと感じることが全くなかった訳では無いが、それは悟空やピッコロ、大好きな人達とのコミュニケーションだったからと言う意味が大きく、新しい喜びに、悟飯は今興奮を覚えていた。
とはいえ、彼等には楽しんでばかりいられない事情がある。そのために今日の修行はここまでで打ち切ることにする。
「それじゃあ、そろそろ夕方ですし。ここまでにしましょうか」
「えっ、もう少しいいんじゃないかしら」
それに対し一子は不平を述べるが、そこで悟飯は彼女にとって厳しい一言を投げかけた。
「一子さん、忘れてませんか?今日からテスト週間ですよ」
「うっ、そうだったわ」
今日は期末テストの1週間前なのである。部活動も原則禁止の期間だ。学生の悟飯にとっての本分はあくまで勉強である。武術に夢中になり始めていてもそこは変わらない。入学以来学年一位を譲ったことは一度も無い悟飯であるが、彼が編入するまで常に一位であった葵冬馬や最近、やる気をだしている大和などライバルは多い。
特別、学年一位に拘っている訳では無いが、それでも折角ここまで続いているのだから、維持したい気持ちはあった。
「あまり悪い点をとったら学長に怒られちゃいますよ」
「そうね。そう言えばお姉様は大丈夫かしら?」
姉の百代も一子同様に勉強はあまり得意では無い。頭は然程悪い訳では無いのだが、基本的にやる気が無いのである。
そして何故、今、彼女がここに居ないのかと言うと彼女は最近、燕や清楚と共に、ヒュームのところでも修行しているからだ。それにより新たな視点を得て、彼女達は更に飛躍的に力を伸ばして居た。
「ちょっと心配ですけど、その辺はヒュームさんも注意してくれんじゃないでしょうか? 厳しそうな人ですし」
自らの予想を述べる悟飯。
そして実際はどうかと言うと。
『ヒュームさん、私は勉強ではなく、修行を指導して頂きたいのですが』
『ふん、仮にもこの俺の弟子の人間が。武術だけできれば許すなどと言う訳がないだろう。万能であれとまでは言わんが、落第など論外だ』
『しかし大会も近いですし』
『それを言うのならば卒業もだろう。どうせ、お前のような赤子は学校をでてしまえば碌に学問など学ばないだろう。今の内にしっかりと学んでおくんだな』
『うぅっ』
このようにしっかりとしごかれているのであった。
「なあ悟飯、お前試験勉強の方は順調か?」
「あっ、はい、しっかりとしてますよ」
「おいそこは全然してないって言うのがお約束だろうが!?」
期末テストまで後3日と迫った2-Fの教室。そこで大和が問いかけをし、それに対し、悟飯が正直に答える。その答えに対し、岳人が突っ込みを入れた。
「まあ、孫は真面目だしね。そう言う岳人はどうなの?」
「俺様がやってる訳ねえだろうが!!」
モロの問いかけに対し、こちらも正直に答える。回答は真逆ではあるが。
「そうか。実は今回の試験、1位を狙ってる。軍師として最近不甲斐ないことが多かったからな。ちょっと真剣になろうと思う」
この前の大会で悟飯の強さが百代を上回っていることを大和は理解せざるを得なかった。
そして悟飯は勉強でも常に学年一位をキープしている。力でも知恵でも負けている、その認識が大和の心に悔しさを覚えさえ、火をつけたのだ。勿論、知恵と言うのは単純に測れるものではない。実際、学校の勉強はともかく、他の方面まで含めれば大和は決して悟飯に劣っていない。それでも、はっきり見える形で悟飯に勝ちたい。大和はそう考えた。
「えっ、あっ、そうなんだ」
当然、鈍い悟飯にはそんな大和の内心など察せ無い。何時もとなにやら様子の違う大和に戸惑うばかりであった。
大和としてはやるからには気持ちよく勝ちたいがやる気の無い相手に勝手も糠に釘を刺したようなものだ。そう思い、挑発的な言葉を放つ。
「おいおい、余裕だな。お前は今、挑まれてるんだぞ? そんなのんきさだとお前の1位も終わりかな?」
「むっ、僕だって簡単に負けたりしないよ」
わかりやすい挑発に流石に少し腹を立てる悟飯。大和の狙い通り、彼のやる気に火が付く。
(こういう所は本当、扱いやすいな)
内心でほくそ笑む大和。こういう所では勝ってるなと少し自分に自身を持つ。しかし、浮かれてはいられない。この後、成績で勝たねば計画は成就しないのだ。
そしてこればかりは小細工は効かない。大和は静かな闘志を燃やしていた。
(なんか、大和君と勝負する感じになっちゃったな。けど、こういうのもちょっと楽しいかも)
一方、悟飯も同年代の友人と勝負すると言う経験してこなかった体験に不思議な高揚感を抱いていた。武術と違い、正真正銘の全力を出したとしても勝ちが確定しないこともあって、試合とはまた違った感覚だ。その興奮ややる気に繋がり、何時も以上に力を入れて勉強する。
こうして悟飯は修行にも勉強にも打ち込んでいくのであった。
作品を書き始める前から決めていた悟飯に競争相手を作りたいと言うテーマが今回は割りと書けました。