悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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気がつけば1年以上も間が空いてしまってすいません。
今後もスローペースだとは思いますが、頑張って更新つづけるようにします。


観光

 12時間のフライトを終え、マヤリト大陸に到着した一向。空港内からでて直ぐ、走る車を見て風間が叫ぶ。

 

「うぉっ、車が浮いてるぞ!!」

 

「こっちでは30年以上前からあるらしいぞ。タイヤのついた車もあるけど、ほとんど趣味の領域で今ではほとんど見ないらしい」

 

 それに対し、大和が下調べした知識を披露する。

 

「まるでSFみたいだ。やっぱりこっちの方が大分科学が進んでるのかな?」

 

 モロの感想、それに対し、またもや大和が答える。

 

「いや、そうでもないらしい。何でもマヤリト大陸にはカプセルコーポレーションって会社があって、九鬼財閥にも匹敵する程の大企業らしいんだが、創業者がとんでもない天才一族らしい。技術が特出しているのはここの企業が関わった分野だけで、他は俺達の所と同じ位みたいだ」

 

「へえ、凄い人達なのね」

 

「九鬼に匹敵する企業か。やっぱ凄い金持ちなんだろうな」

 

 感心する川神姉妹。次いで、他の者達も感想を述べる。

 

「でも、改めて考えてみると九鬼の人達も凄いですよね」

 

「確かに、偉人のクローンなんて生み出してるしね」

 

「だな、それに匹敵する企業の天才一族、キャラの濃さでも九鬼の奴らに匹敵してたりな」

 

「はは、確かにブルマさんは結構、個性的ですけどね」

 

「「「「「「んっ???」」」」」」

 

 色々な意見が並ぶ中、最後の言葉、悟飯が発した言葉に注目が集まる。

 

「ブルマさん? その言い方だと名前かあだ名のような感じだが、カプセルコーポレーションの関係者なのか?」

 

「あっ、はい。ブルマさんはカプセルコーポレーションの社長で父さんの友人なんです。その縁もあって僕も子供のころからお世話になってます」

 

「うぇ、まじかよ!?」

 

「凄い人脈だね」

 

 悟飯の言葉に皆が驚く。まあ、世界一、二を争う金持ち一家と知り合いと言うのは普通は驚く事だろう。最も、この場に居る全員が、双璧な金持ちの九鬼一家と知り合いな訳なのだ。今更驚くことでは無いという気もするが。

 そして集団の中には少し違う反応を見せるものも居た。その人物は悟飯の人脈を半ば予想していたのだ。

 

「なるほどね。悟飯君、今回、皆で行く予定の重力制御室のある人の家って、そのブルマって人の家じゃない?」

 

「うん、そうだよ。よくわかったね」

 

 それは燕だった。

 

「そりゃ、わかるよ。私の平蜘蛛って、マヤリト大陸から技術協力を受けてるって言ったでしょ。あれってカプセルコーポレーションのことなんだよね」

 

「えっ、そうだったんですか!?」

 

 今度は悟飯が驚かされる。燕の平蜘蛛には重力を制御する技術が積まれているが、彼はそれを見ていないこともあって全く予想していなかった。

 

「そうなんだよ。九鬼とカプセル・コーポレーションの合作。超レアな一品だよ」

 

 誇らしそうに語る燕。実際に凄いアイテムである。今、地球上にある中では最高クラスの技術の塊と言ってもいい。

 この発明品に対し、カプセル・コーポレーションから提供された技術は三つあり、重力制御技術とサイヤ人の戦闘服に用いられている素材技術、それと後一つ、最後の奥の手であった。

 

「へえ、ブルマさん、そんなことしてたんだ」

 

「なるほど、高性能な訳だな。戦う時がますます楽しみになってきたぞ」

 

「あっ、うちのオトンも割と中心の立場で関わってるから。忘れないであげてね」

 

 平蜘蛛を装備した時の燕と戦うの時を期待する戦闘狂な百代、父親をフォローしてあげる孝行娘な燕、何時も通りな彼女達である。

 そんな風に、和やかな会話を楽しんだ後、彼らは観光へと移ることにした。そこで最初に行き先に選ばれたのは大型の商業施設である。九鬼家が用意したハイヤーで西の都まで移動する。

 

「おっ、建物が見えてきたぞ」

 

「空港は普通だったけど、ビルの形は結構特殊だね」

 

「あっ、看板に日本語が書かれてる。本当に言葉は日本語に似てるのね」

 

 移動中は風景を楽しみ、目的地にたどり着く一行。

 

「ここだな。かなり広そうだが、どうする全員で回るか?」

 

「この人数で一緒に動いては周りにも迷惑でないでしょうか?」

 

「それに皆、行きたい所も違うだろうしね。時間も限られてるし、集合時間を決めて一旦解散でもいいんじゃないかな?」

 

 そして目的の場所に辿り着いた彼等は今後の行動について協議する。

 その結果、女性陣は多くがファッション関係に興味を示したので、ある程度まとまって動き、、趣味のばらけた男性陣は各自の興味のある場所へ移動することとなった。

 

「俺はとにかく色々と周ってみるぜ!!」

 

「俺様は肉が食いたいな。後はトレーニングの器具かな」

 

「僕はPCとか電子機器をみたいな。こっちの機械に興味があるんだ」

 

「俺は本屋にするかな。軍師としてまずは知識を仕入れておきたい」

 

「僕も本屋へ行こうかな」

 

 その中で悟飯と大和の行き先が一致し、共に本屋へ向かう。普段共に過ごすことはあっても他の仲間と一緒で、2人だけのペアになるのは珍しい組み合わせ。こういう組み合わせになると話題が無く、何となく沈黙が落ちてしまうもので、二人は黙って移動する。

 しかし移動中ずっと黙ったままなのも、不毛かと思った大和が、数分歩いた所で話題を振ることにした。

 

「そういえば、悟飯はどうして日本へ来たんだ? マヤリト大陸にもいい学校はあるんだろ? わざわざ国外に留学する必要も無い気がするんだが」

 

「あっ、うん、日本っていうか。川神学園を選んだんだよ。川神は強い人が多いから目立ち過ぎないと思って。さっき言ったブルマさんが進めてくれたんだ」

 

「なるほど、確かに悟飯は嘘が下手だしな。受け入れてくれそうな所を選ぶってのは上手い策かもな」

 

 力を隠すことを盛大に失敗した悟飯だが、現状特にそれで問題は起きていない。しかし川神で無ければもっと悪目立ちしていただろう。悟飯が幼い頃からの付き合いがあるブルマは、悟飯が力を隠せず、どこかでミスをする、そこまで考えていたのだろうと大和は予測する。

 

「ちなみに高校を卒業した後はどうするんだ? 進学はこっちに戻るのか?」

 

「うーん、その辺は未だ迷ってるんだよね。僕の夢は学者だから最終的にどこかの大学で教授を目指すことになると思うんだけど。大和君はどうするの? 最近、勉強頑張ってるよね。多分、進学だと思ってるけど、何処へ行くか決まった」

 

「そうだな。とりあえず、少しでもいい所を目指そうと思ってる。総理大臣を目指せる位の所にな」

 

 総理大臣、子供の頃の大和の夢であった。

 そして最近は本気でそれを目指す気になりつつある。理由は負けたくないからだ。隣に居る凄い奴に。

 

「総理大臣か。大和君なら成れるかもね」

 

「簡単に言うなよ。まあ、お前のことだから本気で言ってるんだろうけど」

 

 普通は馬鹿にするか冗談だと思うような大それた夢を全く馬鹿にせず、馬鹿正直に受け取る悟飯に大和は苦笑するしかない。

 

「何か変なこと言ったかな?」

 

「いや、何でもない。まあ、お前はそういう奴だからな。っと、着いたな。俺は情報誌をみたいんだけど、悟飯はどうするんだ?」

 

「僕は学術書をちょっとみたいかな」

 

「わかった。じゃあ、後で合流な」

 

 本屋に辿り着いた二人は、お互いの興味のある本を探し別れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、これ、いいな」

 

「あっ、ほんと、お姉様に似合いそう!」

 

「そうですね。それにして、ファッションとかはあまり、私達の所と違いがないんですね」

 

「中国の民族衣装ぽいのをたまにみかける位だな」

 

 服を身体に当てたりしてファッションショーを楽しむ女性陣達。この場に居るのは風間ファミリーの5人であった。男子と女子で別れた後、服を見たいと主張した彼女達5人とアクセサリー類を見たいと主張した武士道プランメンバー、母親への土産を探したいとした紋白とヒュームの3組に更に別れ、各々ショッピングを楽しんでいた。

 

「あっ、この服可愛い。ちょっと試着してくるわ」

 

「ああ、わかった」

 

 一子が特に気に入った一着をみつけ、その服を持って試着室へ駆け込む。

 

「私も大和を悩殺するための服を探そう」

 

「ふむ、折角だ自分も何か選ぼう」

 

「そ、それでは、私も。あっ、でも、あまり買い込むと荷物になってしまってしまうでしょうか?」

 

「その辺はホテルに預けておけばいいじゃないか? 帰りも九鬼の奴のプライベートジェットとハイヤーだしな」

 

 武士娘と言えど年頃の少女達である。皆、お洒落を楽しんでいた。加えて今は半分旅行中。自然と気分は盛り上がっている。

 

「そうですね。では、私も試着してきます」

 

 そう言って彼女も試着室へ走る。皆、楽しんでいるようであった。しかしそんな楽しい気分に水を差す出来事が起こる。

 激しい警戒音、非常ベルが建物内に鳴り響いたのだ。

 

「な、なんだ」

 

「火事が何かか。単なる誤報ならいいが」

 

 何事もないことを祈り、慌てないよう自制し、神妙な顔をして続報を待つ5人。

 そして期待を裏切るように最悪の事態を告げるアナウンスが流れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、やっぱり義経にはこういうのはあまり……」

 

「大丈夫、義経は可愛いから似合うよ」

 

「うんうん、アクセサリーは女の子の武器だからね。着飾ることで更に攻撃力があがるんだよ」

 

「そうだよ。私も似合うと思うよ」

 

 ファンシーなアクセサリーショップで弁慶に購入を勧められ、戸惑う義経。少々堅物が過ぎる義経を少しは遊ばせようとする弁慶の思いやりと悪だくみが混じった行動である。

 そんな二人に対し、面白がって援護に入る燕と、天然気味な清楚が加わる。

 まさしく女3人よりば姦しいとでも言おうか。しかしそんな中、一人居心地の悪そうにしているものが混じって居た。

 

「なあ、姉御、俺、他の所へ行ってもいいか?」

 

 他の男子同様、個別に行動しようとした所、弁慶に引っ張ってこられた与一である。

 

「駄目。ちょっと男子目線の評価も聞きたいからね。どう、義経の感想は」

 

「いや、まあ可愛いとは思うけど……」

 

「そ、そうかな?」

 

 褒める与一と、褒められて照れる義経。言葉だけならラブコメっぽい雰囲気であるが、与一にはそんな余裕など全くなかった。

 女集団の中に男一人と言うのは一見羨ましそうに見えるが、実際にはなかなかに辛い場合の方が多い。しかも今、彼が居るのはファンシーな雰囲気の店である。余程のプレイボーイでも無ければ嬉しさよりも恥ずかしさの方が勝る状況であった。

 

「それじゃあ、ちょっとこっちの方も試してみようかな」

 

「おっ、いいね。じゃあ、与一、品評よろしくね」

 

 旅先のテンションもあって、少し前向きになる義経。そんな楽しそうな主と同僚に対し、嫌と言える雰囲気ではなく、与一は引きつった笑みを浮かべる。

 

「わ、わかった」

 

「大変だね、与一君。あっ、あのお財布可愛い」

 

 そんな与一を笑ってみて、自分も気に入った一品を見つける燕。

 

「私はどうしようかな」

 

 義経のファッションショーに付き合うか、自分も欲しいものを探すか迷う清楚。こちらのグループもなんだかんだと楽しんでいるようであった。

 

 

 

 

 こうして観光を楽しむ各々。その後、大きな事件があり、一行はそれに巻き込まれるが、何とか切り抜けるのであった。




今回、終盤の危機以外はなるべく学生らしい悟飯と仲間達をコンセプトに書いてみました。上手く書けてるといいですが。

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