悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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重力制御装置

「おー、ここが」

 

 重力制御室に案内された川神学園一同。そこでブルマが装置を操作しに近づいた所で、悪戯を思いついたような表情で言う。

 

「そうそう、実はこの装置、新しい機能を最新追加したのよ」

 

「新しい機能ですか?」

 

「ええ、ちょちょいと」

 

 全員が部屋に入ったところで、装置を操作するブルマ。すると皆の身体が浮かび上がった。

 

「えっ!?」

 

「一体何が!?」

 

 突然起きた出来事にパニックになりかける一同。それを見てブルマは嬉しそうに答える。

 

「ふふ、実は、この装置重力を強くするだけじゃなくて、逆に弱くすることもできるように改良したのよ。0Gから500Gまで操作できるわ」

 

「えっ、じゃあ、今、無重力ってこと!?」

 

 それを聞いて興奮した様子の一同。特に男子連中は、実際に宇宙旅行を経験したことのある悟飯以外、大興奮である。宇宙に憧れの無い男子等いないのである。

 

「ええ。実はこれ、新しいアトラクションとして売り込む予定の新製品として考えてるの。でっ、そのテストタイプとしてうちにあった装置を改良したって訳」

 

「それはいいですね。絶対売れますよ」

 

「ああ、間違いねえな」

 

 ブルマのアイディアに賛同を示す一同。そんなアトラクションがオープンすれば間違いなく大行列ができると確信できる内容だった。

 

「でしょー。けど、これ思いついたのって外の大陸のおかげなのよ。実は技術自体は元々あったんだけどね。街中を走っているエアカーみたでしょ。あれ、反重力で浮いてるの。けど、それをレジャーアイテムとして活用って発想はなくてね。けど、外の大陸から入ってきたアニメの中に今回思いついたアイディアに近いものがあって、それを元に実現したって訳」

 

「それは面白い話だな」

 

「交流って、案外、そういう所から深まっていくのかもしれませんね」

 

 クリスと由紀恵が感心したように言う。それから少しの間無重力状態を楽しむ一同。

 

 

 

「さて、楽しんでる所悪いけど、他のも試させてね。次はこんなのはどうかしら?」

 

 そう言ってブルマはリモコンで重力制御装置を操作する。すると、無重力が解除され、その場の皆はゆっくりと地面に着地した。

 

「重力を0.2Gにしてみたわよ」

 

「0.2Gと言うと地球の5分の1、月の重力が6分の1だからほぼ同じ環境って訳か」

 

 大和が状態を評価する。口調は冷静そうでいて、かなり興奮が混じっていた。そして、何かを思いついたように彼はジャンプをした。その行為とその結果に周囲の注目が集まる。

 

「うおっ!!」

 

「おー、すげえ」

 

 3メートル近く飛び上がる大和。一般人並みの身体能力しかもたない彼でも月の低重力ならば可能となる。これには身体能力的に普通な面子程、超人気分に興奮する。

 

「ははっ、姉さんになった気分だな」

 

「うん、これは面白いね」

 

「うりゃあー、大ジャンプ、うげっ」

 

 そこで調子に乗り過ぎた岳人が天井に頭をぶつけてしまう。

 

「おいおい。まあ、頑丈な岳人なら大丈夫か」

 

「うーん、アトラクションにするなら、こういった事故に対する備えも必要かしらね。ありがとう。いい参考になったわ」

 

 呆れた様子で言う百代。施設の問題点に気づくブルマ。緩衝材を壁に張り付けるなど、怪我防止の対策を考える。

 

「ところで、ブルマさん。そろそろ高重力の方も体験してみたいのですが」

 

 一般身体能力メンバーには好評だった低重力だが、普段から超人的な身体能力を発揮できるメンバーには、軽重力は今一つ面白くないようであった。そのため、元々の目的であった高重力を早く体験したいと希望する。

 

「そうね。それじゃあ、体力に自信の無い人達は一旦退出してもらえるかしら。一応、最初は軽めでいくけどね」

 

「了解。それじゃあ、俺達は出て行こう」

 

 ブルマの言葉に応え、退出を促す大和。残ったのは武士娘達全員と五人の男子であった。悟飯、岳人、風間、忠勝、与一である。

 

「あれ、英雄もやめるの?」

 

「うむ、男子としてこのような試みに興味が無い訳ではないが、折角治してもらった腕を万一にも痛めてはいかんのでな」

 

 悟飯の問いかけに仙豆で治った腕をまわしながら答える英雄。その言葉に悟飯は納得する。

 

「それじゃあ、いくわね。最初はまあ、この位で」

 

 そしてブルマが重力制御装置をリモコンで遠隔操作する。モニターに表示された重力は1.2G。そして重力が変更される。

 

「うおっ」

 

「うわっ、何かズシンときたな」

 

 たった、0.2Gであるが、例えば体重60キロの人なら、加わる重さは12キロ。10キログラムの米袋を上に乗せられたようなものだと思えば馬鹿にならないことは理解できるだろう。とはいえ、皆、体力に自信のあるものばかり。流石にこれでどうにかなるようなものはいない。

 

「みんな、大丈夫そうね。じゃあ、今度はっと」

 

 皆の状態を確認したブルマが重力を1.5Gに上げる。体重の半分の荷重。一般人にはかなりきつい重さだ。それでもまだまだ全員が立っていた。

 

 

「やるわね。じゃあ、2Gにまであげるわよ」

 

「うおっ」

 

「ぐっ」

 

 重力が更に上がる。この辺になると一般人の風間や忠勝は立っているのがやっととなる。しかしまだギブアップはしなかった。

 

「じゃあ、次は3G で」

 

「うおっ」

 

「ぐっ」

 

 風間、忠勝、それに加えて岳人の3人は床に手を着き立ち上がれなくなる。力自慢の岳人であるが、元々の体格がいいだけに重さも大きくなるのだ。そもそも重力による負荷と言うのは単に重さに限らない。血液を送るという生命維持に不可欠な行為などにも大きな負荷がかかったりする。宇宙飛行士等専門の訓練を積んだ人間で立った状態で耐えられる重力が3.5~4G、横になった状態で6~7Gと言うことを考えればここまで耐えただけでも十分立派と言えるだろう。

 

「んー、一旦重力を弱めるからきつい人は無理せずギブアップしてね」

 

「ああ、くそー、もうちっといけると思ったんだけどな」

 

「まじできついな」

 

「くそっ、肉汁飲んで再挑戦だ」

 

 最初のリタイアメンバーになってしまったことに悔しそうな3人。しかし限界は身体で理解できたらしく、大人しく退出し重力室を出た所で座りこんで休憩する。

 

「じゃあ、もう1G上げるわよ」

 

 重力が4Gに上がる。この辺りからは武士娘達にとってもきついレベルになったらしく、その表情も大きく変わる。

 

「ん、ここまでかな」

 

「ぐっ、自分もこれ以上は無理かな」

 

「くくっ、引き際を知ることもまた勇気か」

 

 京、クリス、与一がここでギブアップ。未だ何とか立っていたが己の限界を正しく見極めたようである。そして5Gで弁慶がリタイアし、残るのは百代、燕、清楚、一子、由紀恵、義経、悟飯7人となる。

 

「へえ、ここまでこんなに残るなんてね。見る限り残ってる子達は結構、余裕ありそうだし、一気にいくわよ」

 

 そしてブルマは重力を倍の10Gに一気にあげた。

 

「ぐっ、きついわねえ」

 

「おい、一子無理はするな」

 

 ここで一子がかなり苦しそうな表情を浮かべる。放って置くと限界を超えた無茶をしかねない一子の性格を考え周りがギブアップをすすめた。それに従い、一子が退出した所で、重力を更にアップさせ20Gにまであがる。

 

「うーん、私も限界」

 

「くっ、悔しいが義経もここでギブアップだ」

 

「わ、私もです」

 

 ここで一気に3人がギブアップ。由紀恵、義経は何とか動けるがこれ以上は無理と判断する。清楚は肉体的には未だ余裕があるが、今は項羽の人格でないため、精神的に限界まで耐える気がなさそうだった。その後、燕が35G、百代が50Gまで耐え、そこでギブアップした。

 

「ブルマさん、この後、重力を10G位にした状態でトレーニングしてみたいんですが」

 

 そして一休みした所で、百代が要望を出す。その位の重力ならばただ耐えるだけでなく、その状態で自由に動けるよう、トレーニングしてみたいと思ったのだ。

 

「へえ、高重力で修行なんて、ベジータや孫君みたいな発想するのね。いいわよ。今日1日はあなた達の貸し切りの約束だしね。あっ、使わない人達はゲームでもする? こっちの遊び、ゲーム機からボードゲームまで揃ってるわよ。あっ、そうそう悟飯君はこっち来てくれるかしら? トランクスが会いたがっていたから」

 

 ブルマの提案は高重力に耐えられないメンバーにはありがたく興味をそそるものだった。そして修行メンバーには、百代、燕、義経、由紀恵が参加することになる。

 

「お姉さま、私、もっかい挑戦してみるわ。立っているだけなら何とかなりそうだし、それで十分に修行になりそうだもの」

 

「んー、そうか。わかった。あまり無茶はするなよ」

 

 そして一子も志願する。それに対し、無理をし過ぎないことを条件に百代は承諾する

 

「それじゃあ、百代さん、一子さん、頑張ってください」

 

「姉さん、ワン子、頑張って」

 

 こうして一度二手に別れる。その後、重力室に残ったメンバーは半日修行し、他のメンバーはトランクスを交えてゲームに興じるのだった。


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